クロルヒドロキシAlとは…成分効果と毒性を解説

収れん成分 制汗剤
クロルヒドロキシAl
[化粧品成分表示名称]
・クロルヒドロキシAl

[医薬部外品表示名称]
・クロルヒドロキシアルミニウム

アルミニウムの塩化物を電解して得られるアルミニウム錯化合物(金属塩)です。

水に溶けやすくアルコールには不溶ですが、アルコールに水を加えた溶液にはよく溶ける性質があります。

化粧品に配合される場合は、強い収れん作用があるため、引き締め用化粧品、アフターシェービングローションに使用されたり、タンパク質を収縮する作用で顔料などの粉体を留めておき化粧くずれを防止する効果からファンデーションなど粉体系メイクアップ化粧品に使用されたり、同じくタンパク質を収縮する作用でカラー剤の退色を防止する目的でヘアカラー剤、カラートリートメント剤に使用されたり、汗を抑制する効果から制汗剤に使用されます。

同じ制汗作用のある成分として塩化Al(塩化アルミニウム)と比較されていますが、塩化Alは作用や刺激が強く、そのために現在では使用が減少傾向ですが、クロルヒドロキシAlは塩化Alよりも作用・刺激ともに緩和なため、広く使用されています。

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クロルヒドロキシAlの安全性(刺激性・アレルギー)について

クロルヒドロキシAlの現時点での安全性は、重大な皮膚感作(アレルギー)の報告はありませんが、軽度の皮膚刺激および眼刺激が起こる可能性があるため、注意が必要な成分であると考えられます。

皮膚刺激が起きない場合は安全性に問題ないと考えられます。

現段階では、乳がんとの関連性は認められておらず、また皮膚に塗布する場合においてアルツハイマー病との関連性を示唆する報告もありません。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

販売元の日光ケミカルズの安全データシート(文献1:2013)によると、

  • 軽度の刺激性がある

と記載されています。

詳細な試験結果はみあたりませんが、安全データでは軽度の皮膚刺激性があると記載されているため、軽度の皮膚刺激性が起こる可能性があると考えられます。

眼刺激性について

販売元の日光ケミカルズの安全データシート(文献1:2013)によると、

  • 軽度の刺激性がある

と記載されています。

詳細な試験結果はみあたりませんが、安全データでは軽度の眼刺激性があると記載されているため、軽度の眼刺激性が起こる可能性があると考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

詳細な試験結果や安全データはみあたりませんが、重大な皮膚感作の報告はないため、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

安全性についての捕捉

アルミニウム系化合物は制汗剤の有効成分として使用されますが、クロルヒドロキシアルミニウムが配合された制汗剤の使用により、乳がんを引き起こすリスクが高まるという発表があったため、その発表を元にクロルヒドロキシアルミニウムは危険性が高いと伝えられることが多いですが、2016年8月に米国国立がん研究所(NCI)によって公開された情報(文献2:2016)によると、

制汗剤またはデオドラント剤は胸の近くに塗布され、潜在的に有害な成分を含んでいるため、制汗剤やデオドラント剤と乳がんの関連性を示唆する科学者もいますが(McGrath KG.,2003;Darbre PD.,2009)、これらの製品の使用と乳がんの発症に関連する科学的証拠はない。

いくつかの研究では、頻繁に塗布され、乳房の近くの皮膚に残ったアルミニウム系化合物を含む制汗剤は、皮膚に吸収され、エストロゲン様効果を有する可能性があると示唆されており、また、エストロゲンは乳がん細胞の増殖を促進する可能性があるため、制汗剤に含まれるアルミニウム系化合物が乳がんの発症に寄与している可能性があると示唆する科学者もいます(Darbre PD.,2005)

しかし、今日までの研究では、アルミニウムが乳がんリスクの増加に寄与する実質的な科学的証拠やデータは確認されておらず、2014年にはアルミニウム含有制汗剤または化粧品の使用が乳がんのリスクを高めることを示す明確な証拠はなかったと結論づけられています(Willhite CC, Karyakina NA, Yokel RA, et al.,2014)

2016年時点で、制汗剤またはデオドラント剤と乳がんとの関連性を調査した研究はごくわずかで、2002年に発表された研究では制汗剤やデオドラント剤を使用した女性に乳がんのリスク増加はみられず(Mirick DK, Davis S, Thomas DB.,2002)、またカミソリと制汗剤またはデオドラント製品を使用した女性やカミソリでシェービングしてから1時間以内に制汗剤またはデオドラント剤を使用した女性の乳がんリスクの増加もみられなかった(これらの結論は乳がんの女性813人と乳がん病歴のない793人のインタビューに基づいています)。

2006年に発表された研究でも制汗剤の使用と乳がんリスクの関連は認められなかった(Fakri S, Al-Azzawi A, Al-Tawil N.,2006)が、乳がん女性54人、乳がん病歴のない女性50人のみのインタビューに基づいた結論である。

注)英語原文をわかりやすく要約しています

情報としてこれらの経緯があり、現段階の結論としては一貫してクロルヒドロキシアルミニウムと乳がんの関連性は科学的証拠がなく、認められていない状況です。

また、1989年から2000年にかけてアルミニウムがアルツハイマー病の原因ではないかという論文が5つ報告されていますが、一方で1990年代にアルミニウム濃度とアルツハイマー病や記憶力に関連性は見られないという論文も3つ報告されており、現在も見解は一致していません(文献3:2016)

また、2002年の「アルミニウムを多く摂取する制酸薬とアルツハイマーのリスクは無関係であったという5年間の追跡調査」のように因果関係に否定的な報告もでてきています(文献3:2016)

アルミニウムがアルツハイマー病の発症に関与するかの結論はまだでていませんが、日本皮膚科学会が2015年に公開した「原発性局所多汗症診療ガイドライン」によると、現在まで皮膚に塩化アルミニウムを外用(塗布)することでの因果関係の報告はなく、また手掌の単純外用では血中の塩化アルミニウム濃度の上昇は認められなかったという報告もあるため(文献4:2015)、皮膚に塗布する場合においてはアルツハイマーとの関連はないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
クロルヒドロキシAl

参考までに化粧品毒性判定事典によると、クロルヒドロキシAlは■(∗2)となっており、安全データをみる限り、軽度の刺激性を引き起こす可能性があります。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

クロルヒドロキシAlは収れん成分にカテゴライズされています。

それぞれの成分一覧は以下からお読みください。

参考:収れん成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. 日光ケミカルズ(2013)「安全データシート NIKKOSPHERE-ACH」, <https://www.chemical-navi.com/product_search/detail637.html> 2018年2月26日アクセス.
  2. 米国国立がん研究所(2016)「Antiperspirants/Deodorants and Breast Cancer」, <https://www.cancer.gov/about-cancer/causes-prevention/risk/myths/antiperspirants-fact-sheet> 2018年2月26日アクセス.
  3. 「健康食品」の安全性・有効性情報(2016)「アルミニウムとアルツハイマー病の関連情報」, <http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail970.html> 2018年2月26日アクセス.
  4. 日本皮膚科学会(2015)「原発性局所多汗症診療ガイドライン 2015 年改訂版」, <https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/genpatuseikyokusyotaknsyouguideline2015.pdf> 2018年2月26日アクセス.

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