ウワウルシ葉エキスとは…成分効果と毒性を解説

抗酸化
ウワウルシ葉エキス
[化粧品成分表示名称]
・ウワウルシ葉エキス

ツツジ科植物ウワウルシ(∗1)(学名:Arctostaphylos uva-ursi 和名:クマコケモモ)の葉からエタノールBG、またはこれらの混液で抽出して得られる抽出物植物エキスです。

∗1 「ウワウルシ」の名称は学名の「uva-ursi」由来であり、ウルシ科の植物ではありません。

ウワウルシ(uva-ursi)は、ヨーロッパ、アジア、北米など北半球の寒冷地に分布し、北米では先住民によって、ヨーロッパでも17世紀ごろより薬用として用いられ、現在でも尿路感染症の治療薬として重宝されています(文献1:2011;文献2:2014)

ウワウルシ葉エキスは天然成分であることから、地域、時期、抽出方法によって成分組成に差異があると推察されますが、その成分組成は主に、

分類 成分名称
その他 アルブチン、メチルアルブチン
タンニン エラジタンニン エラグ酸
フラボノイド フラボノール ケルセチン、ヒペロシド

これらの成分で構成されていることが報告されています(文献1:2011;文献3:2016)

ウワウルシの葉の化粧品以外の主な用途としては、メディカルハーブ分野において主に抗生物質に耐性ができた慢性症状を含む尿路感染の炎症の治療に、また外用としては切り傷や擦り傷の消毒、風邪による体の痛みや腰痛の緩和に調合液が用いられています(文献2:2014;文献3:2016)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、化粧下地製品、シート&マスク製品、洗顔料、クレンジング製品、ボディソープ製品、制汗剤、デオドラント製品などに使用されています。

SOD様活性による抗酸化作用

SOD様活性による抗酸化作用に関しては、まず前提知識として皮膚における活性酸素種、活性酸素種の酸化還元反応およびSODの役割について解説します。

活性酸素種(ROS:Reactive Oxygen Species)とは、酸素(O₂)が他の物質と反応しやすい状態に変化した反応性の高い酸素種の総称であり(文献4:2002;文献5:2019)、酸素から産生される活性酸素種の発生メカニズムは、以下のように、

酸素から産生される活性酸素発生メカニズム

酸化力を有する酸素(O₂)が、比較的容易に電子を受けてスーパーオキシド(superoxide:O₂⁻)を生成し、さらに酸化が進むと過酸化水素(H₂O₂)、ヒドロキシルラジカル(HO)を経て、最終的に水(H₂O)になるというものです(文献6:2019)

この一連の反応を酸化還元反応と呼んでおり、正常な酸化還元反応において発生したスーパーオキシド(superoxide:O₂⁻)は少量であり、通常は抗酸化酵素の一種であるスーパーオキシドジスムターゼ(superoxide dismutase:SOD)により速やかに分解・消去されます(文献6:2019)

一方で、紫外線の曝露など(∗2)によりスーパーオキシド(superoxide:O₂⁻)を含む活性酸素種の過剰な産生が知られており(文献7:1998)、過剰に産生されたスーパーオキシドはスーパーオキシドジスムターゼ(superoxide dismutase:SOD)による分解・消去が追いつかず、紫外線の曝露時間やスーパーオキシドの発生量によってはヒドロキシルラジカル(HO・)まで変化することが知られています。

∗2 皮膚において活性酸素種が発生する最大の要因は紫外線ですが、他にも排気ガスなどの環境汚染物質、タバコの副流煙などの有害化学物質なども外的要因となります。

発生したヒドロキシルラジカル(HO)は、酸化ストレス障害として過酸化脂質の発生、コラーゲン分解酵素であるMMP(Matrix metalloproteinase:マトリックスメタロプロテアーゼ)の発現増加によるコラーゲン減少、DNA障害や細胞死などを引き起こし、中長期的にこれらの酸化ストレス障害を繰り返すことで光老化を促進します(文献6:2019;文献8:1996;文献9:2013)

このような背景から、紫外線の曝露時および曝露後にスーパーオキシドジスムターゼ(superoxide dismutase:SOD)の活性を増強することは、皮膚の酸化ストレス障害を抑制し、ひいては光老化、炎症および色素沈着などの抑制において非常に重要なアプローチのひとつであると考えられます。

2006年に一丸ファルコスによって報告されたウワウルシ葉エキスのスーパーオキシドおよびヒト皮膚に対する影響検証によると、

in vitro試験において96ウェルプレートの各ウェルに各濃度のウワウルシ葉エキスと純水を20μLずつ加え、SOD Assay Kit-WSTに基づいた処理工程を実施した後に吸光度を測定し、活性酸素消去率(スーパーオキシド消去率)を算出したところ、以下のグラフのように、

ウワウルシ葉エキスのスーパーオキシド消去作用

ウワウルシ葉エキスは、優れたスーパーオキシド消去作用を示すことが確認された。

次に、20人の被検者のうち10人に5%ウワウルシ葉エキス配合乳液を、別の10人に対照として未配合乳液を、それぞれ顔面に1日1回3ヶ月間連続使用してもらった。

3ヶ月後に「有効:肌のツヤ・ハリが増し、乾燥肌・肌荒れが改善された」「やや有効:肌のツヤ・ハリがやや増し、乾燥肌・肌荒れがやや改善された」「無効:使用前と変化なし」の3段階で評価したところ、以下の表のように、

試料 被検者数 皮膚感触に対する評価(人数)
有効 やや有効 無効
ウワウルシ葉エキス配合乳液 10 8 1 1
乳液のみ(対照) 10 0 2 8

5%ウワウルシ葉エキス配合乳液の塗布は、未配合乳液と比較して乾燥肌を改善し、肌にツヤ・ハリを付与することが確認された。

このような試験結果が明らかにされており(文献10:2006)、ウワウルシ葉エキスにSOD様活性による抗酸化作用が認められています。

効果・作用についての補足 – チロシナーゼ活性阻害による色素沈着抑制作用

ウワウルシ葉エキスは、美白有効成分として知られているアルブチンが含有されており、in vitro試験においてはチロシナーゼ活性阻害による色素沈着抑制作用が認められていますが(文献11:1994)、単独使用におけるヒト使用試験データがみつけられておらず、みつかりしだい追補します。

ウワウルシ葉エキスの安全性(刺激性・アレルギー)について

ウワウルシ葉エキスの現時点での安全性は、

  • 医療上汎用性があり有効性および安全性の基準を満たした成分が収載される日本薬局方に収載
  • 20年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

一丸ファルコスの安全性試験データ(文献12:1999)によると、

  • [動物試験] 3匹のウサギの剪毛した背部に乾燥固形分濃度0.5%ウワウルシ葉エキス水溶液を塗布し、塗布24,48および72時間後に紅斑および浮腫を指標として一次刺激性を評価したところ、いずれのウサギも紅斑および浮腫を認めず、この試験物質は皮膚一次刺激性に関して問題がないものと判断された
  • [動物試験] 3匹のモルモットの剪毛した側腹部に乾燥固形分濃度0.5%ウワウルシ葉エキス水溶液0.5mLを1日1回週5回、2週にわたって塗布し、各塗布日および最終塗布日の翌日に紅斑および浮腫を指標として皮膚刺激性を評価したところ、いずれのモルモットも2週間にわたって紅斑および浮腫を認めず、この試験物質は皮膚累積刺激性に関して問題がないものと判断された

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激なしと報告されているため、一般に皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

皮膚感作性(アレルギー性)について

日本薬局方に収載されており、20年以上の使用実績がある中で重大な皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

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ウワウルシ葉エキスは抗酸化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:抗酸化成分

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参考文献:

  1. 鈴木 洋(2011)「ウワウルシ(Uva-Ursi)」カラー版 漢方のくすりの事典 第2版,30.
  2. レベッカ ジョンソン, 他(2014)「ウワウルシ」メディカルハーブ事典,271-273.
  3. 林 真一郎(2016)「ウワウルシ」メディカルハーブの事典 改定新版,22-23.
  4. 朝田 康夫(2002)「活性酸素とは何か」美容皮膚科学事典,153-154.
  5. 河野 雅弘, 他(2019)「活性酸素種とは」抗酸化の科学,XⅢ-XⅣ.
  6. 小澤 俊彦(2019)「活性酸素種および活性窒素種の発生系」抗酸化の科学,123-138.
  7. 荒金 久美(1998)「光と皮膚」ファルマシア(34)(1),30-33.
  8. 花田 勝美(1996)「活性酸素・フリーラジカルは皮膚でどのようにつくられるか」皮膚の老化と活性酸素・フリーラジカル,15-35.
  9. 小林 枝里, 他(2013)「表皮の酸化ストレスとその防御機構」Fragrance Journal(41)(2),16-21.
  10. 一丸ファルコス株式会社(2006)「活性酸素消去剤」特開2006-117612.
  11. 第一三共株式会社(1994)「美白剤」特開平06-166609.
  12. 一丸ファルコス株式会社(1999)「活性酸素消去剤」特開平11-279069.

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