ビワ葉エキスとは…成分効果と毒性を解説

抗炎症成分 抗アレルギー 美白成分 育毛剤 抗白髪成分
ビワ葉エキス
[化粧品成分表示名称]
・ビワ葉エキス

[医薬部外品表示名称]
・ビワ葉エキス

バラ科植物ビワ(学名:Eriobotrya japonica 英名:Loquat)の葉からエタノールBG(1,3-ブチレングリコール)、またはこれらの混合液で抽出して得られるエキスです。

ビワ葉エキスの成分組成は、抽出方法や天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

などで構成されています(文献1:2006;文献2:2016)

ビワの名は、葉の形が楽器の琵琶に似ていることに由来するといわれ、日本にも9世紀前後に渡来したと推定されていますが、日本各地に普及したのは、幕末になって大果のビワが清国から長崎に伝えられてからとされています。

薬理作用としては、抗炎症作用と抗菌作用が知られています(文献3:2011)

漢方では、止咳・止嘔の効能があり、咳や痰、鼻血、嘔吐などに用いられ、また日本漢方では食中毒や下痢にも用いられます(文献3:2011)

また民間では、アセモや湿疹を治療するためにビワ葉の煎剤を塗布したり、浴湯料としてもよく知られています。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、メイクアップ化粧品、化粧下地、洗顔料、リップケア製品、洗浄製品、ヘアケア製品、育毛剤、まつ毛美容液などの製品に使用されます(文献1:2006;文献5:2013;文献7:2008;文献8:1998)

ヒアルロニダーゼ活性阻害による抗炎症作用

ヒアルロニダーゼ活性阻害による抗炎症作用に関しては、まず前提知識としてヒアルロニダーゼを解説しておきます。

以下の肌の真皮における保湿成分図をみてもらえるとわかると思いますが、

真皮の潤い成分一覧

皮膚において真皮にとくにヒアルロン酸が多く、肌の保水・弾力などに深く関わっていますが、通常ヒアルロン酸は産生と分解を繰り返し一定の量を保っています。

ここでヒアルロン酸を分解する酵素がヒアルロニダーゼですが、たとえば紫外線を浴びると、ヒアルロニダーゼの活性が促進され、必要以上にヒアルロン酸が分解され、保水力や皮膚弾力の低下につながります。

次に、以下の皮膚における炎症の仕組み図をみてほしいのですが、

炎症の仕組み

ヒアルロニダーゼは炎症性物質のひとつであるヒスタミンとも深く関わっており、ヒアルロニダーゼを抑制することはヒアルロン酸の減少だけでなく、皮膚の炎症抑制にもつながります。

2011年にサティス製薬によって報告されている一般的なビワ葉と白ビワ葉のヒアルロニダーゼ活性抑制作用の比較検証によると、

ビワ葉を化粧品原料として活用するため、様々な試験を行ったところ、以下のグラフのように、

ビワ葉と白ビワ葉のヒアルロニダーゼ活性阻害率比較

とくに白ビワ葉に一般的なビワ葉の約2倍の高いヒアルロニダーゼ活性阻害作用が認められました。

このような検証結果が明らかになっており(文献4:2011)、ビワ葉エキスにヒアルロニダーゼ活性阻害作用が認められています。

試験で比較されている白ビワ葉も化粧品成分表示名としては同様に「ビワ葉エキス」となっているので、成分表示名だけでは見分けがつきませんが、白ビワ葉を使用している場合は販売媒体を通して白ビワだとわかる記載があると考えられます。

また、試験では濃度や期間など詳細が不明であり、一般的に化粧品配合量は1%未満であるため、試験よりもかなり穏やかな作用である可能性も考えられます。

ヒスタミン遊離抑制による抗アレルギー作用

ヒスタミン遊離抑制による抗アレルギー作用に関しては、前提知識として即時型アレルギーのメカニズムとヒスタミンについて解説します。

代表的な即時型アレルギーとしてじんま疹があり、じんま疹のイメージと以下の即時型アレルギーが起こるメカニズム図をみてもらうとわかりやすいと思いますが、

即時型アレルギーが起こるメカニズム

即時型アレルギー(じんま疹)は、

  1. 真皮に存在する肥満細胞の表面で抗原(アレルゲン)と抗体(IgE)が結びつくことで抗原抗体反応が起こる
  2. 抗原抗体反応によって肥満細胞が破れてヒスタミンなどの炎症因子が細胞外へ放出される
  3. ヒスタミンが血管の透過性を高めると、血漿成分が血管外に漏出することにより、数分後に皮膚に赤みが生じ、じんま疹が発症する

このようなプロレスを通して起こります(文献9:2002)

もう少し詳しく解説しておくと、肥満細胞は皮膚においては真皮の毛細血管周囲くまなく分布しており、肥満細胞の表面には免疫グロブリンE(IgE抗体)という抗体が付着しています。

IgE抗体に反応する抗原(アレルゲン)が体内に侵入すると、肥満細胞の表面で抗原と抗体が結びつき、抗原抗体反応が起こることによって肥満細胞内の化学伝達物質を含む顆粒が細胞外へ放出されます。

代表的な化学伝達物質のひとつがかゆみや腫れを起こすヒスタミンで、ヒスタミンは神経を刺激してかゆみを起こし、また血管の透過性を高めるため、血漿成分が血管壁を通して血管外へ出てその周辺の皮膚にたまってむくみができ、その結果かゆみを伴った膨疹がみられるようになるというメカニズムになります。

1998年にノエビアによって公開された技術情報によると、

安全性の高い抗アレルギー剤を得るために、広く天然物よりアレルギー作用を有する物質のスクリーニングを行った結果、アセンヤクエキス、サンショウエキスチョウジエキスノイバラ果実エキスワレモコウエキス、ビワ葉エキス、キナノキ樹皮エキス、ユキノシタエキスシラカバ樹皮エキスまたはヨーロッパシラカバ樹皮エキスブドウ葉エキスの10種の植物抽出物に肥満細胞および好塩基球からのヒスタミン遊離を阻害する作用を見出した。

上記10種の1%生薬および植物抽出物のヒスタミン遊離抑制効果をラット由来好塩基球白血病細胞から遊離されるヒスタミンを指標とする抗アレルギー作用試験法を用いて評価したところ、以下のグラフのように、

生薬および植物抽出物におけるヒスタミン遊離抑制作用比較

各生薬および植物抽出物がヒスタミンの遊離を抑制することが明らかである。

また0.5%ビワ葉エキス配合軟膏を17~30歳のアトピー性皮膚炎を有する女性患者18人にそれぞれ朝夕2回2週間にわたって顔に塗布し、2週間後に改善効果を5段階(顕著、有効、やや有効、無効、悪化)で評価したところ、

症例数 顕著 有効 やや有効 無効 悪化
18 4 10 4 0 0

ビワ葉エキスはアトピー性皮膚炎の症状改善に有効であり、塗布期間中に症状の悪化した患者は一人もいなかった。

またビワ葉エキスのみを用いてもよいが、他の9種類の植物抽出物を混合して用いることで相乗効果が期待できる。

0.001%~5%の濃度範囲とすることが望ましい。

このような検証結果が明らかにされており(文献8:1998)、ビワ葉エキスにヒスタミン遊離抑制による抗アレルギー作用が認められています。

SCF発現抑制による色素沈着抑制作用

SCF発現抑制による色素沈着抑制作用に関しては、まず前提知識としてメラニン生合成のメカニズムとSCFについて解説します。

以下のメラニン生合成のメカニズム図をてみもらうとわかりやすいと思うのですが、

紫外線におけるメラニン生合成までのプロセス

紫外線を浴びるとまず最初に活性酸素が発生し、様々な情報伝達物質(メラノサイト活性化因子)をメラノサイトで発現するレセプター(受容体)に届けることで、メラノサイト内でメラニンの生合成がはじまり、ユウメラニン(黒化メラニン)へと合成されます。

メラノサイト内でのメラニン生合成は、まずアミノ酸であるチロシンに活性酵素であるチロシナーゼが結合することでドーパ、ドーパキノンへと変化し、最終的に黒化メラニンが合成されます。

SCFは肝細胞増殖因子であり、メラニン生合成のメカニズムでは情報伝達物質(メラノサイト活性化因子)のひとつです。

2008年に丸善製薬によって技術公開された天然物における肝細胞増殖因子であるSCF発現上昇抑制作用検証によると、試験内容は非公開ですが、ビワ葉エキスにSCF発現抑制による色素沈着抑制作用が認められています(文献7:2008)

ただし、試験内容が非公開であり、試験濃度や抑制率などが不明であるため、かなり穏やかな作用傾向である可能性も考えられます。

毛髪幹細胞におけるDNA損傷抑制による育毛作用および白髪抑制作用

毛包幹細胞および色素幹細胞におけるDNA損傷抑制による育毛作用および白髪抑制作用に関しては、前提知識として以下の毛周期および毛髪幹細胞図をみてもらうとわかりやすいと思うのですが、

毛周期(ヘアサイクル)

まず毛髪は、2~6年の「成長期」、数週間の「退行期」、数ヶ月の「休止期」というサイクルで自然な脱毛から新しい毛髪に生え替わるサイクルを繰り返しており、洗髪やブラッシングなどで抜ける髪は休止期のもので、1日の自然脱毛数は50~80本程度です(文献6:2002)

この毛髪の生え変わるサイクルのうち、「休止期」の毛包の根元にはバルジ領域と呼ばれる部位があり、このバルジ領域の中には以下の図のように毛包幹細胞と色素幹細胞が存在し、

毛髪幹細胞図

これらが成長期にかけて細胞分裂することで、毛母に細胞の元が供給されて毛髪が形成されることが明らかになっており、またこれら幹細胞の核にあるDNAが損傷を受けると幹細胞の機能が失われ、毛母への細胞供給が停止し、次のサイクルでは健全に毛髪が育たなかったり、白髪が生じたりすることが考えられます。

2013年にコーセーがバルジ領域に存在する幹細胞に着目し、DNAに対するダメージ抑制効果のある成分を探索したところ、以下のグラフのように、

植物エキス添加による毛髪幹細胞DNA損傷抑制効果

ビワ葉エキスとシャクヤク根エキスにDNAダメージ抑制効果を見出しています(文献6:2013)

ただし、試験の濃度や期間など詳細が不明であり、一般的に化粧品へ配合される場合は1%未満であるため、試験結果よりもかなり穏やかなDNA抑制作用傾向であると考えられます。

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ビワ葉エキスの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

ビワ葉エキスの現時点での安全性は、医療上汎用性があり有効性および安全性の基準を満たした成分が収載される日本薬局方に収載されている漢方生薬であり、また外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006にも収載されているため、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

ただし、詳細な試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

眼刺激性について

詳細な試験データはみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ビワ葉エキス 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ビワ葉エキスは毒性なし(∗1)となっており、安全性に問題はないと考えられます。

∗1 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ビワ葉エキスは抗炎症成分、美白成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:抗炎症成分 美白成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. 日光ケミカルズ(2006)「植物・海藻エキス」新化粧品原料ハンドブックⅠ,381.
  2. 原島 広至(2017)「ビワヨウ(枇杷葉)」生薬単 改訂第3版,122-123.
  3. 鈴木 洋(2011)「枇杷葉(びわよう)」カラー版 漢方のくすりの事典 第2版,410.
  4. サティス製薬(2011)「蜜のような甘さ 白い果肉を持つ“幻の白ビワ”を化粧品に」, <http://www.saticine-md.co.jp/news/1684> 2018年8月13日アクセス.
  5. “株式会社コーセー”(2013)「毛包内の幹細胞に着目したした、育毛への新たなアプローチ」, <https://www.kose.co.jp/company/cn/content/uploads/2015/10/20131122.pdf> 2018年8月13日アクセス.
  6. 朝田 康夫(2002)「毛髪の成長と寿命」美容皮膚科学事典,359-362.
  7. 土肥 圭子(2008)「幹細胞増殖因子発現上昇抑制剤」特開2008-273875.
  8. 株式会社ノエビア(1998)「抗アレルギー剤及びこれを含有する抗アレルギー性化粧料並びに食品」特開平10-36276.
  9. 朝田 康夫(2002)「じんま疹の症状は」美容皮膚科学事典,276-279.

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