アーモンド油とは…成分効果と毒性を解説

ベース成分 エモリエント成分
アーモンド油
[化粧品成分表示名称]
・アーモンド油

[医薬部外品表示名称]
・アルモンド油

[慣用名]
・アーモンドオイル、スイートアーモンド油

バラ科植物スイートアーモンドの種子より採取した無色~淡黄色の液状オイルです。

アーモンドはアジア原産で、1000年以上前から栽培が始まり、中世以降は地中海周辺全域に見られるようになりました。

CIRの調査レポート(文献2:2011)によると、アーモンド油の脂肪酸組成は、

  • オレイン酸(不飽和脂肪酸類):62~86%
  • リノール酸(不飽和脂肪酸類):20~30%
  • パルミチン酸(飽和脂肪酸類):4~9%
  • ステアリン酸(飽和脂肪酸類):2~3%
  • ミリスチン酸(飽和脂肪酸類):1%
  • パルミトレイン酸(不飽和脂肪酸類):0.8%
  • リノレン酸(不飽和脂肪酸類):0.4%
  • エイコセン酸(不飽和脂肪酸類):0.3%
  • ベヘン酸(飽和脂肪酸類):0.2%
  • ヘプタデカン酸(飽和脂肪酸類):0.2%
  • アラキジン酸(飽和脂肪酸類):0.2%
  • ドコサジエン酸(不飽和脂肪酸類):0.1%

となっており、ヨウ素価95~105となっています。

内服すると刺激のない緩下剤のようであり、消化器官のあらゆる炎症を抑え、尿結石を消失させるのを補助します。

そして、頑固な咳をなくし、気管支粘液を排出しやすくさせ、肝臓の充血を改善します。

また、マッサージに使用すると、皮膚のかゆみ、軽い炎症、あかぎれなどすべての皮膚疾患に有効です。

エモリエント効果が高く、オイル製品をはじめ、石けんや乳液、各種クリームに配合されます。

実際にどのような製品に配合されているかというと、海外の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに表の中の製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

アーモンド油の配合製品数と配合量の調査

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アーモンド油の安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

アーモンド油の現時点での安全性は、皮膚刺激性はほとんどなく、最小限の眼刺激が起こる可能性はありますが、皮膚感作(アレルギー)の報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

ただし、アーモンドには金属アレルギーの原因となる金属であるニッケルが基準値の約3倍含まれており、金属アレルギーの方はアレルギー症状が生じる可能性があるため、使用の際はパッチテストを行うなど注意が必要だと考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Plant-Derived Fatty Acid Oils as Used in Cosmetics」(文献1:2011)によると、

  • [ヒト試験] 103人の被検者に7%アーモンド油を含むオイル200μLを半閉塞パッチ下で繰り返し適用(HRIPT)したところ、誘導段階において4人の被検者の1つまたは2つのパッチに軽度の紅斑が観察され、別の被検者では48時間チャレンジパッチで軽度の紅斑が観察された。アーモンド油は皮膚刺激および皮膚感作剤ではなかった
  • [ヒト試験] 108人の被検者に10%アーモンド油を含むフェイスセラムの一次皮膚刺激試験を実施したところ、一次皮膚刺激性はなかった
  • [ヒト試験] 108人の被検者に10%アーモンド油を含むフェイスセラムを閉塞パッチで繰り返し適用(HRIPT)したところ、皮膚刺激性または皮膚感作性はなかった
  • [ヒト試験] 51人の被検者の唇、手、爪、肘、膝、かかと、足首に10%アーモンド油を含むバームを4週間にわたって使用してもらったところ、観察可能な皮膚刺激や乾燥の誘発はなかったが、2人の被検者の唇に非常にわずかな紅斑が、5人の被検者の肘、唇、膝に非常にわずかな紅斑がみられ、15人の被検者は皮膚刺激を報告した
  • [ヒト試験] 107人の被検者に15%アーモンド油を含むマッサージオイル0.2mLを半閉塞パッチ下で繰り返し適用(HRIPT)したところ、1人の被検者は7回目のパッチ適用で一時的でわずかな紅斑が観察されたが、他に反応はみられず、皮膚刺激性または皮膚感作性ではないと結論付けられた
  • [ヒト試験] 222人の被検者に25%アーモンド油を含むリップバーム0.2gを閉塞パッチ下で繰り返し適用(HRIPT)したところ、2人の被検者が誘導期間において弱い感作反応を示したが、他に反応は観察されなかったため、この製品は皮膚感作剤ではないと結論づけられた
  • [ヒト試験] 108人の被検者に31%アーモンド油を含むフェイシャルオイルを半閉塞パッチ下で繰り返し適用したところ、皮膚刺激性および皮膚感作性はなかった

と記載されています。

試験結果をみるかぎり、多くの場合皮膚刺激および皮膚感作はなかったと結論付けられているため、皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

ただし、金属アレルギーの方でとくにニッケルアレルギー(∗2)の方はアレルギーの注意が必要です。

∗2 ニッケルというのは金属の種類で、金属アレルギーの多くはニッケル、クロム、コバルトのいずれか、または複数のアレルギーであることが多いです。

なぜかというと、以下の日本皮膚科学会接触皮膚炎診療ガイドライン(文献3:2009)をみてもらうとわかるように、

アーモンドのニッケル含有量

Niと書いてあるのがニッケルなのですが、ニッケルというのは金属の一種で、画像をみるとニッケルが基準値の60を超えて180と高い数字になっており、アレルギーが起こりやすいと考えられるからです。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Sweet Almond Oil and Almond Meal」(文献1:1983)によると、

  • [動物試験] 未希釈のアーモンド油の眼刺激性をウサギを用いて7回試験したところ、眼刺激スコアは最大110のうち8.17、5.00、6.50、3.83、4.00、7.00、3.50となっており、いずれも最小限の眼刺激性であった
  • [動物試験] 9匹のウサギに未希釈のアーモンド油を点眼し、7日間観察したところ、1日目に一過性の最小限の眼刺激が観察されたものの2日目以降は反応がなく、実質的に非刺激性であった
  • [動物試験] 25%アーモンド油を含む保湿剤の眼刺激性を6匹のウサギを用いて2回試験したところ、どちらの試験も日目に最小限の眼刺激がみられたものの2日目以降は反応はなく、実質的に非刺激性であった
  • [動物試験] 3匹のウサギに2.5%アーモンド油を含むメイクアップ製品を適用したところ、1日目と2日目にわずかな刺激が観察されたが、3日目以降は反応は消失し、最小限の刺激性と結論付けられた
  • [動物試験] 3匹のウサギに2%アーモンド油を含む保湿剤を適用したところ、非刺激性であった

と記載されています。

試験結果をみるかぎり、非刺激性~最小限の眼刺激性と結論づけられているものが多いため、最小限の眼刺激が起こる可能性がありますが、総合的に眼刺激性はほとんどないと考えられます。

光感作性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Sweet Almond Oil and Almond Meal」(文献1:1983)によると、

  • [ヒト試験] 764人の被検者の背中に0.1%~2%のアーモンド油を含む製剤を閉塞パッチ下で24時間適用し、パッチ除去後にその部位を評価し、150Wキセノンアークソーラーシミュレーター(290~400nm)でMED(個人の最小紅斑線量)の3倍の線量で照射した。この部位を72時間後に再び評価し、同じ手順を繰り返したところ、0.1~2%アーモンド油を含む製剤はいずれの被検者においても光感作性を示さなかった

と記載されています。

試験結果はひとつですが、光感作性を示さなかったと報告されているため、光感作性はないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
アーモンド油 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、アーモンド油は毒性なし(∗3)となっており、毒性に関しては心配する必要はありません。

∗3 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

アーモンド油はベース成分とエモリエント成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分 エモリエント成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(1983)「Final Report on the Safety Assessment of Sweet Almond Oil and Almond Meal」, <http://journals.sagepub.com/> 2017年11月18日アクセス.
  2. “Cosmetic Ingredient Review”(2011)「Plant-Derived Fatty Acid Oils as Used in Cosmetics」, <https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/FR577.pdf> 2017年11月18日アクセス.
  3. 日本皮膚科学会(2009)「接触皮膚炎診療ガイドライン」, <http://www.jsdacd.org/html/contact_dermatitis_guideline.pdf> 2017年11月18日アクセス.

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