イソヘキサデカンとは…成分効果と毒性を解説

ベース成分
イソヘキサデカン
[化粧品成分表示名称]
・イソヘキサデカン

[医薬部外品表示名称]
・軽質イソパラフィン

分岐した構造をもつ炭化水素で、流動性の高い液状オイルです。

ベタつきのない滑らかな感触をもち、他のオイル成分を溶かし込む能力が高いので、スキンケア製品やメイクアップ製品、クレンジング製品などによく使われています。

高分子乳化剤として幅広いpH域で増粘が可能で、シリコーンや植物油などあらゆる油溶性成分を乳化できる原料として、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、ポリソルベート80とセットで使用されることが多いです。

また、各種有機原料や有効成分との相溶性を向上させ原料として、(ジメチコン/ビスイソブチルPPG-20)クロスポリマーとセットで使用されます。

実際にどのような製品にどれくらい配合されているかというと、海外の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに表の中の製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

イソヘキサデカンの配合製品数と配合量の調査(2010年)

スポンサーリンク

イソヘキサデカンの安全性(刺激性・アレルギー)について

イソヘキサデカンの現時点での安全性は、皮膚刺激性およぼ光毒性はほとんどなく、眼刺激性は非刺激性または最小限の刺激性となっており、健康な皮膚および皮膚炎を有する皮膚にかかわらずアレルギー(皮膚感作)はほとんどなく、ノンコメドジェニックでもあるため、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Isoparaffins as Used in Cosmetics」(文献1:2012)によると、

  • [ヒト試験] 30人のボランティアに42%イソヘキサデカンを含むタンエンハンスドスプレーを1日1回2週間連続で使用してもらったところ、4人が副作用を報告し、内訳は軽度の額のかゆみ1人、左眼の灼熱感1人、穏やかなピリピリ感と腕、胸、肩および顔のかゆみ1人、頬のピリピリ感1人であったが、この副作用は臨床的に有意ではないと報告された
  • [ヒト試験] REACH規則に従って作成された化学物質安全報告書によると15人のボランティアを用いたイソヘキサデカンの皮膚刺激試験の結果は陰性であり、この知見はこのセクションに含まれる他のイソパラフィンに対する皮膚刺激試験の結果と一致した
  • [ヒト試験] 52人の健康な被検者に40%イソヘキサデカン0.1mLをパッチ適用したところ、皮膚刺激性および皮膚感作性は陰性であった

と記載されています。

試験結果は共通して皮膚刺激性なしと報告されているため、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Isoparaffins as Used in Cosmetics」(文献1:2012)によると、

  • [動物試験] REACH規則に従って作成された化学物質安全性報告書では、イソヘキサデカンはウサギの眼に刺激を与えなかった
  • [in vitro試験] 正常ヒト表皮角化細胞によって再構築された3次元培養角膜モデル(EpiOcular)を用いて、モデル角膜表面に42%イソヘキサデカンを含む日焼け止めスプレーを処理したところ、最小限の眼刺激性が予測された
  • [in vitro試験] 鶏卵の漿尿膜を用いて、55.5%イソヘキサデカンを含む製剤を処理したところ(HET-CAM法)、眼刺激性について陰性に分類された

と記載されています。

試験結果をみるかぎり、最小限の眼刺激性が起こる可能性がありますが、多くの結果で非刺激性と報告されているため、眼刺激性なしまたは最小限の刺激性であると考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Isoparaffins as Used in Cosmetics」(文献1:2012)によると、

  • [ヒト試験] 100人の男女の被検者に42%イソヘキサデカンを含む日焼け止め製品0.1mLをパッチ適用したところ、皮膚感作の兆候はみられなかった
  • [ヒト試験] 102人の健康な被検者に20%イソヘキサデカンを含むメイクアップリムーバーをパッチ適用したところ、皮膚感作は観察されなかった
  • [ヒト試験] 健康な男女600人に15%イソヘキサデカンを含む皮膚洗浄剤を48時間パッチ適用したところ、皮膚刺激、皮膚疲労およびアレルギー性接触皮膚炎を誘発しなかった
  • [ヒト試験] 54人の健康な男女に55.5%イソヘキサデカン原料を11.1%含むワセリン0.2gをパッチ適用したところ、皮膚刺激性も皮膚感作性も認められなかった

と記載されています。

試験結果は共通して皮膚感作性なしと報告されているため、健康な皮膚を有する場合、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

アレルギーおよびアレルギ性皮膚炎患者の皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Isoparaffins as Used in Cosmetics」(文献1:2012)によると、

  • [ヒト試験] 26人の皮膚炎患者の上腕外側に未希釈のイソヘキサデカンを開放パッチ適用し、健康な参加者55人の前腕に対照としてコントロール適用したところ、2人の皮膚炎患者および11人の健康な参加者に陽性反応がみられた。また、イソヘキサデカンを含むワセリンは19人の皮膚炎患者または56人の対照参加者において陽性反応を誘発しなかった。対照参加者と比較して皮膚炎患者におけるイソヘキサデカンの反応性のパターンは希釈されていない場合には刺激剤として非特異的に作用することを示唆した

と記載されています。

試験結果は皮膚感作性としてはほとんどなく、また示唆材料である未希釈での使用は化粧品ではみられないため、皮膚炎を有している場合においても皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

光毒性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Isoparaffins as Used in Cosmetics」(文献1:2012)によると、

  • [ヒト試験] REACH規則に従って調製された化学物質安全性報告では、イソヘキサデカンの光毒性試験の結果は陰性であった

と記載されています。

REACH規則に従って調製された化学物質安全性報告で光毒性が陰性と報告されているため、光毒性はないと考えられます。

コメドジェニシティ(ニキビの原因となるアクネ菌の増殖促進性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Isoparaffins as Used in Cosmetics」(文献1:2012)によると、

  • [動物試験] イソヘキサデカンはウサギにおいて非コメドジェニックであると分類された

と記載されています。

試験の詳細は不明ですが、非コメドジェニックに分類されているため、ノンコメドジェニック(∗2)であると考えられます。

∗2 ノンコメドジェニックというのは、ニキビの原因となるアクネ菌を増殖させる成分を含んでいないことを意味します。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
イソヘキサデカン 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、イソヘキサデカンは毒性なし(∗3)となっており、毒性に関しては心配する必要はありません。

∗3 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

イソヘキサデカンはベース成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2012)「Safety Assessment of Isoparaffins as Used in Cosmetics」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/1091581812463087> 2017年12月9日アクセス.

スポンサーリンク

TOPへ