アフリカマンゴノキ核脂とは…成分効果と毒性を解説

エモリエント成分 ベース成分
アフリカマンゴノキ核脂
[化粧品成分表示名称]
・アフリカマンゴノキ核脂

[慣用名]
・アフリカンマンゴバター、アフリカンマンゴーバター

ニガキ科植物アフリカマンゴノキ(学名:Irvingia gabonensis 英名:African Mango)の種子から得られる植物油脂です。

アフリカマンゴノキは、一般的にはワイルドマンゴーまたはアフリカンマンゴーと呼ばれ、中央-西アフリカの熱帯・亜熱帯林を原産とし、この地域で栽培されています。

アフリカマンゴノキの果実および種子は地元で食用として古くから利用されており、また商業としても重要な資源となっています。

アフリカマンゴノキ核脂の脂肪酸組成は、抽出方法や天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

脂肪酸名 脂肪酸の種類 炭素数:二重結合数 比率(%)
オレイン酸 不飽和脂肪酸 C18:1 0.6-2.7
リノール酸 不飽和脂肪酸 C18:2 0.6
リノレン酸 不飽和脂肪酸 C18:2 1.3
ラウリン酸 飽和脂肪酸 C12:0 35-51.1
ミリスチン酸 飽和脂肪酸 C14:0 36.8-58
パルミチン酸 飽和脂肪酸 C16:0 3.9-5
ステアリン酸 飽和脂肪酸 C18:0 0.4-0.7

このような種類と比率で構成されています(文献1:2017)

ラウリン酸を35-51.1%含むのが特徴で、飽和脂肪酸で70%以上を占め、不飽和脂肪酸の含有量は5%未満であるため、総合的に酸化安定性はかなり高いと考えられます。

またヨウ素価および融点(∗1)は、

∗1 融点とは固体が液体になりはじめる温度のことです。

ヨウ素価 ヨウ素価による分類 融点
3.5-4.2 不乾性油 39-40

一例としてこのように記載されていますが(文献2:1995)、ヨウ素価は100以下の不乾性油のため、乾燥性はほとんどなく、また融点が39-40℃と体温より若干高いため、常温および皮膚では液体化しないと考えられます。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、リップメイクアップ化粧品、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品などに使用されます(文献1:2017;文献3:2015)

角質層水分量増加および柔軟な油膜形成によるエモリエント作用

角質層水分量増加および柔軟な油膜形成によるエモリエント作用に関しては、明るい肌色を保持しつつ、ベタつかずサッパリした感触を付与し、柔らかい保護膜を形成するエモリエント剤であり(文献3:2015)、またアフリカマンゴノキ核脂を開発したBASFの技術資料によると、

2%アフリカマンゴノキ核脂配合クリームの保湿効果を2%シア脂配合クリームおよび無添加クリームと比較検討した。

皮膚から単離した角質層サンプルに各クリームを適用し、処置30分後の角層コンダクタンス(∗2)を測定したところ、以下のグラフのように、

∗2 コンダクタンスとは、皮膚に電気を流した場合の抵抗を表し、角層水分量が多いと電気が流れやすくなるため、コンダクタンスが高値になります。

アフリカマンゴノキ核脂の保湿効果

アフリカマンゴノキ核脂を含有するクリームは、2%シア脂を含有するクリームまたは無配合クリームより著しく高い保湿効果を示した。

またその効果は少なくとも6時間は持続した。

このような検証結果が明らかにされており(文献3:2015)、アフリカマンゴノキ核脂に角質層水分量増加によるエモリエント作用が認められています。

さらにアフリカマンゴノキ核脂を開発したBASFが公開した乾燥した唇への効果検証によると、

乾燥した唇を有する12人の志願者に3%アフリカマンゴノキ核脂配合リップスティックまたは無配合リップスティックを1日3回7日間にわたって使用してもらい、唇の外観は使用前後で記録し、唇の乾燥改善度合いは皮膚科医によって評価してもらった。

その結果、乾燥改善率は、無配合リップスティックが35.2%だったのに対し、3%アフリカマンゴノキ核脂配合リップスティックは53.2%であり、乾燥唇の有意な改善効果を示した。

このような検証結果が明らかにされており(文献3:2015)、アフリカマンゴノキ核脂に角質層水分量増加および柔軟な油膜形成による乾燥唇の改善作用が認められています。

このような背景から、アフリカマンゴノキ核脂はオクチルドデカノールおよび水添ココグリセリルと一緒に口紅やリップグロスなどのリップメイクアップ化粧品に配合されています。

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2010年年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

アフリカマンゴノキ核脂の配合製品数と配合量の調査結果(2010年)

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アフリカマンゴノキ核脂の安全性(刺激性・アレルギー)について

アフリカマンゴノキ核脂の現時点での安全性は、

  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)

これらの結果から、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが(文献1:2017)、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

∗∗∗

アフリカマンゴノキ核脂はエモリエント成分、ベース成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:エモリエント成分 ベース成分

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2017)「Safety Assessment of Plant-Derived Fatty Acid Oils」International Journal of Toxicology(36)(3),51S-129S.
  2. J.K.Joseph(1995)「Physico-chemical attributes of wild mango (Irvingia gabonensis) seeds」Bioresource Technology(53)(2),179-181.
  3. BASF(2015)「IRWINOL LS 9890」技術資料.

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