イソヘキサデカンとは…成分効果と毒性を解説

ベース成分 エモリエント成分 溶剤
イソヘキサデカン
[化粧品成分表示名称]
・イソヘキサデカン

[医薬部外品表示名称]
・軽質イソパラフィン

炭素数16の分枝した構造をもつ流動性の高い液状炭化水素(∗1)です。

∗1 炭化水素とは、炭素と水素のみからなる化合物で、化学的に極めて不活性な物質です。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、メイクアップ化粧品、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品などに使用されています(文献1:2012;文献2:2015)

エモリエント作用

エモリエント作用に関しては、ベタつきおよび閉塞感がなく、軽い質感と優れた展延性(∗2)を有しており、スキンケア化粧品、メイクアップ化粧品、洗浄製品などに汎用されています(文献2:2015)

∗2 展延性とは、柔軟に広がり、均等に伸びる性質のことで、薄く広がり伸びが良いことを指します。

溶剤

溶剤に関しては、他の油性成分を溶かし込み、酸化安定性が高く、ベタつきおよび閉塞感がなく、軽い質感と滑らかな感触を有しているため、油っぽい感触が好まれないメイクアップ化粧品、スキンケア化粧品などに汎用されています。

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2010年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

イソヘキサデカンの配合品数と配合量の調査結果(2010年)

スポンサーリンク

イソヘキサデカンの安全性(刺激性・アレルギー)について

イソヘキサデカンの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚刺激性(皮膚炎を有する場合):未希釈で軽度、希釈した場合でほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚感作性:ほとんどなし
  • アクネ菌増殖性:ほとんどなし

これらの結果から、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2012)によると、

  • [ヒト試験] 30人のボランティアに42%イソヘキサデカンを含む日焼け止めスプレーを1日1回2週間連続で使用してもらったところ、4人の被検者において軽度の副作用(額のかゆみ1人、左眼の灼熱感1人、軽度のチクチク感と腕、胸、肩、顔のかゆみ1人および頬のチクチク感1人)が観察されたが、これらは臨床的に有意ではないと報告された(Reliance Clinical Testing Services Inc,2008)
  • [ヒト試験] REACH規則に従って作成された化学物質安全報告書によると、15人のボランティアに実施したイソヘキサデカンの皮膚刺激試験の結果は陰性であり、この知見はこのセクションに含まれる他のイソパラフィンに対する皮膚刺激試験の結果と一致した(INEOS Manufacturing Deutschland GmbH,2010)
  • [ヒト試験] 52人の健康な被検者に40%イソヘキサデカンを含む混合物0.1mLを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、皮膚刺激性および皮膚感作性は陰性であった(Consumer Product Testing Co,2007)
  • [ヒト試験] 100人の被検者に42%イソヘキサデカンを含む日焼け止め製品0.1mLを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、皮膚刺激および皮膚感作の兆候はみられなかった(TKL Research,2008)
  • [ヒト試験] 102人の健康な被検者に20%イソヘキサデカンを含むメイクアップリムーバーを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、皮膚刺激および皮膚感作は観察されなかった(Clinical Research Laboratories Inc,1998)
  • [ヒト試験] 健康な男女600人に15%イソヘキサデカンを含む皮膚洗浄剤を48時間パッチ適用したところ、皮膚刺激、皮膚疲労およびアレルギー性接触皮膚炎を誘発しなかった(Orentreich Research Corporation,2005)
  • [ヒト試験] 54人の健康な男女に55.5%イソヘキサデカンおよび35%イソドデカンを含む混合物20%を含むワセリン0.2gを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、皮膚刺激性も皮膚感作性も認められなかった(Consumer Product Testing Co,2008)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、一般的に皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

– 皮膚炎を有する場合 –

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2012)によると、

  • [ヒト試験] 皮膚炎を有する被検者におけるイソヘキサデカンの皮膚感作性を評価するために、26人の皮膚炎患者および対照として55人の健常な被検者に未希釈のイソヘキサデカンを開放パッチ適用したところ、26人のうち2人の皮膚炎患者および55人のうち11人の健康な被検者に陽性反応がみられたが、これらの差は統計的に有意ではなかった。また皮膚炎を有する19人の患者および対照として健常な56人の被検者に10%イソヘキサデカンを含むワセリンを適用したところ、いずれの患者および被検者においても陽性反応を誘発しなかった。皮膚炎患者におけるイソヘキサデカンの反応性のパターンは、未希釈において刺激剤として非特異的に作用することが示唆された(Eisner P, et al,1995)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、未希釈で26人のうち2人に陽性反応があり、10%濃度で皮膚反応なしと報告されているため、皮膚炎を有する場合において希釈された場合では皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2012)によると、

  • [in vitro試験] 正常ヒト表皮角化細胞によって再構築された3次元培養角膜モデル(EpiOcular)を用いて、モデル角膜表面に42%イソヘキサデカンを含む日焼け止めスプレーを処理したところ、非刺激または最小限の眼刺激性が予測された(BioScience Laboratories Inc,2007)
  • [in vitro試験] 鶏卵の漿尿膜を用いて、55.5%イソヘキサデカンおよび35%イソドデカンを含む混合物を処理したところ(HET-CAM法)、眼刺激性について陰性に分類された(Consumer Product Testing Co,2007)
  • [in vitro試験] 鶏卵の漿尿膜を用いて、40%イソヘキサデカンを含む混合物を処理したところ(HET-CAM法)、眼刺激性について陰性に分類された(Consumer Product Testing Co,2006)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して眼刺激なしと報告されているため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

コメドジェニシティ(ニキビの原因となるアクネ菌の増殖促進性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2012)によると、

  • [動物試験] ウサギのそれぞれの左耳に未希釈のイソヘキサデカンを週に5日3週間連続で適用し、右耳は未処置対照として、顕微鏡検査を行ったところ、ウサギの処置耳および未処置耳にコメド形成の兆候はなく、イソヘキサデカンにアクネ菌増殖性はなかった(Product Safety Labs,1987)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、アクネ菌増殖性なしと報告されているため、アクネ菌増殖性はほとんどないと考えられます。

∗∗∗

イソヘキサデカンはベース成分、エモリエント成分、その他にカテゴライズされています。

それぞれの成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分 エモリエント成分 その他

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2012)「Safety Assessment of Isoparaffins as Used in Cosmetic」International Journal of Toxicology(31)(6),269S-295S.
  2. 宇山 光男, 他(2015)「イソヘキサデカン」化粧品成分ガイド 第6版,58.

スポンサーリンク

TOPへ