ドクダミエキスとは…成分効果と毒性を解説

抗菌成分 抗炎症成分 抗シワ成分 抗酸化成分 消臭剤 抗育毛
ドクダミエキス
[化粧品成分表示名称]
・ドクダミエキス

[医薬部外品表示名称]
・ドクダミエキス

ドクダミ科植物ドクダミ(学名:Houttuynia cordata 英名:Lizard tail)の葉・茎からエタノールBG(1,3-ブチレングリコール)で抽出して得られるエキスです。

ドクダミエキスの成分組成は、抽出方法や天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

  • 精油
  • フラボノイド類:クエルシトリン
  • 無機成分

などで構成されています(文献1:2006;文献2:2017)

ドクダミの名は、全草に独特の臭気があることから、毒を溜めているいるのではないかと「毒溜め」、あるいは毒を下すことから「毒矯め」など諸説があります(文献4:2018)

この独特の臭気はデカノイルアセトアルデヒドやラウリルアルデヒドによるもので、デカノイルアセトアルデヒドには抗菌・抗真菌作用がありますが、乾燥すると酸化されて悪臭およびその作用は消失します(文献3:2011)

このため、乾燥させたドクダミの煎液に解毒作用は期待できませんが、利尿、緩下作用、抗動脈硬化作用を有することは知られています(文献3:2011)

漢方ではドクダミは十薬(ジュウヤク)と呼ばれ、清熱・解毒・利水・消腫の効能があり、肺炎、気管支炎、腸炎、膀胱炎、腫れ物、痔、脱肛などに用います(文献3:2011)

日本漢方では、梅毒、腫れ物、湿疹、痔疾に金銀花・荊芥などと配合した五物解毒湯が有名ですが、乾燥させたものは解毒作用が失効するためか、もっぱら生のまま外用薬として利用されます(文献3:2011)

外用薬としては、新鮮な生の葉を火にあぶって柔らかくしたものを腫れ物の患部に当てて膿を吸い出したり、蓄膿症には葉を揉んで汁を出したものを鼻に挿入したり、また葉の汁を湿疹、ざ瘡、水虫、かぶれなどに使用します(文献3:2011)

今日ではどくだみ茶として便秘や高血圧、皮膚病などの体質改善に利用されています(文献3:2011)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、洗顔料、メイクアップ化粧品、マスク&パック製品、消臭製品など幅広く様々な製品に使用されます(文献1:2006;文献5:1998;文献6:2001;文献7:2003)

MMP-1活性阻害による抗シワ作用

MMP-1活性阻害による抗シワ作用に関しては、まず前提知識として紫外線によってシワが生じる仕組みとMMP-1(Ⅰ型コラゲナーゼ)について解説しておきます。

まずはシワが生じる仕組みですが、以下の肌図をみてもらえるとわかりやすいと思うのですが、

真皮の潤い成分一覧

皮膚の真皮層は、ヒアルロン酸、コラーゲン、エラスチンが網の目状に細胞外マトリックスを形成しており、皮膚のハリ・弾力に深く関与しています。

実際に網の目の役割をしているのはコラーゲンで、コラーゲンの網目の交差点を安定・強化しているのがエラスチンですが、紫外線を浴びるとそれぞれの分解酵素が活性化し、コラーゲン量とエラスチン量がともに減少することが明らかになっており、コラーゲン量およびエラスチン量が減少していくと、皮膚のハリ・弾力が次第に失われ、徐々にシワ・たるみが生じます。

コラーゲンについてさらに詳細にみていくと、真皮層のコラーゲンは以下の肌図のように、

真皮におけるコラーゲンの種類

  • Ⅰ型コラーゲン:真皮内に網目状に張りめぐらされている強硬なコラーゲン。肌の弾力やハリを保持
  • Ⅲ型コラーゲン:真皮の乳頭層に多く含まれる細くて柔らかいコラーゲン。肌に柔らかさを付与
  • Ⅳ型コラーゲン:基底膜の膜状構造を維持するための骨格の役割をするコラーゲン

というようにそれぞれ役割が異なっており、大部分は網の目を形成するⅠ型コラーゲンになります。

そして、コラーゲン分解酵素であるMMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)の中で、MMP-1はⅠ型コラーゲン分解酵素であるⅠ型コラゲナーゼのことを指します。

ドクダミエキスには、MMP-1活性阻害作用が明らかになっており、1998年にノエビアによって報告された植物抽出物のⅠ型コラーゲン分解酵素に対する阻害作用検証によると、

33種類の植物抽出物について、それぞれ0.1mg/mL濃度でⅠ型コラゲナーゼ活性阻害作用を評価したところ、以下のように、

植物エキス 阻害率(%)
ユーカリ 94.9
セージ 70.0
シャクヤク 58.0
ドクダミ 31.9
ハッカ 19.2

ユーカリ、セージ、シャクヤク、ドクダミおよびハッカ抽出物の5種類に高いⅠ型コラゲナーゼ活性阻害作用が認められた。

このような検証結果が明らかになっており(文献5:1998)、ドクダミエキスには紫外線によるMMP-1(Ⅰ型コラゲナーゼ)活性阻害による抗シワ作用があると考えられます。

ムダ毛成長抑制作用

ムダ毛成長抑制作用に関しては、まず前提知識として毛髪と体毛(すね毛・腕毛など)の違いを解説しておきます。

2001年に資生堂によって報告された頭髪とすね毛の密度・太さ・ヘアサイクルなどの違いによると、以下の図および表のように、

毛髪と体毛の違い

  すね毛 頭髪
毛包(∗1)の深さ 浅い 深い
皮膚表面に対する角度 浅い(斜め) 深い(直角に近い)
密度(本/c㎡:平均) 12 220
太さ(μm:平均) 40~50(目立つ毛) 80~90
成長速度(mm/週:平均) 1.26 2.94
ヘアサイクル(∗2) 6ヶ月~12ヶ月 2.5~6.7年
伸びる毛の割合 夏に高い 冬に高い

∗1 毛包とは、皮下の毛根を取り囲んでいる包状組織です。
∗2 ヘアサイクルとは、成長、脱毛、新生を繰り返す毛髪の一生のことです。

このような違いが明らかになっており(文献6:2001)、また同じく2001年に資生堂によって報告された生薬によるムダ毛の育毛抑制作用検証によると、

育毛薬剤探索の途上で発見した育毛抑制効果のある薬剤がムダ毛に悩む女性の声に応えられるのではないかと着想し、育毛研究では脚光を浴びることのなかった数百種類におよぶ生薬を再度検証したところ、ドクダミエキスに毛乳頭細胞、毛母細胞の増殖を抑制する効果があることを発見した。

ドクダミエキスがムダ毛に対して抑制効果を発揮するかどうか検証するために3ヶ月にわたって継続使用試験を実施したところ、毛髪径で10%、伸長速度では15%の減少が認められた。

さらに毛穴の赤みが目立たなくなるなど肌改善効果においてもプラスアルファの評価が得られた。

このような検証結果が明らかになっており(文献6:2001)、ドクダミエキスにムダ毛の成長抑制作用が認められています。

ただし、試験では濃度が不明であり、一般的に化粧品配合量は1%未満であるため、かなり穏やかなムダ毛成長抑制作用であると考えられます。

ビニルケトン類生成抑制による消臭作用(抗酸化作用)

ビニルケトン類生成抑制による消臭作用(抗酸化作用)に関しては、まず前提知識としてビニルケトン類について解説しておきます。

2003年にライオンがヒトの腋臭について研究した結果、臭気原因成分としてビニルケトン類であるOEO(1-octen-3-one)とODO(cis-1,5-octadien-3-one)が発見されました(文献7:2003)

これらのビニルケトン類は、人体代謝物中のリノール酸リノレン酸などの不飽和脂肪酸と鉄が作用することにより、不飽和脂肪酸が酸化を受けて生成されることが確認されており、このメカニズムにより発生するにおいは酸化臭と定義されています。

この酸化臭は、発汗直後から発生し、とくに汗のかき始めのツンとくるにおいに大きく寄与していると考えられています。

2003年にライオンによって報告された植物抽出エキスの抗酸化作用によるビニルケトン類の生成抑制検証によると、

酸化臭であるビニルケトン類(OEO,ODO)の生成を植物エキスの抗酸化作用により抑制することを検証するために、一般的な抗酸化力を評価するオーブン試験により各種植物抽出エキスの抗酸化力を共役ジエンの生成時間で評価したところ、クワエキス、ワレモコウエキス、ドクダミエキスに高い抗酸化力が認められた。

次に、高い抗酸化力が認められたクワエキス、ワレモコウエキス、ドクダミエキスの抗酸化力をさらに詳しく検証するためにリノール酸を用いたOEOの生成抑制試験を行ったところ、以下のグラフのように、

植物エキスによるOEO生成抑制作用比較

それぞれのエキスで高いOEO生成抑制作用が認められた。

このような検証結果が明らかにされており(文献7:2003)、ドクダミエキスには強い酸化臭抑制作用が認められています。

ただし、試験では濃度などが不明であり、一般的に化粧品配合量は1%未満であるため、試験よりも穏やかな酸化臭抑制作用である可能性が考えられます。

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ドクダミエキスの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

ドクダミエキスの現時点での安全性は、医療上汎用性があり有効性および安全性の基準を満たした成分が収載される日本薬局方に収載されている漢方生薬であり、また外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006にも収載されているため、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

ただし、詳細な試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

眼刺激性について

詳細な試験データはみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ドクダミエキス

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ドクダミエキスは△(∗3)となっており、安全性に問題はないと考えられます。

∗3 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ドクダミエキスは抗菌成分、抗炎症成分、抗老化成分、抗酸化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:抗菌成分 抗炎症成分 抗老化成分 抗酸化成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. 日光ケミカルズ(2006)「植物・海藻エキス」新化粧品原料ハンドブックⅠ,378.
  2. 原島 広至(2017)「ジュウヤク(十薬)」生薬単 改訂第3版,154-155.
  3. 鈴木 洋(2011)「十薬(じゅうやく)」カラー版 漢方のくすりの事典 第2版,215.
  4. ジャパンハーブソサエティー(2018)「ドクダミ」ハーブのすべてがわかる事典,140-141.
  5. 大林 恵, 他(1998)「植物抽出物の細胞外マトリックス分解酵素に対する阻害作用」日本化粧品技術者会誌(32)(3),272-279.
  6. “資生堂”(2001)「ドクダミから抽出した「ジュウヤクエキス」にむだ毛の成長を抑制する効果を発見」, <https://www.shiseidogroup.jp/newsimg/archive/00000000000193/193_a3h16_jp.pdf> 2018年8月8日アクセス.
  7. 飯田 悟, 他(2003)「体臭発生機構の解析とその対処(1)」日本化粧品技術者会誌(37)(3),195-201.

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