アマニ油とは…成分効果と毒性を解説

エモリエント成分 ベース成分
アマニ油
[化粧品成分表示名称]
・アマニ油

[慣用名]
・亜麻仁油、フラックスシードオイル

アマ科植物アマ(学名:Linum usitatissimum 英名:Linseed)の種子から得られる植物油(植物オイル)です。

アマは中央アジア原産とし、その茎は強い繊維があり、古くからリネン(リンネル)として用いられ、また種子からはアマニ油(亜麻仁油)という良質の乾性油が採れ、日本には17世紀に薬用としてアマニ油を採る目的で中国から伝わりましたが、明治初期に繊維用が北海道に導入されました(文献4:2011)

繊維用は1960年代に化学繊維の台頭により栽培されなくなりましたが、近年食用として栽培が復活しています。

アマニ油は欧米では日常的に消費されていますが、日本ではあまり知られておらず、他の植物性油にあまり含まれていないα-リノレン酸が多く含まれているという特徴があります。

アマニ油の脂肪酸組成は、抽出方法や天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

脂肪酸名 脂肪酸の種類 炭素数:二重結合数 比率(%)
オレイン酸 不飽和脂肪酸 C18:1 14.5
リノール酸 不飽和脂肪酸 C18:2 15.4
リノレン酸 不飽和脂肪酸 C18:3 60.6
パルミチン酸 飽和脂肪酸 C16:0 6.6
ステアリン酸 飽和脂肪酸 C18:0 2.9

このような種類と比率で構成されています(文献2:1990)

α-リノレン酸が約60%、リノール酸が約15%を占めており、二重結合が3つの不飽和脂肪酸であるリノレン酸の含有量がかなり高いため、酸化安定性は極めて低い(酸化しやすい)と考えられます。

またヨウ素価は、

ヨウ素価 ヨウ素価による分類
168-190 乾性油

一例としてこのように記載されており(文献3:1990)、130以上の乾性油のため、乾燥性が高いと考えられます。

乾油性とは、皮膜状に空気中に放置すると、固化して弾性のある乾燥皮膜を生じるオイルのことで、たとえば油性塗料に用いることで塗料の乾きが早くなります。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、メイクアップ化粧品、リップ製品、ヘアケア製品、洗浄製品、ネイル製品などに幅広く使用されます(文献4:2016)

エモリエント作用

エモリエント作用に関しては、α-リノレン酸約60%、リノール酸約15%を含有し、リノレン酸の割合がかなり高いため、肌なじみや伸びに優れており、ベタつきのない軽い使用感を付与する一方で酸化安定性がかなり低い(酸化しやすい)ため、基本的にはほかのエモリエント剤・油性基剤に混ぜて酸化安定性を高めることで使用されています。

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2010年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

アマニ油の配合製品数と配合量の調査結果(2010年)

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アマニ油の安全性(刺激性・アレルギー)について

アマニ油の現時点での安全性は、

  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

これらの結果から、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2017)によると、

  • [ヒト試験] 105人の被検者に9.4%アマニ油を含むマスカラ0.2gを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を半閉塞パッチ下で実施したところ、皮膚刺激剤および皮膚感作剤ではなかった(269)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、一般的に皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2017)によると、

  • [ヒト試験] 33人の女性被検者(コンタクトレンズ着用16人、過敏な眼17人)に9.4%アマニ油を含むマスカラを対象にした4週間連用試験を実施したところ、眼刺激や有害な報告はなく、コンタクトレンズ着用者にも臨床的に安全に使用できた(Clinical Research Laboratories,2009)
  • [in vitro試験] 鶏卵の漿尿膜を用いて、9.4%アマニ油を含むマスカラの67.1%ミネラルオイル溶液を処理したところ(HET-CAM法)、中程度の眼刺激性が予測された(Cell Toxicology Laboratory,2008)
  • [in vitro試験] 正常ヒト表皮角化細胞によって再構築された3次元培養角膜モデルを用いて、モデル角膜表面に9.4%アマニ油を含むマスカラの66.9%ミネラルオイル溶液を処理したところ、わずかな細胞毒性が予測された(Cell Toxicology Laboratory,2008)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、in vitro試験において中程度の眼刺激性またはわずかな細胞毒性が報告されていますが、一方でアイメイクアップ化粧品の連用試験において臨床的に安全に使用できると報告されているため、一般的に中程度の刺激性またはわずかな細胞毒性を引き起こす可能性と臨床的な安全性が示唆されており、眼に入らなければ安全に使用できると推測されますが、さらなる安全性の検証が必要であると考えられます。

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アマニ油はエモリエント成分、ベース成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:エモリエント成分 ベース成分

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2017)「Safety Assessment of Plant-Derived Fatty Acid Oils」International Journal of Toxicology(36)(3),51S-129S.
  2. 日本油化学協会(1990)「植物油脂の脂肪酸組成」油化学便覧 改訂3版,104-110.
  3. 日本油化学協会(1990)「植物油脂の性状」油化学便覧 改訂3版,99-101.
  4. 鈴木 洋(2011)「アマニ」カラー版健康食品・サプリメントの事典,10-11.

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