アマニ油とは…成分効果と毒性を解説

ベース成分 エモリエント成分 香料
アマニ油
[化粧品成分表示名称]
・アマニ油

中央アジア原産の一年草アマ科植物アマの種子を常温で圧搾して得られる淡黄色~黄色の油脂です。

英語ではフラックスシードと呼び、古くは石器時代にスイスの湖畔に住んでいた古代人が、その繊維分と種子を利用していたとの記録が残っています。

食用としては、西暦800年代で、フランスのシャルルマーニ大帝が「臣民はアマニをとるべし」と、その健康上の価値を認めて法令化しており、この頃には種子から搾った油を食に供し、茎は布地(リンネル)や紙に利用するようになりました。

中性から近世にかけてアマニの栽培は欧州全域に広まり、北アメリカには17世紀に伝播し、1617年に現在のカナダに導入し、現在ではカナダが世界のアマニ生産量の35%~50%を担っています。

植物オイルハンドブックによると、アマニ油の脂肪酸組成は、

  • α-リノレン酸(不飽和脂肪酸類):45~58%
  • リノール酸(不飽和脂肪酸類):18~28%
  • オレイン酸(不飽和脂肪酸類):18~22%
  • パルミチン酸(飽和脂肪酸類):4~7%
  • ステアリン酸(飽和脂肪酸類):3~6%
  • ガドレイン酸(不飽和脂肪酸類):~0.6%
  • パルミトレイン酸(不飽和脂肪酸類):~0.5%
  • アラキジン酸(飽和脂肪酸類):~0.5%
  • ミリスチン酸(飽和脂肪酸類):~0.2%

となっており、ヨウ素価190となっています。

主成分は、オメガ3脂肪酸で有名なα-リノレン酸で、動脈性疾患に効果が認められているEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)はα-リノレン酸から体内で合成されます。

αリノレン酸にはアレルギー性疾患を改善、脳細胞を活性化し、動脈硬化・心筋梗塞・高血圧などの予防に効果があり、免疫機能の改善および促進の働きが認められています。

スキンケアとしては、α-リノレン酸だけでなく女性ホルモン様の働きをもつ植物性ポリフェノールの一種であるリグナンの含有量が多く、皮膚の柔軟性を保ち、皮膚細胞を活性化させる働きがあり、基礎化粧品などに使用され始めています。

実際にどのような製品に配合されているかというと、海外の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに表の中の製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

アマニ油の配合製品数と配合量の調査結果(2010年)

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アマニ油の安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

アマニ油の現時点での安全性は、皮膚刺激性および眼刺激性ほとんどなく、アレルギー(皮膚感作)もほとんどないため、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Plant-Derived Fatty Acid Oils as Used in Cosmetics」(文献1:2011)によると、

  • [ヒト試験] 105人の被検者に9.4%アマニ油を含むマスカラ0.2gを半閉塞パッチで繰り返し適用(HRIPT)したところ、皮膚刺激性および皮膚感作性ではなかった

と記載されています。

試験結果はひとつで根拠として弱いですが、現時点では皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Plant-Derived Fatty Acid Oils as Used in Cosmetics」(文献1:2011)によると、

  • [ヒト試験] 33人の女性被検者(コンタクトレンズ着用16人、センシティブな眼17人)に9.4%アマニ油を含むマスカラを4週間適用したところ、眼刺激や有害な報告はなく、コンタクトレンズ着用者にも臨床的に安全に使用できた
  • [in vitro試験] 鶏卵の漿尿膜を用いて、9.4%アマニ油を含むマスカラの67.1%ミネラルオイルを処理したところ(HET-CAM法)、中等の刺激性が予測された
  • [in vitro試験] 正常ヒト表皮角化細胞によって再構築された3次元培養角膜モデル(EpiOcular)を用いて、モデル角膜表面に9.4%アマニ油を含むマスカラの67.1%ミネラルオイルを処理したところ、わずかな細胞毒性が予測された

と記載されています。

試験結果をみるかぎり、in vitro試験で中等の刺激およびわずかな細胞毒性が予測されていますが、ヒト試験で刺激や有害な報告はなく、臨床的にも安全に使用できているため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
アマニ油 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、アマニ油は毒性なし(∗2)となっており、毒性に関しては心配する必要はありません。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

アマニ油はベース成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分 エモリエント成分 香料

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2011)「Plant-Derived Fatty Acid Oils as Used in Cosmetics」, <https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/FR577.pdf> 2017年12月20日アクセス.

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