アボカド油とは…成分効果と毒性を解説

エモリエント成分 ベース成分
アボカド油
[化粧品成分表示名称]
・アボカド油

[医薬部外品表示名称]
・アボカド油

クスノキ科植物アボカド(学名:Persea americana or Persea gratissima 英名:avocado)の果肉から採取して得られる植物油(植物オイル)です。

アボカドは、別名ワニナシとも呼ばれ、メキシコおよび中央アメリカを原産とし、主に亜熱帯で栽培されています。

アボカドの果肉には油脂分が多く含有されており(15%-20%)、そのほかビタミンAおよびEなどの油溶性ビタミンやビタミンB群、フィトステロールなどを含んでいます(文献4:2016;文献5:1997)

アボカド油の脂肪酸組成は、抽出方法や天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

脂肪酸名 脂肪酸の種類 炭素数:二重結合数 比率(%)
パルミトレイン酸 不飽和脂肪酸 C16:1 4.6
オレイン酸 不飽和脂肪酸 C18:1 65.3
リノール酸 不飽和脂肪酸 C18:2 15.9
リノレン酸 不飽和脂肪酸 C18:3 1.0
エイコセン酸 不飽和脂肪酸 C20:1 0.2
パルミチン酸 飽和脂肪酸 C16:0 12.4
ステアリン酸 飽和脂肪酸 C18:0 0.5

このような種類と比率で構成されています(文献3:1990)

オレイン酸が約65%、リノール酸が約15%を占めており、オリーブ果実油よりは不飽和度がやや大きいですが、酸化安定性は比較的高いと考えられます。

ただし、2004年に資生堂によってオレイン酸やパルミトレイン酸など二重結合が1つの不飽和脂肪酸が恒常的に過剰に存在すると、顔面毛穴周囲の肌状態およびキメの状態が悪化する可能性が高いことが報告されています(文献8:2004)

オレイン酸はヒト皮脂中に存在する代表的な不飽和脂肪酸であり、10代や若い成人をはじめ日常的に皮脂量が多いと感じている場合は、オレイン酸配合製品の使用で毛穴状態やキメの悪化につながる可能性も考えられます。

ヨウ素価は、

ヨウ素価 ヨウ素価による分類
94.6 不乾性油

一例としてこのように記載されており(文献5:1997)、100以下の不乾性油のため、乾燥性はほとんどありません。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、メイクアップ化粧品、洗浄製品、ヘアケア製品、洗顔料&洗顔石鹸、リップ製品、ネイル製品などの製品に使用されます(文献4:2016)

皮膚柔軟によるエモリエント作用

皮膚柔軟によるエモリエント作用に関しては、肌と親和性が高く、また展延性(∗1)がよく、角層からの水分蒸散を防止し、肌を柔軟にする作用を有しています(文献4:2016)

∗1 展延性とは、柔軟に広がり、均等に伸びる性質のことで、薄く広がり伸びが良いことを指します。

1983年にコーセーによって報告された油脂の抱水力比較によると、

抱水力をもたないスクワランを比較対照として、アボカド油、オリーブ果実油、ブドウ種子油サフラワー油コムギ胚芽油モモ核油ホホバ種子油の抱水力を比較検討したところ、以下の表のように、

油性成分 抱水力(%)
アボカド油 5
オリーブ果実油 8
ブドウ種子油 14
サフラワー油 3
コムギ胚芽油 40
モモ核油 10
ホホバ種子油 5
スクワラン 0

アボカド油は、いくらかの抱水力をもっており、湿潤性を有していることが示された。

このような検証結果が明らかにされており(文献6:1983)、アボカド油に皮膚柔軟によるエモリエント作用が認められています。

また1999年に日清オイリオ(旧:日清製油)によって掲載された油性成分を皮膚に塗布したときの水分蒸散への影響検証によると、

エモリエント剤として備えるべき機能が、水分を皮膚に保留しておくための水和作用と、皮膚から水分を蒸散させない閉塞作用だとすれば、一般の植物油脂は少なからず両方の機能を有している。

そこで、代表的な油性成分を皮膚に塗布した場合の水分蒸散量への影響を検討するために、軟膏を基材として塗布前と塗布後の蒸散量を計測したところ、以下の表のように、

油性成分 水分蒸散率(%)
ミネラルオイル -14.1
ワセリン -54.9
グリセリン -10.3
PEG-4 10.3
アボカド油 -12.9
オリーブ果実油 -12
ヒマシ油 -15.8
オクチルドデカノール -7.6
オレイン酸デシル -11.1
ミリスチン酸イソプロピル 9.9
ヤシ油グリセリド 7.8

アボカド油は、いくらかの水分蒸散抑制効果を示し、閉塞性を有していることが確認された。

このような検証結果が明らかにされており(文献7:1999)、アボカド油に水分蒸散抑制によるエモリエント作用が認められています。

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2001年と2010年の比較調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

アボカド油の配合製品数と配合量の調査(2001年および2010年)

スポンサーリンク

アボカド油の安全性(刺激性・アレルギー)について

アボカド油の現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:最小限-軽度
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

これらの結果から、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献2:2017)によると、

  • [ヒト試験] 114人の被検者に0.2%アボカド油を含むスカルプコンディショナーの一次皮膚刺激を評価したところ、一次皮膚刺激はなかった(Institut D’Expertise Clinique,2005)
  • [ヒト試験] 110人の被検者に0.2%アボカド油を含むスカルプコンディショナーを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチで実施したところ、皮膚刺激剤または皮膚感作剤ではなかった(Institut D’Expertise Clinique,2005)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、一般的に皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1980)によると、

  • [動物試験] 5匹のウサギを1群としてアボカド油を含むシャンプー製剤の眼刺激性を評価したところ、眼をすすいだ場合の眼刺激スコアは12で、眼をすすがなかった場合の眼刺激性は43であった(CTFA,1978)
  • [動物試験] 5匹のウサギを1群としてアボカド油を含むシャンプー製剤の眼刺激性を評価したところ、眼をすすいだ場合の眼刺激スコアは22で、眼をすすがなかった場合の眼刺激性は38であった(CTFA,1978)
  • [動物試験] 10匹のサルを1群としてアボカド油を含むシャンプー製剤の眼刺激性を評価したところ、眼をすすいだ場合の眼刺激スコアは2で、眼をすすがなかった場合の眼刺激性は10であった(CTFA,1978)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して最小限の眼刺激性が報告されているため、一般的に最小限の眼刺激性を引き起こす可能性があると考えられます。

∗∗∗

アボカド油はエモリエント成分、ベース成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:エモリエント成分 ベース成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(1980)「Final Report of the Safety Assessment for Avocado Oil」Journal of environmental pathology and toxicology(4)(4),93-103.
  2. Cosmetic Ingredient Review(2017)「Safety Assessment of Plant-Derived Fatty Acid Oils」International Journal of Toxicology(36)(3),51S-129S.
  3. 日本油化学協会(1990)「植物油脂の脂肪酸組成」油化学便覧 改訂3版,104-110.
  4. 日光ケミカルズ(2016)「油脂」パーソナルケアハンドブック,4.
  5. 広田 博(1997)「不乾性油」化粧品用油脂の科学,18-26.
  6. 足立 佳津良(1983)「エモリエント剤―最近10年の進歩と発展」Fragrance Journal(62)(5),46-49.
  7. 渡辺 洋一(1999)「植物性油脂」Fragrance Journal 臨時増刊号(16),12-18.
  8. “株式会社資生堂”(2004)「ヒト頬部毛穴の目立ちと肌状態」, <https://www.shiseidogroup.jp/rd/doctor/informationletter/backnumber/pdf/2004_001_02.pdf> 2019年2月1日アクセス.

スポンサーリンク

TOPへ