セイヨウハッカ葉エキスとは…成分効果と毒性を解説

収れん成分 温感剤 抗菌成分 香料 抗シワ成分 抗老化成分
セイヨウハッカ葉エキス
[化粧品成分表示名称]
・セイヨウハッカ葉エキス

[医薬部外品表示名称]
・セイヨウハッカエキス

シソ科植物セイヨウハッカ(学名:Mentha piperita 英名:peppermint)の葉からエタノールBG(1,3-ブチレングリコール)で抽出して得られるエキスです。

セイヨウハッカ葉エキスの成分組成は、天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

などで構成されています(文献2:2006;文献3:2016)

ペパーミントの爽やかなメントールの香りは中枢神経を刺激して眠気を吹き飛ばし、脳の働きを活性化します。

またペパーミントティーは古くから食べ過ぎ、飲みすぎ、食欲不振、胃痛などに用いられてきました。

薬理作用としては、ペパーミントの精油は平滑筋に直接的に作用し、カルシウムイオンの調製を行って局所に鎮痙作用を発揮することが報告されており、このため鼓腸や花瓶瀬腸症候群(IBS)にも適用されます(文献3:2016)

また、精油には大腸菌や黄色ブドウ球菌に対する抗菌作用も確認されており、消化不良や吐き気にも用いられます(文献3:2016)

ペパーミントティーは胃腸だけでなく肝臓や胆のうの働きを促し、清涼感あふれる風味を利用してブレンド素材としても多用されており、ドイツの小児科では胃の不調にペパーミント67%とジャーマンカモミール33%のブレンドティーが処方されています(文献3:2016)

アロマセラピーにおいても最も重要な精油のひとつで、心身を刺激してリフレッシュさせたり、気分を落ち着かせたり、また元気を回復させて気持ちを高揚されたりする作用を有しています(文献4:2011)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ボディ&ハンド&フットケア製品、ヘアケア製品、洗顔料、洗浄製品、日焼け止め製品、リップケア製品、パック&マスク、ボディシート、制汗剤、メイクアップ化粧品など様々な製品に使用されます(文献2:2006)

Ⅳ型およびⅦ型コラーゲンの分子間結合分解酵素活性阻害による抗シワ作用

Ⅳ型およびⅦ型コラーゲンの分子間結合分解酵素活性阻害による抗シワ作用に関しては、まず前提知識としてⅣ型コラーゲンおよびⅦ型コラーゲンの役割について解説します。

まず以下の肌図をみてほしいのですが、

真皮におけるコラーゲンの種類

  • Ⅰ型コラーゲン:真皮内に網目状に張りめぐらされている強硬なコラーゲン。肌の弾力やハリを保持
  • Ⅲ型コラーゲン:真皮の乳頭層に多く含まれる細くて柔らかいコラーゲン。肌に柔らかさを付与
  • Ⅳ型コラーゲン:基底膜の膜状構造を維持するための骨格の役割をするコラーゲン

というように、皮膚のコラーゲンは表皮の基底層(基底膜)から真皮にかけて、それぞれ異なった役割をもつコラーゲンが存在しており、大部分は網の目を形成するⅠ型コラーゲンになり、またⅣ型コラーゲンは表皮を支え、基底膜を正常に機能させる土台として働きます。

基底膜に存在するコラーゲンをさらに詳細にみていくと、以下の基底膜の拡大図をみてもらえるとわかるように、

基底膜におけるコラーゲンの仕組み

表皮の支えであり土台でもあるⅣ型コラーゲンに連結する形でⅦ型コラーゲンが連なっているのが確認できますが、このⅦ型コラーゲンは真皮側に存在し、真皮から基底膜へ栄養を受け渡す働きをすることが明らかになっています。

この表皮基底膜は、表皮細胞から構成される表皮とコラーゲンなどの細胞間基質と線維芽細胞などの細胞で構成される真皮といった構造の異なる組織を結合させるために重要な役割を果たしており、また表皮細胞の分化・増殖を制御し、表皮が正常に機能するために必須となっています。

しかし、基底膜は20代後半から損傷が起こりはじめることが明らかにされており、これは一般に「お肌の曲がり角」といわれる時期に一致し、肌のキメが荒くなる時期とも一致しています。

2002年に資生堂によって報告された皮膚の老化の原因である表皮基底膜の損傷を修復する植物由来成分の効果検証によると、

表皮基底膜の損傷を修復する効果を植物由来成分300種類以上を用いて検証した結果、「永遠の若木」とも呼ばれるヨーロッパブナの芽から得られるヨーロッパブナ芽エキスにⅣ型およびⅦ型コラーゲンの産生を促す効果があることが確認されました。

また、Ⅳ型およびⅦ型コラーゲンの分子間結合ドメイン(両コラーゲンが結合する部分)を分解する酵素を阻害することで両コラーゲンを保護する植物由来成分としてペパーミントエキス(セイヨウハッカ葉エキス)を見出した。

試験などの詳細は不明ですが、このような検証結果が公開されており(文献5:2002)、セイヨウハッカ葉エキスにⅣ型およびⅦ型コラーゲンの分子間結合分解酵素活性阻害による抗シワ作用が認められています。

さらに、上の基底膜におけるコラーゲンの仕組みをもてもらうとわかりやすいと思うのですが、資生堂では基底膜と表皮細胞をつなぎとめるラミニン5の産生を促進する成分として大豆リゾレシチン、またⅣ型およびⅦ型コラーゲンの産生を促進する成分としてヨーロッパブナ芽エキスをそれぞれ見出しており、これら3つの成分を併用することで基底膜構造の再構築・修復の相乗効果が得られることが検証されています(文献5:2002)

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2017-2018年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

セイヨウハッカ葉エキスの配合製品数と配合量の比較調査結果(2017-2018年)

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セイヨウハッカ葉エキスの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

セイヨウハッカ葉エキスの現時点での安全性は、外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載されており、皮膚刺激性はほとんどなく、眼刺激性はデータ不足のため詳細不明ですが、皮膚感作性(アレルギー性)の報告もないため、安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Amended Safety Assessment of Mentha piperita (Peppermint)-Derived Ingredients as Used in Cosmetics」(文献1:2018)によると、

  • [ヒト試験] 様々な皮膚を有した50人の被検者(健常:25人、湿疹:4人、アレルギー:4人、過敏:17人)の背中に0.2961%セイヨウハッカ葉エキスを含むリップスティックを48時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去30分後に皮膚反応を評価したところ、製品は皮膚刺激を示さなかった(Derma Consult GmbH,2015)
  • [ヒト試験] 52人の被検者に100%セイヨウハッカ葉の水/エタノール抽出物を誘導期間およびチャレンジ期間においてパッチ適用し、パッチ除去後に皮膚反応を評価した(HRIPT:詳細不明)ところ、皮膚刺激および皮膚感作の兆候はなかった(Anonymous,2017a)
  • [in vitro試験] 正常ヒト表皮角化細胞によって再構築された3次元培養表皮モデルを用いて10%および100%セイヨウハッカ葉エキスを処理し評価したところ、陰性であった(Anonymous,2017b)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、一般的に皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

詳細な試験データがみあたらないため、データ不足により詳細は不明です。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
セイヨウハッカ葉エキス 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、セイヨウハッカ葉エキスは毒性なし(∗1)となっており、安全性に問題はないと考えられます。

∗1 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

セイヨウハッカ葉エキスは収れん成分、温冷感成分、抗菌成分、香料、抗老化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:収れん成分 温冷感成分 抗菌成分 香料 抗老化成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2018)「Amended Safety Assessment of Mentha piperita (Peppermint)-Derived Ingredients as Used in Cosmetics」, <https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/FR741.pdf> 2018年6月30日アクセス.
  2. 日光ケミカルズ(2006)「植物・海藻エキス」新化粧品原料ハンドブックⅠ,375.
  3. 林真一郎(2016)「ペパーミント」メディカルハーブの事典 改定新版,146-147.
  4. マリア・リス・バルチン(2011)「ペパーミント精油」アロマセラピーサイエンス,366-375.
  5. “資生堂”(2002)「ブナの芽・ペパーミントエキスに表皮基底膜の損傷修復効果」, <https://www.shiseidogroup.jp/newsimg/archive/00000000000295/295_n5s23_jp.pdf> 2018年8月16日アクセス.

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