ポリクオタニウム-7とは…成分効果と毒性を解説

帯電防止 泡質改善
ポリクオタニウム-7
[化粧品成分表示名称]
・ポリクオタニウム-7

[医薬部外品表示名称]
・塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体液

化学構造的に第四級アンモニウム塩型に分類される陽イオン界面活性剤の一種であるジアリルジメチルアンモニウムクロリドとアクリル酸アミドを重合して得られる重合体(∗1)であり、水溶性のカチオン性高分子(∗2)です。

∗1 重合体とは、複数の単量体(モノマー:monomer)が繰り返し結合し、鎖状や網状にまとまって機能する多量体(ポリマー:polymer)であり、2種類の単量体を用いて生成された重合体は共重合体(コポリマー:copolymer)と呼びます。

∗2 カチオン性高分子とは、陽イオン界面活性能(カチオン性)を有した高分子化合物のことです。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、洗顔料、シャンプー製品、コンディショナー製品、ボディ&ハンドソープ製品、洗顔石鹸などに使用されています。

帯電防止

帯電防止に関しては、まず前提知識として帯電防止について解説します。

水道水やシャンプーは一般的に弱酸性(pH5-6)であることから、ぬれた毛髪の表面はマイナスに帯電しており、一方で陽イオン界面活性剤は以下の図のように、

陽イオン界面活性剤の構造図

親水基部分がプラスの荷電をもっている構造であることから、親水基部分がマイナスに帯電した毛髪表面に静電的に吸着します。

そして、疎水基(親油基)部分は外側を向くため、毛髪表面が親油基で覆われることでなめらかになり、その結果として静電気の発生をおさえ(帯電防止)、すすぎや乾燥後の摩擦を低減し、毛髪のくし通りがよくなります(文献3:1990;文献4:2010)

ポリクオタニウム-7は、陽イオン界面活性能をもつカチオン性高分子であるため、洗髪後のブラッシングまたは櫛の使用によって生じる静電気の発生の抑制、毛髪の柔軟化およびすべりやすさの改善目的でヘアトリートメント製品、ヘアケア製品などに配合されます(文献5:-;文献6:2017)

また、一般的に陰イオン界面活性剤と陽イオン界面活性剤は相溶性がよくありませんが、ポリクオタニウム-7は処方において陽イオン性のジアリルジメチルアンモニウムクロリドと非イオン性のアクリル酸アミドを共重合させることによりカチオン性の性質を調整できるため、陰イオン界面活性剤との溶解性を改善できるところに特徴があり(文献5:1995)、この特徴からシャンプー製品などの洗浄製品にも使用されています。

このような背景から、シャンプー製品に使用される場合は濡れた毛髪を柔らかくする効果を発揮し、ボディソープ製品やハンドソープ製品においては、濡れたときにすべすべ感を付与します(文献6:-;文献7:2017)

ほかにもさっぱり感を付与する目的でスキンケア化粧品に配合されます(文献7:2017)

泡質改善

泡質改善に関しては、ポリクオタニウム-7は洗浄剤と併用することで泡のきめ細やかさやボリュームを向上させるため(文献6:-;文献7:2017)、洗顔料、シャンプー製品、ボディソープ製品、ハンドソープ製品などの洗浄製品に汎用されています。

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2010年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ポリクオタニウム-7の配合製品数と配合量の比較調査結果(2010年)

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ポリクオタニウム-7の安全性(刺激性・アレルギー)について

ポリクオタニウム-7の現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 20年以上の使用実績
  • 皮膚一次刺激性:ほとんどなし-最小限
  • 皮膚累積刺激性:ほとんどなし-最小限
  • 眼刺激性:ほとんどなし-わずか
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし
  • 光感作性:ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1995)によると、

  • [ヒト試験] 106人の被検者に8%ポリクオタニウム-7水溶液を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、誘導期間において3人にわずかな累積刺激が観察され、チャレンジ期間においては5人の被検者に感作反応が観察された。感作反応を示した5人のうち4人は非常に弱い反応であり、残りの1人は中程度の反応であった。中程度の感作反応を示した1人に再チャレンジパッチを適用したところ、非常に弱い反応であった。この試験物質は実質的に非常にわずかな累積刺激剤であると結論付けられた(Product Investigations Inc,1981)
  • [ヒト試験] 150人の被検者に8%ポリクオタニウム-7水溶液を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、誘導期間において2人はわずかな紅斑を示したが、他に有害な皮膚反応は示されず、この試験条件下においてこの試験物質は実質的に皮膚刺激剤および皮膚感作剤ではないと結論付けられた(Product Investigations Inc,1994)
  • [動物試験] 6匹のウサギの剃毛した無傷および擦過した皮膚に8%ポリクオタニウム-7溶液0.5mLを24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去後2週間にわたって皮膚刺激性を評価したところ、皮膚刺激の兆候はみられなかった(Merck, Sharp & Dohme Research Laboratories,1978)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚感作性なしと報告されており、また皮膚刺激性は非刺激-最小限の刺激または累積刺激が報告されていることから、皮膚感作性はほとんどなく、皮膚一次刺激性および皮膚累積刺激性は非刺激-最小限の皮膚一次刺激または累積刺激を引き起こす可能性があると考えられます。

– 皮膚炎を有する場合 –
– 個別事例 –

イタリアのジェノバ大学皮膚科およびサンマルティーノ病院アレルギー科の臨床データ(文献2:2002)によると、

  • [個別事例] ニッケルおよび香料にアレルギーを有する32歳の看護師(アトピー性皮膚炎ではない)は様々なブランドの使い捨て手袋が多く使用されている救急病棟で働いており、仕事に関連した手の湿疹が1年ほど続いていることから、天然ゴムラテックスアレルギーのパッチテストを行ったところ皮膚感作反応を示さず、またイタリアの標準シリーズでのパッチテストでは、明らかに無関係であるニッケルと香料に対する感作が確認されただけだった。彼女は無香料の保湿ローションを1日に数回使用しており、保湿ローションの使用を停止したところ、湿疹は3週間以内に治りました。この保湿ローションの個々の成分をパッチテストする中で3%ラウレス-9水溶液およびポリクオタニウム-7で陽性反応を示した。0.3%,3%および10%ラウレス-9水溶液および0.1%,0.5%および1%ポリクオタニウム-7水溶液を彼女および対照の20人にパッチテストしたところ、彼女は両方の物質のすべての希釈液に++の陽性反応を示したが、対照の20人は皮膚反応を示さなかった。彼女には無香料、ラウレス-9およびポリクオタニウム-7を含まないスキンケア製品が処方され、それ以来症状はなかった

と記載されています。

試験データは個別事例のみですが、1例の皮膚感作症例が報告されているため、ニッケル(金属)や香料にアレルギーを有する場合はごくまれに皮膚感作を引き起こす可能性があると考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1995)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に100%ポリクオタニウム-7を点眼し、1分間まぶたを閉じたまま維持し、眼はすすがず、点眼15分および2時間後で点眼したすべての眼にわずかな目やにがみられ、また3匹の眼にはわずかな結膜充血がみられたが、24時間ですべての眼は正常に戻り、2週間の間にそれ以上の眼刺激はみられなかった(Merck, Sharp & Dohme Research Laboratories,1978)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、わずかな眼刺激が報告されているため、眼刺激性は非刺激-わずかな眼刺激を引き起こす可能性があると考えられます。

光感作性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1995)によると、

  • [ヒト試験] 29人の被検者に8%ポリクオタニウム-7水溶液を対象に光感作性試験をともなうHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、試験を通じていずれの被検者も皮膚刺激、皮膚感作および光感作反応を示さなかった(Hill Top Research Inc,1982)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、光感作性なしと報告されていることから、光感作性はほとんどないと考えられます。

∗∗∗

ポリクオタニウム-7は帯電防止剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:帯電防止剤

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(1995)「Final Report on the Safety Assessment of Polyquaternium-7」Journal of the American College of Toxicology(14)(6),476-484.
  2. R Gallo, et al(2002)「Allergic contact dermatitis from laureth‐9 and polyquaternium‐7 in a skin‐care product」Contact Dermatitis(45)(6),356-357.
  3. 田村 健夫, 他(1990)「ヘアリンスの主剤とその作用」香粧品科学 理論と実際 第4版,456-460.
  4. 鐵 真希男(2010)「コンディショナーの配合成分と製剤」化学と教育(58)(11),536-537.
  5. 別府 耕次, 他(1995)「毛髪コンディショニング剤用ポリマー」油化学(44)(4),283-290.
  6. Lubrizol(-)「Merquat 550 Polymer」Technical Data Sheet.
  7. センカ株式会社(2017)「コスモートVHシリーズ」技術資料.

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