イソステアリルアルコールとは…成分効果と毒性を解説

ベース成分 感触改良剤
イソステアリルアルコール
[化粧品成分表示名称]
・イソステアリルアルコール

[医薬部外品表示名称]
・イソステアリルアルコール

ノニルアルデヒド(3,5,5-トリメチルヘキサナール)のアルドール縮合により得られる、またはダイマー酸合成時の副生物由来のイソステアリン酸を還元して得られる無色透明の高級アルコールです。

ほかの油性成分と相性がよく、熱安定性、酸化安定性にも優れており、リキッドタイプのメイクアップ化粧品や乳液の流動性の調整剤や可塑剤(∗1)として使用されます。

∗1 可塑剤とは、塩化ビニル樹脂 (塩ビ) に柔軟性を与える添加剤のことです。

実際にどのような製品に配合されているかというと、海外の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

イソステアリルアルコールの配合製品数と配合量の比較調査結果

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イソステアリルアルコールの安全性(刺激性・アレルギー)について

イソステアリルアルコールの現時点での安全性は、皮膚刺激性はほとんどありませんが、軽度~中等の眼刺激性が起こる可能性があり、皮膚感作性(アレルギー性)が認められているため、アレルギーが起こる場合は使用を避けるべきですが、使用実績も長く、アレルギーが起こらない場合は安全性に問題ない成分であると考えられます。

アレルギー反応は必ずしもすぐに起こるわけでななく、数日後もしくは数週間後に起こってくることもあるので、注意が必要です。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗2)やレポートを参照しています。

∗2 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Cetearyl Alcohol, Cetyl Alcohol, lsostearyl Alcohol, Myristyl Alcohol, and Behenyl Alcohol」(文献1:1998)によると、

  • [ヒト試験] 19人の被検者の前腕のてのひら側に25%濃度のイソステアリルアルコール0.1mLをパッチ適用し、24または48時間後にパッチ除去した。パッチ除去2および24時間後に0.5(ほとんど知覚できない紅斑)~4.0(重度の紅斑)のスケールに従って皮膚反応をスコアリングしたところ、皮膚刺激スコアは0.05で、いずれの被検者においても皮膚刺激を引き起こさなかった
  • [ヒト試験] 25,27および28%濃度のイソステアリルアルコールを含む3つの異なる口紅製剤を同様の試験手順で皮膚刺激試験を実施したところ、3つの製剤は皮膚刺激を誘発しなかった
  • [ヒト試験] 11人の被検者の背部に5%イソステアリルアルコールを含む制汗剤0.4mLを24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去30分後に試験部位をスコアリングし、同じ部位に新しいパッチを適用し、この手順を21日間毎日反復したところ、この製品の21日間の累積刺激スコアは最大60のうち49.60で、重度の刺激物として分類された
  • [ヒト試験] 12人の被検者の上腕に95%イソステアリルアルコール0.5mLを誘導期間において24時間パッチ合計9日適用し、パッチ除去48時間後に3回、6回、9回目の試験部位をスコアリングし、残りの回は除去24時間後にスコアリングした。最後の誘導パッチの2週間後に24時間チャレンジパッチを適用し、パッチ除去24および48時間後に試験部位をスコアリングしたところ、12人のうち3人は誘導期間に軽度の紅斑を有したが、皮膚感作の兆候はなかった

と記載されています。

試験結果のほとんどは皮膚刺激なしまたは軽度の紅斑と報告されているため、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

試験のひとつは累積刺激スコアが特に高く、重度の刺激物に分類されていますが、これは他の試験結果とまったく異なった結果であり、また成分そのものではなく製品の試験なので、他の様々な成分が混在しており、イソステアリルアルコールが直接の刺激原因だとするには疑わしいため、安全性の根拠としては除外しました。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Cetearyl Alcohol, Cetyl Alcohol, lsostearyl Alcohol, Myristyl Alcohol, and Behenyl Alcohol」(文献1:1998)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギの眼に27%イソステアリルアルコールを含むリップスティック製剤0.1mLを注入し、Draize法に従って注入1,2,3,4および7日後に眼刺激性を評価したところ、最大眼刺激スコア110のうち1日目に平均刺激スコア5が報告されたが、4日目にすべての刺激兆候が消失したため、この試験物質は軽度の眼刺激性であると考えられた
  • [動物試験] 6匹のウサギの眼に25%イソステアリルアルコールを含む2つのリップスティック製剤0.1mLを点眼し、Draize法に従って眼刺激性を評価したところ、最大眼刺激スコア110のうち1日目に2つの製剤の平均刺激スコアが1であり、刺激の兆候は3日目までに消失したため、これらの製品はほとんど目に刺激を与えないと考えられた
  • [動物試験] 6匹のウサギの眼に5%イソステアリルアルコールを含む制汗剤0.1mLを注入し、Draize法に従って注入1時間後および1,2,3,7および14日後に反応を評価したところ、角膜刺激は1日目に観察され(平均スコア6.7)、14日目まで持続した(平均スコア2.5)。虹彩は注入1時間後で観察され(平均スコア0.8)、23時間後に消失した。結膜刺激は注入1時間で観察され、14日目までに消失した。これらの記録からこの製品は中程度の眼刺激を引き起こすと結論付けられた

と記載されています。

試験結果によると、眼刺激性なし~中程度の眼刺激性までが報告されているため、眼刺激性は刺激性なし~中程度の刺激性があると考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Cetearyl Alcohol, Cetyl Alcohol, lsostearyl Alcohol, Myristyl Alcohol, and Behenyl Alcohol」(文献1:1998)によると、

  • [ヒト試験] 148人の被検者の上腕に5%イソステアリルアルコールを含む制汗剤を誘導期間において合計9回(週3回3週間連続)24時間パッチ適用し、パッチ除去後に試験部位を採点した。その後のチャレンジパッチは試験部位に加えて反対側の腕の未処置部位にもパッチ適用し、48および96時間後に反応を評価したところ、148人のうち12人が感作反応を示した。12人のうち10人は2ヶ月後に再び24時間チャレンジパッチを適用し、適用後48および96時間後に試験部位を評価したところ、10人のうち6人は皮膚感作反応を示した。再チャレンジパッチの6週間後に6人のうち4人に5%イソステアリルアルコールを含む溶液をパッチ適用したところ、すべての被検者が陽性反応を示し、同時に100%エタノール(イソステアリルアルコールを含まない)をパッチ適用したところ、すべての被検者が陰性反応を示した。次に同じ製品を同じ手順で別の60人の被検者に適用したところ、60人のうち5人はチャレンジパッチ後に陽性反応を示した。5人のうち1人は再度5%イソステアリルアルコール溶液をパッチ適用し、陽性反応が確認された
  • [ヒト試験] 148人の被検者の上腕に上記とは異なる別の5%イソステアリルアルコールを含む制汗剤を誘導期間において合計9回(週3回3週間)24時間パッチ適用し、10~14日の無処置期間を設けた後、同じ試験部位と未処置部位に2箇所ずつ24時間チャレンジパッチを適用し、パッチ除去後に反応を評価したところ、誘導期間の1回目では27人の被検者が、9回目では63人の被検者が最小限の紅斑、浮腫および丘疹などの反応を示した。この制汗剤は通常の10倍の香料を含んでいたため、香料が感作を誘導した可能性があると推測されたため、香料を含む5%イソステアリルアルコール含有スプレー(A)、香料を含まない5%イソステアリルアルコール含有スプレー(B)、香料およびイソステアリルアルコールを含まないスプレー(C)、5%5%イソステアリルアルコール溶液(D)の4つの物質で148人の被検者に同じ手順で試験を行ったところ、感作反応の発生率はA:4人、B:2人、C:1人、D:4人であり、イソステアリルアルコールを含む場合に最も重篤な反応が観察され、制汗剤から生じる感作反応はイソステアリルアルコールの含量に起因すると疑われた

と記載されています。

試験結果は共通してイソステアリルアルコールに感作性があると報告されているため、皮膚感作性(アレルギー性)があると考えられます。

安全性についての捕捉

イソステアリルアルコールは名前にアルコールが入っているので、成分表示をチェックしてアルコールフリーと書いてあったのにアルコールが入ってると勘違いする方もいるかもしれませんが、エタノールのようないわゆるアルコールではなく高級アルコール(ろうそくのロウのような油性成分)なので、アルコールフリーの製品にも配合されます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
イソステアリルアルコール 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、イソステアリルアルコールは毒性なし(∗3)となっており、安全データをみる限り刺激性に問題はありませんが、アレルギー性が認められており、使用の際にアレルギーによる紅斑やかぶれが起こる場合は使用を避ける必要があります。

∗3 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

イソステアリルアルコールはベース成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分

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文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(1998)「Final Report on the Safety Assessment of Cetearyl Alcohol, Cetyl Alcohol, lsostearyl Alcohol, Myristyl Alcohol, and Behenyl Alcohol」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.3109/10915818809023137> 2018年1月28日アクセス.

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