アボカド油とは…成分効果と毒性を解説

ベース成分 エモリエント成分
アボカド油
[化粧品成分表示名称]
・アボカド油

[医薬部外品表示名称]
・アボカド油

[慣用名]
・アボカドオイル、ワニナシ油

クスノキ科植物アボカドの果実を圧搾・抽出して得られる薄黄色~暗緑色をした油脂です。

アボカドは日本名ではワニナシと呼ばれており、熱帯地方で広く栽培されている常緑喬木です。

栄養豊富な果物で、アボカド油にはレシチン、ビタミンA,B,D,E,K,ナイアシンなどが含まれており、アステカや中央アメリカでは食料としてだけではなく美容にも利用されていました。

植物オイルハンドブックによると、アボカド油の脂肪酸組成は、

  • オレイン酸(不飽和脂肪酸類):45~75%
  • パルミチン酸(飽和脂肪酸類):15~22%
  • リノール酸(不飽和脂肪酸類):10~15%
  • パルミトレイン酸(不飽和脂肪酸類):5~12%
  • α-リノレン酸(不飽和脂肪酸類):1~2%
  • ステアリン酸(飽和脂肪酸類):微量
  • アラキジン酸(飽和脂肪酸類):微量

となっており、ヨウ素価90となっています。

主成分はオレイン酸で、保湿作用に優れていますが、粘度が高くねっとりした使用感のため伸びはあまりよくなく、単独で使用する場合はかかとやひじなどの硬くなった角質をやわらかくするといった利用に向いています。

アボカド油は色が濃く香りが強い未精製のものと色が薄く香りのない精製したものがあり、未精製のものはクリームなどの材料として、精製したものは精油とブレンドするキャリアオイルとしての使用に向いています。

スキンケアとしては、オレイン酸が多量に含まれているため、保湿力が高く肌に素早く浸透し、乾燥などによって硬くなった皮膚をやわらかくする効果があります。

また、オレイン酸には肌の炎症をやわらげる効果もあるので、吹き出物など皮膚の炎症や日焼けあとの肌のほてりの緩和に役立ちます。

実際にどのような製品に配合されているかというと、海外の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに表の中の製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

アボカド油の配合製品数と配合量の比較調査結果

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アボカド油の安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

アボカド油の現時点での安全性は、皮膚刺激性はほとんどなく、最小限~軽度の眼刺激性が起こる可能性はあるものの、重大なアレルギー(皮膚感作)の報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

ただし、シラカバの花粉アレルギーやラテックス(ゴム)アレルギーの方はアボカドおよびアボカド油でアレルギーが起こる可能性が報告されているため、使用する際はパッチテストを行い安全性を確かめる、もしくは使用を控えることを推奨します。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report of the Safety Assessment for Avocado Oil」(文献1:1980)によると、

  • [ヒト試験] 25人の被検者の上腕の側面に1.5%アボカド油を含むスキンケア製剤を18時間閉塞パッチ下で毎日合計4回適用したところ、6人の被検者が2回目でわずかな紅斑を示し、3回目のあとに11人の被検者がわずか~重度の紅斑を示し、4回目の後で11人にわずか~中等の紅斑が観察された。すべての感作反応は陰性であった(CTFA,1978a)
  • [ヒト試験] 50人の被検者の上腕の内側に誘導期間として1%希釈したアボカド油水溶液の0.05%を含むシャンプーを適用し、2週間の休息をはさんで24時間チャレンジパッチ適用したところ、誘導期間において合計19のわずかな紅斑反応と1つの重度の紅斑反応がみられ、最も大きな影響がみられたのは8日目に4人の被検者が軽度の紅斑を示し、1人の被検者が重度の紅斑を示したことだった。チャレンジパッチ後では、3人の被検者にわずかな紅斑がみられ、1人の被検者に中等の紅斑が示された(CTFA,1978b)
  • [ヒト試験] 51人の黒人被検者に対するDraize反復試験でしようされた4%アボカド油を含むハンドクリームは本質的に非刺激性で非感作性であることが明らかになった(Hill Top Research,1976)
  • [ヒト試験] 100人の白人女性に100%アボカド油を48時間パッチテストし、その後24時間パッチテストを14日間繰り返したところ、最初の48時間適用後に一次刺激の兆候はなく、反復試験後の感作の兆候もなかった(CTFA,1978c)
  • [ヒト試験] 3つの口紅製剤に含まれるアボカド油を評価した。1つ目は9.6%アボカド油を含む口紅を57人の女性の背中と1人の男性の背中に72時間閉塞パッチしたところ、検査医師は一次刺激の可能性はほとんどまたはまったくないと結論づけた。2つ目は10%アボカド油を含む口紅を92人の女性と18人の男性にDraize法に基づくパッチ試験で評価したところ、医師はほとんどまたはまったく皮膚刺激の可能性がなく、感作を引き起こさず、安全であると結論づけた。3つ目は9.8%アボカド油を含む口紅および10.2%アボカド油を含む口紅を86~90人の女性と7~13人の男性の背中に初回のみ72時間、その後は24時間で1日おきにパッチ適用し、13日の休息をはさんで48時間のチャレンジパッチを適用した。医師は誘導パッチおよびチャレンジパッチの両方で一次刺激をほとんどまたはまったく示さず、感作性もひきおこさないため、製品は安全にみえると結論づけた(CTFA,1978d)

“Cosmetic Ingredient Review”の「Plant-Derived Fatty Acid Oils as Used in Cosmetics」(文献2:2011)によると、

  • [ヒト試験] 114人の被検者に0.2%アボカド油を含むスカルプコンディショナーの一次皮膚刺激を評価したところ、一次皮膚刺激はなかった
  • [ヒト試験] 110人の被検者に0.2%アボカド油を含むスカルプコンディショナーを閉塞パッチで繰り返し適用したところ、皮膚刺激性または皮膚感作性はなかった
  • [ヒト試験] 51人の被検者に10%アボカド油を含むバームを唇、手、爪、肘、膝、足首およびかかとに4週間使用してもらったところ、目に見える皮膚刺激や乾燥はなかったが、2人の被検者の唇にわずかな紅斑がみられ、5人の被検者の肘、唇または膝にわずかな紅斑がみられた

と記載されています。

試験結果ではほとんどのケースで皮膚刺激および皮膚感作なしと結論付けられているため、皮膚刺激性および皮膚感作(アレルギー)はほとんどないと考えられます。

ただし、シラカバの花粉アレルギーやラテックス(ゴム)アレルギーの方は注意が必要な成分です。

シラカバの花粉にアレルギーがある方は、特定の果物を食べると口の中がかゆくなったり腫れたりする方がいますが、これはシラカバ花粉などに含まれるアレルゲンの構造が果物や生野菜やナッツなどの植物性食物に含まれるタンパク質の構造と共通しているためで、アボカドも含まれます。

この症状は口腔アレルギー症候群(OAS)と呼ばれますが、それゆえにシラカバ花粉にアレルギーがあるとアボカドはもとよりアボカドオイルでもアレルギー反応がでる可能性があります。

また、天然ゴムのラテックスに含まれるアレルゲンの構造が果物や生野菜やナッツなどの植物性食物に含まれるタンパク質の構造と共通しているため、ラテックスアレルギー患者の約50%はアボカドなどに対してアレルギー症状(アナフィラキシー、喘鳴、蕁麻疹、OAS)が起こることが明らかになってます。

この症状はラテックス-フルーツ症候群と呼ばれていますが、それゆえにラテックスにアレルギーがあるとアボカドはもとよりアボカドオイルでもアレルギー反応がでる可能性があります。

ちなみにシラカバアレルギーに反応することが報告されている食品は、バラ科(リンゴ、西洋ナシ、さくらんぼ、モモ、すもも、アンズ、アーモンド)、セリ科(セロリ、人参)、ナス科(ポテト)、マタタビ科(キウイ)、カバノキ科(ヘーゼルナッツ)、ウルシ科(マンゴー)、ししとうがらし、など。

ラテックスアレルギーに反応することが報告されている果物は、アボカド、クリ、バナナ、キウイ、パパイヤ、メロン、マンゴ-、パイナップル、モモ、トマト、パッションフルーツ、いちじくなど。

こういったアレルギーの報告もあるので、アレルギーに自覚的な方は使用を控え、だいじょうぶだと考えている方もパッチテストを行って48時間以上経過したのち安全性を確認するか、もしくは使用を控えることを推奨します。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report of the Safety Assessment for Avocado Oil」(文献1:1980)によると、

  • [動物試験] 10匹のウサギにアボカド油を含むシャンプー製剤0.1mLを点眼し、5匹は眼をすすぎ、残りの5匹は眼をすすがず、1時間後に評価したところ、眼をすすいだウサギの刺激スコアは12で、眼をすすがなかったウサギの刺激スコアは43であった(CTFA,1978e)
  • [動物試験] 10匹のウサギにアボカド油を含むシャンプー製剤0.1mLを点眼し、5匹は眼をすすぎ、残りの5匹は眼をすすがず、1時間後に評価したところ、眼をすすいだウサギの刺激スコアは22で、眼をすすがなかったウサギの刺激スコアは38であった(CTFA,1978f)
  • [動物試験] 20匹のサルにアボカド油を含むシャンプー製剤0.1mLを点眼し、10匹は眼をすすぎ、残りの10匹は眼をすすがず、1時間後に評価したところ、眼をすすいだウサギの刺激スコアは2で、眼をすすがなかったウサギの刺激スコアは10であった(CTFA,1978g)

と記載されています。

試験結果は1時間後の評価のものしかなく、根拠としては弱いのですが、刺激スコアでは最小限の眼刺激~軽度の眼刺激がみられるため、最小限~軽度の眼刺激性が起こる可能性があると考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
アボカド油 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、アボカド油は毒性なし(∗2)となっており、毒性に関しては心配する必要はありません。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

アボカド油はベース成分、エモリエント成分、細胞賦活成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分 エモリエント成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(1980)「Final Report of the Safety Assessment for Avocado Oil」, <https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/pr251.pdf> 2017年12月8日アクセス.
  2. “Cosmetic Ingredient Review”(2011)「Plant-Derived Fatty Acid Oils as Used in Cosmetics」, <https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/FR577.pdf> 2017年12月8日アクセス.

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