イソノナン酸イソノニルとは…成分効果と毒性を解説




・イソノナン酸イソノニル
[医薬部外品表示名称]
・イソノナン酸イソノニル
炭素数9の中鎖分岐脂肪酸であるイソノナン酸と中鎖分岐アルコールであるイソノニルアルコールのエステル油です。
化粧品に配合される場合は、
これらの目的で、メイクアップ化粧品、クレンジング製品、日焼け止め製品、ヘアオイル、ボディ&ハンドケア製品、乳化系スキンケア化粧品、ネイル製品などに使用されています(文献1:2011)。
エモリエント作用
エモリエント作用に関しては、展延性(∗1)に優れており、油性感の少ない軽い感触を付与することから、エモリエント剤として乳液やクリームなど乳化系スキンケア化粧品、口紅、ファンデーション、日焼け止め製剤などに使用されます。
∗1 展延性とは、柔軟に広がり、均等に伸びる性質のことで、薄く広がり伸びが良いことを指します。
また、シリコーンとの相溶性に極めて優れており、ガム状シリコーンも可溶であることから、クレンジングオイル、クレンジングリキッドの基剤として使用されます。
分散
分散に関しては、顔料に対する分散性に優れていることから、顔料同士の凝集(∗2)を防ぐ目的で口紅、メイクアップ化粧品などに処方されます。
∗2 凝集とは、散らばったり溶けたりしていたものが、集まって固まることです。
実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2009年および2012-2013年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。
以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。
イソノナン酸イソノニルの安全性(刺激性・アレルギー)について
- 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
- 10年以上の使用実績
- 皮膚刺激性:ほとんどなし
- 眼刺激性:ほとんどなし
- 皮膚感作性:ほとんどなし
このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。
以下は、この結論にいたった根拠です。
皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について
- [ヒト試験] 53人の被検者に3.55%イソノナン酸イソノニルを含むリップスティック製剤を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を半閉塞パッチにて実施したところ、いずれの被検者も皮膚反応は観察されなかった(Consumer Product Testing Company,2007)
- [ヒト試験] 97人の被検者に3.13%イソノナン酸イソノニルを含むリップスティック製剤を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を半閉塞パッチにて実施したところ、いずれの被検者も皮膚反応は観察されなかった(Consumer Product Testing Company,2007)
- [ヒト試験] 26人の被検者に24.66%イソノナン酸イソノニルを含むアイシャドーを対象にmaximization皮膚感作性試験を実施したところ、いずれの被検者もアレルギー性接触性皮膚炎の兆候はなかった(KGL Inc,2008)
と記載されています。
試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。
眼刺激性について
- [動物試験] ウサギの片眼にイソノナン酸イソノニルを適用し、眼刺激性を評価したところ(詳細の提供なし)、イソノナン酸イソノニルはウサギの眼に対して刺激性を示さなかった(Evonik Industries,2009)
と記載されています。
試験データをみるかぎり、眼刺激性なしと報告されているため、眼刺激性ほとんどないと考えられます。
∗∗∗
イソノナン酸イソノニルはベース成分、エモリエント成分にカテゴライズされています。
それぞれの成分一覧は以下からお読みください。
∗∗∗
文献一覧:
- Cosmetic Ingredient Review(2011)「Final Report of the Cosmetic Ingredient Review Expert Panel on the Safety Assessment of Pelargonic Acid (Nonanoic Acid) and Nonanoate Esters」International Journal of Toxicology(30)(6_Suppl),228S-269S.
スポンサーリンク