アンズ核油(アプリコットカーネル油)とは…成分効果と毒性を解説

ベース成分 エモリエント成分 香料
アンズ核油(アプリコットカーネル油)
[化粧品成分表示名称]
・アンズ核油

[医薬部外品表示名称]
・キョウニン油

[慣用名]
・アプリコットカーネル油

バラ科植物アンズの種子を低温圧搾して抽出した油脂です。

アンズ(アプリコット)の核(仁)は杏仁とも呼ばれ、中国では咳やぜんそくの治療目的で処方される漢方薬の原料として古くから用いられてきました。

アルメニアの原産で、今日ではトルコやスペインをはじめとする地中海沿岸の南部地域のいたるところで生産されています。

貴重なβ-カロテン源で、体内でビタミンAに変化するため免疫強化や肌への栄養供給として重要なオイルです。

植物オイルハンドブックによると、アンズ核油の脂肪酸組成は、

  • オレイン酸(不飽和脂肪酸類):62.1~71.8%
  • リノール酸(不飽和脂肪酸類):21.9~31.6%
  • パルミチン酸(飽和脂肪酸類):4.6~7.6%
  • ステアリン酸(飽和脂肪酸類):0.2~1.3%
  • パルミトレイン酸(不飽和脂肪酸類):0.4~0.8%

となっており、ヨウ素価96となっています。

主成分はオレイン酸で、使用感はとても軽く、さらさらとしたなめらかな肌触りです。

肌にすばやく浸透し潤いを与える効果があるので、スキンケアに用いれば肌をしっとりなめらかな状態に導くことが期待できます。

また、細胞の酸化を抑える抗酸化作用に優れたβ-カロテンも豊富に含むため、シワやたるみといった老化の予防や防止を助ける働きも期待できます。

とくに乾燥肌やかゆみを伴う敏感肌、くすんだ肌などを改善したいときにおすすめです。

ほかには、細い髪やコシのない髪にハリを与えるためのヘアケア成分としても注目を集めています。

実際にどのような製品に配合されているかというと、海外の2010年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに表の中の製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

アンズ核油の配合製品数と配合量の調査結果(2010年)

スポンサーリンク

アンズ核油の安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

アンズ核油の現時点での安全性は、皮膚刺激性はほとんどなく、眼刺激性に関してはデータ不足のため詳細不明ですが、重大なアレルギー(皮膚感作)の報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

ただし、シラカバ花粉にアレルギーのある方はアンズやアンズ核油でもアレルギーが起こる可能性があるため、注意が必要です。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Plant-Derived Fatty Acid Oils as Used in Cosmetics」(文献1:2011)によると、

  • [ヒト試験] 51人の被検者に2%アンズ核油を含むフェイスクリーム20μLを閉塞パッチで繰り返し適用(HRIPT)したところ、皮膚刺激および皮膚感作(アレルギー)はなかった
  • [ヒト試験] 108人の被検者に2%アンズ核油を含むアイクリーム20μLを閉塞パッチで繰り返し適用(HRIPT)したところ、皮膚刺激および皮膚感作(アレルギー)はなかった
  • [ヒト試験] 119人の被検者に2.5%アンズ核油を含むクリームの一次刺激試験を実施したところ、一次皮膚刺激は観察されなかった
  • [ヒト試験] 108人の被検者に19.749%アンズ核油を含むウェイスセラムの一次刺激試験を実施したところ、一次皮膚刺激は観察されなかった
  • [ヒト試験] 104人の被検者に0.005%アンズ核油を含むスカルプコンディショナーまたはヘアワックスを閉塞パッチで繰り返し適用(HRIPT)したところ、皮膚刺激および皮膚感作(アレルギー)はなかった
  • [ヒト試験] 57人の被検者に1%アンズ核油を含むクリームをFinn Chamberで繰り返し適用(HRIPT)したところ、皮膚刺激および皮膚感作(アレルギー)はなかった
  • [ヒト試験] 108人の被検者に19.749%アンズ核油を含むフェイスセラムを閉塞パッチで繰り返し適用(HRIPT)したところ、皮膚刺激および皮膚感作(アレルギー)はなかった

と記載されています。

試験結果をみるかぎり、共通して皮膚刺激および皮膚感作性なしと結論付けられているため、皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

ただし、シラカバ花粉にアレルギーのある方は注意が必要です。

シラカバ花粉に含まれるアレルゲンの構造が特定の果物や生野菜やナッツ(∗2)などの植物性食物に含まれるタンパク質の構造と共通しているため、シラカバ花粉にアレルギーの方がこの特定の食品を口にするとアレルギー症状(腫れ、かゆみ、発赤など)が起こることがあります。

∗2 シラカバアレルギーに反応することが報告されている食品は、バラ科(リンゴ、西洋ナシ、さくらんぼ、モモ、すもも、アンズ、アーモンド)、セリ科(セロリ、人参)、ナス科(ポテト)、マタタビ科(キウイ)、カバノキ科(ヘーゼルナッツ)、ウルシ科(マンゴー)、ししとうがらし、など。

この症状は口腔アレルギー症候群(OAS)と呼ばれますが、それゆえにシラカバ花粉にアレルギーがあるとアンズはもとよりアンズ核油でもアレルギー反応がでる可能性があります。

シラカバアレルギーの自覚症状がある方はアンズ核油の使用は控えるべきですが、自覚症状がないこともあるので、アンズ核油の使用の際は必ずパッチテストを行い、48時間経過した後皮膚への安全性を確認した上で使用してください(∗3)

∗3 アレルギー症状はすぐに発症することもありますが、多くの場合、24時間~48時間後に発症するためです。

眼刺激性について

眼刺激性に関しては、試験結果や安全性レポートへの記載がみあたらないため、データ不足により詳細は不明です。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
アンズ核油 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、アンズ核油は毒性なし(∗4)となっており、毒性に関しては心配する必要はありません。

∗4 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

アンズ核油はベース成分、エモリエント成分、細胞賦活成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分 エモリエント成分 香料

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2011)「Plant-Derived Fatty Acid Oils as Used in Cosmetics」, <https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/FR577.pdf> 2017年12月3日アクセス.

スポンサーリンク

TOPへ