ムラサキ根エキスとは…成分効果と毒性を解説

抗菌 抗アレルギー 抗老化 着色
ムラサキ根エキス
[化粧品成分表示名称]
・ムラサキ根エキス

[医薬部外品表示名称]
・シコンエキス

ムラサキ科植物ムラサキ(学名:Lithospermum erythrorhizon = Lithospermum officinale L. var. erythrorhizon Maxim)の根からエタノールBG、またはこれらの混液で抽出して得られる抽出物植物エキスです。

ムラサキ(紫)は、中国、朝鮮半島、日本各地に分布していますが(文献1:2011)、日本においては年々減少していることから絶滅危惧種に指定され、保全活動が行われています(文献2:2010)

ムラサキの濃紫色を呈する根(紫根)は、飛鳥時代には冠位十二階の冠色では紫が最高位のものとされ、その染色に用いられ、また紫は高貴な色とされていたことから永らく臣下には禁じられた色でしたが、江戸時代になると町人分化が栄えるとともに紫に対する禁色が解かれて江戸紫の色調が人気を集めるなど、紫の染料としても重要視されてきた歴史があります(文献3:1990)

ただし、日本においては年々減少している状況であることから栽培が模索されていますが、ムラサキの根の紫色は土壌病菌や環境ストレスから身を守るために抗菌活性のある色素を根に沈着させたものであると考えられており、好適な条件下で育てると根は紫色素を沈着せずに白くなってしまい、どのようなストレスをどの程度与えると紫色を沈着するのか解明できていないのが実情です(文献2:2010)

ムラサキ根エキスは天然成分であることから、国・地域、時期、抽出方法によって成分組成に差異があると推察されますが、その成分組成は主に、

分類 成分名称
ナフトキノン アセチルシコニン、シコニン(主要成分)
フェニルプロパノイド リトスペルミン酸

これらの成分で構成されていることが報告されており(文献1:2011;文献4:2013;文献5:2011)、紫色色素であるアセチルシコニン(acetylshikonin)やシコニン(shikonin)には創傷治癒促進作用、抗炎症作用、血管透過性亢進抑制作用、抗菌作用などが知られています(文献6:1977;文献7:1977;文献8:1972)

ムラサキの根(生薬名:紫根)の化粧品以外の主な用途としては、漢方分野において清熱涼血・解毒などの効能があることから紫斑、吐血、鼻血、血尿、腫れ物などに用いられ、また外用としては火傷や切り傷などに用いられます(文献1:2011;文献9:2016)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、シート&マスク製品、洗顔料、洗顔石鹸、クレンジング製品、シャンプー製品、コンディショナー製品などに使用されています。

血管透過性亢進抑制による抗アレルギー作用

血管透過性亢進抑制による抗アレルギー作用に関しては、まず前提知識として皮膚におけるアレルギーの種類およびⅠ型アレルギー性皮膚炎のメカニズムについて解説します。

皮膚におけるアレルギー反応は、

種類 名称 抗体 抗原 皮膚反応 考えられる主な疾患
Ⅰ型 即時型
アナフィラキシー型
IgE 化粧品、薬剤、洗剤、ダニ、カビ、ハウスダスト、金属、花粉、ほか 15-20分で最大の発赤と膨疹 アナフィラキシーショック、蕁麻疹、アレルギー性鼻炎、結膜炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、ほか
Ⅳ型 遅延型
細胞性免疫
感作T細胞 細菌、真菌、自己抗原 24-72時間で最大の紅斑と硬結 アレルギー性接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、ほか

主にこの2種類に分類されています(∗1)(文献10:2010;文献11:1968;文献12:1999)

∗1 アレルギーの分類としてはⅠ型-Ⅳ型まで4種類が存在し、Ⅰ型-Ⅲ型までの3種類が即時型に分類されていますが、皮膚に関連するものはⅠ型とⅣ型であることから、ここではⅠ型とⅣ型のみで構成しています。

Ⅰ型アレルギーは、即時型アレルギーまたはアナフィラキシー型とも呼ばれ、皮膚反応としては15-20分で最大に達する発赤・膨疹を特徴とする即時型皮膚反応を示しますが、このⅠ型アレルギー性炎症反応が起こるメカニズムは、以下のアレルギー性皮膚炎のメカニズム図をみてもらうとわかるように、

Ⅰ型アレルギー性皮膚炎のメカニズム

まず、アレルギーを起こす原因物質(抗原)が皮膚や粘膜から体内に侵入すると、抗原提示細胞(ランゲルハンス細胞や真皮樹状細胞)がその抗原の一部を自らの細胞表面に提示し、次にヘルパーT細胞の一種であるTh2細胞が抗原提示細胞の提示した抗原情報を認識し、抗原と結合して抗炎症性サイトカインの一種であるIL-4(Interleukin-4)を分泌します(文献12:1999)

次に、Th2細胞から分泌されたIL-4によりB細胞が刺激を受けIgE抗体を産生し、このIgE抗体が肥満細胞の表面にある受容体に結合することによりIgE抗体と抗原が反応し、肥満細胞に貯蔵されていたケミカルメディエーターであるヒスタミンが放出(脱顆粒)され、同時に細胞膜からはアラキドン酸が遊離し、ケミカルメディエーターであるロイコトリエンやプロスタグランジンに代謝されます(文献12:1999)

そして、放出されたヒスタミンはヒアルロニダーゼを活性化し、アラキドン酸から代謝されたロイコトリエンやプロスタグランジンとともに血管透過性を亢進させて浮腫を起こし、好酸球など炎症細胞の遊走を誘導し、炎症を引き起こします(文献12:1999;文献13:2009)

このような背景から、アレルギー性皮膚炎や肌荒れなどバリア機能が低下している場合に、アレルゲンの曝露からⅠ型炎症までのプロセスにおけるいずれかのポイントにアプローチすることは、アレルギー性炎症の抑制において重要であると考えられています。

ムラサキ根エキスの主要成分であるシコニン(shikonin)やアセチルシコニン(acetylshikonin)は、外用によって血管透過性亢進ならびに浮腫の急性炎症反応を顕著に抑制することが知られており(文献6:1977)、1971年に鐘淵紡績化粧品研究所(現 カネボウ化粧品)によって報告されたムラサキ根エキスのヒト皮膚に対する影響検証によると、

湿疹を有する12人の被検者に5%ムラサキ根エキス配合クリームおよびムラサキ根エキス未配合クリームを塗布し、ムラサキ根エキス配合クリームの効果を評価したところ、以下の表のように、

症状 被検者数 有効 やや有効 無効
急性湿疹 7 4 1 2
慢性湿疹 5 0 4 1

5%ムラサキ根エキス配合クリーム塗布群は、湿疹に対して改善効果を示し、また慢性湿疹より急性湿疹により有効であることが確認された。

このような試験結果が明らかにされており(文献14:1971)、ムラサキ根エキスに血管透過性亢進抑制による抗アレルギー作用が認められています。

アクネ菌抑制による抗菌作用

アクネ菌抑制による抗菌作用に関しては、まず前提知識として皮膚常在菌およびアクネ菌について解説します。

皮膚表面および皮脂腺開口部には多数の微生物が存在しており、その中でも健康なヒトの皮膚に高頻度で検出される病原菌をもたない微生物を皮膚常在菌と呼んでいます(文献15:1986;文献16:1994)

健常な皮膚表面およびの主な皮膚常在菌の種類としては、20-69歳までの健常女性84人の頬より菌を採取し分離同定したところ、以下の表のように(∗2)

∗2 好気性とは、酸素を利用した代謝機構を備えていること、嫌気性とは増殖に酸素を必要としない性質のことです。

分類 名称 性質 検出率(%)
グラム陽性桿菌 アクネ菌(cutibacterium acnes) 嫌気性 100.0
グラム陽性球菌 表皮ブドウ球菌(staphylococcus epidermidis) 好気性 79.1
グラム陽性細菌 ミクロコッカス属(micrococcus) 好気性 41.2
グラム陽性球菌 黄色ブドウ球菌(staphylococcus aureus) 好気性 8.7
グラム陽性細菌 枯草菌(bacillus subtilis) 好気性 6.1

すべての人からアクネ菌が検出され、次いで表皮ブドウ球菌が79.1%の人から検出されたことから、これらが主要な皮膚常在菌であると考えられます(文献16:1994)

皮膚常在菌の平均的な菌数については、被検者の頬1c㎡あたりの平均菌数を検討したところ、以下のグラフのように、

健常皮膚における皮膚常在菌の平均数

最も多く検出されたのはアクネ菌、次いで表皮ブドウ球菌であり(文献16:1994)、この試験結果は従来の試験データ(文献15:1986)とも同様であることから、一般に健常な皮膚状態かつこれらの皮膚常在菌が存在する場合はこれらの皮膚常在菌が大部分を占めていると考えられます。

皮膚常在菌は、皮膚上の皮表脂質やアミノ酸などを生育のための栄養源とし、1000種もの菌がお互いに競合と調和関係を構築しながら安定した叢(フローラ)を形成することで、通常は病原性を示すことなく、むしろ外部からの病原菌の侵入を防ぐ一種のバリア機能を発揮していると考えられています(文献15:1986;文献17:2018)

アクネ菌は嫌気性菌であり、酸素のある環境ではほとんど増殖できないため、毛穴や皮脂腺に存在しており、皮脂分解酵素であるリパーゼ(lipase)を産生・分泌し、皮脂の構成成分であるトリグリセリドを脂肪酸とグリセリンに分解することによって皮膚を弱酸性に保ち、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)など病原性の強い細菌の増殖を抑制する役割を担っています(文献18:2011)

一方で、以下のニキビの種類・重症度図をみてもらうとわかりやすいと思いますが、

ニキビの種類・重症度

様々な要因から皮脂の分泌量が過剰に増えることにより、毛穴開口部の角層が硬くなって毛穴を塞ぐことや角質細胞と脂質の混合物が毛穴に詰まり狭められて皮脂が溜まることなど、酸素が少なく栄養が多いアクネ菌にとって理想的な環境となった場合に、アクネ菌が過剰に増殖することが知られています。

アクネ菌が増殖するメカニズムとしては、アクネ菌がリパーゼを分泌しトリグリセリドを分解することによって生じる脂肪酸の一種であるオレイン酸が毛穴開口部の角層を硬くし、アクネ菌の生育を促進することから(文献19:1970)、アクネ菌がリパーゼを分泌することでオレイン酸を産生し、閉塞環境を強化しながら増殖していくというものになります(文献16:1994)

アクネ菌は、過剰に増殖しなければニキビの原因菌になりませんが、皮脂の分泌量が増えて何かの理由で毛穴が塞がり過剰に増殖すると、増殖したアクネ菌の数に比例して分泌されるリパーゼによって産生された過剰な脂肪酸や増殖した菌体の成分が毛穴に炎症を引き起こすことから(文献20:1970;文献21:1980;文献22:1972)、ニキビの発生から悪化の要因であると考えられています。

このような背景から、皮膚常在菌がバランスした健常な皮膚状態であればアクネ菌の存在は問題ではありませんが、毛穴開口部の閉塞などによりアクネ菌が増殖し皮膚常在菌バランスが崩れた場合は、増殖したアクネ菌を抑制するアプローチが皮膚常在菌バランスの改善、ひいては皮膚状態の改善に重要であると考えられます。

ムラサキ根エキスの主要成分であるアセチルシコニン(acetylshikonin)やシコニン(shikonin)は、外用によってにグラム陽性菌を抑制することが知られており(文献8:1972)、1971年に鐘淵紡績化粧品研究所(現 カネボウ化粧品)によって報告されたムラサキ根エキスのヒト皮膚尋常性ざ瘡(ニキビ)に対する影響検証によると、

尋常性ざ瘡(ニキビ)を有する12人の被検者に5%ムラサキ根エキス配合クリームおよびムラサキ根エキス未配合クリームを塗布し、ムラサキ根エキス配合クリームの効果を評価したところ、以下の表のように、

症状 被検者数 有効 やや有効 無効
尋常性ざ瘡(ニキビ) 12 2 6 4

5%ムラサキ根エキス配合クリーム塗布群は、尋常性ざ瘡(ニキビ)に対して改善効果を示した。

このような試験結果が明らかにされており(文献14:1971)、ムラサキ根エキスにアクネ菌抑制による抗菌作用が認められています。

好中球エラスターゼ活性阻害による抗老化作用

好中球エラスターゼ活性阻害による抗老化作用に関しては、まず前提知識として真皮の構造、光老化のメカニズムについて解説します。

真皮については、以下の真皮構造図をみてもらうとわかりやすいと思いますが、

真皮の構造

表皮を下から支える真皮を構成する成分としては、細胞成分と線維性組織を形成する間質成分(細胞外マトリックス成分)に二分され、以下の表のように、

分類 構成成分
間質成分
(細胞外マトリックス)
膠原線維 コラーゲン
弾性繊維 エラスチン
基質 糖タンパク質、プロテオグリカン、グリコサミノグリカン
細胞成分 線維芽細胞

主成分である間質成分は、大部分がコラーゲンからなる膠原線維とエラスチンからなる弾性繊維、およびこれらの間を埋める基質で占められており、細胞成分としてはこれらを産生する線維芽細胞がその間に散在しています(文献23:2002;文献24:2018)

間質成分の大部分を占めるコラーゲンは、膠質状の太い繊維であり、その繊維内に水分を保持しながら皮膚のハリを支えています(文献23:2002)

このコラーゲンは、Ⅰ型コラーゲン(80-85%)とⅢ型コラーゲン(10-15%)が一定の割合で会合(∗3)することによって構成されており(文献25:1987)、Ⅰ型コラーゲンは皮膚や骨に最も豊富に存在し、強靭性や弾力をもたせたり、組織の構造を支える働きが、Ⅲ型コラーゲンは細い繊維からなり、しなやかさや柔軟性をもたらす働きがあります(文献26:2013)

∗3 会合とは、同種の分子またはイオンが比較的弱い力で数個結合し、一つの分子またはイオンのようにふるまうことをいいます。

エラスチン(elastin)を主な構成成分とする弾性繊維は、皮膚の弾力性をつくりだす繊維であり、コラーゲンとコラーゲンの間に絡み合うように存在し、コラーゲン同士をバネのように支えて皮膚の弾力性を保持しています(文献23:2002)

基質は、主に糖タンパク質(glycoprotein)プロテオグリカン(proteoglycan)およびグリコサミノグリカン(glycosaminoglycan)で構成されたゲル状物質であり、これらの分子が水分を保持し、コラーゲンやエラスチンと結合して繊維を安定化させることにより、皮膚は柔軟性を獲得しています(文献23:2002;文献24:2018)

細胞成分としては線維芽細胞(fibroblast)が真皮に分散しており、コラーゲン繊維やエラスチン繊維が古くなるとこれらを分解する酵素を産生して不必要な分を分解し、新しいコラーゲン繊維やエラスチン繊維を産生して細胞外マトリックス成分の産生・分解系バランスを保持しています(文献23:2002)

これら真皮の働きを要約すると、

  • コラーゲン繊維が水分を保持しながら皮膚の張りを支持
  • エラスチンを主とした弾性繊維がコラーゲン同士をバネのように支えて皮膚の弾力性を保持
  • 基質(ゲル状物質)が水分を保持し、コラーゲン繊維と弾性繊維を安定化
  • 紫外線曝露時など必要に応じてコラーゲン繊維、弾性繊維、ムコ多糖を産生し、細胞外マトリックス成分の産生・分解系バランスを保持

それぞれがこのように働くことで、皮膚はハリや柔軟性・弾性を保持しています。

一方で、一般に紫外線を浴びる時間や頻度に比例して、間質成分(細胞外マトリックス成分)であるコラーゲン、エラスチン、ムコ多糖類への影響が大きくなり、シワの形成促進、たるみの増加など老化現象が徐々に進行することが知られています(文献27:2002)

紫外線の曝露によりシワやたるみが形成されるメカニズムは複合的であることから、わかりやすさを優先するために直接的に関係がないメカニズムは省略しますが、以下の光老化メカニズム図をみてもらうとわかるように、

光老化のメカニズム

紫外線曝露刺激などによって真皮で引き起こされる炎症反応により、白血球の一種である好中球が血管を透過(浸潤)しタンパク質分解酵素である好中球エラスターゼを放出することが知られており、この好中球エラスターゼはコラーゲン、エラスチン、プロテオグリカンなどを直接分解することが報告されています(文献28:2019)

20代あたりまでは細胞外マトリックス成分の合成が活発であるため、紫外線照射によってこれらが破壊されてもダメージが蓄積されずシワやたるみの形成に至らないと考えられますが、過剰および長期にわたって紫外線環境に曝されている場合は加齢とともに細胞外マトリックス成分の産生能が低下していくに従って細胞外マトリックス成分の産生・分解系バランスが崩れていき、主な皮膚老化現象としてシワが形成されていくと考えられています(文献29:1998)

このような背景から、紫外線の曝露による好中球エラスターゼの活性を抑制することは光老化の防御において重要であると考えられています。

1999年に資生堂によって報告されたムラサキ根エキスの好中球エラスターゼおよびヒト皮膚光老化に対する影響検証によると、

in vitro試験において8mMのエラスターゼ基質25μLに5μL/mLヒト白血球由来エラスターゼ緩衝液25μLを加えた後に各濃度のムラサキ根エキス50μL、または陽性比較対照としてエラスターゼ阻害活性を示す牛胎児血清を添加し、それぞれ培養後に吸光度を測定しエラスターゼ活性阻害率を算出したところ、以下のグラフのように、

ムラサキ根エキスのエラスターゼ活性阻害作用

ムラサキ根エキスは、0.001%濃度においても優れたエラスターゼ活性阻害作用を示し、0.01%濃度においては牛胎児血清と同等のエラスターゼ活性阻害作用を示したことからエラスターゼ活性阻害作用を有していることがわかった。

次に、100人の女性被検者(25-57歳)に1.5%ムラサキ根エキス配合クリームを、また陰性対照としてムラサキ根エキス未配合クリームを1ヶ月にわたって連日顔面塗布してもらった。

1ヶ月後にシワおよび小ジワの評価を「有効:目立たなくなった、改善された」「やや有効:少し目立たなくなった、やや改善された」「無効:使用前と変化なし」「やや悪化:やや増えた、やや目立つようになった」「悪化:増えた、目立つようになった」の5段階で評価したところ、以下の表のように、

試料 症例数 シワ・小ジワに対する効果(人数)
有効 やや有効 無効 やや悪化 悪化
ムラサキ根エキス配合クリーム 100 18 42 31 9 0
クリームのみ(比較対照) 100 0 31 35 20 14
試料 症例数 ハリ・タルミに対する効果(人数)
有効 やや有効 無効 やや悪化 悪化
ムラサキ根エキス配合クリーム 100 12 41 35 12 0
クリームのみ(比較対照) 100 0 21 61 4 14

ムラサキ根エキス配合クリーム塗布群は、未配合クリーム塗布群と比較してシワ・小ジワおよびハリ・タルミに対する改善効果が確認された。

このような試験結果が明らかにされており(文献30:1999)、ムラサキ根エキスに好中球エラスターゼ活性阻害による抗老化作用が認められています。

ただし、ヒト試験においては1999年には有効なシワやハリの評価方法が確立されていなかったこともあり、目視による観察評価のみで効果を認めているため、その点は留意する必要があります。

紫色の着色

紫色の着色に関しては、天然の紫色素として様々な製品に使用されています(文献31:2012)

複合植物エキスとしてのムラサキ根エキス

ムラサキ根エキスは、他の植物エキスとあらかじめ混合された複合原料があり、ムラサキ根エキスと以下の成分が併用されている場合は、複合植物エキス原料として配合されている可能性が考えられます。

原料名 K-Blend HANA
構成成分 BGムラサキ根エキストウキ根エキスキハダ樹皮エキスウコン根茎エキス
特徴 漢方処方「紫雲膏」および「中黄膏」に基づき、チロシナーゼ活性阻害作用および抗酸化作用による多角的な色素沈着抑制作用を発揮する4種類の植物エキス混合液

ムラサキ根エキスの安全性(刺激性・アレルギー)について

ムラサキ根エキスの現時点での安全性は、

  • 医療上汎用性があり有効性および安全性の基準を満たした成分が収載される日本薬局方に収載
  • 外原規2021規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2021に収載
  • 30年以上の使用実績
  • 皮膚一次刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚累積刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

一丸ファルコスの安全性データ(文献32:1999)によると、

  • [動物試験] 3匹のウサギの剪毛した背部皮膚に乾燥固形分1%ムラサキ根エキス水溶液を塗布し、塗布24,48および72時間後に一次刺激性を評価したところ、いずれのウサギにおいても紅斑および浮腫などの皮膚刺激を認めず、陰性と判定された
  • [動物試験] 3匹のモルモットの剪毛した側腹部皮膚に乾燥固形分1%ムラサキ根エキス水溶液0.5mLを1日1回週5回2週にわたって塗布し、各塗布日および最終塗布日の翌日に一次刺激性の評価基準に基づいて紅斑および浮腫を指標として評価したところ、いずれのモルモットにおいても紅斑および浮腫などの皮膚刺激を認めず、陰性と判定された

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激なしと報告されているため、一般に皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

皮膚感作性(アレルギー性)について

日本薬局方および医薬部外品原料規格2021に収載されており、30年以上の使用実績がある中で重大な皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

∗∗∗

ムラサキ根エキスは抗菌成分、抗アレルギー成分、抗老化成分、着色剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:抗菌成分 抗アレルギー成分 抗老化成分 着色剤

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