塩化Alとは…成分効果と毒性を解説

収れん成分 制汗剤
塩化Al
[化粧品成分表示名称]
・塩化Al

[慣用名]
・塩化アルミニウム

塩化Alは化粧品としては塩化Alと表示されますが、化学的には無水塩化アルミニウムと塩化アルミニウム六水和物があり、化粧品として使用されるのは塩化アルミニウム六水和物なので、ここでは塩化アルミニウム六水和物として解説しています。

塩化アルミニウム塩で水に溶けやすい白色~微黄色の結晶性粉末(金属塩)です。

肌を引き締める働きや汗を抑制する働きがあり、化粧品に配合される場合は、強い収れん作用があるため、収れん化粧水、アフターシェーブローション、スキントニックなどに配合されたり、肌を引き締めることで顔料などの粉体のつきをよくし化粧くずれが起こりにくくなるため、パウダー系のメイクアップ化粧品に配合されたり、強い制汗作用があるため制汗剤に配合されますが、皮膚刺激性および腐食性が明らかになったため、現在は使用が減少傾向にあります。

2015年に改訂された「原発性局所多汗症診療ガイドライン」によると、多汗症の外用治療薬の主体には塩化アルミニウムが挙げられていますが、副作用として最も多いのは刺激皮膚炎であると報告されています(文献2:2015)

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塩化Alの安全性(刺激性・アレルギー)について

塩化Alの現時点での安全性は、眼刺激性はデータ不足のため詳細不明で、重大な皮膚感作性(アレルギー性)の報告もみあたりませんが、皮膚刺激性および腐食性が明らかになっているため、安全性の低い成分であると考えられます。

皮膚刺激性および腐食性が明らかになっているため、現在ではあまり使用されない傾向にあります。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

厚生労働省が運営する”職場のあんぜんサイト”の塩化アルミニウム六水和物に関する安全データシート(文献1:2006)によると、

  • [ヒト試験] ヒトの皮膚に塩化Alを3日間の連続適用したところ、軽度の刺激性が認められている(RTECS,2004)
  • [ヒト試験] 12人の症候性発汗症の患者に塩化Alを4週間局所適用による治療効果を調べた試験で、12人のうち4人に刺激性が認められ、刺激を認めた4人のうち3人は適用継続のまま1週間後に刺激性は消失したが、残りの1人は重度の刺激性のため適用が中止された(PubMed/NLM,2005)。この結果から皮膚に対して刺激性があると考えられるので区分2(中程度の皮膚刺激性)に分類された

と記載されています。

試験では共通して軽度から中等の皮膚刺激が報告されているため、皮膚刺激性は軽度~中等の刺激性であると考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全データはみあたらないため、眼刺激性はデータ不足により詳細は不明です。

皮膚感作性(アレルギー性)について

試験結果や安全データはみあたりませんが、重大な皮膚感作(アレルギー)の報告もないため、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

安全性についての捕捉

アルツハイマー病患者の脳にアルミニウムが蓄積していたこと、飲料水中のアルミニウム濃度が高い地域においてアルツハイマー病発症率が高かったこと、透析痴呆の患者の脳のアルミニウム含量が高かったことなどから、アルミニウムがアルツハイマー病の原因ではないかという報告が1989年から2000年にかけて5つ公開されていますが、1990年代に飲料水中のアルミニウム濃度とアルツハイマー病や記憶力に関連性は見られないという報告も3つ公開されており、疫学調査においても見解は一致していません(文献3:2016)

また、2002年の「アルミニウムを多く摂取する制酸薬とアルツハイマーのリスクは無関係であったという5年間の追跡調査」のように因果関係に否定的な報告もでてきています(文献3:2016)

アルミニウムがアルツハイマー病の発症に関与するかの結論はまだでていませんが、現在まで皮膚に塩化アルミニウムを外用(塗布)することでの因果関係の報告はなく、また手掌の単純外用では血中の塩化アルミニウム濃度の上昇は認められなかったという報告もあるため(文献2:2015)、皮膚に塗布する場合においてはアルツハイマーとの関連はないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
塩化Al

参考までに化粧品毒性判定事典によると、塩化Alは■(∗2)となっていますが、安全データなどをみるかぎり、皮膚刺激や腐食性が明らかになっており、配合製品数も減少傾向にあるため、安全性の低い成分であると考えられます。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

塩化Alは収れん成分にカテゴライズされています。

それぞれの成分一覧は以下からお読みください。

参考:収れん成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “職場のあんぜんサイト”(2006)「安全データシート 塩化アルミニウム六水和物」, <http://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/0644.html> 2018年2月24日アクセス.
  2. 日本皮膚科学会(2015)「原発性局所多汗症診療ガイドライン 2015 年改訂版」, <https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/genpatuseikyokusyotaknsyouguideline2015.pdf> 2018年2月26日アクセス.
  3. 「健康食品」の安全性・有効性情報(2016)「アルミニウムとアルツハイマー病の関連情報」, <http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail970.html> 2018年2月26日アクセス.

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