コーヒー種子エキスとは…成分効果と毒性を解説

抗酸化成分
コーヒー種子エキス
[化粧品成分表示名称]
・コーヒー種子エキス

[医薬部外品表示名称]
・コーヒーエキス

アカネ科植物アラビカコーヒーノキ(学名:Coffea arabica)の種子からエタノールで抽出して得られるエキスです。

コーヒー種子エキスの成分組成は、抽出方法や天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

  • ポリフェノール類:クロロゲン酸
  • カフェイン
  • カフェタンニン

などで構成されています(文献1:2006;文献2:2011)

コーヒー種子は、一般的には世界シェアの70%を占めるアラビカ種のコーヒーノキの種子が用いられます。

アラビカコーヒーノキは、エチオピアのアビシニア高原を原産とし、コーヒーが最初に利用されたのは6世紀初頭といわれ、最初は生豆を飲用していましたが、13世紀後半に豆を炒るようになったとされています。。

世界各地で普及したのは17世紀で、日本には江戸時代の初頭に長崎に渡来し、明治時代に一般に知られるようになりました。

コーヒー種子(コーヒー豆)には、糖類、タンパク質、脂質のほか、アルカロイドのカフェインやトリゴネリン、ポリフェノールのクロロゲン酸、ジテルペンのカフェストールやカーウェオールなどが含まれています(文献2:2011)

コーヒーの香り成分のひとつであるクロロゲン酸は、強力な抗酸化作用があるといわれています(文献2:2011)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ボディケア製品、メイクアップ化粧品などに使用されます(文献1:2006;文献3:1998)

スーパーオキシド(O₂⁻)消去能および過酸化脂質抑制による抗酸化作用

スーパーオキシド(O₂⁻)消去能および過酸化脂質抑制による抗酸化作用に関しては、まず前提知識として過酸化脂質および活性酸素のひとつであるスーパーオキシド(O₂⁻)について解説します。

スーパーオキシド(O₂⁻)は、体内で最初に発生する代表的な活性酸素のひとつで、具体的には以下のように、

酸素(O₂) → スーパーオキシド(O₂⁻) → 過酸化水素(H₂O₂) → ヒドロキシラジカル(・OH)

活性酸素がより強力になっていく過程で最初に発生します。

生体は、酸素と反応(電子を取り込む)して、まず活性酸素のスーパーオキシドを発生させ、発生したスーパーオキシドは活性酸素分解酵素であるSOD(スーパーオキシドディスムターゼ)によって水に分解されますが、その過程で活性酸素である過酸化水素が発生します。

発生した過酸化水素は、過酸化水素分解酵素であるカタラーゼによって、また抗酸化物質であるグルタチオンを用いてグルタチオンペルオキシターゼによって水に分解されますが、それでも処理できない場合は、ヒドロオキシラジカルを発生させます。

過酸化脂質は、以下の細胞膜の構造図をみてもらうとわかりやすいと思うのですが、

細胞膜の構造図

皮脂や細胞間脂質、細胞膜を構成しているリン脂質などの酸化が進んだ脂質のことで、皮膚に過酸化脂質が増えると様々な物質の変性・損傷が起こり、肌はくすみ、ハリはなくなり、色素沈着は濃くなり、老化が促進されます(文献4:2002)

皮膚において過酸化脂質が生成される主な原因のひとつが紫外線であり、紫外線により発生した活性酸素のひとつである一重項酸素が脂質と結合することで過酸化脂質の生成が促進されます(文献4:2002)

1998年に一丸ファルコスによって公開されたコーヒー抽出物の過酸化脂質抑制作用および活性酸素消去作用検証によると、

コーヒー抽出物および対照としてα-トコフェロールにおける紫外線によって引き起こされるリノレン酸の過酸化を検討した。

リノレン酸溶液に紫外線を1時間連続照射したあと過酸化脂質の定量を行ったところ、以下のグラフのように、

コーヒー抽出物の過酸化脂質生成抑制作用

コーヒー抽出物はα-トコフェロールと同程度に過酸化脂質の生成を抑制した。

またコーヒー抽出物における活性酸素消去作用を検討するために、キサンチンオキシダーゼを反応させて発生させたスーパーオキシド(O₂⁻)の消去効果を、対照として緑茶抽出物を用いて測定したところ、以下のグラフのように、

コーヒー抽出物の活性酸素消去効果

コーヒー抽出物は緑茶抽出物と同程度のSOD活性を示した。

このことからコーヒー抽出物には抗酸化活性が認められた。

このような検証結果が明らかにされており(文献3:1998)、コーヒー種子エキスにスーパーオキシド(O₂⁻)消去能および過酸化脂質抑制による抗酸化作用が認められています。

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コーヒー種子エキスの安全性(刺激性・アレルギー)について

コーヒー種子エキスの現時点での安全性は、外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載されており、また10年以上の使用実績があり、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないため、安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

一丸ファルコスの安全性試験データ(文献5:1997)によると、

  • [動物試験] 3匹の除毛したラットの背部に0.2%~0.8%コーヒーノキ抽出物溶液を塗布し、塗布24、48および72時間後に一次刺激性を紅斑および浮腫を指標として評価したところ、すべてのウサギにおいて紅斑および浮腫を認めず、陰性と判断された
  • [動物試験] 5匹の除毛したモルモットの側腹部に0.2%~0.8%コーヒーノキ抽出物溶液0.5mLを1日1回週5回、2週間にわたって適用し、各週の最終日の翌日に紅斑および浮腫を指標として刺激性を評価したところ、すべてのウサギにおいて塗布後2週間にわたって紅斑および浮腫を認めず、陰性と判断された

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激がないため、皮膚一次刺激性および累積刺激性刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

皮膚感作性(アレルギー性)について

10年以上の使用実績があり、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
コーヒー種子エキス

参考までに化粧品毒性判定事典によると、コーヒー種子エキスは△(∗1)となっており、安全性に問題ない成分であると考えられます。

∗1 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

コーヒー種子エキスは抗酸化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:抗酸化成分

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文献一覧:

  1. 日光ケミカルズ(2006)「植物・海藻エキス」新化粧品原料ハンドブックⅠ,370.
  2. 鈴木 洋(2011)「コーヒー豆」カラー版健康食品・サプリメントの事典,69-70.
  3. 小島 弘之(1998)「最近の植物抽出物―コーヒーとダイズ抽出液」Fragrance Journal(26)(12),75-80.
  4. 朝田 康夫(2002)「過酸化脂質の害は」美容皮膚科学事典,163-165.
  5. 一丸ファルコス株式会社(1997)「リパーゼ活性促進剤」特開平9-301821.

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