セラミドとは…種類・成分効果と毒性を解説

バリア改善成分 保湿成分
セラミド
[化粧品成分表示名称]
・セラミドEOP、セラミドNG、セラミドNP、セラミドEOH、セラミドAG、セラミドAP、セラミドEOS(改正名称)
・セラミド1、セラミド2、セラミド3、セラミド4、セラミド5、セラミド6Ⅱ、セラミド9(旧称)

[医薬部外品表示名称]
・N-フィトスフィンゴシン、N-ステアロイルジヒドロスフィンゴシン、N-ステアロイルフィトスフィンゴシン、N-2-ヒドロキシステアロイルフィトスフィンゴシン

[慣用名]
・セラミド、ヒトセラミド

化粧品表示名称については、海外の原料では英語表記に統一されており、日本でも英語表記に改正されていますが、国内原料ではまだまだ数字表記が標準となっており、現在は英語表記と数字表記が入り乱れた状態です。

セラミドとは、以下の表皮における角質層の構造をみてもらうとわかりやすいと思いますが、

皮膚の保湿およびバリア機能の構造

顆粒層から角層に細胞が移行する際にセレブロシドがセレブロシダーゼと呼ばれる酵素により変性を受けることによって生成され、角層に蓄積される角質細胞間脂質の主要構成成分です。

現在は、発酵法や有機合成などの組み合わせにより、天然セラミドと同様の構造を有するセラミドが開発されています。

角質細胞間脂質は、角質と角質の間に敷き詰められており、組成としては、

  • セラミド:約50%
  • 遊離脂肪酸:約20%
  • コレステロール:約15%
  • コレステロールエステル:約10%
  • 糖脂質:約5%

で構成されており、またヒト皮膚におけるセラミドは、4種類のスフィンゴイド塩基と3種類の脂肪酸(FA:Fatty Acid)の組み合わせから12タイプに分類されており(文献19:2017)

スフィンゴイド塩基 脂肪酸
ノンヒドロキシ脂肪酸
(Non hydroxy FA)
α-ヒドロキシ脂肪酸
(Alpha hydroxy FA)
エステルω-ヒドロキシ脂肪酸
(Ester-linked Omega hydroxy FA)
ジヒドロスフィンゴシン
(Dihydrosphingosine)
セラミドNDS
セラミド10
セラミドADS セラミドEODS
スフィンゴシン
(sphingosine)
セラミドNS (NG)
セラミド2
セラミドAS (AG)
セラミド5
セラミドEOS
セラミド9
フィトスフィンゴシン
(Hhytosphingosine)
セラミドNP
セラミド3
セラミドAP
セラミド6
セラミドEOP
セラミド1
6-ヒドロキシフィトスフィンゴシン
(6-Hydroxysphingosine)
セラミドNH
セラミド8
セラミドAH
セラミド7
セラミドEOH
セラミド4

12種類すべてがヒト角質層で確認されていますが(文献16:2008)、毛髪においてはNS,NDS,AS,ADSの4タイプのみ確認されていることから(文献17:2006)、皮膚の角層においては複雑なセラミド代謝が特異的に働いていることが示唆されています(文献18:2009)

また皮膚の老化や疾患におけるセラミドの組成変化について、

  • 老化現象(とくに50歳以上)や肌荒れによって角層中のセラミド含有量が低下すること
  • バリア機能が低下しているヒト皮膚では角質層中のセラミド量が減少していること
  • 日本人女性は成人を過ぎると、セラミド1および2は増加し、セラミド3および6は減少すること
  • アトピー性皮膚炎においてセラミド1が減少していること

などの報告があります(文献3:1991;文献4:1989;文献5:1994;文献6:1991)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ヘアケア製品など様々な製品に使用されます(文献1:2016;)

バリア機能改善作用

バリア機能改善作用に関しては、まず前提知識として皮膚バリア機能と細胞間脂質の関係について解説します。

以下の表皮における角質層の構造をみてもらうとわかりやすいと思いますが、

角質層の構造

皮膚の最外層である角質層には、様々な刺激や物質の侵入を防いだり、体内の水分が体外へ過剰に蒸散していくのを防ぐバリア機能が備わっています。

角質層の機能は、レンガとセメントで例えられることが多いですが、レンガとしての角質内部には天然保湿因子として複数のアミノ酸が存在しており、またセメントとしての細胞間脂質はセラミド、コレステロール、遊離脂肪酸などで構成されています。

そしてこれら角質層の構成物がバランスよく存在することで健常なバリア機能が維持されます。

また角質細胞の一番外側には以下の画像のように、

皮膚における角質の構造図

細胞膜が存在し、細胞膜の内側には周辺帯(cornified Sell envelope:CE)と呼ばれる極めて強靭な裏打ち構造の不溶性タンパクの膜が角質細胞を包んでいます(文献15:2011)が、セラミドはインボルクリンやロリクリンなどCE構成タンパクと共有結合することで、角質と細胞間脂質を強固に接着し、健常なバリア機能を形成しています。

さらに皮膚表面から水分が蒸散されることを経皮水分蒸散(TEWL:Transepidermal Water Loss)といいますが、経皮水分蒸散が大きくなるということは、バリア機能が低下していることを意味しており、経皮水分蒸散は、角質層のバリア機能低下のバロメーターでもあります(文献7:2002)

一般的に経皮水分蒸散量は、年齢を重ねるごとに大きくなる傾向にあり、また表皮の新陳代謝異常が起こると、角質層の細胞間脂質に形状異常がみられるようになり、経皮水分蒸散が大きくなることで最終的に角質細胞が規則的に並ばなくなり、そこに生じた隙間からさらに水分が蒸散し、バリア機能・保湿機能が低下する結果となります(文献7:2002)

経皮水分蒸散の増大は、角質層の保湿機能の低下につながり、この2つは逆相関関係にあると考えられます。

1995-1996年にカリフォルニア医科大学皮膚科によって報告された研究によると、

細胞間脂質を構成するセラミド、コレステロール、遊離脂肪酸の3種の脂質の外用効果を検討した。

最初に皮膚バリアをアセトンなどで破壊した後、これらの脂質を塗布してその後の回復速度を評価した。

その結果、それぞれ単独で塗布した場合、どの脂質もむしろバリアの回復は遅れ、さらに2種類を混合して塗布した場合にも回復は遅れた。

一方で3種類を適当な比率で混合して塗布した場合、回復が促進された。

これらの結果は生体に存在する脂質をバランスをとって外用することにより、表皮が本来もっているバリア回復力を高めることができる可能性を示した。

このような検証結果が明らかにされており(文献8:1995;文献9:1996)、セラミドは単独よりもコレステロールおよび遊離脂肪酸と併用して配合することでバリア回復力が促進されることが示唆されています。

またこの検討は、外用した脂質が物理化学的に角質層のバリア機能を改善したのではなく、いったん表皮に取り込まれ、表皮の代謝系に何らかの影響を及ぼし、表皮から角質層が形成される過程で再び細胞間脂質として供給され、その結果としてバリア機能の回復が促進されていると考えられます(文献10:1999)

水分保持能による保湿作用

水分保持能による保湿作用に関しては、まず前提知識として細胞間脂質のラメラ構造について解説します。

以下の細胞間脂質の構造をみてもらうとわかりやすいと思いますが、

細胞間脂質におけるラメラ構造の仕組み

細胞間脂質は、疎水層と親水層を繰り返すラメラ構造を形成していることが大きな特徴であり、セラミドをはじめとする脂質が結合水を挟み込むような構造となっています。

結合水とは、たんぱく質分子や親液コロイド粒子などの成分物質と強く結合している水分であり、純粋な水であれば0℃で凍るところ、角層中の水のうち33%は-40℃まで冷却しても凍らない(文献14:1991)のは、角層内に存在する水のうち約⅓が結合水であることに由来しています。

角質層全体からみれば水分の大部分を保持しているのは角質に存在するアミノ酸などの天然保湿因子であり、細胞間脂質の隙間に存在する水分はごくわずかな結合水のみで(文献11:1991)、細胞間脂質はアミノ酸などの天然保湿因子の流出を保護する役割を果たしていると考えられています。

一方で、界面活性剤処理で細胞間脂質だけでなく天然保湿因子も溶出させた場合のモデル乾燥肌に対して、細胞間脂質のみを塗布しただけで表皮水分量が大幅に増加することが報告されており(文献12:1989)、細胞間脂質成分を個々に塗布して比較評価すると主成分であるセラミドに最も高い改善効果が認められています(文献13:1986)

これらの結果から細胞間脂質、とりわけセラミドは角層中の結合水の維持に重要であり、角層において強固に水分を保持する本質であると考えられます。

スポンサーリンク

セラミドの種類

セラミドのタイプはすでに解説しましたが、化粧品として配合されるセラミドは現時点では以下の7種類であり、それぞれ異なった役割が少しずつ解明されてきているので、明らかになっている特徴をわかり次第以下に掲載しておきます。

  • セラミド1・セラミドEOP [部外品名:N-フィトスフィンゴシン]
    セラミド全体における割合は10%前後ですが、非常に疎水性が高く、バリア機能形成に特化したセラミドです。
  • セラミド2・セラミドNG [部外品名:N-ステアロイルジヒドロスフィンゴシン]
  • セラミド3・セラミドNP [部外品名:N-ステアロイルフィトスフィンゴシン]
  • セラミド4・セラミドEOH 
  • セラミド5・セラミドAG 
  • セラミド6Ⅱ・セラミドAP [部外品名:ヒドロキシステアロイルフィトスフィンゴシン]
  • セラミド9・セラミドEOS 

すべてのセラミドおよび細胞間脂質を皮膚および毛髪の組成比率で配合することが理想的とされていますが、セラミドは成分としても高価であるため、それぞれの製品コンセプトに沿って単体または複数のセラミドプレミックス原料が配合される傾向にあります。

セラミドの安全性(刺激性・アレルギー)について

セラミドの現時点での安全性は、生体内に存在する成分であり、また10年以上の使用実績があり、皮膚刺激性および眼刺激性はほとんどなく、重大な皮膚感作(アレルギー)の報告もないため、安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

安全性試験の詳細は、各セラミド記事を参照してください。

眼刺激性について

安全性試験の詳細は、各セラミド記事を参照してください。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
セラミド 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ウコン根茎エキスは毒性なし(∗1)となっており、安全性に問題ない成分であると考えられます。

∗1 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

セラミドはバリア改善成分、保湿成分にカテゴライズされています。

それぞれの成分一覧は以下からお読みください。

参考:バリア改善成分 保湿成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. 日光ケミカルズ(2016)「セラミド」パーソナルケアハンドブック,515.
  2. Robson KJ, et al(1994)「6-Hydroxy-4-sphingenine in human epidermal ceramides.」Journal of Ripid Research(35)(11),2060-2068.
  3. Imokawa G, et al(1991)「Decreased level of ceramides in stratum corneum of atopic dermatitis: an etiologic factor in atopic dry skin?」Journal of Investigate Dermatology(96)(4),523-526.
  4. Grubauer G, et al(1989)「Lipid content and lipid type as determinants of the epidermal permeability barrier.」Journal of Ripid Research(30)(1),89-96.
  5. Rawlings AV, et al(1994)「Stratum corneum moisturization at the molecular level.」Journal of Investigate Dermatology(103)(5),731-741.
  6. Yamamoto A, et al(1991)「Stratum corneum lipid abnormalities in atopic dermatitis.」Archive of Dermatological Research(283)(4),219-223.
  7. 朝田 康夫(2002)「保湿能力と水分喪失の関係は」美容皮膚科学事典,103-104.
  8. Mao-Qiang M, et al(1995)「Exogenous nonphysiologic vs physiologic lipids. Divergent mechanisms for correction of permeability barrier dysfunction.」Archive of Dermatology(131)(7),809-816.
  9. Mao-Qiang M, et al(1996)「Optimization of physiological lipid mixtures for barrier repair.」Journal of Investigate Dermatology(106)(5),1096-1101.
  10. 伝田 光洋(1999)「角質層の物理化学的機能におけるセラミドの役割」Fragrance Journal(27)(10),17-22.
  11. Bouwstra JA, et al(1991)「Structural investigations of human stratum corneum by small-angle X-ray scattering.」Journal of Investigate Dermatology(97)(6),1005-1012.
  12. Imokawa G, et al(1989)「Importance of intercellular lipids in water-retention properties of the stratum corneum: induction and recovery study of surfactant dry skin.」Archive of Dermatological Research(281)(1),45-51.
  13. Imokawa G, et al(1986)「Importance of intercellular lipids in water-retention properties of the stratum corneum: induction and recovery study of surfactant dry skin.」Journal of Investigate Dermatology(87)(6),758-761.
  14. Imokawa G, et al(1991)「Stratum corneum lipids serve as a bound-water modulator.」Journal of Investigate Dermatology(96)(6),845-851.
  15. 清水 宏(2011)「周辺帯」あたらしい皮膚科学第2版,9.
  16. Y. Masukawa, et al(2008)「Characterization of overall ceramide species in human stratum corneum.」Journal of Lipid Research(49),1466-1476.
  17. Y. Masukawa, et al(2006)「Liquid chromatography-mass spectrometry for comprehensive profiling of ceramide molecules in human hair.」Journal of Lipid Research(47),1559-1571.
  18. 内田 良一(2009)「皮膚組織におけるセラミド代謝の特徴」細胞(41),190-193.
  19. 大野 祐介(2017)「皮膚バリア機能に必須な脂質アシルセラミドの生合成機構の解明」YAKUGAKU ZASSHI(137)(10),1201-1208.

スポンサーリンク

TOPへ