ナイアシンアミドとは…成分効果と毒性を解説

バリア改善 美白 抗シワ成分
ナイアシンアミド
[化粧品成分表示名称]
・ナイアシンアミド

[医薬部外品表示名称]
・ニコチン酸アミド、ナイアシンアミド

[慣用名]
・ニコチンアミド、リンクルナイアシン

栄養素ビタミンB₃としてよく知られているナイアシン(ニコチン酸)のアミド(∗1)であり、水溶性の有機化合物です(∗2)

∗1 アミド(酸アミド)とは、脱水縮合した構造のことを指し、脱水縮合とは化学構造的に分子と分子から水(H₂O)が離脱することにより分子と分子が結合する反応(縮合反応)のことです。

∗2 ナイアシンという名称は、ニコチン酸が有害物質であるニコチンと混同されるのを避けるためにつけられたものであり、ナイアシンはナイアシンアミド(ニコチン酸アミド)から変換されますが、それぞれの生体内におけるビタミンとしての機能は同じです。

古くから化粧品および医薬部外品成分として広く使用されてきていますが、2018年(推定)に医薬部外品シワ改善有効成分として改めて承認され、医薬部外品シワ改善有効成分として配合されている場合のみ、医薬部外品表示(有効成分)に「ナイアシンアミド」と表示されます(∗3)

∗3 汎用されているナイアシンアミドは、化粧品の場合は「ナイアシンアミド」、医薬部外品の場合「ニコチン酸アミド」と表示されます。

ヒト生体内では、様々な酵素を介して物質の産生分解および酸化還元などの代謝が行われており、多くの酵素の中にはタンパク質のみで活性を発現するものもあれば、酵素のみでは活性がなく、活性発現にはある種の低分子の有機化合物を必要とするものもあり、酵素活性の発現に必要な低分子有機化合物を補酵素といいます。

補酵素の多くは生体内でビタミンから生成されており、とくにビタミンB群およびナイアシン・ナイアシンアミドは、様々な酵素の活性発現に必要な補酵素として機能・存在しています。

具体的には、生体内で以下のように、

ニコチン酸 → ニコチン酸アミド → NAD(補酵素)

このように変換されていき、NADの形で存在しているため、ニコチン酸とニコチン酸アミドはほぼ同じ物質として扱われます。

このような背景から、ビタミンB群またはナイアシンが欠乏すると、これらを必要とする各酵素の活性が低下し、ひいては生体内の代謝機能の低下をもたらします。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ハンド&ボディケア製品、メイクアップ化粧品、洗浄製品、頭皮ケア製品、洗顔料、シート&マスク製品などに使用されています。

グルコシルセラミド、スフィンゴミエリンおよびセラミド合成促進によるバリア機能改善作用

グルコシルセラミド、スフィンゴミエリンおよびセラミド合成促進によるバリア機能改善作用に関しては、まず前提知識としてセラミドグルコシルセラミドおよびスフィンゴミエリンについて解説します。

以下の角質層の構造および細胞間脂質におけるラメラ構造図をみてもらうとわかりやすいと思うのですが、

角質層の構造

細胞間脂質におけるラメラ構造の仕組み

角質層のバリア機能は、生体内の水分蒸散を防ぎ、外的刺激から皮膚を防御する重要な機能であり、バリア機能には角質と角質の隙間を充たして角質層を安定させる細胞間脂質が重要な役割を果たしています。

細胞間脂質は、主にセラミド、コレステロール、遊離脂肪酸などで構成され、これらの脂質が角質細胞間に層状のラメラ構造を形成することによりバリア機能を有すると考えられています。

セラミドは、細胞間脂質の50%以上を占める主要成分であり、皮膚の水分保持能およびバリア機能に重要な役割を果たしており、バリア機能が低下している皮膚では角質層中のセラミド量が低下していること(文献3:1989)、またアトピー性皮膚炎患者では角質層中のコレステロール量の減少は認められないがセラミド量は有意に低下していることが報告されています(文献4:1991;文献5:1998)

またヒト皮膚には7系統のセラミドが存在することが確認されており、全種類のセラミドが角質層に存在する比率で補われることが理想的ですが、セラミドを適正な比率で補充することは技術的に困難であるため、生体内におけるセラミド合成を促進することが重要であると考えられています。

次にグルコシルセラミドおよびスフィンゴミエリンに関してですが、これらは細胞内の小胞体でセラミドからそれぞれの合成酵素によって変換され、表皮においては以下の図のように、

表皮におけるセラミド産生プロセス

ターンオーバーとともに顆粒層に貯留し、角質層に放出されたグルコシルセラミドは酸性型のβ-グルコセレブロシダーゼにより、スフィンゴミエリンはスフィンゴミエリナーゼにより、それぞれ加水分解をうけてセラミドに変換されます(文献6:2017)

つまり、セラミドの元となるセラミド前駆体であり、これらの合成を促進することは結果的にセラミドの合成促進につながると考えられます。

これらの背景から、セラミド前駆体であるグルコシルセラミド、スフィンゴミエリンおよびセラミドの合成を促進することは角層バリア機能改善において重要であると考えられます。

1999年にカネボウによって報告されたナイアシンアミドの角層バリア機能への影響検証によると、

ヒト正常培養ケラチノサイトを用いて、各濃度におけるナイアシンアミド添加によるセラミド合成量を測定したところ、以下のグラフのように、

ナイアシンアミド添加によるヒト正常ケラチノサイトのセラミド合成促進作用

ナイアシンアミドは、濃度依存的にヒト正常ケラチノサイトのセラミド合成を高めることがわかった。

そこで、セラミド以外の代表的なスフィンゴ脂質であるグルコシルセラミドおよびスフィンゴミエリンについても同様の試験を実施したところ、ナイアシンアミドは、グルコシルセラミドおよびスフィンゴミエリンの合成も促進することがわかった。

次に、冬期に肌荒れが起きている10人のボランティアに2%ナイアシンアミド配合基剤または基剤のみを4週間連用してもらい、4週間後に経表皮水分蒸散量(TEWL)、皮膚表面の水分量および角質細胞間脂質量を測定したところ、以下のグラフのように、

ナイアシンアミド塗布による経表皮水分蒸散量への影響

ナイアシンアミド塗布による表皮水分量への影響

ナイアシンアミド塗布による角質細胞間脂質量への影響

ナイアシンアミド配合基剤塗布部位では、基剤のみを塗布した部位と比較して有意に低いTEWL値を示し、皮膚表面の水分量においても増加傾向を示した。

また角層細胞間脂質においても、ナイアシンアミド塗布部位では、角層のセラミドおよび脂肪酸存在量が有意に増加していた。

このような検証結果が明らかにされており(文献2:1999)、ナイアシンアミドにグルコシルセラミド、スフィンゴミエリンおよびセラミド合成促進によるバリア機能改善作用が認められています。

ナイアシンアミドのグルコシルセラミド、スフィンゴミエリンおよびセラミド合成促進のメカニズムは、まず前提知識としてセラミドの生合成系を解説しておきます。

セラミドは、以下のように、

セリン+パルミトイルCoA → 3-ケトジヒドロスフィンゴシン → スフィンガニン → セラミド → グルコシルセラミド → セラミド

セリン+パルミトイルCoA → 3-ケトジヒドロスフィンゴシン → スフィンガニン → セラミド → スフィンゴミエリン → セラミド

というセラミド生合成経路でセラミドに変換されますが、この経路における最初のセリン+パルミトイルCoAはSPT(セリンパルミトイルトランスフェラーゼ)という活性酵素によって次の段階である3-ケトジヒドロスフィンゴシンに変換されます。

ナイアシンアミドは、このSPTの活性を亢進(∗4)させることが明らかにされており(文献7:2004)、セラミド生合成経路の変換初期であるSPTの活性が亢進されることで、変換量が増加し、その後のグルコシルセラミド、スフィンゴミエリンおよびセラミドの変換量も増えていると考えられます。

∗4 亢進(こうしん)とは、高い状態まで進むことをいいます。

また、ナイアシンアミドはコレステロールと脂肪酸の合成だけでなくセラミドにとっても共通の始発物質(補酵素)であるアセチルCoA量を濃度依存的に増加させることが報告されていることから(文献7:2004)、アセチルCoA量の増加も作用メカニズムのひとつであると考えられます。

メラノソーム輸送抑制による色素沈着抑制作用

メラノソーム輸送抑制による色素沈着抑制作用に関しては、まず前提知識として黒化メラニンが生合成されるメカニズムと合成された黒化メラニンが表皮ケラチノサイトに輸送される仕組みを解説します。

以下のメラニン生合成のメカニズム図をみてもらうとわかりやすいと思うのですが、

紫外線におけるメラニン生合成までのプロセス

紫外線を浴びるとまず最初に活性酸素が発生し、様々な情報伝達物質(メラノサイト活性化因子)をメラノサイトで発現するレセプター(受容体)に届けることで、メラノサイト内でメラニンの生合成がはじまり、ユーメラニン(黒化メラニン)へと合成されます。

メラノサイト内でのメラニン生合成は、まずアミノ酸であるチロシンに活性酵素であるチロシナーゼが結合することでドーパ、ドーパキノンへと変化し、最終的に黒化メラニンが合成されます。

合成されたメラニン色素は、以下の図のように、

メラニン輸送の仕組み

メラノソームという細胞小器官に貯蔵され、デンドライトというメラノサイトの触手を通り、表皮ケラチノサイト(表皮細胞)へと受け渡され、表皮を黒化することで色素沈着が形成されます。

このような背景から、黒化メラニンを内包したメラノソームを表皮ケラチノサイトへ受け渡すメラノソーム輸送を抑制することは、皮膚明度および色素沈着抑制において重要であると考えられます。

2005年にP&GFEによって報告された黒化メラニンの表皮ケラチノサイトへの受け渡しにおけるナイアシンアミドの影響検証によると、

ヒトメラノサイト・ヒトケラチノサイト共培養モデルに各濃度のナイアシンアミドを添加し、7日間培養後にケラチノサイトへのメラノソーム輸送量を測定したところ、以下のグラフのように、

ナイアシンアミドのメラノソーム輸送抑制効果

ナイアシンアミドは濃度依存的にメラノソーム輸送を抑制することが示された。

さらに、ナイアシンアミドをケラチノサイト-メラノサイト表皮再構築モデルに添加したところ、メラニンによる黒化が抑えられることも示された。

次に、顔面に中軽度の色素斑を有する39人の日本人女性に5%ナイアシンアミド配合保湿剤を半顔に、残りの半顔に未配合保湿剤を8週間連用してもらい、塗布前,4および8週間後に色素沈着領域を評価したところ、以下のグラフのように、

表皮色素斑に対するナイアシンアミドの改善効果(画像解析)

表皮色素斑に対するナイアシンアミドの改善効果(目視評価)

ナイアシンアミド配合保湿剤は、保湿剤のみと比較して色素斑の面積および程度を有意に減少させた。

さらに、顔面を十分日焼けした120人の日本人女性にSPF15のサンスクリーン配合保湿剤およびSPF153スクリーン+2%ナイアシンアミド配合保湿剤の、顔面皮膚明度に対する効果を保湿剤のみと比較して評価したところ、以下のグラフのように、

ナイアシンアミドおよびサンスクリーン剤の顔面美白効果

ナイアシンアミド配合保湿剤は、保湿剤のみと比較して皮膚色を明るくする効果を有することが確認された。

このような検証結果が明らかにされており(文献8:2005;文献9:2002;文献10:2005)、ナイアシンアミドにメラノソーム輸送抑制による色素沈着抑制作用が認められています。

コラーゲン減少改善による抗シワ・抗老化作用

コラーゲン減少改善による抗シワ・抗老化作用に関しては、2018年(推定)にナイアシンアミドが医薬部外品シワ改善有効成分として承認されましたが、2019年5月時点では作用メカニズムに関しては表皮と真皮の両方にアプローチとだけ記載されており、詳細なメカニズムは非公開とされています(文献11:2018)

ただし、ナイアシンアミド配合製品のプロモーションサイトを閲覧すると、シワができるメカニズムとして、

  • 表皮:角層の水分不足による乾燥
  • 真皮:コラーゲンの減少

を挙げており、これらを改善するアプローチとしています(文献12:2018)

ナイアシンアミドの既存の皮膚への効果・作用として広く知られたものにバリア機能改善作用があり、表皮へのアプローチはこのバリア改善作用を指していると推測されます。

一方で、コラーゲンの減少を改善するアプローチは知られておらず、この作用が新知見になっていると考えられます。

ナイアシンアミドは多くの化粧品または医薬部外品に配合されていますが、ナイアシンアミドをシワ改善有効成分として配合している製品の処方において、ナイアシンアミドはシワ改善の主成分ではなく、他のシワ改善成分の効果をサポートするまたは脇役に近いとインタビューに応えていることから(文献13:2018)、ナイアシンアミド自体のシワ改善作用はかなり穏やかであると考えられます。

シワ改善有効成分として承認されているため、その作用は有していると考えられますが、現時点では情報が少なく、シワ改善のメカニズムおよび有用性のデータも公開されていないため、抗シワ作用については保留とし、新たな情報がわかりしだい追補します。

また、医薬部外品シワ有効成分として配合されているナイアシンアミド(リンクルナイアシン)は、現在までの情報から推測すると、汎用されているナイアシンアミドと同一の成分であると考えられます。

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2001年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ナイアシンアミドの配合製品数と配合量の調査結果(2001年)

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ナイアシンアミドの安全性(刺激性・アレルギー)について

ナイアシンアミドの現時点での安全性は、

  • 医療上汎用性があり有効性および安全性の基準を満たした成分が収載される日本薬局方に収載
  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 生体内に存在する成分
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし-最小限
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし
  • 光毒性・光感作性:ほとんどなし
  • アクネ菌増殖性:ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2005)によると、

  • [ヒト試験] 32人の被検者の上腕の外側に3%ナイアシンアミドを含むクリーム40μLを陰性対照、陽性対照とともに23時間パッチ適用し、パッチ除去後に新しいパッチを再び適用し、パッチ除去1時間(最初のパッチ適用から48時間)および25時間(最初のパッチ適用から72時間)後に処置部位を0(反応なし)-4(強い反応)のスケールで評価したところ、3%ナイアシンアミドを含むクリームは陰性対照よりもわずかに紅斑を生じた(Unilever,1998)
  • [ヒト試験] 22人の被検者の前腕の内側に1%ナイアシンアミドを含むスキンケアクリームを毎日6回21日間連続で適用し、試験を始める1日前から試験中ずっと評価を継続したところ、1%ナイアシンアミドを含むスキンケアクリームは皮膚刺激剤ではなかった(Unilever,1998)
  • [ヒト試験] 23人の被検者の前腕の内側に5%ナイアシンアミド水溶液を1日6回21日間にわたって適用し、試験開始3,5,8,11,15,19,22および25日目に皮膚状態を評価したところ、5%ナイアシンアミド水溶液は皮膚刺激剤ではなかった(Unilever,1998)
  • [ヒト試験] 24人の被検者に1%および3%ナイアシンアミドを含む2つのスキンケアクリームを対象にスティンギング(チクチクと刺すような主観的な刺激感)の可能性を調査した。プレスクリーニングテストしたところ、3人の被検者がなんらかの刺激感を感じ、1人の被検者は1%ナイアシンアミド含有クリームを適用した2.5,5,8分でわずかな刺激があると報告し、別の1人は1%ナイアシンアミド含有クリームで2.5分のみでわずかな刺激を体験した。3人目の被検者は3%ナイアシンアミド含有クリームで5分のみでわずかな刺激を報告した。21人の被検者が8分間の適用の間になんらかの刺激を経験した。初期評価から8分間で刺激指数のわずかな増加がみられたが、24時間評価によって消失した。この試験では1%および3%ナイアシンアミド含有クリームは皮膚刺激の兆候はなく、スティンギングの可能性も示さなかった(Unilever,1998)
  • [ヒト試験] 82人の女性被検者(20-65歳 平均年齢44.6歳)に2%ナイアシンアミドを含むクリームを1日2回4週間にわたって使用してもらい、4週間後に採点したところ、皮膚科学的評価ではわずかな紅斑または皮膚乾燥以上の状態の悪化は観察されず、皮膚または眼の刺激の有意な兆候を示さなかった(Procter&Gamble,1999)
  • [ヒト試験] 25人の被検者に2%および5%ナイアシンアミド含有保湿クリームおよびクリームのみを対象に半閉塞パッチおよび閉塞パッチにて21日間累積皮膚刺激性試験を実施したところ、ナイアシンアミドの有無の間に刺激性の有意差はみられなかった(Procter&Gamble,1998;1999)
  • [ヒト試験] 0%,2%,10%および20%ナイアシンアミドを含む保湿剤を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を半閉塞パッチおよび閉塞パッチにて実施したところ、これらの試験では皮膚刺激の兆候はみられなかったため、ナイアシンアミドは長時間(23時間のパッチを週3回3週間)接触しても20%濃度までは皮膚刺激を誘発しないと結論づけられた(Procter&Gamble,1998;1999)
  • [ヒト試験] 100人の被検者に0%,1%,2.5%および10%ナイアシンアミドを含む水中油型エマルションを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を半閉塞および閉塞パッチにて別々に実施したところ、いずれの被検者にも皮膚刺激および皮膚感作の兆候はなかった(Procter&Gamble,1998;1999)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2005)によると、

  • [動物試験] ウサギに15%および25%ナイアシンアミド水溶液を点眼したところ、最大平均眼刺激スコアは8.0のうち0.67であったため、ナイアシンアミドは急性の眼刺激剤ではないと結論付けられた(Procter&Gamble,1997)
  • [動物試験] 6匹のウサギ2群の片眼に1%ナイアシンアミドを含むクリーム0.1mLを適用し、毎日の間隔で評価したところ、1匹のウサギにわずかな結膜反応がみられたが、この反応は24時間以内に正常にもどった。残りの5匹に反応はみられなかった。もう一方の6匹群では3匹にわずかな結膜反応がみられたが、これらの反応は48時間以内に正常にもどった。この条件下では第1のクリームはウサギの眼に実施的に非刺激性であり、第2のクリームはわずかに刺激性であった(Unilever,1998e)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、非刺激-最小限の眼刺激性が報告されているため、眼刺激性は非刺激性-最小限の眼刺激が起こる可能性があると考えられます。

光毒性および光感作性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2005)によると、

  • [ヒト試験] 12人の被検者に2%ナイアシンアミドを含むリップスティックと5%ナイアシンアミドを含むファンデーションを24時間閉塞パッチ下で適用し、パッチ除去後に1つの試験部位をUVA(20Joules/c㎡)に曝露し、照射の24および48時間後に評価したところ、これらの製剤が光毒性ではないと結論づけた(Procter&Gamble,1999;2000)
  • [ヒト試験] 25人の被検者に5%ナイアシンアミドを含むファンデーションを対象に光感作試験を含むHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、5%ナイアシンアミドを含むファンデーションは光アレルギー反応と関連していないと結論付けられた(Procter&Gamble,1999)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、光毒性および光感作性なしと報告されているため、光毒性および光感作性はほとんどないと考えられます。

コメドジェニシティ(ニキビの原因となるアクネ菌の増殖促進性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report of the Safety Assessment of Niacinamide and Niacin」(文献1:2005)によると、

  • [ヒト試験] ニキビができやすい13人の被検者の背中に2%ナイアシンアミドを含む保湿剤を閉塞パッチ下で4週間適用したところ、コメドスコアは未適用部位よりも有意に低く、コメドの増加はみられなかったため、2%ナイアシンアミドを含む保湿剤はノンコメドジェニックであると考えられた(Procter&Gamble,2001)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、アクネ菌増殖性なしと報告されているため、アクネ菌増殖性はほとんどないと考えられます。

∗∗∗

ナイアシンアミドはバリア改善成分、美白成分、抗老化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:バリア改善成分 美白成分 抗老化成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2005)「Final Report of the Safety Assessment of Niacinamide and Niacin1」International Journal of Toxicology(24)(5),1-31.
  2. 丹野 修(1999)「De novoセラミド合成促進による表皮バリア機能の改善」Fragrance Journal(27)(10),23-28.
  3. G Grubauer, et al(1989)「Transepidermal water loss:the signal for recovery of barrier structure and function.」The Journal of Lipid Research(30),323-333.
  4. Imokawa G, et al(1991)「Decreased level of ceramides in stratum corneum of atopic dermatitis: an etiologic factor in atopic dry skin?」J Invest Dermatol.(96)(4),523-526.
  5. Di Nardo A, et al(1998)「Ceramide and cholesterol composition of the skin of patients with atopic dermatitis.」Acta Derm Venereol.(78)(1),27-30.
  6. 内田 良一(2017)「セラミドとその代謝産物の皮膚における役割」Journal of Japanese Biochemical Society(89)(2),164-175.
  7. 丹野 修(2004)「ナイアシンアミドの皮膚での新しい作用と化粧品への応用」Fragrance Journal(32)(2),35-39.
  8. 箱崎 智洋(2005)「ニコチン酸アミドの美白効果とそのメカニズム」Fragrance Journal(33)(5),55-59.
  9. T Hakozaki, et al(2002)「The effect of niacinamide on reducing cutaneous pigmentation and suppression of melanosome transfer.」The British Journal of Dermatology(147)(1),20-31.
  10. A Greatens, et al(2005)「Effective inhibition of melanosome transfer to keratinocytes by lectins and niacinamide is reversible.」Experimental Dermatology(14)(7),498-508.
  11. 株式会社コーセー(2018)「薬用シワ改善クリーム「ザ リンクレス」発売」, <https://www.kose.co.jp/company/ja/content/uploads/2018/07/20180703.pdf> 2019年5月2日アクセス.
  12. “DECORTE”(2018)「成分について」, <https://www.cosmedecorte.com/ip_shot/component.html> 2019年5月2日アクセス.
  13. “国際商業ONLINE”(2018)「後手を踏んだコーセー「シワ改善」の巻き返し策(第3回)」, <https://kokusaishogyo-online.jp/2018/08/5648> 2019年5月2日アクセス.

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