ゲンチアナ根茎/根エキスとは…成分効果と毒性を解説

抗炎症成分 美白成分 保湿成分 育毛剤
ゲンチアナ根茎/根エキス
[化粧品成分表示名称]
・ゲンチアナ根茎/根エキス

[医薬部外品表示名称]
・ゲンチアナエキス

リンドウ科植物ゲンチアナ(学名:Gentiana lutea)の根茎および根からエタノールBG(1,3-ブチレングリコール)またはこれらの混合液で抽出して得られるエキスです。

同じゲンチアナの成分としてゲンチアナ根エキスがありますが、根または根茎のどちらでも主要な成分組成はほとんど同じです。

そのため、開発メーカーまたは研究されている効果が異なっていることで作用に違いがありますが、どちらも類似した効果を有している可能性も考えられます。

ゲンチアナ根茎/根エキスの成分組成は、抽出方法や天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

  • セコイリドイド配糖体類:ゲンチオピクロシド、アマロゲンチン、スウェルチアマリン
  • タンニン

などで構成されています(文献1:2006;文献3:2017;文献4:2011)

ゲンチアナはヨーロッパ原産で、スペインからトルコまでの亜高山帯に分布しており、日本では主に北海道で栽培されているが、ピレネー山脈やアルプスに産するゲンチアナがスペインやドイツから輸入されています。

薬用としては、ゲンチアナの根や根茎を多少発酵させて乾燥したものを用います。

ゲンチアナの根には苦味配糖体のゲンチオピクロシドやスウェルチアマリン、アマロゲンチンなどが含まれ、胃液の分泌亢進や消化促進の作用などがあります(文献4:2011)

ヨーロッパでは古くから用いられている代表的な苦味健胃薬で、慢性胃炎や食欲不振などに用いられます(文献3:2011)

現在の日本でも家庭薬の苦味健胃薬として用いられています(文献4:2011)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、メイクアップ化粧品、洗顔料&洗顔石鹸、ヘアケア製品、眉毛美容液などに使用されます(文献1:2006;文献2:2017;文献6:1997;文献7:2008)

SCF発現抑制による色素沈着抑制作用

SCF発現抑制による色素沈着抑制作用に関しては、まず前提知識としてメラニン生合成のメカニズムとSCFについて解説します。

以下のメラニン生合成のメカニズム図をてみもらうとわかりやすいと思うのですが、

紫外線におけるメラニン生合成までのプロセス

紫外線を浴びるとまず最初に活性酸素が発生し、様々な情報伝達物質(メラノサイト活性化因子)をメラノサイトで発現するレセプター(受容体)に届けることで、メラノサイト内でメラニンの生合成がはじまり、ユウメラニン(黒化メラニン)へと合成されます。

SCFは肝細胞増殖因子であり、メラニン生合成のメカニズムでは情報伝達物質(メラノサイト活性化因子)のひとつとして知られており、メラノサイトに存在するSCFの受容体であるc-kitレセプターに輸送され結合されることにより、肥満細胞が遊走、分化・増殖し、アトピー性皮膚炎が引き起こされたり、メラニン合成が活性化することが明らかになっています(文献8:1996)

2008年に丸善製薬によって技術公開された天然物における肝細胞増殖因子であるSCF発現上昇抑制作用検証によると、試験内容は非公開ですが、ゲンチアナ根茎/根エキスにSCF発現抑制による色素沈着抑制作用が認められています(文献7:2008)

ただし、試験内容が非公開であり、試験濃度や抑制率などが不明であるため、かなり穏やかな作用傾向である可能性も考えられます。

頭皮抹消血流促進および毛母細胞活性化による育毛作用

頭皮抹消血流促進および毛母細胞活性化による育毛作用に関しては、まず前提知識として毛母細胞の働きについて解説します。

以下の毛髪の構造図をみてもらうとわかるように、

毛髪の構造

毛髪は、頭皮(地肌)から伸びている毛幹と頭皮(地肌)の中にある毛根に分けることができ、一般に「髪」と呼ばれているのは毛幹で、髪が成長するのは毛根の先の球体に膨らんだ毛球です(文献5:2002)

毛球に存在する毛乳頭が、毛母細胞に対して毛髪の成長を促したり、止めたりする指令を出しており、毛髪の成長を促す指令がでると毛母細胞が分裂し、それが髪となって毛根から押し上げられるように成長します(文献5:2002)

1997年にクラシエ(旧カネボウ)によって技術公開されたチャ葉エキスおよびゲンチアナエキスの育毛効果検証によると、

マウスによる毛成長促進効果試験において、1%または5%濃度のチャ葉エキス、1%または5%濃度のゲンチアナ根茎/根エキスおよび各0.5%濃度のチャ葉エキスとゲンチアナ根茎/根エキスの併用での発毛効果を比較したところ、チャ葉エキスとゲンチアナ根茎/根エキスを併用することで、低濃度で高い発毛率が認められた。

またチャ葉エキスとゲンチアナ根茎/根エキスを併用した場合、使用時にベトつき感、キシミ感もなく使用時の感触が優れていた。

このような検証結果が明らかにされており(文献6:1997)、ゲンチアナ根茎/根エキスにチャ葉エキスとの併用で頭皮抹消血流促進および毛母細胞活性化による育毛作用が認められています。

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ゲンチアナ根茎/根エキスの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

ゲンチアナ根茎/根エキスの現時点での安全性は、医療上汎用性があり有効性および安全性の基準を満たした成分が収載される日本薬局方ならびに外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載されており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

ただし、詳細な試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ゲンチアナ根茎/根エキス 掲載なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ゲンチアナ根茎/根エキスは掲載なしとなっており、毒性に関しては心配する必要はありません。

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ゲンチアナ根茎/根エキスは抗炎症成分、美白成分、保湿成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:抗炎症成分 美白成分 保湿成分

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文献一覧:

  1. 日光ケミカルズ(2006)「植物・海藻エキス」新化粧品原料ハンドブックⅠ,369.
  2. 一丸ファルコス株式会社(2017)「ファルコレックス ゲンチアナ B」技術資料.
  3. 原島 広至(2017)「ゲンチアナ」生薬単 改訂第3版,140-141.
  4. 鈴木 洋(2011)「ゲンチアナ根」カラー版 漢方のくすりの事典 第2版,131-132.
  5. 朝田 康夫(2002)「毛髪をつくる細胞は」美容皮膚科学事典,347-349.
  6. 鈴木 恵子, 他(1997)「養毛化粧料」特開1997-077639.
  7. 土肥 圭子(2008)「幹細胞増殖因子発現上昇抑制剤」特開2008-273875.
  8. N W Lukacs,et al(1996)「Stem cell factor (c-kit ligand) influences eosinophil recruitment and histamine levels in allergic airway inflammation.」The Journal of Immunology(156)(10),3945-3951.

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