セイヨウキズタ葉/茎エキスとは…成分効果と毒性を解説





・セイヨウキズタ葉/茎エキス
[医薬部外品表示名]
・セイヨウキズタエキス
ウコギ科植物セイヨウキズタ(学名:Hedera helix 英名:ivy)の葉・茎から水、エタノール、BG(1,3-ブチレングリコール)、またはこれらの混合液で抽出して得られるエキスです。
セイヨウキズタ葉/茎エキスは天然成分であることから、国・地域、時期、抽出方法によって成分組成に差異があると推察されますが、その成分組成は主に、
- サポニン類:へデリン
- フラボノイド類:ルチン
- タンニン
などで構成されています(文献1:2006)。
セイヨウキズタは、常緑のつる植物であり、細根を利用して崖や壁などによじ登って高さ20-30メートルに成長し、また垂直面以外の場所でも地面を覆うようにして成長します。
化粧品に配合される場合は、
- 抗炎症作用
- 抗菌作用
- 皮膚柔軟による保湿作用
- 血管拡張・余分な水分の排出・ヒアルロニダーゼ活性阻害によるむくみ改善作用
これらの目的で、ニキビ・肌荒れを防ぐスキンケア製品をはじめ、ボディケア&フットケア製品、洗顔料、洗浄製品、ヘアケア製品など幅広く様々な製品に使用されます(文献1:2006)。
複合植物エキスとしてのセイヨウキズタ葉/茎エキス
ファルコレックスBX32という複合植物エキスは、以下の成分で構成されており、
- ニンニク根エキス
- ローマカミツレ花エキス
- ゴボウ根エキス
- アルニカ花エキス
- セイヨウキズタ葉/茎エキス
- オドリコソウ花/葉/茎エキス
- オランダガラシ葉/茎エキス
- セイヨウアカマツ球果エキス
- ローズマリー葉エキス
効果および配合目的は、
- 抗菌(フケ菌)
- 抗酸化(過酸化脂質生成抑制)
とされており、植物エキスの相乗効果によって頭皮を多角的に健やかにするもので、化粧品成分一覧にこれらの成分が併用されている場合はファルコレックスBX32であると推測することができます。
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ファルコレックスBX43という複合植物エキスは、以下の成分で構成されており、
- セイヨウトチノキ種子エキス
- アルニカ花エキス
- ハマメリス葉エキス
- セイヨウキズタ葉/茎エキス
- セイヨウオトギリソウ花/葉/茎エキス
- ブドウ葉エキス
効果および配合目的は、
- 抗酸化(SOD様)
- 抗酸化(過酸化脂質生成抑制)
とされており、活性酸素抑制および過剰な皮脂抑制などそれぞれポイントの違う植物エキスの相乗効果によって多角的に酸化を防止するもので、化粧品成分一覧にこれらの成分が併用されている場合はファルコレックスBX43であると推測することができます。
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ファルコレックスBX47という複合植物エキスは、以下の成分で構成されており、
- ゴボウ根エキス
- レモン果実エキス
- セイヨウキズタ葉/茎エキス
- オランダガラシ葉/茎エキス
- セージ葉エキス
- サボンソウ葉エキス
効果および配合目的は、
- オムツかぶれ改善(リパーゼ阻害)
- リパーゼ活性阻害
とされており、植物エキスの相乗効果によってニキビや肌荒れの炎症を多角的に抑制するもので、化粧品成分一覧にこれらの成分が併用されている場合はファルコレックスBX47であると推測することができます。
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ファルコレックスBX50という複合植物エキスは、以下の成分で構成されており、
- クレマティス葉エキス
- スギナエキス
- ヒバマタエキス
- セイヨウキズタ葉/茎エキス
- セイヨウナツユキソウ花エキス
効果および配合目的は、
- オムツかぶれ改善(リパーゼ阻害)
- 抗酸化(過酸化脂質生成抑制)
- リパーゼ活性阻害
とされており、植物エキスの相乗効果によってニキビや肌荒れの炎症を多角的に抑制するもので、化粧品成分一覧にこれらの成分が併用されている場合はファルコレックスBX50であると推測することができます。
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ファルコレックスBX51という複合植物エキスは、以下の成分で構成されており、
- アルニカ花エキス
- キュウリ果実エキス
- セイヨウキズタ葉/茎エキス
- ゼニアオイ花エキス
- パリエタリアエキス
- セイヨウニワトコ花エキス
効果および配合目的は、
- 角質水分量増加
- 経表皮水分損失抑制
- 抗酸化(SOD様)
とされており、それぞれポイントの違う植物エキスの相乗効果によって角質層の水分保持および活性酸素抑制するもので、化粧品成分一覧にこれらの成分が併用されている場合はファルコレックスBX51であると推測することができます。
セイヨウキズタ葉/茎エキスの安全性(刺激性・アレルギー)について
ただし、詳細な試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。
以下は、この結論にいたった根拠です。
皮膚刺激性について
開発元の日光ケミカルズの安全データシート(文献2:2016)によると、
- [ヒト試験] 20名の被検者にセイヨウキズタ葉/茎エキスを48時間適用したところ、陰性であった
と記載されています。
試験データをみるかぎり、皮膚刺激の報告がないため、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。
眼刺激性について
詳細な試験データはみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。
皮膚感作性(アレルギー性)について
化粧品配合量および通常使用下において、重大なアレルギーの報告はなく、一般的に皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。
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セイヨウキズタ葉/茎エキスは抗炎症成分、抗菌成分、保湿成分、血行促進成分にカテゴライズされています。
成分一覧は以下からお読みください。
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参考文献:
- 日光ケミカルズ(2006)「植物・海藻エキス」新化粧品原料ハンドブックⅠ,374.
- 日光ケミカルズ株式会社(2016)「安全データシート Cosmelene of Ivy」, <https://www.chemical-navi.com/product_search/detail42.html> 2018年8月1日アクセス.