チャ葉エキスとは…成分効果と毒性を解説

抗酸化成分 抗菌成分 抗アレルギー 美白成分 育毛剤 消臭剤
チャ葉エキス
[化粧品成分表示名称]
・チャ葉エキス

[医薬部外品表示名称]
・チャエキス(1)、紅茶エキス、ウーロン茶エキス

ツバキ科植物チャノキ(学名:Camellia sinensis)の葉からエタノールグリセリン溶液で抽出して得られるエキスです。

緑茶(不発酵茶)、烏龍茶(半発酵茶)、紅茶(完全発酵茶)は同じ茶樹の葉からつくられ、これらの違いは発酵度(∗1)のみであるため(文献3:2016)、チャ葉エキスは医薬部外品名称では、チャエキス(1)、紅茶エキス、ウーロン茶エキスに分けられますが、化粧品名称ではすべてチャ葉エキスと表示されます。

∗1 一般的に発酵というと、乳酸発酵のように微生物が関与する工程に用いられますが、茶の製造工程で用いられる発酵はそれとは異なり、茶葉自身が持つ酵素による酸化、分解などの成分変化を示しています。

チャ葉エキスの成分組成は、天然成分のため国、地域、時期によって変化しますが、主に、

  • フラボノイド類:エピガロカテキンガレート
  • アルカロイド類:カフェイン、テオフィリン、キサンチン
  • アミノ酸:テアニン
  • ビタミンC

などで構成されており、多少の違いはあるものの基本的には緑茶、紅茶、ウーロン茶も類似しています(文献2:2006;文献3:2016)

茶は中国では紀元前10世紀の周の時代に薬用とされ、紀元3世紀ごろに嗜好品とされはじめ、8世紀の唐の時代に栽培や製茶が普及し、日本では鎌倉時代に栄西が「喫茶養生記」を著してから喫茶の風習が広まり、ヨーロッパでは16世紀に中国や日本から紹介され、喫茶が流行した(文献4:2011)

茶の苦味はカフェイン、渋味はカテキン類、旨みはテアニンに起因し、茶ポリフェノール(茶カテキン類)は最も生理活性が強いといわれています。

薬理作用としては、コレステロール吸収阻害、抗菌、抗ウィルス作用をはじめ、最近の機能性研究では抗がん作用、体脂肪低減作用などが報告されています(文献3:2016;文献4:2011;文献5:2017)

漢方では、清頭目、利尿、止瀉などの効用があり、頭痛、多眠、下痢などに用います(文献4:2011)

化粧品として配合される場合は、

これらの作用を有しているため、エイジングケア化粧品、毛穴ケア化粧品、ニキビケア化粧品、敏感肌用化粧品などのスキンケア化粧品、ボディケア製品、に配合されています(文献2:2006;文献6:2014;文献10:1997)

また、2014年に世界最大のIn-cosmeticsで銀賞を受賞したリデンシルという複合成分に抗酸化作用でチャ葉エキスも配合されており、脱毛抑制作用、育毛作用、ハリ・コシ強化による毛髪保護作用などの目的で育毛剤、ヘアケア製品、まつ毛美容液、アイメイクアップ化粧品などにも使用されます(文献6:2014)

ほかに、消臭効果も認められているため、様々な消臭製品にも使用されます。

SCF結合阻害による色素沈着抑制作用

SCF結合阻害による色素沈着抑制作用に関しては、まず前提知識としてメラニン生合成のメカニズムとSCFおよびc-kitレセプターについて解説します。

以下のメラニン生合成のメカニズム図をてみもらうとわかりやすいと思うのですが、

紫外線におけるメラニン生合成までのプロセス

紫外線を浴びるとまず最初に活性酸素が発生し、様々な情報伝達物質(メラノサイト活性化因子)をメラノサイトで発現するレセプター(受容体)に届けることで、メラノサイト内でメラニンの生合成がはじまり、ユウメラニン(黒化メラニン)へと合成されます。

SCFは肝細胞増殖因子であり、メラニン生合成のメカニズムでは情報伝達物質(メラノサイト活性化因子)のひとつとして知られており、メラノサイトに存在するSCFの受容体であるc-kitレセプターに輸送され結合されることにより、肥満細胞が遊走、分化・増殖し、アトピー性皮膚炎が引き起こされたり、メラニン合成が活性化することが明らかになっています(文献8:1996)

2002年に花王によって公開された技術情報によると、

細胞表面上のc-kitレセプターに対するSCFの結合を特異的に阻害する天然物を探索したところ、カンゾウアスパラサスリネアリス、アセンヤク、ナギイカダシコンエンメイソウトウガラシウコン、コンフリー、ノバラユリ、チャ、チョウジ、ツバキの抽出物にSCF結合阻害活性があることを見出した。

そこでヒト培養メラノサイトを用いたin vitro試験において各植物抽出物を1%濃度で添加し、SCF/c-kitの特異的結合量を測定したところ、以下の表のように、

植物 SCF結合阻害率(%)
カンゾウ 71.0
アスパラサスリネアリス 40.4
アセンヤク 34.1
ナギイカダ 31.5
シコン 29.1
エンメイソウ 27.4
トウガラシ 25.0
ウコン 20.2
コンフリー 17.3
ノバラ 17.0
ユリ 11.0
チャ 63.0
チョウジ 49.9
ツバキ 45.0

チャ抽出物は、c-kitレセプターに対する優れたSCFの結合阻害活性を有することが認められた。

また配合量は通常0.00001%~1%が好ましく、とくに0.0001%~0.1%が好ましい。

このような検証結果が明らかにされており(文献7:2002)、チャ葉エキスにSCF結合阻害による色素沈着抑制作用が認められています。

頭皮抹消血流促進および毛母細胞活性化による育毛作用

頭皮抹消血流促進および毛母細胞活性化による育毛作用に関しては、まず前提知識として毛母細胞の働きについて解説します。

以下の毛髪の構造図をみてもらうとわかるように、

毛髪の構造

毛髪は、頭皮(地肌)から伸びている毛幹と頭皮(地肌)の中にある毛根に分けることができ、一般に「髪」と呼ばれているのは毛幹で、髪が成長するのは毛根の先の球体に膨らんだ毛球です(文献8:2002)

毛球に存在する毛乳頭が、毛母細胞に対して毛髪の成長を促したり、止めたりする指令を出しており、毛髪の成長を促す指令がでると毛母細胞が分裂し、それが髪となって毛根から押し上げられるように成長します(文献9:2002)

1997年にクラシエ(旧カネボウ)によって技術公開されたチャ葉エキスおよびゲンチアナ根茎/根エキスの育毛効果検証によると、

マウスによる毛成長促進効果試験において、1%または5%濃度のチャ葉エキス、1%または5%濃度のゲンチアナ根茎/根エキスおよび各0.5%濃度のチャ葉エキスとゲンチアナ根茎/根エキスの併用での発毛効果を比較したところ、チャ葉エキスとゲンチアナ根茎/根エキスを併用することで、低濃度で高い発毛率が認められた。

またチャ葉エキスとゲンチアナ根茎/根エキスを併用した場合、使用時にベトつき感、キシミ感もなく使用時の感触が優れていた。

このような検証結果が明らかにされており(文献10:1997)、チャ葉エキスにゲンチアナ根茎/根エキスとの併用で頭皮抹消血流促進および毛母細胞活性化による育毛作用が認められています。

複合植物エキスとしてのチャ葉エキス


リデンシルという複合植物エキスは、以下の成分で構成されており、

効果および配合目的は、

  1. 発毛幹細胞の活性化作用
  2. IL-8抑制による強力な酸化作用
  3. シスチン結合促進による毛幹強化作用
  4. 毛髪タンパク質強化による毛髪保護作用

とされており、植物エキスの相乗効果によって成長期の毛髪伸長促進、休止期の脱毛抑制および毛髪のハリ・コシ強化するもので、化粧品成分一覧にこれらの成分が併用されている場合はリデンシルであると推測することができます(文献6:2014)

エムエスエキストラクト<マンスールS>という複合植物エキスは、以下の成分で構成されており、

効果および配合目的は、

  1. 収れん作用

とされており、植物エキスの相乗効果によって皮膚を多角的に引き締めるため、化粧品成分一覧にこれらの成分が併用されている場合はエムエスエキストラクト<マンスールS>であると推測することができます。

ファルコレックスMSTCという複合植物エキスは、以下の成分で構成されており、

効果および配合目的は、

  1. 紫外線防御
  2. メラニン生成抑制(チロシナーゼ阻害)

とされており、それぞれ美白ポイントの違う植物エキスの相乗効果によってメラニン産生抑制およびくすみや色素沈着を多角的に予防するもので、化粧品成分一覧にこれらの成分が併用されている場合はファルコレックスMSTCであると推測することができます。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2013-2014年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

チャ葉エキスの配合製品数と配合量の調査結果(2013-2014年)

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チャ葉エキスの安全性(刺激性・アレルギー)について

チャ葉エキスの現時点での安全性は、外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載されており、また10年以上の使用実績があり、皮膚刺激性はほとんどなく、眼刺激性はデータ不足のため詳細不明ですが、皮膚感作性(アレルギー性)および光感作性の報告もないため、安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

注)緑茶、紅茶、ウーロン茶は加工法が異なりますがすべてツバキ科チャの葉であり、成分組成も類似しており、化粧品成分表示としてはすべてチャ葉エキスとして記載されるため、安全性情報は緑茶、紅茶、ウーロン茶を区別することなく記載しています。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Camellia sinensis-Derived Ingredients as Used in Cosmetics」(文献1:2014)によると、

  • [ヒト試験] 100人の被検者に紅茶エキスをパッチテストした(詳細は提供されなかった)ところ、陰性であった(Anonymous,2014a)
  • [ヒト試験] 101人の被検者に0.86%紅茶エキスを含むフェイシャルトリートメント製品150μLを誘導期間における9回にわたる閉塞パッチ適用およびチャレンジパッチ適用を実施し(HRIPT)、各パッチ除去後に皮膚反応を評価したところ、いずれの期間においても刺激性および感作性はなかった(Product Investigations Inc,2014a)
  • [ヒト試験] 638人の被検者に0.86%紅茶エキスを含むアイクリームを誘導期間およびチャレンジ期間に閉塞パッチ適用し(HRIPT)、各パッチ除去後に皮膚反応を評価したところ、いずれの期間においても刺激性および感作性はなかった(Product Investigations Inc,2014b)
  • [動物試験] 3匹のウサギの皮膚に100%チャ葉エキス(緑茶の水/PG抽出物)0.5mLを24時間ガーゼパッド適用し、パッド除去1,24および72時間後に観察したところ、刺激の兆候はなかった(Biogir SA,1991a)
  • [動物試験] 3匹のウサギの皮膚に紅茶エキス0.5gを24時間ガーゼパッド適用し、パッド除去1,24および72時間後に観察したところ、すべてのウサギでわずかな明瞭な紅斑、皮膚乾燥および皮膚柔軟性のわずかな低下が観察された(Biogir SA,1991b)
  • [動物試験] 100%緑茶エキスおよび10%および100%ウーロン茶エキスはウサギの皮膚を刺激しなかった(詳細は提供されなかった)(Anonymous,2014b)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、ほとんどの試験において皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されており、ヒト試験では共通して皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、一般的に皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Camellia sinensis-Derived Ingredients as Used in Cosmetics」(文献1:2014)によると、

  • [動物試験] 3匹のウサギの片眼の結膜嚢に100%チャ葉エキス(緑茶の水/PG抽出物)を点眼し、点眼1時間後および1,2および3日後に眼刺激性を評価したところ、1時間で軽度の結膜刺激が観察され、2匹のウサギにわずかな角膜刺激がみられたが、24時間以内にすべて正常化した。100%チャ葉エキスはわずかな眼刺激剤であった(Biogir SA,1991c)
  • [動物試験] 3匹のウサギの片眼の結膜嚢に紅茶エキス0.1gを点眼し、点眼1時間後および1,2および3日後に眼刺激性を評価したところ、1時間で軽度の結膜刺激が観察され、すべてのウサギにわずかな角膜刺激がみられたが、48時間以内にすべて正常化した。紅茶エキスはわずかな眼刺激剤であった(Biogir SA,1991d)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通してわずかな眼刺激性があると報告されていますが、これらは100%濃度で、化粧品配合範囲内ではなく、化粧品使用における眼刺激性の安全性データにはそぐわないため、データ不足により詳細は不明です。

光感作性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Camellia sinensis-Derived Ingredients as Used in Cosmetics」(文献1:2014)によると、

  • [ヒト試験] 6人の被検者の前腕に乾燥凍結した緑茶エキスおよび紅茶エキスを含むゲルを適用し、次いで2.5分間にわたって試験部位にUVA、UVBおよびUVCが照射された。試験部位を観察したところ、紅斑は観察されず、光感作の兆候はなかった(Türkoðlu M, Uðurlu T, Gedik G, Yilmaz AM, and Yalçin S,2010)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、光感作性なしと報告されているため、光感作性はほとんどないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
チャ葉エキス 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、チャ葉エキスは毒性なし(∗2)となっており、安全性に問題はないと考えられます。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

チャ葉エキスは抗炎症成分、抗酸化成分、抗菌成分、抗炎症成分、収れん成分、抗老化成分、美白成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:抗炎症成分  抗酸化成分抗菌成分 抗炎症成分 収れん成分 抗老化成分 美白成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2014)「Safety Assessment of Camellia sinensis-Derived Ingredients as Used in Cosmetics」, <https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/FR658.pdf> 2018年7月1日アクセス.
  2. 日光ケミカルズ(2006)「植物・海藻エキス」新化粧品原料ハンドブックⅠ,376.
  3. 林真一郎(2016)「グリーンティー」メディカルハーブの事典 改定新版,54-55.
  4. 鈴木 洋(2011)「茶葉(ちゃよう)」カラー版 漢方のくすりの事典 第2版,319.
  5. “世界緑茶協会”(2017)「最近の緑茶の効能研究成果」, <http://www.o-cha.net/kounou/seibun.html> 2018年7月1日アクセス.
  6. Induchem(2014)「Redensyl®」技術資料.
  7. 花王株式会社(2002)「SCF結合阻害剤」特開2002-302451.
  8. N W Lukacs,et al(1996)「Stem cell factor (c-kit ligand) influences eosinophil recruitment and histamine levels in allergic airway inflammation.」The Journal of Immunology(156)(10),3945-3951.
  9. 朝田 康夫(2002)「毛髪をつくる細胞は」美容皮膚科学事典,347-349.
  10. 鈴木 恵子, 他(1997)「養毛化粧料」特開1997-077639.

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