タンニン酸とは…成分効果と毒性を解説

収れん成分 抗掻痒
タンニン酸
[化粧品成分表示名称]
・タンニン酸

[医薬部外品表示名称]
・タンニン酸

五倍子(ごばいし)(∗1)または没食子(もっしょくし・ぼっしょくし)(∗2)から得た加水分解性タンニンであり、無晶形および水溶性の有機酸です。

∗1 五倍子とは、ヌルデ(学名:Rhus javanica 英名:Chinese sumac)の若葉に寄生したヌルデシロアブラムシの刺激によって、植物体の保護成分であるタンニン酸が集中し、その部分が膨らんだものであり、いわゆる虫こぶの一種です。

∗2 没食子とは、ブナ科植物の若芽にインクタマバチが産卵し、若芽が変形して瘤となったものであり、虫こぶの一種です。

タンニンは様々な植物に含まれており、植物によってタンニンの性質も異なりますが、日本薬局方の定義では、五倍子または没食子から得たタンニンをタンニン酸としています(文献2:2016)

加水分解性タンニンは、糖と没食子酸などの多価フェノール(ポリフェノール)がエステル結合した化学構造をとっており、加水分解される性質があります。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、ヘアケア製品、洗浄製品、制汗剤、スキンケア化粧品などに使用されています(文献1:2012)

収れん作用

収れん作用に関しては、タンニン酸は口に入れると強い渋味を感じますが、これはタンニン酸が舌や口腔粘膜のタンパク質と結合し、タンパク質を変性(収縮)させることによって起こり、このタンパク質変性作用こそが収れん作用となっています。

タンニン酸は通常10%程度の水を含んでおり、タンニン酸の収れん作用はその水を皮膚または毛穴などに溶解させることで発揮するため、主に毛穴を引き締める目的で頭皮ケア製品、シャンプー、制汗剤などに配合されます(文献3:1989)

ヒスタミン遊離抑制による抗瘙痒作用

ヒスタミン遊離抑制による抗瘙痒作用に関しては、まず前提知識として皮膚の瘙痒(そうよう)について解説します。

瘙痒とは端的にいうと「かゆみ」のことで、アトピー性皮膚炎、乾燥による掻痒症などがあり、とくにアトピー性皮膚炎の瘙痒に対する悩みは増えています。

これらの皮膚掻痒症は、表皮バリアの崩壊により、外的刺激に過敏になったり、表皮水分蒸散量が増え、皮膚が乾燥することにより痒みが生じていると考えられています。

これらの背景から、瘙痒を防止・改善することはアトピー性皮膚炎や乾燥によるかゆみの改善に重要であると考えられます。

2011年に広島大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚科学およびツムラライフサイエンス株式会社商品開発部によって報告されたアトピー性皮膚炎に対するタンニン酸配合スキンケア製剤の臨床効果の検討によると、

アトピー性皮膚炎患者の多くは汗に対する即時型アレルギーを有しており、精製汗抗原のヒスタミン遊離能を失活させる物質の探索においてタンニン酸を検討した。

まずタンニン酸による精製精製汗抗原中和試験として、0.2-25mg/mL濃度のタンニン酸を15倍希釈となるように希釈した精製汗抗原を常温で30分間混合し、アトピー性皮膚炎患者の抹消好塩基球と反応させ、ヒスタミン遊離活性を検討した。

その結果、タンニン酸前処理により濃度依存的に精製汗抗原によるヒスタミン遊離活性が低下し、25mg/mLではほぼ消失した。

またタンニン酸5mg/mLで十分に汗抗原活性の吸収が認められた。

次に症状の安定したアトピー性皮膚炎患者17人に0.05%タンニン酸配合スプレー製剤および0.5%タンニン酸配合湯上がり製剤(使用時にお湯に溶解することを考慮して0.5%とした)を日中および湯上がり時に1日1回以上2-4週間にわたって患部に使用するオープン試験を実施した。

この結果、患者の自覚症状として午前のかゆみの程度には使用前後で有意な差はなかったが、午後のかゆみは使用後で有意な改善が認められ、皮膚所見として臨床症状スコアは、使用後は有意に改善し、全般的には10/17例(58%)で軽度以上の改善があった。

さらに同様の患者18人に0.05%タンニン酸配合あるいは未配合エアゾールスプレー製剤を各2週間ずつ毎日1回以上使用してもらい、有用性を臨床的に評価した。

この結果、かゆみスコアはタンニン酸配合エアゾールスプレーを使用した時のほうが有意に軽度であり、また午後のかゆみスコアもやはりタンニン酸配合エアゾールスプレーを使用した時のほうが低い傾向であったが、有意差とはならなかった。

皮膚所見として使用試験前および試験後(4週間後)の2回の時点で皮疹の評価をしたところ、試験後はスコアが有意に低下しており、全般的には著明改善3例(17%)、中等度改善5例(28%)、軽度改善4例(22%)、軽微改善2例(11%)、不変2例(11%)、悪化2例(11%)と12例(67%)に軽度以上の改善がみられた。

またいずれの試験においても有害な事象はなかった。

これらの結果から、タンニン酸配合スキンケア製剤は、アトピー性皮膚炎の臨床症状ならびにかゆみに対して有効かつ安全に使用できると考えられた。

このような検証結果が明らかにされており(文献4:2011)、タンニン酸にアトピー性皮膚炎における抗掻痒作用が認められています。

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タンニン酸の安全性(刺激性・アレルギー)について

タンニン酸の現時点での安全性は、

  • 医療上汎用性があり有効性および安全性の基準を満たした成分が収載される日本薬局方に収載
  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性:ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

– 皮膚炎を有する場合 –

広島大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚科学およびツムラライフサイエンス株式会社商品開発部の臨床データ(文献3:2011)によると、

  • [ヒト試験] アトピー性皮膚炎を有する17人の患者に0.05%タンニン酸配合スプレー製剤および0.5%タンニン酸配合湯上がり製剤を2-4週間にわたって1日1回以上使用してもらったところ、皮膚に有害な反応はみられなかった
  • [ヒト試験] アトピー性皮膚炎を有する18人の患者に0.05%タンニン酸配合エアゾールスプレー製剤を2週間毎日1回以上使用してもらったところ、皮膚に有害な反応はみられなかった

と記載されています。

試験データをみるかぎり、0.5%濃度以下において共通して皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚炎を有する場合および0.5%濃度以下において、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

∗∗∗

タンニン酸は収れん成分、抗炎症成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:収れん成分 抗炎症成分

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文献一覧:

  1. 鈴木 一成(2012)「タンニン酸」化粧品成分用語事典2012,427-428.
  2. 一般財団法人医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団(2016)「タンニン酸」第十七改正日本薬局方,1040-1041.
  3. 西山 聖二, 他(1989)「基礎化粧品と皮膚 (Ⅱ)」色材協会誌(62)(8),487-496.
  4. 信藤 肇, 他(2011)「アトピー性皮膚炎に対するタンニン酸配合湯上り製剤およびスプレー剤の臨床的有用性の検討」アレルギー(60)(1),33-42.

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