ユズ果実エキスとは…成分効果と毒性を解説

収れん 保湿 血行促進成分
ユズ果実エキス
[化粧品成分表示名称]
・ユズ果実エキス

[医薬部外品表示名称]
・ユズエキス

ミカン科植物ユズ(学名:Citrus junos 英名:Yuzu)の果実からエタノールで抽出して得られる抽出物植物エキスです。

ユズ果実エキスは、以下の表をみてもらうとわかりやすいと思いますが、

化粧品成分表示名称 医薬部外品表示名称 抽出方法 皮膚に対する主な作用
ユズ果実エキス ユズエキス エタノール 収れん、保湿、血行促進
ユズセラミド BG バリア改善

抽出する溶剤の種類が異なることによってエキスに含まれる成分組成が大きく異なり、その結果として作用がまったく異なります。

化粧品成分表示名称は同じですが、これらを同一ページで解説すると情報が複雑になり、誤解を招きやすくなると判断したため、医薬部外品表示名称「ユズセラミド」はユズセラミドのページにて解説し、こちらでは医薬部外品表示名称「ユズエキス」を解説します。

ユズは、中国の揚子江上流を原産とし、日本には奈良朝または飛鳥時代に渡来したと考えられており、柑橘類の中では最も寒さに強く、北は東北地方まで全国的に分布しています(文献2:2017;文献3:2011)

日本ではユズの酸味と芳香を珍重し、柚子味噌、柚子釜、柚餅子などの料理に、果汁は果実酢に、果実はジャムなどに、オイルは香料として利用されています(文献3:2011)

また、江戸時代に銭湯で災厄をはらう縁起の湯として冬至に輪切りにした柚子を浮かべていたことから、現在においても冬至に輪切りまたはまるごと柚子を浮かべるゆず湯の習慣が根付いています(文献4:2018)

ユズ果実エキスは天然成分であることから、地域、時期、抽出方法によって成分組成に差異があると推察されますが、その成分組成は主に、

分類 成分名称
有機酸 クエン酸(主要成分)酒石酸リンゴ酸
ビタミン アスコルビン酸
多糖類 ペクチン
テルペノイド モノテルペン リモネン、α-ピネン、シトラールなど

これらの成分で構成されていることが報告されており(文献2:2017;文献3:2011;文献4:2018;文献5:1974)、主要成分は有機酸であるクエン酸です。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、メイクアップ化粧品、ボディ&ハンドケア製品、洗顔料、洗顔石鹸、クレンジング製品、入浴剤などに使用されています。

また、植物やユズをコンセプトにした製品にも配合されています。

収れん作用

収れん作用に関しては、ユズ果実エキスの主要成分は、有機酸の一種かつ収れん(肌の引き締め)作用をもつクエン酸であり、ほかにも有機酸かつ収れん剤である酒石酸などが含有されていることから、穏やかな収れん作用を有しており、収れん化粧品に配合されています。

皮表柔軟化による保湿作用

皮表柔軟化による保湿作用に関しては、まず前提知識としてペクチンについて解説します。

ペクチンとは、植物、特に果実・果汁中に存在する多糖類であり、化粧品においては一般にゲル化剤・増粘剤として用いられていますが、古くは皮表(皮膚表面)をなめらかにする効果からスキンケアローションなどに使用されていたことが知られています(文献6:1972;文献7:1984)

ユズ果実エキスは、多糖類の一種であるペクチンを含有していることから(文献5:1974)、皮表をなめらかにする保湿作用を有していると考えられています。

局所刺激による血管拡張作用

局所刺激による血管拡張作用に関しては、ユズ果実エキスには精油成分(芳香成分)としてα-ピネンやシトラールが含まれており、これらには皮膚への局所刺激による抹消血管拡張作用、その結果としての皮膚に対する血行促進作用が知られています(文献8:2012)

このような背景から、穏やかな局所皮膚刺激による抹消血管拡張・血行促進によって皮膚の血色を改善する目的でアイライナー、アイブロー、ファンデーション、リップ系化粧品、ボディ&ハンドケア製品、洗顔料、洗顔石鹸、クレンジング製品、入浴剤などに使用されています。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2013-2015年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

ユズ果実エキスの配合製品数と配合量の調査結果(2013-2015年)

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ユズ果実エキスの安全性(刺激性・アレルギー)について

ユズ果実エキスの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 20年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性試験データ(文献1:2015)によると、

  • [ヒト試験] 25人の被検者に1.2%ユズ果実エキスを単一閉塞パッチ適用し、パッチ除去後に皮膚反応を評価したところ、皮膚刺激の兆候はみられなかった(Personal Care Products Council,2015)
  • [動物試験] 3匹のウサギを用いて1.2%ユズ果実エキスの皮膚刺激性試験を実施したところ、この試験物質は非刺激剤に分類された(Personal Care Products Council,2015)
  • [動物試験] 30匹のモルモットを用いて1.2%ユズ果実エキスの皮膚感作性試験を実施したところ、この試験物質は非感作剤に分類された(Personal Care Products Council,2015)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激および皮膚感作なしと報告されているため、一般に皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

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ユズ果実エキスは収れん成分、保湿成分、血行促進成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:収れん成分 保湿成分 血行促進成分

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2015)「Safety Assessment of Citrus Fruit-Derived Ingredients as Used in Cosmetics」Final Report.
  2. 杉田 浩一, 他(2017)「ゆず」新版 日本食品大事典,810.
  3. 鈴木 洋(2011)「柚」カラー版 漢方のくすりの事典 第2版,468-469.
  4. ジャパンハーブソサエティー(2018)「ユズ」ハーブのすべてがわかる事典,59.
  5. 川端 晶子, 他(1974)「果実類・果菜類および種実類のペクチン含有量について」栄養学雑誌(32)(1),9-18.
  6. 福原 信和(1972)「化粧品における水溶性高分子の利用」高分子(21)(5),250-253.
  7. 光井 武夫(1984)「天然高分子」水溶性高分子 新増補版,220-228.
  8. 鈴木 一成(2012)「ユズ果実エキス」化粧品成分用語事典2012,347.

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