エタノール(エチルアルコール)とは…成分効果と毒性を解説

ベース成分 溶剤 防腐剤
エタノール(エチルアルコール)
[化粧品成分表示名称]
・エタノール

[医薬部外品表示名称]
・エタノール

[慣用名]
・エタノール、エチルアルコール

一般にアルコールと呼ばれている酩酊成分で、無色透明の揮発性の液体です。

穀物などのデンプンを発酵させて得られる天然醸造アルコールのほかに、化学的に合成して得られる合成エタノールがあり、各種物質や成分を溶解する性質があるので溶剤として、化粧品には欠かすことができない成分です。

以前は、エタノールをそのまま使用すると醸造アルコール(飲用アルコール)と同じ扱いになり、酒税がかかってコストが上がるという事情があったため、それに対応するためにつくられたのがエタノールにゲラニオールなどのにおい成分を添加し工業用アルコールとした変性アルコールです。

ただし、2001年4月1日からアルコール事業法が施行され(文献3:2007)、許可を取得することで酒税が上乗せされないエタノールを購入できるようになったため、近年ではエタノールを使用することが増え、変性アルコールの使用は減少の一途をたどっています。

エタノールは、正式には無水エタノール、エタノール、消毒用エタノールに分類されますが、これは純度の違いによるもので、

  • 無水エタノール:濃度99.5%以上
  • エタノール:濃度95.1%~95.6%
  • 消毒用エタノール:濃度76.9%~81.4%

に分けられます。

消毒用エタノールがこの濃度である理由は、水に希釈させてこの濃度にすることで殺菌消毒効果が最も高くなるからです。

一方で、100%に近い濃度である無水エタノールは殺菌力がありませんが、この理由は殺菌には一定の接触時間が必要となり、濃度が高すぎるとすぐに揮発してしまって効果が十分に発揮できないためです。

化粧品に配合される場合は、精製水を加えて必要な濃度に調整し、香水、ネイル製品などの溶剤に使用したり、清涼感、収れん作用および防腐作用目的で化粧水を中心とした幅広い製品に使用されています。

また、香りが立ちやすくなるので基剤として用いることもあります。

ほかにも植物エキスを抽出するために溶媒として使用されたエタノールが微量混じることもあり、この場合は成分表示の最後の方に記載されているかキャリーオーバー(∗1)で記載されていないこともあります。

∗1 キャリーオーバーとは、製品中にその効果が発揮されるより少ない量しか含まれないものについては、表示の必要はないという薬事法の特例のことです。

スキンケア化粧水の場合、エタノール濃度の目安は、

  • しっとり化粧水:10%
  • さっぱり化粧水:15%
  • ニキビ用化粧水:20%
  • 拭き取り化粧品:30%以上

となっており、水に次いで配合量の多い成分であることが多いです。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2002-2003年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

エタノールの配合製品数と配合量の調査結果(2002-2003年)

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エタノールの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

エタノールの現時点での安全性は、長年の使用実績があり、健常な皮膚において皮膚刺激性はほとんどなく、眼刺激性は中等~重度の刺激を引き起こす可能性があるものの、皮膚感作性(アレルギー性)もほとんどないため、総合的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

ただし、炎症を有していたり、バリア機能が低下している場合は、まれに発赤、かゆみ、スティンギング反応(∗2)などが起こることがあるので注意が必要です。

∗2 刺すようなピリピリした刺激のことです。

また、ごくまれにアレルギー性接触皮膚炎として紅斑または蕁麻疹を引き起こすことがあるので注意が必要です。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

JETOC 日本化学物質安全・情報センターの初期評価プロファイル(文献2:2004)によると、

  • エタノールの経皮吸収は非常に低く、皮膚刺激物質でもなければ、感作性物質でもない

Journal of Healthcare-associated Infectionに掲載されている「エタノール接触皮膚障害症例と交差反応について」(文献4:2009)によると、

  • 1982年から2008年のあいだで日本人におけるエタノール接触皮膚障害は、接触蕁麻疹38例、アレルギー性接触皮膚炎18例、接触蕁麻疹とアレルギー性接触皮膚炎2例、接触蕁麻疹と刺激性接触皮膚炎1例であり、その多くはパッチ塗布5分後に紅斑が生じる即時型アレルギーで、まれに24~72時間後にも紅斑が持続または増強する遅延型反応も確認された

と記載されています。

安全データをみるかぎり、皮膚刺激および皮膚感作はほとんど報告がありませんが、まれに即時性アレルギー反応として紅斑が生じる報告もあるため、皮膚刺激性は非刺激またはまれに即時性紅斑反応が生じる可能性があると考えられます。

また、皮膚感作性は非感作またはごくまれにアレルギー性接触皮膚炎として紅斑または蕁麻疹のような症状が起こる可能性が考えられます。

さらに、炎症を有していたり、バリア機能が低下している場合は、まれに発赤、かゆみ、スティンギング反応などが起こることがあるので、それらの症状が生じた場合は皮膚が健常に戻るまでエタノール配合製品の使用はひかえることを推奨します。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report of the Safety Assessment of Alcohol Denat., Including SD Alcohol 3-A, SD Alcohol 30, SD Alcohol 39, SD Alcohol 39-B, SD Alcohol 39-C, SD Alcohol 40, SD Alcohol 40-B, and SD Alcohol 40-C, and the Denaturants, Quassin, Brucine Sulfate/Brucine, and Denatonium Benzoate」(文献1:2008)によると、

  • [動物試験] 5匹のウサギの眼に100%エタノール0.1mLを注入し、注入後に眼を評価したところ、重度の障害を引き起こすと結論付けられた。またエタノール量を0.5mLに増加したとき、眼刺激の重篤度が増した(Carpenter and Smyth,1982)

JETOC 日本化学物質安全・情報センターの初期評価プロファイル(文献2:2004)によると、

  • エタノールは中等の眼刺激物質である

と記載されています。

試験データをみるかぎり、中等から重度の眼刺激性が報告されているため、眼刺激性は中等~重度の眼刺激が起こると考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
エタノール

参考までに化粧品毒性判定事典によると、エタノールは△(∗3)となっており、安全データをみるかぎり、安全性に問題はないと考えられます。

∗3 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

エタノールはベース成分にカテゴライズされています。

それぞれの成分一覧は以下からお読みください。

ベース成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2008)「Final Report of the Safety Assessment of Alcohol Denat., Including SD Alcohol 3-A, SD Alcohol 30, SD Alcohol 39, SD Alcohol 39-B, SD Alcohol 39-C, SD Alcohol 40, SD Alcohol 40-B, and SD Alcohol 40-C, and the Denaturants, Quassin, Brucine Sulfate/Brucine, and Denatonium Benzoate」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1080/10915810802032388> 2018年5月29日アクセス.
  2. “JETOC 日本化学物質安全・情報センター”(2004)「初期評価プロファイル エタノール」, <http://www.jetoc.or.jp/safe/siap_top.html> 2018年5月29日アクセス.
  3. “経済産業省”(2007)「アルコール使用法の手引き」,<http://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/alcohol/data/4siyoutebiki.pdf> 2018年5月29日アクセス.
  4. 遠藤 博久, 小林 寬伊, 大久保 憲(2009)「エタノール接触皮膚障害症例と交差反応について」Journal of Healthcare-associated Infection(2),13-17.

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