イチョウ葉エキスとは…成分効果と毒性を解説

抗酸化 血行促進成分
イチョウ葉エキス
[化粧品成分表示名称]
・イチョウ葉エキス

[医薬部外品表示名称]
・イチョウエキス

イチョウ科植物イチョウ(学名:Ginkgo biloba 英名:Ginkgo)の葉からエタノールBGなどで抽出して得られる抽出物植物エキスです。

イチョウは中国を原産とし、約2億年前に地球上に出現した植物で、かつては17属あったとされていますが、氷河期にほとんどが絶滅し1種類のみが中国に生き延びた経緯があり、「生きた化石」といわれています(文献3:2011)

日本に渡来した時期は明らかになっていませんが、イチョウに関する国内最古の資料は1356-1375年頃に成立した「異制庭訓往来」であり、1500年代(室町時代中期)には国内に広まっており(文献4:2001)、現在においては街路樹として広く知られています(文献5:1994)

イチョウ葉エキスは天然成分であることから地域、時期、抽出方法によって成分組成に差異があると推察されますが、その成分組成は主に、

分類 成分名称
フラボノイド フラボノール ケルセチン、ケンペノール
テルペノイド ジテルペン ギンコライドA,B,C、ビロバライド

これらの成分で構成されていることが報告されており(文献3:2011;文献6:2011)、フラボノイド類には強い抗酸化作用や毛細血管を拡張し血行を促進する作用が、ギンコライドは神経細胞での活性酸素を抑制する抗酸化作用や血小板活性化因子であるPAFに拮抗し血液量を増加させる作用が報告されています(文献3:2011;文献6:2011)

イチョウ葉エキスの化粧品以外の主な用途としては、ドイツでは規格化されたイチョウ葉エキスであるEGb761(∗1)が医薬品として認められていることから医薬品分野においてめまい、耳鳴り、頭痛、記憶障害の治療目的に用いられています(文献7:2012)

∗1 規格されたイチョウ葉エキスはEGb761というコードネームが付けられており、有効成分としてフラボノイド24%とテルペノイド6%を含み、アレルギーの原因となるギンコール酸含量を5ppm(0.0005%)以下に調整されたものを指します(文献7:2012)

日本においては医薬品として認められていませんが、日本健康・栄養食品協会が欧米と同等の規格を定めており、健康食品・サプリメント分野において用いられています(文献7:2012)

イチョウ葉エキスの皮膚浸透性については、サンパウロ大学薬学部によると、

in vitro試験において6つのヒト皮膚サンプルの表面に6%イチョウ葉エキスを含む製剤を塗布し、6時間および24時間後にイチョウ葉エキスに含まれる主要なフラボノイドであるケルセチンを定量することで皮膚への浸透性を評価した。

その結果、適用したケルセチンの24%が角質層に、33%が表皮に含まれていることが確認された。

この結果からイチョウ葉エキスに含まれるケルセチンは、表皮までの皮膚浸透性を示し、皮膚に良好に働く可能性があると結論付けられた。

このような検証結果が報告されており(文献8:2009)、イチョウ葉エキスは表皮への浸透性が認められています。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、メイクアップ化粧品、日焼け止め製品、シート&マスク製品、ボディ&ハンドケア製品、洗顔料、シャンプー製品、トリートメント製品、ボディソープ製品など様々な製品に汎用されています。

過酸化脂質抑制による抗酸化作用

過酸化脂質抑制による抗酸化作用に関しては、まず前提知識として過酸化脂質の発生メカニズムと過酸化脂質の皮膚への影響について解説します。

皮膚に対する紫外線曝露によって産生される活性酸素種である一重項酸素(¹O₂)やヒドロキシルラジカル(HO)は、細胞膜と反応して過酸化脂質(lipid peroxide)を生成することが知られています(文献9:2018)

過酸化脂質の発生メカニズムについては、以下の図をみるとわかりやすいと思いますが、

過酸化脂質発生メカニズム(脂質過酸化反応)

発生したヒドロキシルラジカル(HO)が脂質(LH)から電子を奪い、水素原子と結合して水(H₂O)と脂質ラジカル(L・)を生成することからはじまり、生成された脂質ラジカルは酸素分子(O₂)と速やかに反応して脂質ペルオキシルラジカル(LOO・)となります(文献9:2018)

脂質ペルオキシルラジカル(LOO・)は、他の脂質(LH)と反応して水素を引き抜き、自らは過酸化脂質(脂質ヒドロペルオキシド)となり、同時に新たに脂質ラジカル(L・)が生成され、脂質過酸化反応が連鎖的に繰り返されます(文献9:2018)

このような連鎖的反応によって生成された過酸化脂質は、皮膚に対して炎症、浮腫、壊死、色素沈着などを起こすことが知られています(文献10:1991)

また、皮膚表面に存在する皮表脂質(∗2)においても紫外線などの曝露によって発生する一重項酸素により過酸化脂質が増加することが知られており(文献11:1991)、皮表脂質の過酸化脂質量は20代を最小としそれ以降は年齢とともに増加することも明らかにされています(文献12:1995)

∗2 皮表脂質とは、表皮細胞(角化細胞)の分化過程で産生されるコレステロール、コレステロールエステルなどの表皮脂質と皮脂腺由来の皮脂が皮膚表面で混ざったもののことをいいます。

皮表脂質の成分組成は、ヒトによって含有量が異なり、また同じヒトであっても日によって変動がありますが、

由来 成分 含量(%) 含量範囲(%)
表皮細胞
(角化細胞)
コレステリルエステル 2.5 1.5 – 2.6
コレステロール 1.5 1.2 – 2.3
皮脂腺 スクアレン 10 10.1 – 13.9
ワックス 22 22.6 – 29.5
トリグリセリド 25 19.5 – 49.4
モノグリセリド、ジグリセリド 10 2.3 – 4.3
(ジグリセリドのみ)
遊離脂肪酸 25 7.9 – 39.0

このように報告されており(文献13:1990;文献14:1969)、皮脂腺由来の脂肪が約90%を占めることから、広義には皮表脂質も皮脂と呼ばれています。

皮表脂質では、スクアレンが酸化の第一標的となることが明らかにされており、ヒト皮膚再構築モデルを用いてこのスクアレン過酸化物の皮膚刺激性を検討したところ、皮表接触4時間後では障害反応は起こりませんが、接触24時間後では特異的に障害反応を示し、その障害範囲は表皮ケラチノサイトだけでなく真皮線維芽細胞にも及んでいることが報告されています(文献12:1995)

スクアレン過酸化物が皮表接触24時間後で線維芽細胞まで障害を起こすメカニズムとしては、スクアレン過酸化物由来の脂質過酸化反応の連鎖により真皮まで伝播していき、線維芽細胞の細胞膜構成脂質を酸化し破壊するという反応系であると考えられています(文献12:1995)

アトピー性皮膚炎においては、健常皮膚と比較して皮表の抗酸化能が劣っている(過酸化脂質産生量が多い)ことが明らかにされており、皮膚の状態と皮表脂質過酸化の進行度合いは相関することが示唆されています(文献12:1995)

このような背景から、紫外線の曝露時および曝露後に過酸化脂質を抑制することは、皮膚の酸化ストレス障害を抑制し、しいては光老化、炎症および色素沈着などの抑制において非常に重要であると考えられます。

1997年に東京大学先端科学技術研究センターによって報告された過酸化脂質に対するイチョウ葉エキスの抗酸化作用検証によると、

in vitro試験において、脂質過酸化反応に対するイチョウ葉エキスの抑制効果を定量的に知るために、リノール酸メチルの均一溶液中で酸化によって生成されるリノール酸メチルヒドロペルオキシドに対するイチョウ葉エキス添加による抑制効果を検討したところ、以下のグラフのように、

 脂質過酸化におけるイチョウ葉エキスの抗酸化作用

イチョウ葉エキスの添加は、リノール酸メチルの酸化で生成される過酸化脂質を濃度依存的に抑制することがわかった。

このような試験結果が明らかにされており(文献15:1997)、イチョウ葉エキスに過酸化脂質抑制による抗酸化作用が認められています。

また、トコフェロールは細胞膜に存在する重要な過酸化脂質抑制剤(抗酸化剤)であり、細胞を酸化から保護する役割を担っていますが、イチョウ葉エキスの塗布によりトコフェロールと競争的にラジカルを捕捉するとともに、トコフェロールがラジカルを捕捉した際に生成されるトコフェキシルラジカルが還元され、トコフェロールの酸化力が再生し、トコフェロールの消失を抑制することが明らかにされています(文献15:1997)

チオレドキシンリダクターゼ発現増強による抗酸化作用

チオレドキシンリダクターゼ発現増強による抗酸化作用に関しては、まず前提知識として活性酸素種生成メカニズム、細胞内におけるチオレドキシンの役割およびチオレドキシンリダクターゼについて解説します。

活性酸素種(ROS:Reactive Oxygen Species)とは、酸素(O₂)が他の物質と反応しやすい状態に変化した反応性の高い酸素種の総称であり(文献16:2002;文献17:2019)、酸素から産生される活性酸素種の発生メカニズムは、以下のように、

酸素から産生される活性酸素発生メカニズム

酸化力を有する酸素(O₂)が、比較的容易に電子を受けてスーパーオキシド(superoxide:O₂⁻)を生成し、さらに酸化が進むと過酸化水素(H₂O₂)、ヒドロキシルラジカル(HO)を経て、最終的に水(H₂O)になるというものです(文献18:2019)

この一連の反応を酸化還元反応と呼んでおり、正常な酸化還元反応において発生したスーパーオキシド(superoxide:O₂⁻)は少量であり、通常は抗酸化酵素の一種であるスーパーオキシドジスムターゼ(superoxide dismutase:SOD)により速やかに分解・消去されます(文献18:2019)

一方で、紫外線の曝露など(∗3)によりスーパーオキシド(superoxide:O₂⁻)を含む活性酸素種の過剰な産生が知られており(文献19:1998)、過剰に産生されたスーパーオキシドはスーパーオキシドジスムターゼ(superoxide dismutase:SOD)による分解・消去が追いつかず、以下の抗酸化メカニズムをみてもらうとわかるように、

酸素から発生する活性酸素種の抗酸化メカニズム

過酸化水素に変化した場合は、過酸化水素分解酵素であるカタラーゼ(catalase)およびグルタチオンの存在下でグルタチオンペルオキシダーゼ(glutathione peroxidase)およびチオレドキシンの存在下でペルオキシレドキシン(peroxiredoxin)により水(H₂O)に分解されますが、紫外線の曝露時間やスーパーオキシドの発生量によっては過酸化水素を経てヒドロキシルラジカル(HO)まで変化することが知られています(文献20:1996;文献21:2019)

∗3 皮膚において活性酸素種が発生する最大の要因は紫外線ですが、他にも排気ガスなどの環境汚染物質、タバコの副流煙などの有害化学物質なども外的要因となります。

発生したヒドロキシルラジカル(HO)は、酸化ストレス障害として過酸化脂質の発生、コラーゲン分解酵素であるMMP(Matrix metalloproteinase:マトリックスメタロプロテアーゼ)の発現増加によるコラーゲン減少、DNA障害や細胞死などを引き起こし、中長期的にこれらの酸化ストレス障害を繰り返すことで光老化を促進します(文献18:2019;文献22:1996;文献23:2013)

次に、チオレドキシン(還元型チオレドキシン)は紫外線などの酸化ストレスによって誘導され、ペルオキシレドキシンと共に過酸化水素(H₂O₂)を分解する抗酸化物質であり、自らの活性部位を還元することで酸化型チオレドキシンに変化しますが、チオレドキシンレダクターゼとNADPH(nicotinamide adenine dinucleotide phosphate:還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)により還元型チオレドキシンに再還元され、細胞の抗酸化機構を調整する役割を担っています(文献21:2019;文献24:2013)

このような背景から、紫外線の曝露時および曝露後に活性酸素種の産生を抑制することは、皮膚の酸化ストレス障害を抑制し、しいては光老化、炎症および色素沈着などの抑制において非常に重要であると考えられます。

2013年に資生堂リサーチセンターによって報告されたイチョウ葉エキスの抗酸化作用検証によると、

in vitro試験においてヒト正常角化細胞を培養し角化誘導した培養地にケンペロールおよび代表的な抗酸化剤であるα-リポ酸、α-トコフェロールをそれぞれ10μMで添加し、24時間後にチオレドキシンリラクターゼ1遺伝子ならびにチオレドキシン遺伝子の発現量を定量したところ、以下のグラフのように、

チオレドキシンリダクターゼ1遺伝子発現量比較

チオレドキシン遺伝子発現量比較

ケンペロールは、培養ヒト表皮角化細胞のチオレドキシンリラクターゼ1遺伝子およびチオレドキシン遺伝子の発現を上昇させることが明らかになり、一方でα-リポ酸、α-トコフェロールはチオレドキシンリラクターゼ1遺伝子およびチオレドキシン遺伝子に対する効果がみられなかった。

次に、チオレドキシンリラクターゼ1遺伝子およびチオレドキシン遺伝子発現に与える影響をほかのフラボノイド化合物と比較したところ、

各フラボノイドにおけるチオレドキシンリダクターゼ1遺伝子発現量比較

各フラボノイドにおけるチオレドキシン遺伝子発現量比較

ケンペロールと同じフラボノールに属するケルセチンやミリセチンは、ケンペロールと同様にチオレドキシンリラクターゼ1遺伝子およびチオレドキシン遺伝子を上昇させる効果を有していることが明らかになり、一方でほかのフラボノイド(アピゲニン、エピガロカテキンガレート、ゲニステイン)には効果がみられないもしくは効果が限定的であった。

これらの結果から、チオレドキシンリラクターゼ1遺伝子およびチオレドキシン遺伝子の活性化作用は、フラボノイドの中でもフラボノール類に特徴的な作用であることが示唆された。

この結果を受けて、ケンペロールを多く含むことが知られているイチョウ葉エキスをヒト表皮角化細胞に添加し、24時間後にチオレドキシンリラクターゼ1遺伝子の発現量を定量したところ、以下のグラフのように、

イチョウ葉エキス添加による表皮角化細胞のチオレドキシンリラクターゼ1遺伝子発現量

イチョウ葉エキスの添加により、チオレドキシンリラクターゼ1遺伝子発現量が上昇することが明らかになった。

このような試験結果が明らかにされており(文献24:2013)、イチョウ葉エキスにチオレドキシンリダクターゼ発現増強による抗酸化作用が認められています。

チオレドキシンリダクターゼ発現増強による抗酸化作用とは、チオレドキシンリダクターゼの増強によってチオレドキシンの再還元力が向上することによる過酸化水素分解能の向上を指し、ヒト試験データはみあたらないもののイチョウ葉エキスは表皮への浸透が明らかにされていることから、ヒト皮膚においてもチオレドキシンリダクターゼ発現増強による抗酸化作用を発揮すると考えられます。

また、イチョウ葉エキスのチオレドキシンリダクターゼ発現増強作用は、イチョウ葉エキスに含まれるフラボノイドの一種であるケンペロールおよびケルセチンによるものであることが明らかにされています(文献24:2013)

血管拡張による血行促進作用

血管拡張による血行促進作用に関しては、イチョウ葉エキスに含まれるフラボノイド類には血管を拡張し血行を促進する作用が報告されており(文献3:2011)、1989年にポーラ化成工業によって報告されたヒト皮膚に対するイチョウ葉エキスの血流への影響検証によると、

10人の被検者の前腕中央部の静脈が通っている箇所の血流を予め測定しておき、その部位の片腕に約3%イチョウ葉エキスを含むPGと精製水の混液を、もう片方にイチョウ葉エキス未配合混液を浸透させたリント布を5分間貼り、10分後にリント布を外し適用部位の血流を30分間測定した。

その結果、すべての被検者で未配合混液と比較してイチョウ葉エキスを含む混液を塗布した腕の血流量が高いことがわかった。

また、イチョウ葉エキス配合混液の適用前後では約70%の血流量の増進が確認された。

このような試験結果が明らかにされており(文献25:1989)、イチョウ葉エキスに血管拡張による血行促進作用が認められています。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2018年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

イチョウ葉エキスの配合製品数と配合量の調査結果(2018年)

スポンサーリンク

イチョウ葉エキスの安全性(刺激性・アレルギー)について

イチョウ葉エキスの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 30年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:0.2%濃度以下においてほとんどなし
  • 眼刺激性:0.013%濃度以下においてほとんどなし
  • 皮膚感作性(アレルギー性):0.2%濃度以下においてほとんどなし
  • 光毒性:ほとんどなし
  • 光感作性:ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2018)によると、

  • [ヒト試験] 48人の被検者に0.0085%イチョウ葉エキスを含むクリームを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、いずれの被検者も試験期間を通じて皮膚刺激および皮膚感作を示さなかった(Anonymous,2018)
  • [ヒト試験] 109人の被検者に0.0072%イチョウ葉エキスを含むリップ製品を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、いずれの被検者も試験期間を通じて皮膚刺激および皮膚感作を示さなかった(Anonymous,2018)
  • [ヒト試験] 201人の被検者に0.1%イチョウ葉エキスを含むリーブオン(つけっぱなし)製品を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、いずれの被検者も試験期間を通じて皮膚刺激および皮膚感作を示さなかった(Anonymous,2017)
  • [ヒト試験] 208人の被検者に0.2%イチョウ葉エキスを含む化粧水0.2mLを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を半閉塞パッチにて実施したところ、いずれの被検者も試験期間を通じて皮膚刺激および皮膚感作を示さなかった(TKL Research Inc,2003)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、0.2%濃度以下において共通して皮膚刺激および皮膚感作なしと報告されているため、一般に0.2%濃度以下において皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2018)によると、

  • [in vitro試験] 正常ヒト表皮角化細胞によって再構築された3次元培養角膜モデル(EpiOcular)を用いて、モデル角膜表面に0.013%イチョウ葉エキスを含む眼用製品を処理したところ、この試験物質は眼刺激の可能性はないと予測された(Anonymous,2018)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、0.013%濃度以下において眼刺激なしと予測されているため、一般に0.013%濃度以下において眼刺激性はほとんどないと考えられます。

光毒性および光感作性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2018)によると、

  • [ヒト試験] 29人の被検者に0.0072%イチョウ葉エキスを含むリップ製品を半閉塞パッチ適用した光毒性および光感作性試験において(詳細不明)、いずれの被検者も光毒性および光感作性を示さなかった(Anonymous,2018)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、光毒性および光感作性なしと報告されているため、一般に光毒性および光感作性はほとんどないと考えられます。

安全性についての補足

イチョウの葉には、アレルギー性皮膚炎を引き起こす成分として知られているギンコール酸(gonkgolic acid)が含まれていますが、ギンコール酸含量が5ppm(0.0005%)濃度以下ではアレルギー症状が発現しないことが明らかにされているため、多くの国の医薬品規格のイチョウ葉エキスはギンコール酸濃度が5ppm以下に規定されており(文献2:2002)、化粧品においても影響を及ぼさない濃度が推奨されているため(文献1:2018)、一般製品においてはアレルギーを引き起こすことはほとんどないと考えられます。

ただし、直接イチョウの葉を摘み取り、自身でアルコール抽出して用いるようなケースにおいては、ギンコール酸を多量に含むことからアレルギー性皮膚炎を引き起こす可能性が高くなるため、自身で抽出したイチョウ葉エキスの使用は推奨されていません。

∗∗∗

イチョウ葉エキスは抗酸化成分、血行促進成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:抗酸化成分 血行促進成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2018)「Safety Assessment of Ginkgo biloba-Derived Ingredients as Used in Cosmetics」Final Report.
  2. 国民生活センター(2002)「イチョウ葉食品の安全性 -アレルギー物質とその他の特有成分について考える-」,<https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20021125.pdf>2018年6月14日アクセス.
  3. 鈴木 洋(2011)「イチョウ葉」カラー版健康食品・サプリメントの事典,19.
  4. 堀 輝三(2001)「イチョウの伝来は何時か… 古典資料からの考察…」PLANT MORPHOLOGY(13)(1),31-40.
  5. 堀 輝三(1994)「イチョウの精子発見から百年」PLANT MORPHOLOGY(6)(1),15-16.
  6. 竹田 忠紘, 他(2011)「イチョウ」天然医薬資源学 第5版,270.
  7. 佐々木 啓子, 他(2012)「イチョウ葉エキスの薬理活性」千葉科学大学紀要(5),61-67.
  8. S.E. dal Belo, et al(2009)「Skin penetration of epigallocatechin-3-gallate and quercetin from green tea and Ginkgo biloba extracts vehiculated in cosmetic formulations」Skin Pharmacology and Physiology(22)(6),299-304.
  9. 藤沢 章雄(2018)「活性酸素種と抗酸化物質」Fragrance Journal(46)(7),51-58.
  10. 遠藤 正行, 他(1991)「角層中における過酸化脂質及び皮表脂質の分布と洗浄による除去」油化学(40)(5),422-426.
  11. 河野 善行, 他(1991)「化学発光検出器を用いたHPLCによるヒト皮表脂質過酸化物の定量」油化学(40)(9),715-718.
  12. 河野 善行, 他(1995)「皮膚における過酸化反応とその防御」油化学(44)(4),248-255.
  13. 鈴木 敏幸(1990)「スキンケアと界面化学」表面科学(11)(4),260-264.
  14. D.T. Downing, et al(1969)「Variability in the Chemical Composition of Human Skin Surface Lipids」Journal of Investigative Dermatology(53)(5),322-327.
  15. 野口 範子, 他(1997)「イチョウ葉エキスの抗酸化作用」日本油化学会誌(46)(12),1481-1488.
  16. 朝田 康夫(2002)「活性酸素とは何か」美容皮膚科学事典,153-154.
  17. 河野 雅弘, 他(2019)「活性酸素種とは」抗酸化の科学,XⅢ-XⅣ.
  18. 小澤 俊彦(2019)「活性酸素種および活性窒素種の発生系」抗酸化の科学,123-138.
  19. 荒金 久美(1998)「光と皮膚」ファルマシア(34)(1),30-33.
  20. 岡田 富雄(1996)「天然抗酸化剤」皮膚の老化と活性酸素・フリーラジカル,106-125.
  21. 小澤 俊彦(2019)「酸化ストレス障害を制御する抗酸化酵素の性質と機能」抗酸化の科学,173-183.
  22. 花田 勝美(1996)「活性酸素・フリーラジカルは皮膚でどのようにつくられるか」皮膚の老化と活性酸素・フリーラジカル,15-35.
  23. 小林 枝里, 他(2013)「表皮の酸化ストレスとその防御機構」Fragrance Journal(41)(2),16-21.
  24. 勝田 雄治, 他(2013)「ケンフェロールによるチオレドキシンシステムの活性化とイチョウ葉抽出液の効果」Fragrance Journal(41)(2),22-26.
  25. ポーラ化成工業株式会社(1989)「育毛・養毛料」特開平01-117816.

スポンサーリンク

TOPへ