ハマメリス葉エキスとは…成分効果と毒性を解説

収れん 効果促進
ハマメリス葉エキス
[化粧品成分表示名称]
・ハマメリス葉エキス

[医薬部外品表示名称]
・ハマメリスエキス

マンサク科植物アメリカマンサク(学名:Hamamelis Virginiana 英名:Witch Hazel)の葉からエタノールBGで抽出して得られる抽出物植物エキスです。

ウィッチヘーゼル(アメリカマンサク)は北アメリカ原産であり、北アメリカの先住民はウィッチヘーゼルを切り傷や湿疹、眼の炎症や痔、虫刺されなどに外用で用いてきました(文献2:2011)

現在、ドイツでは歯肉炎や口内炎など口腔粘膜の炎症、局所刺激や痔、止血などの目的で内容・外用で用いられており、フランスではひげ剃り後のスキンケアや止血に、また日焼け後のケアや眼のかゆみ、口腔衛生などの目的で用いられています(文献2:2011)

ハマメリス葉エキスは天然成分であることから、地域、時期、抽出方法によって成分組成に差異があると推察されますが、その成分組成は主に、

分類 成分名称
タンニン ハマメリタンニン(主要成分)
フラボノイド フラボノール ケンペノール、ケルセチン

これらの成分で構成されていることが報告されており(文献2:2011;文献3:1958)、主要成分は収れん作用を示すことが知られているハマメリタンニン(hamamelitannin)です(文献4:2001)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ボディケア製品、メイクアップ化粧品、洗顔料、洗顔石鹸、クレンジング製品、シート&マスク製品などに汎用されています。

収れん作用

収れん作用に関しては、ハマメリス葉エキスは加水分解性タンニンの一種であるハマメリタンニンを比較的多く含有しており(文献3:1958)、このハマメリタンニンが皮膚のタンパク質を収縮させることによる収れん作用を有していることため、古くから収れん化粧水をはじめとするスキンケア化粧品に用いられています。

トコフェロールに対する抗酸化能増強作用

トコフェロールに対する抗酸化能増強作用に関しては、まず前提知識としてトコフェロールについて解説します。

一般的にビタミンEの名称で知られているトコフェロールは、皮膚に存在する代表的な抗酸化物質のひとつであり、日常の活性酸素種の除去や紫外線曝露によって過剰に産生される活性酸素種の反応によって引き起こされる過酸化脂質の抑制など多角的な抗酸化能を発揮することが知られています。

ハマメリス葉エキスに含まれるハマメリタンニンは、それ自体の抗酸化作用は不明であるものの、トコフェロールの抗酸化効果を相乗的に増強することが立証されていることから(文献5:1993)、ハマメリス葉エキスの塗布による皮膚内トコフェロールの抗酸化効果を高める可能性があると考えられます。

効果・作用についての補足 – 細胞接着因子発現抑制による抗炎症作用

細胞接着因子発現抑制による抗炎症作用に関しては、まず前提知識として紫外線(UVB)曝露による炎症反応と炎症反応における細胞接着因子の働きについて解説します。

以下の紫外線(UVB)曝露による炎症のメカニズム図(一部省略)をみてもらうとわかりやすいと思うのですが、

紫外線曝露による炎症反応メカニズム

最初に皮膚が紫外線(UVB)に曝露されると、転写因子(∗1)の一種であるNF-κB(nuclear factor-kappa B)が過剰に発現することが知られており、このNF-κBの過剰な発現によって、炎症反応に深く関与している炎症性サイトカイン(∗2)であるIL-1α(interleukin-1α:インターロイキン-1α)やTNF-α(tumor necrosis factor-α)が産生・放出されます(文献6:2005;文献7:1994)

∗1 転写因子とは、細胞内のDNAに特異的に結合するタンパク質の一群のことです。

∗2 サイトカインとは、細胞間相互作用に関与する生理活性物質の総称であり、標的細胞にシグナルを伝達し、細胞の増殖、分化、細胞死、機能発現など多様な細胞応答を引き起こすことで知られています。炎症性サイトカインとは、サイトカインの中で主に生体内に炎症反応を引き起こすサイトカインのことをいいます。

これらの炎症性サイトカインは、種々のサイトカインを産生させ、さらに真皮の血管内皮細胞に存在する細胞接着因子を誘導し、血中に存在する炎症細胞(白血球)を血管内皮細胞に強固に接着することにより炎症細胞の血管透過性を高め、炎症反応を増強することが知られています(文献7:1994;文献8:1995;文献9:2010)

炎症性サイトカインが誘導する細胞接着因子は、以下の表をみてもらうとわかりやすいと思いますが、

慣用名 正式名称 接着する白血球
ICAM-1 intercellular adhesion molecule-1 Tリンパ球、単球
VCAM-1 vascular cell adhesion molecule-1 好酸球、リンパ球
ELAM-1 endothelial leukocyte adhesion molecule-1 好酸球

このような種類が報告されています(文献8:1995;文献9:2010;文献10:1994)

また、これらの炎症性サイトカインはさらにNF-κBの発現を誘導するため、炎症反応の悪循環が生じ、炎症反応は増幅していくことも明らかにされています(文献6:2005)

このような背景から、血管内皮細胞と炎症細胞の接着を抑制し炎症細胞の遊走(∗3)を制御することは、過剰な炎症の抑制において重要であると考えられます。

∗3 遊走とは細胞などが生体内のある場所から別の場所に移動することであり、炎症細胞(白血球)の遊走とは炎症反応の場において白血球が血管を透過して化学的刺激物質(白血球走化性因子)に向かって遊走していく現象をいいます。

1996年に花王によって報告されたハマメリス葉エキスの細胞接着因子への影響検証によると、

in vitroにおいてヒト血管内皮細胞に、最終濃度0.0001-0.001%となるように調整されたハマメリス抽出物を添加、18時間後にヒトIL-1αを5units/mL添加、6時間培養・処理後にヒト抹消白血球を添加し30分後に未接着細胞を除去し接着細胞を測定した。

その結果、0.001%ハマメリス抽出物は90%以上の白血球接着阻害率を示したことから、優れた細胞接着抑制効果が判明した。

次に、in vitroにおいてヒト血管内皮細胞に対し最終濃度0.001%となるように調整されたハマメリス抽出物を添加、18時間後にヒトIL-1αまたはTNF-αを最終濃度2.5ng/mLに調整添加し、培養・処理後に抗ICAM-1、抗

その結果、ハマメリス抽出物は、細胞接着因子として知られるICAM-1およびELAM-1の発現を60%以上抑制したことから、ICAM-1およびELAM-1の発現を強く抑制することが判明した。

このような試験結果が明らかにされており(文献11:1996)、invitro試験においてハマメリス葉エキスに細胞接着因子発現抑制による抗炎症作用が認められています。

細胞接着因子は真皮の血管内皮細胞に発現することから、動物またはヒトによる細胞接着因子発現抑制による抗炎症作用検証データが必要であると考えられますが、現時点ではこれらのデータが見当たらないため、実際のヒトに対する細胞接着因子発現抑制による抗炎症効果はデータがみつかりしだい追補します。

複合植物エキスとしてのハマメリス葉エキス

ハマメリス葉エキスは、他の植物エキスとあらかじめ混合された複合原料があり、ハマメリス葉エキスと以下の成分が併用されている場合は、複合植物エキス原料として配合されている可能性が考えられます。

原料名 ファルコレックスBX43
構成成分 BGセイヨウトチノキ種子エキスアルニカ花エキスハマメリス葉エキスセイヨウキズタ葉/茎エキスセイヨウオトギリソウ花/葉/茎エキスブドウ葉エキス
特徴 SOD様作用や過酸化脂質抑制作用を有した6種類の抗酸化系混合植物抽出液
原料名 CobioPhytonic
構成成分 PG、ヘスペリジンメチルカルコン、ゼニアオイ花エキスセイヨウトチノキ種子エキスハマメリス葉エキスナギイカダ根エキスアルニカ花エキス
特徴 目周りのシワやくま、たるみにアプローチする抗酸化作用や抗炎症作用を有した5種類の混合植物抽出液と植物由来フラボノイドの混合物
原料名 CobioWhite
構成成分 グリセリンポリソルベート20ハマメリス葉エキス、コリアンダー果実エキス、オリーブ果実エキス
特徴 チロシナーゼ活性による色素沈着抑制作用、抗酸化、MMP-9とMMP-2抑制など多角的な色素沈着改善作用を有した混合植物抽出液

実際にどのような製品にどれくらい配合されているのかというと、2017-2018年の海外の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

ハマメリス葉エキスの配合状況調査(2017-2018年)

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ハマメリス葉エキスの安全性(刺激性・アレルギー)について

ハマメリス葉エキスの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 30年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし
  • 光毒性:ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2018)によると、

  • [ヒト試験] 108人の被検者に0.45%ハマメリス葉エキスを含む水溶液を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を半閉塞パッチにて実施したところ、この試験物質は皮膚刺激および皮膚感作の兆候を示さなかった(BASF,2015)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激および皮膚感作なしと報告されているため、一般に皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

光毒性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2018)によると、

  • [in vitro試験] 1020μg/mL-17,000μg/mL濃度範囲のハマメリス葉エキスを含む混合物を添加して培養した2つの3T3細胞を用いて、1つは非細胞毒性照射量のUVAを照射し、もう一方は暗所に置き24時間後に細胞生存率を評価する3T3 NRU光毒性試験を実施したところ、この試験物質はいずれの濃度においても細胞毒性を示さなかった(BASF,2015)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、光毒性なしと報告されているため、一般に光毒性はほとんどないと考えられます。

∗∗∗

ハマメリス葉エキスは収れん成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:収れん成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2018)「Safety Assessment of Hamamelis virginiana (Witch Hazel)-Derived Ingredients as Used in Cosmetics」Final Report.
  2. 林 真一郎(2016)「ウィッチヘーゼル」メディカルハーブの事典 改定新版,16-17.
  3. 大島 康義(1958)「植物タンニンの化学」日本農芸化学会誌(32)(7),A81-A88.
  4. 田村 健夫, 他(2001)「収れん化粧水」香粧品科学 理論と実際 第4版,353-355.
  5. H. Masaki, et al(1993)「Development of Anti-Aging component as a Cosmetic Ingredient」日本化粧品技術者会誌(27)(3),267-275.
  6. K. Tanaka, et al(2005)「Prevention of the Ultraviolet B-Mediated Skin Photoaging by a Nuclear Factor κB Inhibitor, Parthenolide」Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics(315)(2),624-630.
  7. 島田 眞路(1994)「表皮の免疫担当細胞について」日本臨床免疫学会会誌(17)(6),664-666.
  8. 西 達也(1995)「白血球はどのようにして炎症部位に集まるのか」化学と生物(33)(2),83-90.
  9. 門野 岳史(2010)「皮膚の炎症における細胞接着分子の役割」日本臨床免疫学会会誌(33)(5)242-248.
  10. 片山 一朗, 他(1994)「細胞接着因子」日本臨床免疫学会会誌(17)(6)744-747.
  11. 花王株式会社(1996)「細胞接着抑制剤」特開平08-157383.

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