セイヨウオトギリソウ花/葉/茎エキスとは…成分効果と毒性を解説

抗炎症成分 細胞賦活剤 収れん成分 育毛剤
セイヨウオトギリソウ花/葉/茎エキス
[化粧品成分表示名称]
・セイヨウオトギリソウ花/葉/茎エキス(改正名称)
・セイヨウオトギリソウエキス(旧称)

[医薬部外品表示名称]
・オトギリソウエキス

[慣用名]
・セントジョーンズワート

オトギリソウ科植物セイヨウオトギリソウ(学名:Hypericum perforatum)の地上部(花・葉・茎)から抽出して得られるエキスです。

セイヨウオトギリソウ花/葉/茎エキスの成分組成は、天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

  • フラボノイド類:ルチン、ヒペロシド、クエルセチン
  • タンニン
  • フィトステロール
  • ジアンスロン類:ヒペリシン、ソイドヒペリシン
  • ビタミンC

などで構成されています(文献3:2016;文献4:2016)

セイヨウオトギリソウ花/葉/茎エキスは、もともとセントジョーンズワートと呼ばれる薬用ハーブで、古代ギリシア時代から傷の手当て、利尿、月経困難などに用いられ、近年ではヒペリシンによる悲嘆や絶望、恐れなどの感情や抑うつに対する効果が確認され、暗い心に明るさを取り戻すことから季節性感情障害(SAD)にも用いられています(文献4:2016)

また、セントジョーンズワート油は外傷や火傷の外用薬として用いられたり、アロマテラピーの基剤として用いられ、外用のチンキ剤は消毒を兼ねて消炎、鎮痛の目的で用いられます(文献4:2016)

化粧品に配合される場合は、日焼け予防、皮膚細胞の活性化(創傷治癒促進)、収れん作用、消炎作用があるとされており(文献3:2016)、肌荒れ防止、エイジングケア目的で化粧水、クリームなどのスキンケア化粧品などに使用されます。

また、育毛作用が認められているため、育毛剤、ヘアケア製品にも使用されています。

1994年の花王のオトギリ草エキスの育毛効果検証によると、

ラットの毛包を用いてセイヨウオトギリソウ(Hypericum perforatum)抽出物を添加し、in vitro試験にて培養したところ、毛包の長さおよびDNA合成を有意に増加させたため、セイヨウオトギリソウ抽出物が毛包に直接作用することを示唆させた。

また、男性型脱毛を有する被検者の脱毛領域に1%セイヨウオトギリソウ抽出物を含むトニックを毎日適用し、休止期の毛包比率と抜け毛の数を測定したところ、セイヨウオトギリソウ抽出物は、休止期の毛包をわずかに減少させ、抜け毛の数を大幅に減少させることが明らかになった。

これらの結果は、セイヨウオトギリソウ抽出物が男性型脱毛症の発毛を促進し、発毛促進として使用できうることを示唆した。

と報告されており(文献6:1994)、ヒト脱毛症の発毛促進作用が明らかにされています。

化粧品での効果に関する補足として、2007年のPOLA研究所の報告に、

オトギリソウ(オトギリソウ科オトギリソウ属、和名:弟切草、学名:Hypericum erectum)に含まれるファレロールに線維芽細胞のコラーゲン受容体の量を有意に増やす作用があり、この増加によって線維芽細胞のコラーゲン繊維形成能が向上することが明らかとなり、結果として肌のハリ・弾力の維持が期待できる

というものがありますが、これはオトギリソウの中でも(学名:Hypericum erectum)という日本全土から朝鮮半島、中国大陸の草地や山野に自生するオトギリソウのことで、ヨーロッパに自生するセイヨウオトギリソウ(学名:Hypericum perforatum)とは別種であり、セイヨウオトギリソウにはコラーゲン繊維形成能の向上作用は明らかにされていないので注意してください。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2011-2013年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

セイヨウオトギリソウ花/葉/茎エキスの配合製品数と配合量の調査結果(2011-2013年)

複合植物エキスとしてのセイヨウオトギリソウ花/葉/茎エキス

ファルコレックス BX43という複合植物エキスは、以下の成分で構成されており、

  • セイヨウトチノキ種子エキス
  • アルニカ花エキス
  • ハマメリス葉エキス
  • セイヨウキズタ葉/茎エキス
  • セイヨウオトギリソウ花/葉/茎エキス
  • ブドウ葉エキス

効果および配合目的は、

  1. 抗酸化(SOD様)
  2. 抗酸化(過酸化脂質生成抑制)

とされており、活性酸素抑制および過剰な皮脂抑制などそれぞれポイントの違う植物エキスの相乗効果によって多角的に酸化を防止するもので、化粧品成分一覧にこれらの成分が併用されている場合はファルコレックスBX43であると推測することができます。

ファルコレックスBX44という複合植物エキスは、以下の成分で構成されており、

効果および配合目的は、

  1. 角質水分量増加
  2. 経表皮水分損失抑制
  3. 抗炎症(ヒスタミン遊離抑制)
  4. 抗酸化(SOD様)
  5. 抗酸化(過酸化脂質生成抑制)
  6. メディエーター抑制(ヒスタミン遊離抑制)

とされており、肌の潤い促進、乾燥によるかゆみ抑制、過剰な皮脂抑制などそれぞれポイントの違う植物エキスの相乗効果によって肌荒れやざ瘡を多角的に予防するもので、化粧品成分一覧にこれらの成分が併用されている場合はファルコレックスBX44であると推測することができます。

ファルコレックスBX52という複合植物エキスは、以下の成分で構成されており、

効果および配合目的は、

  1. オムツかぶれ改善(リパーゼ阻害)
  2. 抗菌(アクネ菌)
  3. リパーゼ活性阻害

とされており、植物エキスの相乗効果によって過剰な皮脂やアクネ菌を抑制し、肌荒れやニキビを予防するもので、化粧品成分一覧にこれらの成分が併用されている場合はファルコレックスBX52であると推測することができます。

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セイヨウオトギリソウ花/葉/茎エキスの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

セイヨウオトギリソウ花/葉/茎エキスの現時点での安全性は、化粧品配合範囲内において、皮膚刺激性および眼刺激性はほとんどなく、皮膚感作性(アレルギー性)、光感作性および光毒性の報告もないため、安全性に問題のない成分であると考えられます。

補足:セイヨウオトギリソウエキス(セントジョーンズワート)は経口摂取でのみ光感作性が認められており、一般的に皮膚への塗布での光感作性は認められていません。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Hypericum Perforatum Extract and Hypericum Perforatum Oil」(文献1:2001)によると、

  • [動物試験] ウサギを用いてセイヨウオトギリソウ花/葉/茎エキス(1%~5%)、オリーブ油(>50%)、トコフェロール(<0.1%)の混合物のパッチ試験を実施したところ、非刺激性であった(Chemisches Laboratorium Dr. Kurt Richter GmbH,1996a)

“Cosmetic Ingredient Review”の「Amended Safety Assessment of Hypericum Perforatum-Derived Ingredients as Used in Cosmetics」(文献1:2014)によると、

  • [ヒト試験] 18人の被検者の腕の手のひら側にセイヨウオトギリソウ花/葉/茎エキス50μLを含有するバスオイルを24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去1および24時間後に試験部位の皮膚反応を評価したところ、皮膚刺激は引き起こさず、対照の蒸留水と同様であった(Reuter J, Huyke C, Scheuvens H, et al,2008)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激性なしと報告されているため、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Hypericum Perforatum Extract and Hypericum Perforatum Oil」(文献1:2001)によると、

  • [動物試験] ウサギを用いてセイヨウオトギリソウ花/葉/茎エキス(1%~5%)、オリーブ油(>50%)、トコフェロール(<0.1%)の混合物の眼刺激性試験をDraize法に従って実施したところ、ウサギの眼において非刺激性であった(Chemisches Laboratorium Dr. Kurt Richter GmbH,1996b)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、眼刺激性なしと報告されているため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

皮膚感作(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Hypericum Perforatum Extract and Hypericum Perforatum Oil」(文献1:2001)によると、

  • [動物試験] モルモットを用いてセイヨウオトギリソウ花/葉/茎エキス(1%~5%)、オリーブ油(>50%)、トコフェロール(<0.1%)の混合物のBuehler皮膚感作性試験を実施したところ、感作反応はみられなかった(Chemisches Laboratorium Dr. Kurt Richter GmbH,1996c)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

光毒性および光感作性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Hypericum Perforatum Extract and Hypericum Perforatum Oil」(文献1:2001)によると、

  • [動物試験] セイヨウオトギリソウエキスに含まれるヒペリシンは摂取によってのみ可視光(550nm~610nm、最大585nm)を吸収することによって光活性による損傷を引き起こす。すなわち日光に曝されるととくに色素沈着していない色白皮膚領域において毛細血管癖に酸化による損傷を誘発する(Jensen et al,1995)

“Cosmetic Ingredient Review”の「Amended Safety Assessment of Hypericum Perforatum-Derived Ingredients as Used in Cosmetics」(文献1:2014)によると、

  • [動物試験] モルモットの擦過した背部に0.011%,0.055%,0.11%および0.22%セイヨウオトギリソウエキス蒸留水を適用した後、5日間連続で照射(320-400nm,10.2J/c㎡)し、次いで2週間の休息期間の後に0.1%および1%セイヨウオトギリソウエキス蒸留水を適用し部位を照射し、24および48時間で観察したところ、モルモットにおいて光感作剤ではなかった(Anonymous,2011)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、動物試験のものですが、光感作剤ではないと報告されているため、光感作剤および光毒性ではないと考えられます。

セイヨウオトギリソウエキスに含まれるヒペリシンは摂取によってのみ光感作反応を起こしますが、一般的に化粧品などの塗布(経皮吸収)で光感作は起こさないとされています。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
セイヨウオトギリソウ花/葉/茎エキス 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、セイヨウオトギリソウ花/葉/茎エキスは毒性なし(∗1)となっており、安全性に問題はないと考えられます。

∗1 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

セイヨウオトギリソウ花/葉/茎エキスは保湿成分、収れん成分、細胞賦活成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:抗炎症成分 収れん成分 細胞賦活成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2001)「Final Report on the Safety Assessment of Hypericum Perforatum Extract and Hypericum Perforatum Oil」,<http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1080/10915810160233749> 2018年6月21日アクセス.
  2. “Cosmetic Ingredient Review”(2014)「Amended Safety Assessment of Hypericum Perforatum-Derived Ingredients as Used in Cosmetics」,<http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/1091581814533354> 2018年6月21日アクセス.
  3. 日光ケミカルズ(2016)「植物・海藻エキス」パーソナルケアハンドブック,p364.
  4. 林真一郎(2016)「セントジョーンズワート」メディカルハーブの事典 改定新版,82-83.
  5. AHPA(米国ハーブ製品協会), Zoe Gardner, Michael McGuffin, et al.(2016)「Hypericum perforatum L.」メディカルハーブ安全性ガイドブック 第2版,392-403.
  6. 堀田 光行, 大内 敦, 貴傳名 英史, 西澤 義則(1994)「オトギリソウエキスの育毛効果」日本香粧品学会誌(18)(4),193-196.

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