ヨモギ葉エキスとは…成分効果と毒性を解説

抗炎症成分 抗アレルギー 抗菌成分 美白成分 抗糖化 抗たるみ 消臭剤
ヨモギ葉エキス
[化粧品成分表示名称]
・ヨモギ葉エキス

[医薬部外品表示名称]
・ヨモギエキス

キク科植物ヨモギ(学名:Artemisia Princeps 英名:mugwort)の葉からエタノールBG(1,3-ブチレングリコール)、またはこれらの混合液で抽出して得られるエキスです。

ヨモギ葉エキスの成分組成は、抽出方法や天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

  • 精油:シネオール
  • タンニン
  • アブシンチン
  • ビタミン類:ビタミンA,B,C,D

などで構成されています(文献1:2006;文献2:2017)

ヨモギは日本各地に自生しており、ヨモギ属の種類は多く、中国では基原植物にはヨモギの近縁の艾(学名:A.argyi)や野艾(学名:A.vulgaris)が用いられますが、日本ではヨモギ(学名:Artemisia Princeps)が用いられます。

薬理作用としては、血液凝固抑制作用、インターフェロン誘起作用、補体活性作用、抗菌作用などが報告されています。

漢方では、艾葉(ガイヨウ)と呼ばれており、温裏・止血・止痛の効能があり、腹部の冷痛、下痢、鼻血、吐血、下血、腫れ物などに用いられ、とくに婦人科領域の止血薬や安胎薬としてよく知られています(文献3:2011)

民間では、ヨモギの全草を煎じた液を腹痛や貧血、痔の出血に用いたり、浴湯料として風呂に入れて冷え症や腰痛、痔の治療など様々に応用されています(文献3:2011)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、メイクアップ化粧品、ボディ&ハンド&フットケア製品、洗顔料、洗浄製品、デオドラント製品など様々な製品に使用されます(文献1:2006;文献4:1994;文献5:1994;文献6:1994;文献7:1998;文献8:2008;文献9:2009)

ヒスタミン遊離抑制による抗炎症作用

ヒスタミン遊離抑制による抗炎症作用に関しては、前提知識として乾燥皮膚におけるかゆみの構造とヒスタミンの役割を解説します。

以下の皮膚におけるかゆみの構造図をみてもらうとわかりやすいと思うのですが、

皮膚におけるかゆみの作用機序

乾燥した皮膚では、バリア機能が低下し、同時に物理的刺激(掻くこと)または細菌やアレルゲンなど化学的刺激によってかゆみの神経線維が活性化し、表皮まで伸びてきます。

表皮内に神経線維が伸長すると、知覚受容体が増加し、外部からの刺激を感じやすくなり、かゆみが発生しやすくなります。

その結果、皮膚を掻いてしまい、さらに皮膚表面の角層を破壊してバリア機能を低下させ、かゆみと掻くことの悪循環が発生します。

また、皮膚を掻くとNGF(神経成長因子)やサイトカインなどを産生し、これらがますます神経線維の伸長を促進させ、また一方でNGFは真皮内の肥満細胞からかゆみの原因物質であるヒスタミンの放出を誘導します。

遊離したヒスタミンは、神経線維上にあるヒスタミン受容体と結合し、かゆみのインパルス(電気信号)を中枢と抹消に伝達します。

中枢へのインパルスは脊髄を介して大脳皮質へと伝達され、かゆみが知覚され、抹消へのインパルスは神経ペプチドであるサブスタンスPを遊離し、肥満細胞に作用してヒスタミンなどの放出をさらに促進し、かゆみを増加させます。

皮膚のかゆみはこういった作用機序となっており、ヒスタミンの遊離を抑制することでかゆみを軽減・抑制することが明らかになっています。

ヨモギエキスにおけるヒスタミン遊離抑制作用は複数の報告によって明らかにされており(文献4:1994;文献5:1994)、ヨモギエキスにはヒスタミン遊離抑制作用が認められています。

アトピー性皮膚炎改善作用

アトピー性皮膚炎改善作用に関しては、1994年に淀川キリスト教病院皮膚科によって報告されたヨモギエキス含有スキンケア製品のアトピー性皮膚炎患者に対する使用試験によると、

1993年3月~10月の期間に受診した重度のアトピー性皮膚炎の治療過程にある患者のうち、医師がステロイド軟膏を使用しないでスキンケア製品でコントロール可能と判断した34人(男性7人、女性27人、13~36歳)にヨモギの熱水抽出エキスを含むシャンプー、ボディシャンプー、ジェル、およびクリームを使用してもらった。

使用に関しては、4週間にわたって入浴時にシャンプーおよびボディシャンプーを使用し患部を清潔にし、入浴後にジェルを患部に適量塗布し痒みを抑え、就寝前にクリームを患部に適用塗布して保湿を図り、試験開始日と1週間ごとの観察日における皮膚症状の推移を比較し評価した。

経時的な全般の改善度は以下の表のように、

  1週間後 2週間後 3週間後 4週間後
著しく改善 0人(0.00%) 0人(0.00%) 0人(0.00%) 0人(0.00%)
かなり改善 0人(0.00%) 0人(0.00%) 6人(24.00%) 9人(32.14%)
やや改善 11人(45.83%) 14人(60.87%) 10人(40.00%) 10人(35.71%)
不変 11人(45.83%) 7人(30.43%) 7人(28.00%) 7人(25.00%)
悪化 2人(8.33%) 2人(8.70%) 2人(8.00%) 2人(7.14%)

著しく改善は認めなかったが、1週間後でも11人(45.8%)がやや改善を示し、3週目以降ではかなり改善、やや改善の割合が60%以上となった。

一方で、最終改善度評価においても不変が8人、また試験期間を通して悪化が6例みられた。

今回の試験は、いずれも重度のアトピー性皮膚炎の治療過程にある患者を対象としており、いわゆるアトピー皮膚といわれる乾燥皮膚のみの軽症例ではなく、そのため他のスキンケア商品の使用試験に比べてやや有用以上の有用性はそれほど高くない。

その点を考慮すると、今回の結果は十分に使用に耐える結果であるといえる。

ただし、試験期間を通して悪化した例も6例あり、これはスキンケア商品の成績としては多いと考えられる。

悪化例の多くは糜爛(∗1)のある皮膚にジェルを使用した際に発赤が観察された例で、そのうち2例はそれぞれ使用2日目、4日目に外用直後より発赤、腫脹の接触蕁麻疹を起こした。

∗1 糜爛(びらん)とはただれている状態のことで、皮膚や粘膜の上層の細胞がはがれ落ち、内層が露出している状態になるこです。

成分別の検討はしていないが、これはジェルに多く含まれるアルコールによると考えられ、このジェルは医療用ではなく一般に市販されるスキンケア化粧品であり、購入対象者は皮膚科を受診する患者より皮膚症状が軽度であることが多いと考えられることから、注意して使用すればそれほど安全性に問題があるとか考えられないと思われる。

以上の点から、目をみはるような効果は期待できないが、アトピー性皮膚炎のスキンケア製品としては十分に使用に耐えうる製品であると考えられる。

このような試験結果が明らかにされており(文献6:1994)、ヨモギエキスにアトピー性皮膚炎の改善作用が認められています。

また、1998年に大阪回生病院皮膚科、杏林大学医学部皮膚科学教室 およびサンスターによって報告されたアトピ性皮膚炎に対するヨモギエキス配合シートの使用試験によると、

1997年3月~1998年1月に大阪回生病院皮膚科を受診した軽度から中等度のアトピー性皮膚炎の患者23人にヨモギエキス配合シートを日中数時間または就寝時に1週間から4週間にわたって連続使用してもらい、試験前と1週間ごとに試験部位を評価した。

対象23人における他覚症の各皮膚症状の推移は以下の表のように、

  症例数 初診時 1週間後 2週間後 3週間後 4週間後
乾燥 23例 3.5 2.8 2.5 3.0 2.5
落屑(∗2) 23例 3.1 2.1 1.9 2.0 1.9
紅斑(∗3) 23例 3.0 2.6 2.4 2.3 2.2
湿潤(∗4) 23例 3.1 2.1 1.9 2.0 1.9
苔癬化(∗5) 23例 2.2 2.2 2.1 1.7 2.1
痒疹(∗6) 23例 1.3 1.3 1.5 1.5 1.6

∗2 落屑(らくせつ)とは皮膚の表層が大小の角質片となってはげ落ちることです。
∗3 紅斑(こうはん)とは毛細血管拡張などが原因で皮膚表面に発赤を伴った状態のことです。
∗4 湿潤(しつじゅん)とは水分が多くじめじめした状態のことです。
∗5 苔癬化(たいせんか)とは皮膚のキメが粗く硬くなることです。
∗6 痒疹(ようしん)とは非常に痒いポツポツとした赤い皮膚のもりあがり(丘疹)がパラパラとちらばっていることです。

落屑は1~4週間後の各観察日において有意に改善し、乾燥は1,2周間後および4週間後の観察日において有意な改善を認め、紅斑および湿潤は2および4週間後に有意な改善を認めた。

また、自覚症の各皮膚症状の推移は以下の表のように、

  症例数 初診時 1週間後 2週間後 3週間後 4週間後
かゆみ 23例 10.0 8.9 6.8 6.7 4.8
かさつき感 23例 9.8 7.8 5.8 6.0 3.9
チクチク感 11例 10.0 8.3 5.6 4.5 2.9
ヒリヒリ感 9例 10.0 4.8 4.8 6.5 2.8

かゆみおよびかさつき感は23人に、チクチク感は11人およびヒリヒリ感は9人の患者にみられ、かさつき感およびヒリヒリ感は3週間後にやや増悪がみられたものの、4週間後はすべての症状指数の顕著な改善が認められた。

安全性については、糜爛部の貼付で痛みを発生した例が2例、痂皮部に貼付した例で痂皮がはがれた例が1例および使用部位に瘙痒が発生した例が3例みられた。

一般にアトピ-性皮膚炎の瘙痒は、炎症性変化、慢性の苔癬化あるいは痒疹をともなっているような場合と単純に過度に乾燥した皮膚をともなっている場合とに区別することが大切であり、後者の場合はスキンケア化粧品の適応であるとされる。

ヨモギエキス配合シートの有用性は、他覚症では乾燥および落屑において有意に効果があり、自覚症ではかゆみ、かさつき感、チクチク感およびヒリヒリ感において顕著な改善を認めているが、6例において副作用を認めた。

しかし、副作用は軽微であり、またこれらの副作用は表皮の欠損した糜爛、亀裂のある皮膚に対する使用の制限により改善がみられる。

以上よりヨモギエキス配合シートのアトピー性皮膚炎のスキンケアに対する有用性は否定できない。

このような試験結果が明らかにされていますが(文献7:1998)、ヨモギエキス配合シート製品の試験なので、他にも様々な成分が配合されており、ヨモギエキス単体でのアトピー性皮膚炎改善作用は不明瞭ですが、すでに掲載した淀川キリスト教病院皮膚科の報告も考慮すると、ヨモギエキスのアトピー性皮膚炎改善作用傾向があると考えられます。

チロシナーゼ活性阻害による色素沈着抑制作用

チロシナーゼ活性阻害による色素沈着抑制作用に関しては、まず前提知識としてメラニン合成のプロセスおよびチロシナーゼについて解説します。

以下のメラニン合成の仕組み図をみてもらうとわかりやすいと思うのですが、

紫外線におけるメラニン生合成までのプロセス

紫外線を浴びるとまず最初に活性酸素が発生し、様々な情報伝達物質(メラノサイト活性化因子)をメラノサイトで発現するレセプター(受容体)に届けることで、メラノサイト内でメラニンの生合成がはじまり、ユウメラニン(黒化メラニン)へと合成されます。

メラノサイト内でのメラニン生合成は、まずアミノ酸であるチロシンに活性酵素であるチロシナーゼが結合することでドーパ、ドーパキノンへと変化し、最終的に黒化メラニンが合成されます。

1998年に大阪府立公衆衛生研究所と富山医科薬科大学薬学部の共同研究によって報告された生薬の皮膚関連酵素に対する阻害作用検証によると、

チロシナーゼに対する阻害作用物質を探索する目的で66種類の生薬の水製エキスについて酵素阻害作用を測定し、また生薬水製エキスからフェノール製物質を除去した分画についても阻害作用を測定したところ、

生薬エキス タンニン量 チロシナーゼ活性阻害率(%)
  (%) 水製エキス 水製エキス(タンニン除去)
アセンヤク 3.10 46 -4
オウヒ 2.90 49 -2
ガイヨウ 1.25 25 7
キジツ 0.60 40 0
キョウニン 0 91 86
ケイケットウ 2.70 69 -17
シソヨウ 1.30 43 27
シャゼンジ 0.45 28 1
ダイオウ 2.90 60 -11
チョウジ 2.15 42 -15
チョレイ 0.50 26 13
トウニン 0.50 66 48

水製エキスについて阻害率50%異常の生薬は、キョウニン、ケイケットウ、ダイオウ、トウニンの4種類であった。

また、阻害率20~50%の生薬は、アセンヤク、オウヒ、ガイヨウ、キジツ、シソヨウ、シャゼンジ、チョウジ、チョレイの8種類であった。

アセンヤク、オウヒ、ガイヨウ、ケイケットウ、ダイオウ、チョウジはタンニン量が多い生薬であり、フェノール物質を除去(タンニン除去)した場合では阻害活性が著しく低下したことから、これらの生薬に存在する阻害物質はタンニンであると推察された。

キジツは水製エキスで阻害作用を示し、フェノール物質を除去した場合では阻害作用を失っていたが、タンニン量は0.60%と多くなく、このことからキジツの阻害物質はタンニン以外のフェノール性物質である可能性が考えられる。

フェノール物質を除去(タンニン除去)した場合で阻害率20%異常の生薬はキョウニン、シソヨウ、トウニンの3種類であり、これらの生薬についてはフェノール性物質以外の阻害作用をもつ成分の存在が示唆された。

このような検証結果が明らかにされており(文献8:1998)、ヨモギ葉エキスに含まれるタンニンにチロシナーゼ活性阻害による色素沈着抑制作用が認められています。

ACTH抑制による色素沈着抑制作用

ACTH抑制による色素沈着抑制作用に関しては、まず前提知識としてACTHについて解説します。

紫外線によるメラニン生合成のメカニズムはチロシナーゼ活性阻害による色素沈着抑制作用で解説しましたが、近年は紫外線だけでなくストレスによっても皮膚の色素沈着が引き起こされることが報告されています(文献12:1997)

ストレスによる色素沈着は紫外線によるものとは異なり、身体がストレスを感じた際に、脳下垂体前葉で産生される副腎皮質刺激ホルモンであるACTH(Adrenocorticotropic Hormone)が副腎皮質に作用しステロイドホルモンの産生を促進し、身体はストレスに対して防御態勢をとりますが、その結果のひとつが皮膚におけるメラノサイトの活性化であると考えられています。

ACTHは、情報伝達物質(メラノサイト活性化因子)であるα-MSH(メラノサイト刺激刺激ホルモン)の前駆体であるだけでなく、それ自体もメラニン産生を促進する性質を有しており、メラノサイトに存在するMC1R(メラノコルチンレセプター-1)に結合することでメラノサイトを活性化させると考えられています(文献11:2008)

このようなストレスによるメラノサイト活性化は、紫外線によるメラノサイトの活性化とは異なり、ACTHによるメラノサイトの活性化が主体であるため、紫外線による色素沈着抑制作用を有した皮膚外用剤では十分な効果が期待できないので注意が必要です。

2008年に丸善製薬によって技術公開されているヨモギ抽出物のACTH阻害作用検証によると、

B16メラノーマ細胞にACTHを添加して促進されるメラノサイトの活性化を、B16メラノーマ細胞のチロシナーゼ活性を指標として測定したところ、以下の表のように、

ヨモギ葉エキス濃度(%) チロシナーゼ活性阻害率
0.05 52.2%
0.025 19.6%

ヨモギ抽出物を添加した場合に特異的なACTH阻害によるチロシナーゼ活性化阻害を示すことが認められた。

このことから、ヨモギ抽出物はACTH阻害によるチロシナーゼ活性化阻害作用、すなわちACTH阻害作用にもとづくメラノサイト活性化抑制作用を有することが確認できた。

また配合濃度は0.0001%~10%が好ましく、最適濃度は0.001%~5%の範囲である。

このような検証結果が明らかにされており(文献11:2008)、ヨモギ葉エキスにACTH抑制によるメラノサイト活性化抑制作用(色素沈着抑制作用)が認められています。

AGEs減少による抗老化作用

AGEs減少による抗老化作用に関しては、まず前提知識としてAGEsについて解説します。

AGEs(糖化最終生成物)とは、タンパク質と糖の反応(糖化反応)により生成する最終産物で、糖化反応によってAGEsが生成されると皮膚色の黄疸化やコラーゲンの硬化による皮膚の弾力低下などが起こる原因となります。

生体では加齢に伴って蓄積することが知られており、とくにコラーゲンなどの生体における代謝回転の遅いタンパク質に蓄積が認められると考えられています。

そのため、AGEsの研究はコラーゲンを主成分とする真皮に着目され、真皮におけるAGEsは加齢とともに増加すること、日光を浴びた部位にとくに多く存在することが報告されており、肌を老化へ導く重要な因子のひとつと考えられています。

また、AGEsを分解する酵素などが知られていないことから生成予防が対処法の主流となっています。

2008年にポーラ化成によって報告されたヨモギエキス添加によるAGEs量の検証によると、

皮膚に蓄積した老化因子であるAGEsを減少させ、皮膚から除去すれば、健やかな肌に導くことができると考え研究した結果、AGEsを減少させる成分としてYACエキス(ヨモギエキス)を発見した。

ヒトでのYACエキスの使用試験において使用前後のAGEs量を測定したところ、以下のグラフのように、

ヒト皮膚におけるYACエキス(ヨモギエキス)によるAGEs量の比較

無配合群では変化が認められなかったが、YACエキス配合群ではAGEs量の減少が認められ、またYAC配合群において肌の弾力、肌の柔軟性、黄色化の改善が認められた。

以上の結果から、AGEsが肌の老化因子のひとつであることを証明するとともに、YACエキス(ヨモギエキス)がAGEs量の減少に有効な成分であることが判明した。

このような検証結果が明らかにされており(文献9:2008)、ヨモギエキスにAGEs減少による抗糖化作用が認められています。

ただし、AGEs減少による抗糖化作用はポーラ化成が独自で抽出したオリジナルのヨモギエキスにのみ認められている作用であり、ポーラ化成およびその関連メーカー以外に配合されたヨモギエキスにAGEs減少による抗糖化作用は認められないと考えられます。

また、この試験の公開情報では濃度が不明であり、化粧品に廃合された場合は試験結果よりも穏やかな抗糖化作用である可能性も考えられます。

抗たるみ作用

抗たるみ作用に関しては、2009年にポーラ化成によって報告されたYACエキス(ヨモギエキス)配合化粧品使用による肌の弾力およびたるみの変化検証によると、

2008年には開発したYACエキスがたるみと関連する肌内部の弾力への改善効果があると考え、YACエキス配合・非配合の化粧品を使用する2群のグループに分けて6ヶ月の使用試験を行い、頬のたるみ量と方向別弾力の関連性を加味した新しい測定方法で測定しました。

 YACエキス(ヨモギエキス)による方向別弾力指数および見た目のたるみの改善効果

その結果、YACエキスを配合していない化粧品使用グループと比較して、YACエキスを配合した化粧品を使用したグループの頬の方向別肌弾力指数と見た目のたるみが改善していることが明らかとなりました。

これは、真皮の構造がYACエキスにより変化し、弾力など皮膚内部が総合的に改善した結果が反映されたものと考えられます。

このような検証結果が明らかにされており(文献10:2009)、作用機序は現時点で不明であるものの、ヨモギエキスに抗たるみ作用が認められています。

ただし、抗たるみ作用はポーラ化成が独自で抽出したオリジナルのヨモギエキスにのみ認められている作用であり、ポーラ化成およびその関連メーカー以外に配合されたヨモギエキスにAGEs減少による抗糖化作用は認められないと考えられます。

また、この試験の公開情報では濃度が不明であり、化粧品に廃合された場合は試験結果よりも穏やかな抗たるみ作用である可能性も考えられます。

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ヨモギ葉エキスの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

ヨモギ葉エキスの現時点での安全性は、外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載されており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

ただし、乾燥に起因する軽微なアトピー性皮膚炎は問題ないと考えられますが、重度または慢性的なアトピー性皮膚炎を有する場合は、症状が悪化する事例も報告されているため、注意が必要であると考えられます。

またキク科植物にアレルギーを有している場合は、販売メーカーにキク科植物アレルギー原因物質の除去の有無を問い合わせて確認することを推奨します。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー)について

淀川キリスト教病院皮膚科の「ヨモギエキス含有スキンケア製品 (SYシリーズ) のアトピー性皮膚炎患者に対する使用経験」(文献5:1994)によると、

  • [ヒト試験] 1993年3月~10月の期間に受診した重度のアトピー性皮膚炎の治療過程にある患者のうち、医師がステロイド軟膏を使用しないでスキンケア製品でコントロール可能と判断した34人(男性7人、女性27人、13~36歳)にヨモギの熱水抽出エキスを含むシャンプー、ボディシャンプー、ジェル、およびクリームを4週間連続で使用してもらったところ、6人の患者の症状が悪化し、悪化の内容の多くは糜爛のある皮膚にジェルを使用した際に発赤が観察された例で、そのうち2例はそれぞれ使用2日目、4日目に外用直後より発赤、腫脹の接触蕁麻疹を起こした

大阪回生病院皮膚科、杏林大学医学部皮膚科学教室 およびサンスターの「アトピー性皮膚炎に対するヨモギエキス配合シートの使用経験」(文献6:1998)によると、

  • [ヒト試験] 1997年3月~1998年1月に大阪回生病院皮膚科を受診した軽度から中等度のアトピー性皮膚炎の患者23人にヨモギエキス配合シートを日中数時間または就寝時に1週間から4週間にわたって連続使用してもらい、試験前と1週間ごとに試験部位を評価したところ、6人の患者の症状が悪化し、悪化の内容は糜爛部の貼付で痛みを発生した例が2例、痂皮部に貼付した例で痂皮がはがれた例が1例および使用部位に瘙痒が発生した例が3例みられた

と記載されています。

試験データは、重度や慢性的なアトピー性皮膚炎を有する患者を対象としたものであり、重度または慢性的なアトピー性皮膚炎を有する場合は注意が必要ですが、皮膚乾燥に起因する軽微なアトピー性をはじめ健常な皮膚を有する場合は、皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

またキク科植物にアレルギーを有している場合は、販売メーカーにキク科植物アレルギー原因物質の除去の有無を問い合わせて確認することを推奨します。

眼刺激性について

詳細な試験データはみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ヨモギ葉エキス 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ヨモギ葉エキスは毒性なし(∗1)となっており、安全性に問題はないと考えられます。

∗1 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ヨモギ葉エキスは抗炎症成分、抗菌成分、美白成分、抗老化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:抗炎症成分 抗菌成分 美白成分 抗老化成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. 日光ケミカルズ(2006)「植物・海藻エキス」新化粧品原料ハンドブックⅠ,385.
  2. 原島 広至(2017)「ガイヨウ(艾葉)」生薬単 改訂第3版,34-35.
  3. 鈴木 洋(2011)「艾葉(がいよう)」カラー版 漢方のくすりの事典 第2版,58.
  4. 渡辺 真理奈, 他(1994)「ヨモギエキスの抗炎症効果の検討」日本化粧品技術者会誌(28)(2),178-182.
  5. 室井 延之, 他(1994)「ヨモギ (艾葉) 抽出液の抗ヒスタミン作用および皮膚接痒症に対する臨床効果」病院薬学(20)(1),10-16.
  6. 玉置 昭治, 他(1994)「ヨモギエキス含有スキンケア製品 (SYシリーズ) のアトピー性皮膚炎患者に対する使用経験」皮膚(36)(3),369-378.
  7. 庄司 昭伸, 他(1998)「アトピー性皮膚炎に対するヨモギエキス配合シートの使用経験」皮膚(40)(5),501-506.
  8. 沢辺 善之, 他(1998)「生薬の皮膚関連酵素に対する阻害作用」YAKUGAKU ZASSHI(118)(9),423-429.
  9. “ポーラ化成株式会社”(2008)「肌の老化因子の解明と、老化因子に有効な成分を開発」, <http://www.pola-rm.co.jp/pdf/release_2008_8.pdf> 2018年8月27日アクセス.
  10. “ポーラ化成株式会社”(2009)「肌の弾力方向性に着目し、”たるみ”の新測定法開発」, <http://www.pola-rm.co.jp/pdf/release_2009_6.pdf> 2018年8月27日アクセス.
  11. 川嶋 善仁(2008)「メラノサイト活性化抑制剤、及び皮膚外用剤」特開2008-074777.
  12. 神永 博子, 他(1997)「ストレスと皮膚 -過密ストレスモデルによる皮膚生理学的変化-」日本皮膚科学会雑誌(107)(5),615.

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