エチルヘキシルグリセリンとは…成分効果と毒性を解説

ベース成分 保湿成分 抗菌成分
エチルヘキシルグリセリン
[化粧品成分表示名称]
・エチルヘキシルグリセリン(改正名称)
・オクトキシグリセリン(旧称)

[医薬部外品表示名称]
・グリセリンモノ2-エチルヘキシルエーテル

グリセリンに2-エチレンヘキシルアルコールを結合させたグリセリン誘導体です。

グリセリンと同等の保湿効果がありますが、エチルヘキシルグリセリンには優れた抗菌作用や消臭作用(ニオイの原因となるバクテリアの成長を抑制する)があるので、パラベンフリー処方のできる保湿剤として防腐剤を軽減・不使用目的の化粧品に配合されています。

防腐剤フリーの化粧品に抗菌性をさらに高める目的でフェノキシエタノールカプリリルグリコールペンチレングリコールなどと一緒に配合されることがあります。

実際にどのような製品にどれくらい配合されているのかというと、海外の2011年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

エチルヘキシルグリセリンの配合状況調査結果(2011年)

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エチルヘキシルグリセリンの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

エチルヘキシルグリセリンの現時点での安全性は、皮膚刺激はほとんどなく、軽度の眼刺激性が起こりますが、アレルギー(皮膚感作)および光感作が起こる可能性も低く、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Alkyl Glyceryl Ethers as Used in Cosmetics」(文献1:2013)によると、

  • [ヒト試験] 600人の被検者に0.4975%エチルヘキシルグリセリンを含むフェイシャルクリームを誘導期間として合計10回反復適用し、その後の1回目の48時間チャレンジパッチおよび1回目から1週間後の2回目の48時間チャレンジパッチ適用後において一次刺激、皮膚疲労、皮膚感作性の兆候はなかった
  • [ヒト試験] 108人の被検者(18~70歳)に0.4%エチルヘキシルグリセリンを含むファンデーション(150mg未満)を誘導期間として24時間閉塞パッチを合計9回適用し、その後チャレンジ期間のパッチ除去24および48時間後に試験部位を評価したところ、ファンデーションは皮膚刺激剤でも感作剤でもなかった
  • [ヒト試験] 115人の参加者(16~79歳)に0.5%エチルヘキシルグリセリンを含むアイライナー0.2gを週3回半閉塞パッチ適用し、3週間後に元の試験部位に隣接する新しい部位でチャレンジパッチを適用したところ、皮膚刺激性およびアレルギー接触感作性の可能性を示さなかった
  • [ヒト試験] 111人の男女の被検者(18~70歳)に0.995%エチルヘキシルグリセリンを含むメイクアップ調剤を用いて誘導期間およびチャレンジ期間にパッチ適用したところ、メイクアップ調剤は刺激剤でも感作剤でもなかった
  • [ヒト試験] 108人の参加者(18~70歳)に0.6965%エチルヘキシルグリセリンを含むフレグランスボディローションを用いてRIPTを実施した。誘導期間として試験物質を週3回24時間パッチ適用を合計9回繰り返し、パッチ除去後に反応をスコアリングした。2週間の無処置期間を経てチャレンジパッチを未処置部位に24時間適用し、24,48および72時間後に反応をスコアリングしたところ、ボディローションは皮膚刺激剤および皮膚感作剤ではなかった

と記載されています。

皮膚刺激のデータは後述する皮膚感作試験結果と一緒に行ったデータがあり、共通して皮膚刺激がないため、皮膚刺激性や毒性の懸念はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Alkyl Glyceryl Ethers as Used in Cosmetics」(文献1:2013)によると、

  • [動物試験] 3匹のウサギのそれぞれ左結膜嚢に未希釈のエチルヘキシルグリセリン0.1mLを点滴し、右眼を未処置対照としてOECDテストガイドライン405に基づいて21日目まで観察したところ、すべてのウサギに結膜の発赤とケモーシス観察され、刺激スコアは2または3であった。結膜刺激は14日目まで持続し、1匹においては21日間の観察期間を超えても角膜混濁は持続した。したがって、エチルヘキシルグリセリンはウサギの眼に重度の損傷を引き起こした
  • [動物試験] 同様の手順を用いて別の3匹のウサギの眼に5%エチルヘキシルグリセリン水溶液をを滴下したところ、1時間後にそれぞれのウサギで刺激スコア1の結膜紅斑を引き起こしたが、24時間以内に完全に消失し、虹彩や角膜に刺激の兆候はなかった。したがって5%エチルヘキシルグリセリン水溶液は、ウサギの眼に軽度の刺激を与えた

と記載されています。

試験結果では100%濃度で重度の眼刺激あり、5%濃度で軽度の眼刺激ありと結論づけられていますが、化粧品での使用は5%前後および5%未満であることがほとんどなので、軽度の眼刺激性が起こると考えられます。

光毒性および光感作性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Alkyl Glyceryl Ethers as Used in Cosmetics」(文献1:2013)によると、

  • [動物試験] モルモットを用いてエチルヘキシルグリセリンの光毒性を25%~100%の範囲の濃度で評価した。各溶液を脇腹に適用した後、UVAライトを20j/c㎡の線量で照射し、反対側の脇腹は各溶液を適用したが照射しなかった(対照)。結果として光毒性の兆候は示さなかった
  • [動物試験] エチルヘキシルグリセリンの光感作性を評価した。まず、モルモットに希釈していないエチルヘキシルグリセリンを14日間で5回適用し、次いでUV-AおよびUV-Bライトを照射した。その後のチャレンジ段階ではいずれのモルモットも反応を示さず、エチルヘキシルグリセリンは光感作剤ではないと結論付けられた

と記載されています。

試験結果では光毒性も光感作性もないと結論付けられているため、光毒性および光感作性はないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
エチルヘキシルグリセリン 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、エチルヘキシルグリセリンは毒性なし(∗2)となっており、毒性に関しては心配する必要はありません。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

エチルヘキシルグリセリンはベース成分と保湿成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分 保湿成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2013)「Safety Assessment of Alkyl Glyceryl Ethers as Used in Cosmetics」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/1091581813497766> 2017年10月26日アクセス.

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