コーヒー種子エキスとは…成分効果と毒性を解説

抗酸化成分 紫外線吸収 色素沈着抑制
コーヒー種子エキス
[化粧品成分表示名称]
・コーヒー種子エキス

[医薬部外品表示名称]
・コーヒーエキス

アカネ科植物アラビカコーヒーノキ(学名:Coffea arabica 英名:common coffee)の種子からエタノールBG、またはこれらの混液で抽出して得られる抽出物植物エキスです。

コーヒー豆はエチオピアのアビシニア高原を原産とし、11世紀にはエチオピア周辺のイスラム教信者の間のみで飲用されていましたが、16世紀にはヨーロッパに、17世紀には世界各地に普及し、現在はブラジルやコロンビアなどの中南米、ベトナムやインドネシアなどの東南アジア、エチオピア、タンザニア、ケニアなどのアフリカ諸国などを中心に栽培されています(文献1:2011)

日本においては江戸時代初期に長崎に渡来しましたが、一般に普及しだしたのは明治以降であり、現在の供給はブラジル、ベトナム、コロンビアが全体の約70%を占め、そのほかエチオピア、グアテマラ、インドネシアなど様々な国々に依存しています(文献1:2011;文献2:2020)

コーヒー種子エキスは天然成分であることから、地域、時期、抽出方法によって成分組成に差異があると推察されますが、その成分組成は主に、

分類 成分名称
フェニルプロパノイド クロロゲン酸
糖質 少糖 スクロース
アルカロイド プリンアルカロイド カフェイン
有機酸 クエン酸リンゴ酸、酢酸
アミノ酸 グルタミン酸アスパラギン酸バリン など

これらの成分で構成されていることが報告されており(文献1:2011;文献3:2017)、コーヒー種子エキスはクロロゲン酸(chlorogenic acid)を必須成分としています。

コーヒー豆の化粧品以外の主な用途としては、飲料分野において炒ったコーヒー豆を熱湯で浸出した液がコーヒーとして広く飲用されているほか、加工品としては炒ったコーヒー豆、インスタントコーヒー、コーヒー飲料、ゼリーなどに用いられます(文献3:2017)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、メイクアップ化粧品、化粧下地製品、洗顔料、クレンジング製品、シャンプー製品、トリートメント製品、ボディソープ製品、アウトバストリートメント製品など様々な製品に使用されています。

過酸化脂質抑制による抗酸化作用

過酸化脂質抑制による抗酸化作用に関しては、まず前提知識として過酸化脂質の発生メカニズムと過酸化脂質の皮膚への影響について解説します。

皮膚に対する紫外線曝露によって産生される活性酸素種である一重項酸素(¹O₂)やヒドロキシルラジカル(HO)は、細胞膜と反応して過酸化脂質(lipid peroxide)を生成することが知られています(文献4:2018)

過酸化脂質の発生メカニズムについては、以下の図をみるとわかりやすいと思いますが、

過酸化脂質発生メカニズム(脂質過酸化反応)

発生したヒドロキシルラジカル(HO)が脂質(LH)から電子を奪い、水素原子と結合して水(H₂O)と脂質ラジカル(L・)を生成することからはじまり、生成された脂質ラジカルは酸素分子(O₂)と速やかに反応して脂質ペルオキシルラジカル(LOO・)となります(文献4:2018)

脂質ペルオキシルラジカル(LOO・)は、他の脂質(LH)と反応して水素を引き抜き、自らは過酸化脂質(脂質ヒドロペルオキシド)となり、同時に新たに脂質ラジカル(L・)が生成され、脂質過酸化反応が連鎖的に繰り返されます(文献4:2018)

このような連鎖的反応によって生成された過酸化脂質は、皮膚に対して炎症、浮腫、壊死、色素沈着などを起こすことが知られています(文献5:1991)

また、皮膚表面に存在する皮表脂質(∗1)においても紫外線などの曝露によって発生する一重項酸素により過酸化脂質が増加することが知られており(文献6:1991)、皮表脂質の過酸化脂質量は20代を最小としそれ以降は年齢とともに増加することも明らかにされています(文献7:1995)

∗1 皮表脂質とは、表皮細胞(角化細胞)の分化過程で産生されるコレステロール、コレステロールエステルなどの表皮脂質と皮脂腺由来の皮脂が皮膚表面で混ざったもののことをいいます。

皮表脂質の成分組成は、ヒトによって含有量が異なり、また同じヒトであっても日によって変動がありますが、

由来 成分 含量(%) 含量範囲(%)
表皮細胞
(角化細胞)
コレステリルエステル 2.5 1.5 – 2.6
コレステロール 1.5 1.2 – 2.3
皮脂腺 スクアレン 10 10.1 – 13.9
ワックス 22 22.6 – 29.5
トリグリセリド 25 19.5 – 49.4
モノグリセリド、ジグリセリド 10 2.3 – 4.3
(ジグリセリドのみ)
遊離脂肪酸 25 7.9 – 39.0

このように報告されており(文献8:1990;文献9:1969)、皮脂腺由来の脂肪が約90%を占めることから、広義には皮表脂質も皮脂と呼ばれています。

皮表脂質では、スクアレンが酸化の第一標的となることが明らかにされており、ヒト皮膚再構築モデルを用いてこのスクアレン過酸化物の皮膚刺激性を検討したところ、皮表接触4時間後では障害反応は起こりませんが、接触24時間後では特異的に障害反応を示し、その障害範囲は表皮ケラチノサイトだけでなく真皮線維芽細胞にも及んでいることが報告されています(文献7:1995)

スクアレン過酸化物が皮表接触24時間後で線維芽細胞まで障害を起こすメカニズムとしては、スクアレン過酸化物由来の脂質過酸化反応の連鎖により真皮まで伝播していき、線維芽細胞の細胞膜構成脂質を酸化し破壊するという反応系であると考えられています(文献7:1995)

アトピー性皮膚炎においては、健常皮膚と比較して皮表の抗酸化能が劣っている(過酸化脂質産生量が多い)ことが明らかにされており、皮膚の状態と皮表脂質過酸化の進行度合いは相関することが示唆されています(文献7:1995)

このような背景から、紫外線の曝露時および曝露後に生成される過酸化脂質を抑制することは、皮膚の酸化ストレス障害を抑制し、ひいては光老化、炎症および色素沈着などの抑制において非常に重要なアプローチのひとつであると考えられています。

1996年に一丸ファルコス、ユーシーシー上島珈琲およびオリザ油化によって報告されたコーヒー種子エキスの過酸化脂質およびヒト皮膚に対する影響検証によると、

in vitro試験において0.8%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液に遊離脂肪酸の一種であるリノレン酸を0.1%添加し、この溶液3.9mLに各濃度のコーヒー種子エキス溶液を添加した後、紫外線を15cmの距離で1時間照射し、適切な工程を踏まえた上で吸光度を測定し、過酸化脂質量を算出した。

また、比較対照として抗酸化剤であるα-トコフェロール溶液を用いて同様の試験を実施したところ、以下のグラフのように、

コーヒー種子エキスの過酸化脂質生成抑制作用

コーヒー種子エキスは、比較対照のトコフェロール溶液と同等またはそれよりも若干強い過酸化脂質生成抑制作用を示すことが確認された。

次に、20人の被検者のうち10人に7%コーヒー種子エキス(60%エタノール抽出)配合日焼け止め乳液を、別の10人に比較対照として7%α-トコフェロール配合日焼け止め乳液を、それぞれ顔面に1ヶ月間連続使用してもらった。

1ヶ月後に「有効:皮膚のハリ・ツヤが改善した」「やや有効:皮膚のハリ・ツヤがやや改善した」「無効:使用前と変化なし」の3段階で評価したところ、以下の表のように、

試料 被検者数 皮膚のハリ・ツヤ改善効果
有効 やや有効 無効
コーヒー種子エキス配合日焼け止め乳液 10 7 3 0
トコフェロール配合日焼け止め乳液(比較対照) 10 1 3 6

7%コーヒー種子エキス配合日焼け止め乳液は、皮膚のハリ・ツヤに対して改善傾向を示した。

このような試験結果が明らかにされており(文献10:1996)、コーヒー種子エキスに過酸化脂質抑制による抗酸化作用が認められています。

SOD様活性による抗酸化作用

SOD様活性による抗酸化作用に関しては、まず前提知識として皮膚における活性酸素種、活性酸素種の酸化還元反応およびSODの役割について解説します。

活性酸素種(ROS:Reactive Oxygen Species)とは、酸素(O₂)が他の物質と反応しやすい状態に変化した反応性の高い酸素種の総称であり(文献11:2002;文献12:2019)、酸素から産生される活性酸素種の発生メカニズムは、以下のように、

酸素から産生される活性酸素発生メカニズム

酸化力を有する酸素(O₂)が、比較的容易に電子を受けてスーパーオキシド(superoxide:O₂⁻)を生成し、さらに酸化が進むと過酸化水素(H₂O₂)、ヒドロキシルラジカル(HO)を経て、最終的に水(H₂O)になるというものです(文献13:2019)

この一連の反応を酸化還元反応と呼んでおり、正常な酸化還元反応において発生したスーパーオキシド(superoxide:O₂⁻)は少量であり、通常は抗酸化酵素の一種であるスーパーオキシドジスムターゼ(superoxide dismutase:SOD)により速やかに分解・消去されます(文献13:2019)

一方で、紫外線の曝露など(∗2)によりスーパーオキシド(superoxide:O₂⁻)を含む活性酸素種の過剰な産生が知られており(文献14:1998)、過剰に産生されたスーパーオキシドはスーパーオキシドジスムターゼ(superoxide dismutase:SOD)による分解・消去が追いつかず、紫外線の曝露時間やスーパーオキシドの発生量によってはヒドロキシルラジカル(HO・)まで変化することが知られています。

∗2 皮膚において活性酸素種が発生する最大の要因は紫外線ですが、他にも排気ガスなどの環境汚染物質、タバコの副流煙などの有害化学物質なども外的要因となります。

発生したヒドロキシルラジカル(HO)は、酸化ストレス障害として過酸化脂質の発生、コラーゲン分解酵素であるMMP(Matrix metalloproteinase:マトリックスメタロプロテアーゼ)の発現増加によるコラーゲン減少、DNA障害や細胞死などを引き起こし、中長期的にこれらの酸化ストレス障害を繰り返すことで光老化を促進します(文献13:2019;文献15:1996;文献16:2013)

このような背景から、紫外線の曝露時および曝露後にスーパーオキシドジスムターゼ(superoxide dismutase:SOD)の活性を増強することは、皮膚の酸化ストレス障害を抑制し、ひいては光老化、炎症および色素沈着などの抑制において非常に重要なアプローチのひとつであると考えられます。

2006年に一丸ファルコスによって報告されたコーヒー種子エキスのスーパーオキシドおよびヒト皮膚に対する影響検証によると、

in vitro試験において96ウェルプレートの各ウェルに各濃度のコーヒー種子エキスと純水を20μLずつ加え、SOD Assay Kit-WSTに基づいた処理工程を実施した後に吸光度を測定し、活性酸素消去率(スーパーオキシド消去率)を算出したところ、以下のグラフのように、

コーヒー種子エキスのスーパーオキシド消去作用

コーヒー種子エキスは、優れたスーパーオキシド消去作用を示すことが確認された。

次に、20人の被検者のうち10人に5%コーヒー種子エキス配合乳液を、別の10人に対照として未配合乳液を、それぞれ顔面に1日1回3ヶ月間連続使用してもらった。

3ヶ月後に「有効:肌のツヤ・ハリが増し、乾燥肌・肌荒れが改善された」「やや有効:肌のツヤ・ハリがやや増し、乾燥肌・肌荒れがやや改善された」「無効:使用前と変化なし」の3段階で評価したところ、以下の表のように、

試料 被検者数 皮膚感触に対する評価(人数)
有効 やや有効 無効
コーヒー種子エキス配合乳液 10 8 1 1
乳液のみ(対照) 10 0 2 8

5%コーヒー種子エキス配合乳液の塗布は、未配合乳液と比較して乾燥肌を改善し、肌にツヤ・ハリを付与することが確認された。

このような試験結果が明らかにされており(文献17:2006)、コーヒー種子エキスにSOD様活性による抗酸化作用が認められています。

UVBおよびUVA吸収による紫外線防御作用

UVBおよびUVA吸収による紫外線防御作用に関しては、まず前提知識として紫外線(UV:Ultra Violet)および紫外線の皮膚への影響について解説します。

太陽による照射は、以下の図のように、

紫外線の構造

波長により、赤外線、可視光線および紫外線に分類されており、可視光線よりも波長の短いものが紫外線です。

また紫外線は、波長の長いものから

  • UVA(長波長紫外線):320-400nm
  • UVB(中波長紫外線):280-320nm
  • UVC(短波長紫外線):100-280nm

このように大別され、波長が短いほど有害作用が強いという性質がありますが、以下の図のように、

紫外線波長領域とオゾン層の関係

UVCはオゾン層を通過する際に散乱・吸収されるため地上には到達せず、UVBはオゾン層により大部分が吸収された残りが地上に到達、UVAはオゾン層による吸収をあまり受けずに地表に到達することから、ヒトに影響があるのはUVBおよびUVAになります。

UVAおよびUVBのヒト皮膚への影響の違いは、以下の表のように(∗3)

∗3 ( )内の反応は大量の紫外線を浴びた場合に起こる反応です。

  UVA UVB
紫外線角層透過率
日焼けの現象 サンタン
(皮膚色が浅黒く変化)
サンバーン
(炎症を起こし、皮膚色が赤くなりヒリヒリした状態)
急性皮膚刺激反応 即時型黒化(紅斑)
遅延型黒化(紅斑)
UVBの反応を増強
(表皮肥厚、落屑)
遅延型紅斑(炎症、水疱)
遅延型黒化
表皮肥厚、落屑
(DNA損傷)
慢性皮膚刺激反応 真皮マトリックスの変性 真皮マトリックスの変性
日焼け現象発症時間 2-3日後 即時的
(1時間以内に赤みを帯び始める)

性質がまったく異なっています(文献18:2002;文献19:2002;文献20:1997)

国内の紫外線量の目安としては、2016年に茨城県つくば局によって公開されている紫外線量観測データによると、以下の表のように、

茨城県つくば局における紫外線量(UVA,UVB)年間値(2016年)

2月-10月の期間中とくに4月-9月の期間は、UVAおよびUVBの両方増加する傾向にあるため(文献21:2016)、UVAおよびUVB両方の紫外線防御が必要であると考えられます。

1996年に一丸ファルコス、ユーシーシー上島珈琲およびオリザ油化によって報告されたコーヒー種子エキスの紫外線吸収波長領域データによると、以下の表のように、

コーヒー種子エキスの紫外線吸収波長

280から340nmに吸収極大をもつことが明らかにされており(文献10:1996)、コーヒー種子エキスにUVBおよびUVA吸収による紫外線防御作用が認められています。

このような背景から、日焼け止め製品に使用されています。

チロシナーゼ活性阻害による色素沈着抑制作用

チロシナーゼ活性阻害による色素沈着抑制作用に関しては、まず前提知識としてメラニン色素生合成のメカニズムおよびチロシナーゼについて解説します。

以下のメラニン生合成のメカニズム図をみてもらうとわかりやすいと思うのですが、

メラニン生合成のメカニズム図

皮膚が紫外線に曝露されると、細胞や組織内では様々な活性酸素が発生するとともに、様々なメラノサイト活性化因子(情報伝達物質)がケラチノサイトから分泌され、これらが直接またはメラノサイト側で発現するメラノサイト活性化因子受容体を介して、メラノサイトの増殖やメラノサイトでのメラニン生合成を促進させることが知られています(文献22:2002;文献23:2016;文献24:2019)

また、メラノサイト内でのメラニン生合成は、メラニンを貯蔵する細胞小器官であるメラノソームで行われ、生合成経路としてはアミノ酸の一種かつ出発物質であるチロシンに酸化酵素であるチロシナーゼが働きかけることでドーパに変換され、さらにドーパにも働きかけることでドーパキノンへと変換されます(文献22:2002;文献24:2019)

ドーパキノンは、システイン存在下の経路では黄色-赤色のフェオメラニン(pheomelanin)へ、それ以外はチロシナーゼ関連タンパク質2(tyrosinaserelated protein-2:TRP-2)やチロシナーゼ関連タンパク質1(tyrosinaserelated protein-1:TRP-1)の働きかけにより茶褐色-黒色のユウメラニン(eumelanin)へと変換(酸化・重合)されることが明らかにされています(文献22:2002;文献24:2019)

そして、毎日生成されるメラニン色素は、メラノソーム内で増えていき、一定量に達すると樹枝状に伸びているデンドライト(メラノサイトの突起)を通して、周辺の表皮細胞に送り込まれ、ターンオーバーとともに皮膚表面に押し上げられ、最終的には角片とともに垢となって落屑(排泄)されるというサイクルを繰り返します(文献22:2002)

正常な皮膚においてはメラニンの排泄と生成のバランスが保持される一方で、紫外線の曝露、加齢、ホルモンバランスの乱れ、皮膚の炎症などによりメラニン色素の生成と排泄の代謝サイクルが崩れると、その結果としてメラニン色素が過剰に表皮内に蓄積されてしまい、色素沈着が起こることが知られています(文献22:2002)

このような背景から、チロシナーゼの活性を阻害することは色素沈着の抑制において重要なアプローチであると考えられています。

1996年に一丸ファルコス、ユーシーシー上島珈琲およびオリザ油化によって報告されたコーヒー種子エキスのチロシナーゼおよびヒト皮膚色素沈着に対する影響検証によると、

in vitro試験においてチロシン溶液1.0mLを含む緩衝液3.0mLに各濃度のコーヒー種子エキス溶液0.2mLを混合した後、マッシュルーム由来チロシナーゼ溶液0.1mLを加えて吸光度を測定し、37℃で20分間放置した後で再び吸光度を測定しチロシナーゼ活性阻害率を算出した。

また、比較対照として抗酸化剤であるα-トコフェロール溶液を用いて同様の試験を実施したところ、以下のグラフのように、

コーヒー種子エキスのチロシナーゼ活性阻害作用

コーヒー種子エキスは、比較対照のα-トコフェロール溶解液と比較して優れたチロシナーゼ活性抑制効果を有することが確認された。

次に、20人の被検者のうち10人に7%コーヒー種子エキス(60%エタノール抽出)配合日焼け止め乳液を、別の10人に比較対照として7%α-トコフェロール配合日焼け止め乳液を、それぞれ顔面に1ヶ月間連続使用してもらった。

1ヶ月後に「有効:皮膚のくすみが改善した」「やや有効:皮膚のくすみがやや改善した」「無効:使用前と変化なし」の3段階で評価したところ、以下の表のように、

試料 被検者数 皮膚のくすみ改善効果
有効 やや有効 無効
コーヒー種子エキス配合日焼け止め乳液 10 9 1 0
トコフェロール配合日焼け止め乳液(比較対照) 10 2 3 5

7%コーヒー種子エキス配合日焼け止め乳液は、皮膚のくすみに対して改善傾向を示した。

このような試験結果が明らかにされており(文献10:1996)、コーヒー種子エキスにチロシナーゼ活性阻害による色素沈着抑制作用が認められています。

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コーヒー種子エキスの安全性(刺激性・アレルギー)について

コーヒー種子エキスの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 20年以上の使用実績
  • 皮膚一次刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚累積刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

一丸ファルコスの安全性試験データ(文献17:2006)によると、

  • [動物試験] 3匹のモルモットの剪毛した背部に固形分濃度1%コーヒー種子エキス水溶液を塗布し、塗布24,48および72時間後に紅斑および浮腫を指標として一次刺激性を評価したところ、いずれのモルモットも紅斑および浮腫を認めず、この試験物質は皮膚一次刺激性に関して問題がないものと判断された
  • [動物試験] 3匹のモルモットの剪毛した側腹部に固形分濃度2%コーヒー種子エキス水溶液0.03mLを1日1回週5回、2週にわたって塗布し、各塗布日および最終塗布日の翌日に紅斑および浮腫を指標として皮膚刺激性を評価したところ、いずれのモルモットも2週間にわたって紅斑および浮腫を認めず、この試験物質は皮膚累積刺激性に関して問題がないものと判断された

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激なしと報告されているため、一般に皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

皮膚感作性(アレルギー性)について

医薬部外品原料規格2006に収載されており、20年以上の使用実績がある中で重大な皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

∗∗∗

コーヒー種子エキスは抗酸化成分、紫外線防御成分、美白成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:抗酸化成分 紫外線防御成分 美白成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. 鈴木 洋(2011)「コーヒー豆」カラー版健康食品・サプリメントの事典,69-70.
  2. 全日本コーヒー協会(2020)「日本のコーヒー生豆の国別輸入量」, <http://coffee.ajca.or.jp/data> 2021年2月16日アクセス.
  3. 杉田 浩一, 他(2017)「コーヒー」新版 日本食品大事典,271-276.
  4. 藤沢 章雄(2018)「活性酸素種と抗酸化物質」Fragrance Journal(46)(7),51-58.
  5. 遠藤 正行, 他(1991)「角層中における過酸化脂質及び皮表脂質の分布と洗浄による除去」油化学(40)(5),422-426.
  6. 河野 善行, 他(1991)「化学発光検出器を用いたHPLCによるヒト皮表脂質過酸化物の定量」油化学(40)(9),715-718.
  7. 河野 善行, 他(1995)「皮膚における過酸化反応とその防御」油化学(44)(4),248-255.
  8. 鈴木 敏幸(1990)「スキンケアと界面化学」表面科学(11)(4),260-264.
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  10. 一丸ファルコス株式会社, 他(1996)「コーヒーノキ種子抽出物配合化粧料」特開平08-092057.
  11. 朝田 康夫(2002)「活性酸素とは何か」美容皮膚科学事典,153-154.
  12. 河野 雅弘, 他(2019)「活性酸素種とは」抗酸化の科学,XⅢ-XⅣ.
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  14. 荒金 久美(1998)「光と皮膚」ファルマシア(34)(1),30-33.
  15. 花田 勝美(1996)「活性酸素・フリーラジカルは皮膚でどのようにつくられるか」皮膚の老化と活性酸素・フリーラジカル,15-35.
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  17. 一丸ファルコス株式会社(2006)「活性酸素消去剤」特開2006-117612.
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  22. 朝田 康夫(2002)「メラニンができるメカニズム」美容皮膚科学事典,170-175.
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