グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドとは…成分効果と毒性を解説

帯電防止
グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド
[化粧品成分表示名称]
・グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド

[医薬部外品表示名称]
・塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]グァーガム

グアーガムに塩化グリシジルトリメチルアンモニウムを付加して得られる四級アンモニウム塩の重合体(ポリマー)(∗1)であり、水溶性のカチオン性多糖類(グアーガム誘導体:グアーガム系半合成高分子)です。

∗1 重合とは、複数の単量体(モノマー)が結合して鎖状や網状になる反応のことをいい、単量体(モノマー)が結合して鎖状または網状になった化合物を重合体(ポリマー)といいます。

塩化グリシジルトリメチルアンモニウム(グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド)はカチオン界面活性剤(陽イオン界面活性剤)であり、グアーガムに陽イオン界面活性剤を付加してカチオン性をもたせたカチオン化グアーガムです。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、洗浄製品、ヘアケア製品、ヘアスタイリング製品などに使用されています(文献1:2015)

帯電防止

帯電防止に関しては、まず前提知識として帯電防止について解説します。

毛髪の表面はマイナスに帯電しているためプラス(陽イオン:カチオン)が吸着しやすい状態であり、カチオン界面活性剤は毛髪の表面に吸着してうすい膜(単分子膜)を形成し、また毛髪を柔軟にしすべりやすさを改善することで帯電を防止します(文献2:1990)

グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドは、カチオン界面活性剤を部分的に付加することによりカチオン性を有しているため、洗髪後のブラッシングまたは櫛の使用によって生じる静電気の発生の抑制、被膜形成による毛髪の柔軟化およびすべりやすさの改善目的で主にヘアリンス製品、ヘアコンディショナー製品などに配合されます。

またリンスインシャンプー製品にも配合されますが、同じ製品内でシャンプー(アニオン界面活性剤)とリンス(カチオン界面活性剤)が適切に機能するメカニズムは、製品内ではこれらの成分はくっついているものの、水と接触することで最初にアニオン界面活性剤が水に溶解して洗浄力を発揮し、さらに水を加えていくことでジワジワと時間差でカチオン界面活性剤が溶けていき、洗浄後に毛髪表面に被膜を形成するというものです。

リンスインシャンプー製品に処方されるカチオン界面活性成分は、一般的なカチオン界面活性剤ではなく、カチオン界面活性能を有した水溶性高分子(カチオン化高分子)が使用されますが、これは高分子が水溶性でありながら水に溶けるまで時間を要するために、アニオン界面活性剤が洗浄力を発揮する前ではなく、発揮した後に被膜効果を発揮する特性であることから使用されており、このカチオン化高分子の性質がリンスインシャンプ-のコンセプトを可能にしています。

効果・作用についての補足

シャンプーの主成分であるアニオン界面活性剤(陰イオン界面活性剤)は、カチオン化高分子との相互作用により、シャンプー希釈時にある濃度領域においてコアセルベーションと呼ばれる、溶質が均一に分散した状態から部分的に溶質が集合し溶質の多い領域と極めて少ない領域に分離する現象を起こすことが知られています。

コアセルベーションおよびコアセルベート

このコアセルベーションによって分離した溶質の多い領域はコアセルベートと呼ばれており、コアセルベート成分は毛髪に付着してコンディショニング効果を付与することが報告されています(文献3:2004)

また、シャンプーには香料が配合されていますが、香料はコアセルベート中に取り込まれる傾向にあり、コアセルベートは毛髪に付着することから、シャンプーの香り立ちや毛髪の残香はコアセルベートによって向上することが報告されています(文献4:2017)

このような背景から、コアセルベート成分によるコンディショニング効果や香り立ちや残香性の向上目的でシャンプー製品に配合されます。

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2011年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドの配合製品数と配合量の比較調査結果(2011年)

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グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドの安全性(刺激性・アレルギー)について

グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:5%以下濃度においてほとんどなし(データなし)
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

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グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドは帯電防止剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:帯電防止剤

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2015)「2015_Safety Assessment of Galactomannans as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(34)(1),35S-65S.
  2. 田村 健夫, 他(1990)「ヘアリンスの主剤とその作用」香粧品科学 理論と実際 第4版,456-460.
  3. 樋渡 佳子, 他(2004)「カチオン性高分子と界面活性剤のコアセルベートに関する研究」日本化粧品技術者会誌(38)(3),211-219.
  4. 兼井 典子, 他(2017)「毛髪への香料の付着に及ぼすカチオン性高分子と界面活性剤のコアセルベートの影響」日本化粧品技術者会誌(51)(4),311-316.

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