グルコシルセラミドとは…成分効果と毒性を解説

バリア改善成分 保湿成分 抗シワ成分
グルコシルセラミド
[化粧品成分表示名称]
・グルコシルセラミド

[慣用名]
・水溶性セラミド

イネ科植物イネ(学名:Oryza sativa 英名:Rice)の種子から生じる米糠および米胚芽より得られるスフィンゴ糖脂質の一種であり、化学構造的に疎水性であるセラミドを骨格構造として親水性のグルコースが結合した、製剤化技術で水溶性にしたセラミド配糖体(セラミド様物質)です。

化粧品成分としては、同じコメ由来スフィンゴ糖脂質としてコメヌカスフィンゴ糖脂質がありますが、コメヌカスフィンゴ糖脂質は油溶性であり、成分組成はほとんど同じだと推察されますが作用・効果が一部異なります。

コメ由来スフィンゴ糖脂質およびグルコシルセラミドは油溶性ですが、化粧品原料として「グルコシルセラミド」と表示されるものは、製剤化技術で水溶性に処理したグルコシルセラミドのみを指します。

グルコシルセラミドは、すべての組織・細胞に存在し、400種類以上の糖脂質の共通した前駆体糖脂質として存在しており(文献1:2011)、生体内におけるグルコシルセラミドの機能は、スフィンゴ脂質を除去・阻害した細胞では細胞基質間の接着が阻害され、スフィンゴ糖脂質の発現を回復させた細胞ではこの阻害はみられないことから、細胞期質間接着にはスフィンゴ糖脂質が必要であることが示されています(文献2:1996)

細胞基質間接着に働いている主要な接着分子は、細胞と細胞外マトリックスの結合に関与する糖タンパク質であるインテグリンであることから、スフィンゴ糖脂質はインテグリンが働くための環境づくりに必要である可能性が示唆されています(文献2:1996)

また、以下の肌図をみてもらうとわかりやすいと思いますが、

表皮におけるセラミド産生プロセス

グルコシルセラミドは、表皮基底層から顆粒層まで増加し、角質層ではほとんど消失しますが、セラミドはグルコシルセラミドを前駆体として生成され、角質層に蓄積し、角質細胞間脂質の主成分として存在しています(文献3:2004)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、米をコンセプトにした製品、スキンケア化粧品、ハンドケア製品、洗顔料、洗浄製品、シート&マスク製品などに使用されています。

セラミド産生増加によるバリア機能改善作用

セラミド産生増加によるバリア機能改善作用に関しては、まず前提知識として皮膚バリア機能と細胞間脂質の関係について解説します。

以下の表皮における角質層の構造をみてもらうとわかりやすいと思いますが、

角質層の構造

皮膚の最外層である角質層には、様々な刺激や物質の侵入を防いだり、体内の水分が体外へ過剰に蒸散していくのを防ぐバリア機能が備わっています。

角質層の機能は、レンガとセメントで例えられることが多いですが、レンガとしての角質内部には天然保湿因子として複数のアミノ酸が存在しており、またセメントとしての細胞間脂質はセラミド、コレステロール、遊離脂肪酸などで構成されています。

そしてこれら角質層の構成物がバランスよく存在することで健常なバリア機能が維持されます。

また角質細胞の一番外側には以下の画像のように、

皮膚における角質の構造図

細胞膜が存在し、細胞膜の内側には周辺帯(cornified Sell envelope:CE)と呼ばれる極めて強靭な裏打ち構造の不溶性タンパクの膜が角質細胞を包んでいます(文献4:2011)が、セラミドはインボルクリンやロリクリンなどCE構成タンパクと共有結合することで、角質と細胞間脂質を強固に接着し、健常なバリア機能を形成しています。

さらに皮膚表面から水分が蒸散されることを経皮水分蒸散(TEWL:Transepidermal Water Loss)といいますが、経皮水分蒸散が大きくなるということは、バリア機能が低下していることを意味しており、経皮水分蒸散は、角質層のバリア機能低下のバロメーターでもあります(文献5:2002)

一般的に経皮水分蒸散量は、年齢を重ねるごとに大きくなる傾向にあり、また表皮の新陳代謝異常が起こると、角質層の細胞間脂質に形状異常がみられるようになり、経皮水分蒸散が大きくなることで最終的に角質細胞が規則的に並ばなくなり、そこに生じた隙間からさらに水分が蒸散し、バリア機能・保湿機能が低下する結果となります(文献5:2002)

経皮水分蒸散の増大は、角質層の保湿機能の低下につながり、この2つは逆相関関係にあると考えられます。

2016年に一丸ファルコスによって報告されたグルコシルセラミドの塗布による有用性検証によると、

健康な10人の被検者(20-50歳代)の顔半分に0.02%コメ由来グルコシルセラミド配合ローションおよび未配合ローションをそれぞれ1日2回4週間塗布し、塗布前と4週間後に角質チェッカーにて頬部から角質を採取し、角質細胞が重なって剥がれる重層剥離の程度の変化をスコア化し評価したところ、以下のグラフのように、

コメ由来グルコシルセラミド塗布による皮膚バリア機能への影響

0.02%コメ由来グルコシドセラミド塗布部位は、未配合塗布部位と比較して角質状態(重層剥離)の有意な改善がみられた。

このような検証結果が明らかにされており(文献6:2016)、グルコシルセラミドにセラミド産生増加によるバリア機能改善作用が認められています。

水分保持能による保湿作用

水分保持能による保湿作用に関しては、2016年に一丸ファルコスによって報告されたグルコシルセラミドの塗布による有用性検証によると、

ヒト前腕屈側部をエーテル・エタノール混液にてふき取りを行った肌荒れモデルに0.02%コメ由来グルコシルセラミド水溶液を塗布し、肌荒れ処理直後および塗布2時間後に角質水分量を測定した。

その結果、コメ由来グルコシルセラミド塗布により対照とした精製水のみと比較して角質水分量が向上し、肌荒れ状態を改善する効果を確認した。

このような検証結果が明らかにされており(文献7:2016)、グルコシルセラミドに水分保持能による保湿作用が認められています。

シワ改善による抗老化作用

シワ改善による抗老化作用に関しては、2016年に一丸ファルコスによって報告されたグルコシルセラミドの塗布による有用性検証によると、

健康な10人の被検者(20-50歳代)の顔半分に0.02%コメ由来グルコシルセラミド配合ローションおよび未配合ローションをそれぞれ1日2回4週間塗布し、塗布前と4週間後に目尻部位のレプリカを採取し、解析を行ったところ、以下のグラフのように、

コメ由来グルコシルセラミド塗布によるシワへの影響

0.02%コメ由来グルコシドセラミド塗布部位は、未配合塗布部位と比較してシワの平均深度の有意な改善がみられた。

このような検証結果が明らかにされており(文献6:2016)、グルコシルセラミドにシワ改善による抗老化作用が認められています。

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グルコシルセラミドの安全性(刺激性・アレルギー)について

グルコシルセラミドの現時点での安全性は、

  • 生体内に存在するスフィンゴ糖脂質の一種
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

生体内に存在するスフィンゴ糖脂質の一種であり、また10年以上の使用実績の中で皮膚感作の報告がないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

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グルコシルセラミドはバリア改善成分、保湿成分、抗老化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:バリア改善成分 保湿成分 抗老化成分

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文献一覧:

  1. 平林 義雄(2011)「スフィンゴ脂質とセラミド概論」セラミド―基礎と応用-,4-13.
  2. 市川 進一, 他(1996)「スフィンゴ糖脂質の機能解析と医薬品開発」ファルマシア(32)(11),1365-1368.
  3. 張 慧利, 他(2004)「米由来スフィンゴ糖脂質の機能性とその応用」Fragrance Journal(32)(11),46-53.
  4. 清水 宏(2011)「周辺帯」あたらしい皮膚科学第2版,9.
  5. 朝田 康夫(2002)「保湿能力と水分喪失の関係は」美容皮膚科学事典,103-104.
  6. 高橋 達治(2016)「コメ由来グルコシルセラミドの内外美容効果」Fragrance Journal(44)(6),37-42.
  7. 那波 絹江, 他(2016)「内外美容素材:コメ由来グルコシルセラミド」Food style 21(20)(3),46-49.

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