アルガニアスピノザ核油とは…成分効果と毒性を解説

エモリエント成分 ベース成分 抗老化成分
アルガニアスピノザ核油
[化粧品成分表示名称]
・アルガニアスピノザ核油

[慣用名]
・アルガンオイル、アルガン油

アカテツ科植物アルガンノキ(学名:Argania Spinosa = Sideroxylon spinosum 英名:Argania)の種子から得られる植物油(植物オイル)です。

アルガンノキ(アルガン)は、アフリカ大陸北西端部に天然分布し、種子から取れるアルガン油が古くからモロッコで食用、スキンケア用、化粧用として利用されてきており、また20世紀後半以降、アルガンオイルにおけるビタミンEの含有量や不飽和脂肪酸量が評価され、化粧品用基剤またはオイルが直接利用されるようになっています。

アルガニアスピノザ核油の脂肪酸組成は、抽出方法や天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

脂肪酸名 脂肪酸の種類 炭素数:二重結合数 比率(%)
オレイン酸 不飽和脂肪酸 C18:1 45-55
リノール酸 不飽和脂肪酸 C18:2 28-36
パルミチン酸 飽和脂肪酸 C16:0 10-15
ステアリン酸 飽和脂肪酸 C18:0 5-6.5

このような種類と比率で構成されています(文献1:2017)

オレイン酸が45-55%、リノール酸が28-36%を占めており、二重結合を2つもち、酸化安定性の低い不飽和脂肪酸であるリノール酸が28-36%含有されているため、総合的に酸化安定性は低い(酸化しやすい)と考えられます。

また不けん化物として、トコフェロールが51.4mg/100g(そのうち44.2mg/100gはγ-トコフェロール)含有されており、ほかにもポリフェノール、ステロール、スクワレンおよびトリテルペンアルコールを含みます(文献2:2018)

ヨウ素価は、

ヨウ素価 ヨウ素価による分類
95 不乾性油

一例としてこのように記載されており(文献1:2017)、100以下の不乾性油のため、乾燥性はほとんどありません。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、メイクアップ化粧品、リップ製品、洗顔料&洗顔石鹸、洗浄製品、シート&マスク製品、ネイル製品などに幅広く使用されます(文献3:2014;文献4:2015)

経表皮水分蒸散量抑制および角質水分量増加によるエモリエント作用

経表皮水分蒸散量抑制および角質水分量増加によるエモリエント作用に関しては、オレイン酸45-55%、リノール酸28-36%を含有していることから皮表柔軟化作用と経表皮水分蒸散抑制作用に優れたエモリエント剤であると考えられます。

2014年にモロッコのモハメド5世大学医学部および薬学部生薬・製剤研究チームによって報告されたアルガンオイル塗布による経表皮水分蒸散量および角質水分量への影響検証によると、

60人の女性被検者の左前腕に60日間にわたってアルガンオイルを塗布し、0日目、30日目および60日目に経表皮水分蒸散量(TEWL)および表皮水分量を評価したところ、アルガンオイルは経表皮水分蒸散量(TEWL)の有意な減少と表皮水分量の有意な増加をもたらした。

この結果、アルガンオイルの日々の摂取および/または塗布が、皮膚バリア機能を回復させ、表皮水分量を維持することによって保水力を改善したことを示唆した。

このような検証結果が明らかにされており(文献3:2014)、アルガニアスピノザ核油に経表皮水分蒸散量抑制および角質水分量増加によるエモリエント作用が認められています。

皮膚弾力性改善による抗老化作用

皮膚弾力性改善による抗老化作用に関しては、2015年にモロッコのモハメド5世大学医学部および薬学部生薬・製剤研究チームによって報告されたアルガンオイル塗布による皮膚弾性への影響検証によると、

閉経期では、エストロゲン分泌の減少によって皮膚機能の低下を誘発し、皮膚の老化に特徴的な皮膚弾力性の低下を引き起こします。

このような背景から閉経後の女性においてアルガンオイルの日々の摂取および/または塗布が皮膚の弾力性におよぼす影響を検討した。

閉経後の60人の女性被検者の左前腕に60日間にわたってアルガンオイルを塗布し、0日目、30日目および60日目に皮膚弾性パラメータを評価した。

皮膚弾性パラメータには、R2(皮膚の総弾性)、R5(皮膚の正味弾性)およびR7(生体弾性)の3つのパラメータを用いた。

この結果、アルガンオイルの塗布は、R2、R5およびR7の有意な増加を示した。

アルガンオイルの日々の局所塗布は、肌の弾力性改善によって示される老化の防止効果が示唆された。

このような検証結果が明らかにされており(文献4:2015)、アルガニアスピノザ核油に皮膚弾力性改善による抗老化作用が認められています。

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2010年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

アルガニアスピノザ核油の配合製品数と配合量の調査結果(2010年)

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アルガニアスピノザ核油の安全性(刺激性・アレルギー)について

アルガニアスピノザ核油の現時点での安全性は、

  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

これらの結果から、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2017)によると、

  • [ヒト試験] 108人の被検者に5%アルガニアスピノサ核油を含むフェイスセラムを対象に皮膚一次刺激性試験を実施用したところ、一次皮膚刺激性はなかった(Institut D’Expertise Clinique,2010)
  • [ヒト試験] 108人の被検者に5%アルガニアスピノサ核油を含むフェイスセラムを対象にHRIPT(皮膚累積刺激&感作試験)を閉塞パッチ下で実施したところ、皮膚刺激剤または皮膚感作剤ではなかった(Institut D’Expertise Clinique,2010)
  • [ヒト試験] 209人の被検者に10%アルガニアスピノサ核油を含む軟膏を対象にHRIPT(皮膚累積刺激&感作試験)を閉塞パッチ下で実施したところ、皮膚感作剤ではなかった(TKL Research,2007)
  • [ヒト試験] 51人の被検者の唇、手、爪、肘、膝、足、かかとに10%アルガニアスピノサ核油を含む軟膏の4週間連用試験を実施したところ、2人の被検者は唇にレベル1(最小の紅斑)が示され、また5人の被検者では肘または唇にレベル1の紅斑を有し、さらに15人の被検者は主観的な皮膚刺激を報告した。結果として10%アルガニアスピノサ核油を含む軟膏は重大な皮膚刺激または乾燥を誘発しなかった(Harrison Research Laboratories,2007)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、一般的に皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

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アルガニアスピノザ核油はエモリエント成分、ベース成分、抗老化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:エモリエント成分 ベース成分 抗老化成分

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2017)「Safety Assessment of Plant-Derived Fatty Acid Oils」International Journal of Toxicology(36)(3),51S-129S.
  2. Tzu-Kai Lin, et al(2018)「Anti-Inflammatory and Skin Barrier Repair Effects of Topical Application of Some Plant Oils」International Journal of Molecular Sciences(19)(1),70.
  3. KQ Boucetta, et al(2014)「Skin hydration in postmenopausal women: argan oil benefit with oral and/or topical use.」Menopause Review(13)(5),280-288.
  4. KQ Boucetta, et al(2015)「The effect of dietary and/or cosmetic argan oil on postmenopausal skin elasticity」Clinical Interventions in Aging(10),339—349.

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