シメチコンの基本情報・配合目的・安全性
化粧品表示名称 | シメチコン |
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医薬部外品表示名称 | シリコーン樹脂 |
化粧品国際的表示名称(INCI名) | Simethicone |
配合目的 | 消泡 など |
1. 基本情報
1.1. 定義
以下の化学式で表される平均鎖長がジメチルシロキサン単位200-350個のジメチコンとケイ酸の混合物です[1]。
1.2. 物性・性状
シメチコンの物性・性状は(∗1)、
∗1 比重とは固体や液体においては密度を意味し、標準密度1より大きければ水に沈み(水より重い)、1より小さければ水に浮くことを意味します。
状態 | 粘度 25℃(mPa・s) | 比重(25℃) |
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液体またはペースト | 300-2,500 | 1.01 |
このように報告されています[2]。
1.3. 化粧品以外の主な用途
シメチコンの化粧品以外の主な用途としては、
分野 | 用途 |
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食品 | 油性または水性の泡に強力な消泡作用をもち、生理的に不活性であることから、醸造工業、発酵工業、その他のあらゆる食品工業で消泡剤として用いられています[3]。 |
医薬品 | 可塑、潤沢、懸濁・懸濁化、光沢化、コーティング、湿潤、消泡目的の医薬品添加剤として外用剤などに用いられています[4]。 |
これらの用途が報告されています。
2. 化粧品としての配合目的
- 消泡
主にこれらの目的で、メイクアップ製品、ネイル製品、化粧下地製品、スキンケア製品など様々な製品に汎用されています。
以下は、化粧品として配合される目的に対する根拠です。
2.1. 消泡
消泡に関しては、シメチコンはジメチコンと微粉末シリカの複合体であり[5]、他の成分との溶解性が低く、かつ表面張力が低いため、泡の表面に薄く広がりやすい性質を有しており、泡の表面に運ばれたシリカが泡を破ることから[6][7]、消泡目的で主にメイクアップ製品、ネイル製品、クリーム系製品など油性製品に汎用されています。
3. 安全性評価
- 食品添加物の指定添加物リストに収載
- 薬添規2018規格の基準を満たした成分が収載される医薬品添加物規格2018に収載
- 外原規2021規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2021に収載
- 40年以上の使用実績
- 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
- 眼刺激性:詳細不明
- 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)
このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般に安全性に問題のない成分であると考えられます。
以下は、この結論にいたった根拠です。
3.1. 皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)
食品添加物の指定添加物リスト、医薬品添加物規格2018および医薬部外品原料規格2021に収載されており、40年以上の使用実績がある中で重大な皮膚刺激および皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。
3.2. 眼刺激性
試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細不明です。
4. 参考文献
- ⌃日本化粧品工業連合会(2013)「シメチコン」日本化粧品成分表示名称事典 第3版,504-505.
- ⌃信越化学工業株式会社(2018)「オイルコンパウンド」化粧品用シリコーン,10-11.
- ⌃樋口 彰, 他(2019)「シリコーン樹脂」食品添加物事典 新訂第二版,191.
- ⌃日本医薬品添加剤協会(2021)「ジメチルポリシロキサン・二酸化ケイ素混合物」医薬品添加物事典2021,288-289.
- ⌃信越化学工業株式会社(2021)「オイルコンパウンド型消泡剤」シリコーン消泡剤,10.
- ⌃桑田 敏(1990)「消泡性, 離型性」シリコーンハンドブック,132-133.
- ⌃ダウ・東レ株式会社(2019)「消泡剤」, 2022年4月30日アクセス.