イソドデカンとは…成分効果と毒性を解説

ベース成分 溶剤
イソドデカン
[化粧品成分表示名称]
・イソドデカン

[医薬部外品表示名称]
・軽質イソパラフィン

揮発性(∗1)の高い炭素数12の液状炭化水素(∗2)です。

∗1 揮発とは、通常の温度で液体が気体になることです。
∗2 炭化水素とは、炭素と水素のみからなる化合物で、化学的に極めて不活性な物質です。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、メイクアップ化粧品、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品などに使用されています(文献1:2012;文献2:2012)

溶剤

溶剤に関しては、シリコーン、炭化水素などの油性成分を溶かし込み、またイソドデカン自体は酸化安定性が高く、軽い質感でベタつきもなく、高揮発性であるため、皮膚に適用すると良好に広がりつつすぐに揮発し、溶かし込んだ油性成分の特性が発揮されます(文献2:2012)

このような特性のため、油っぽい感触が好まれないアイライナー、マスカラ、口紅などのメイクアップ化粧品などに汎用されています(文献2:2012)

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2010年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

イソドデカンの配合品数と配合量の調査結果(2010年)

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イソドデカンの安全性(刺激性・アレルギー)について

イソドデカンの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚感作性:ほとんどなし
  • アクネ菌増殖性:ほとんどなし

これらの結果から、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2012)によると、

  • [ヒト試験] 20人の被検者に85%濃度までのイソドデカンを解放パッチ試験したところ、結果は陰性であった。しかし、20人の被検者における閉塞パッチ試験において10%イソドデカンを含むワセリンで2人、20%イソドデカンを含むワセリンで3人、50%イソドデカンを含むワセリンで6人に皮膚刺激が観察された(Personal Care Products Council,2010)
  • [ヒト試験] 19人の被検者に40%イソドデカンと60%トリメチルシロキシシリケートの混合物40%を含むワセリンを閉塞パッチ適用したところ、2人の被検者は皮膚刺激を引き起こした(Personal Care Products Council,2010)
  • [ヒト試験] 69人のボランティアに90.3%イソドデカンを含むヘアオイルミストを対象に6週間連続使用試験を実施したところ、試験中に起こった発赤や乾燥は臨床的に意味があるものではなく、製品は良好な耐容性を備えていると分類された(RCTS Inc,2010)
  • [ヒト試験] 108人の健常な被検者に80.74%イソドデカンを含むリッププライマーの皮膚刺激性および皮膚感作性を試験したところ、製品は皮膚刺激および感作を誘発する可能性を示さなかった(Clinical Research laboratories Inc,2004)
  • [ヒト試験] 104人の健康な男女に47.64%イソドデカンを含むアイシャドーの皮膚刺激性および皮膚感作性を試験したところ、皮膚刺激および感作反応は陰性であった(Clinical Research laboratories Inc,2006)
  • [ヒト試験] 108人の被検者に40.16%イソドデカンを含むアイライナーを対象にHRIPT(皮膚累積刺激&感作試験)を実施したところ、皮膚刺激性および皮膚感作性はなかった(Product Investigations Inc,2005)
  • [ヒト試験] 204人の健常な被検者に63.7%イソドデカンを含むマスカラの皮膚刺激および感作性を試験したところ、マスカラは非刺激性で非感作性であると結論付けられた(TKL Research,2004)
  • [ヒト試験] 52人の被検者に50%イソドデカンを含む混合物の皮膚刺激性および皮膚感作性を試験したところ、試験物質は皮膚刺激性または皮膚感作性を示すものではなかった(Consumer Product Testing Co,2006)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、一般的に皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2012)によると、

  • [ヒト試験] 10人の女性被検者に63.7%イソドデカンを含むマスカラを毎日1回5日間まつ毛に塗布したところ、眼刺激の兆候はなかった。また、同じ試験手順で50人の女性参加者に4週間にわたって繰り返したところ、0.04%の眼刺激スコアが評価されたが、有意な刺激とはみなされなかった(Peritesco,2004-2005)
  • [in vitro試験] 鶏卵の漿尿膜を用いて、55.5%イソヘキサデカンおよび35%イソドデカンを含む混合物を処理したところ(HET-CAM法)、眼刺激性について陰性に分類された(53)
  • [in vitro試験] 鶏卵の漿尿膜を用いて、20%イソドデカンを含む混合物を処理したところ(HET-CAM法)、眼刺激性について陰性に分類された(Consumer Product Testing Co,2006)
  • [in vitro試験] 鶏卵の漿尿膜を用いて、50%イソドデカンを含む混合物を処理したところ(HET-CAM法)、眼刺激性について陰性に分類された(Consumer Product Testing Co,2006)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、眼刺激なしと報告されているため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

コメドジェニシティ(ニキビの原因となるアクネ菌の増殖促進性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2012)によると、

  • [動物試験] 3匹のウサギのそれぞれの左耳に未希釈のイソドデカンを週に5日3週間連続で適用し、右耳は未処置対照として、顕微鏡検査を行ったところ、1匹の未処置のウサギの耳および1匹の処置した耳に角化が認められた。ウサギの処置耳および未処置耳にコメド形成の兆候はなく、イソドデカンにアクネ菌増殖性はなかった(Product Safety Labs,1987)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、アクネ菌増殖性なしと報告されているため、アクネ菌増殖性はほとんどないと考えられます。

∗∗∗

イソドデカンはベース成分、その他にカテゴライズされています。

それぞれの成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分 その他

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2012)「Safety Assessment of Isoparaffins as Used in Cosmetic」International Journal of Toxicology(31)(6),269S-295S.
  2. 鈴木 一成(2012)「イソドデカン」化粧品成分用語事典2012,33.

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