ハイビスカス花エキスとは…成分効果と毒性を解説

抗炎症成分 保湿成分 バリア機能 美白成分
ハイビスカス花エキス
[化粧品成分表示名称]
・ハイビスカス花エキス

アオイ科植物ロゼル(学名:Hibiscus sabdariffa 英名:Red Sorrel)の花からエタノールBG(1,3-ブチレングリコール)、またはこれらの混合液で抽出して得られるエキスです。

ハイビスカス花エキスの成分組成は、抽出方法や天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

などで構成されています(文献1:-;文献2:2016)

ハイビスカスの語源は、古代エジプトの美の神ヒビスに由来するといわれており、現在ではエジプト、スーダン、中国などで栽培され、さわやかな酸味と鮮やかなルビー色のハイビスカスティーは世界中で人気を博しています。

ハイビスカスティーの名を一躍世に広めたのは、東京オリンピックの際にマラソンの王者アベベ選手やドイツの選手団がハイビスカスティーを天然のスポーツドリンクとして試合中に飲み、見事に金メダルを獲得したことによります。

ハイビスカスティーがスポーツドリンクとして選ばれた理由は、酸味のもとであるクエン酸やハイビスカス酸などの植物酸やミネラルが体内のエネルギー代謝と新陳代謝を高め、スポーツによる肉体疲労を回復させるためです。

天然のビタミンCを豊富に含むローズヒップ(Rosa canina)とのブレンドティーは栄養補給や美容効果を高め、またハイビスカスの鋭い酸味をまろやかに変えて飲みやすくすることからも最高のブレンドティーのひとつといえます。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、メイクアップ化粧品、日焼け止め製品、洗顔料、洗浄製品などの製品に使用されます(文献1:2006;文献3:2015)

クローディン-1およびオクルディン産生促進による保湿作用およびバリア機能改善作用

クローディン-1およびオクルディン産生促進による保湿作用およびバリア機能改善作用に関しては、まず前提知識としてタイトジャンクションについて解説しておきます。

以下の肌図をみてもらうとわかりやすいと思うのですが、

肌図 - タイトジャンクションの解説

タイトジャンクションとは、表皮の顆粒層に存在し、細胞同士を結びつける細胞間接着装置のことで、細胞間を通り抜ける物質の調節に関与し、肌内部の水分が過剰に蒸散するのを抑制したり、細菌などの異物が体内に侵入するのを防ぎ、肌のバリア機能の役割をしています。

しかし、タイトジャンクションに緩みがでてくると、バリア機能低下によって水分蒸散量が増えたり、外的刺激による刺激感受性が高くなったり、炎症が起こりやすくなることが考えられます。

2015年に丸善製薬によって報告されたオーガニックハイビスカス花エキスにおけるタイトジャンクション構成タンパク質であるクローディン-1およびオクルディンの産生促進作用検証によると、

正常ヒト新生児表皮角化細胞を用いて、タイトジャンクション構成タンパク質であるクローディン-1およびオクルディンの産生促進作用を評価したところ、以下のグラフのように、

ハイビスカス花エキスにおけるタイトジャンクション構成タンパク質の産生促進作用

無添加と比べてクローディン-1、オクルディンともに有意に産生が促進された。

次に3次元ヒト皮膚モデルにオーガニックハイビスカス花エキスを添加して培養後、クローディン-1およびオクルディンの産生促進作用を評価したところ、無添加に比べてタイトジャンクション構成タンパク質の産生促進が認められた。

このような検証結果が明らかにされており(文献3:2015)、ハイビスカス花エキスにはタイトジャンクション構成タンパク質の産生を促進し、皮膚の水分保持機能・バリア機能を向上させる作用が認められています。

ただし、試験は有機JAS認証を受けたオーガニックハイビスカス花エキスで行われており、一般的なハイビスカス花エキスに比べて有効成分含有量が高い可能性が考えられますが、学名は同じHibiscus sabdariffaであり、含有される成分は類似していると思われるので、程度の差はあるかもしれませんが、一般的なハイビスカス花エキスにも同じ作用があると推測されます。

SCF、bFGF、ET-1およびPOMC抑制による色素沈着抑制作用

SCF、bFGF、ET-1およびPOMC抑制による色素沈着抑制作用に関しては、まず前提知識として黒化メラニン生合成の仕組みを解説しておきます。

以下の図をみるとわかりやすいと思うのですが、

紫外線におけるメラニン生合成までのプロセス

紫外線を浴びるとまず最初に活性酸素が発生し、活性酸素の働きによって様々な遺伝子の発現を誘導するタンパク質(転写因子)であるNF-κB(エヌエフカッパビー)が活性化します。

活性化したNF-κBは、様々な情報伝達物質(メラノサイト活性化因子)をメラノサイトで発現するレセプター(受容体)に届けることで、メラノサイト内でメラニンの生合成がはじまり、ユウメラニン(黒化メラニン)へと合成されます。

紫外線によって誘導される情報伝達物質は各種報告がありますが、ハイビスカス花エキスにはそのうち、SCF(幹細胞因子)、bFGF(塩基性線維芽細胞増殖因子)、ET-1(エンドセリン-1)、およびα-MSH(α-メラノサイト刺激ホルモン)の前駆体であるPOMC(プロオピオメラノコルチン)の産生抑制作用が認められており、複数の情報伝達物質を抑制し、メラノサイトに届けないことでメラニン合成そのものを抑制し、結果的に黒化メラニンの合成が減少し、色素沈着の抑制につながります。

2015年に丸善製薬によって報告されたオーガニックハイビスカス花エキスにおける紫外線誘導色素沈着抑制作用検証によると、

正常ヒト新生児表皮角化細胞を用いて、紫外線によるSCF,bFGF,ET-1,POMCのmRNA(∗1)発現上昇に対する抑制作用を評価したところ、以下のグラフのように、

∗1 mRNAとは、メッセンジャー・リボ核酸(messenger RNA)の略で、酵素などのタンパク質を細胞の中で合成するためにDNAの遺伝情報の一部を写し取り、伝達する核酸の一種です。

ハイビスカス花エキスの紫外線誘導によるSCF mRNA発現上昇抑制作用

ハイビスカス花エキスの紫外線誘導によるbFGF mRNA発現上昇抑制作用

ハイビスカス花エキスの紫外線誘導によるET-1 mRNA発現上昇抑制作用

ハイビスカス花エキスの紫外線誘導によるPOMC mRNA発現上昇抑制作用

これらのすべてにおいて強い抑制作用を示すことが認められた。

次に3次元ヒト皮膚モデルにオーガニックハイビスカス花エキスを添加して培養後、L値(皮膚の明るさ)、メラニン値、メラニン含量を評価したところ、無添加に比べてL値の増加および有意なメラニン値ならびにメラニン含量の減少が認められた。

このような検証結果が明らかにされており(文献3:2015)、ハイビスカス花エキスには紫外線によるSCF,bFGF,ET-1,POMCを抑制することによる色素沈着抑制作用が認められています。

ただし、試験は有機JAS認証を受けたオーガニックハイビスカス花エキスで行われており、一般的なハイビスカス花エキスに比べて有効成分含有量が高い可能性が考えられますが、学名は同じHibiscus sabdariffaであり、含有される成分は類似していると思われるので、程度の差はあるかもしれませんが、一般的なハイビスカス花エキスにも同じ作用があると推測されます。

スポンサーリンク

ハイビスカス花エキスの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

ハイビスカス花エキスの現時点での安全性は、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

ただし、詳細な試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

眼刺激性について

詳細な試験データはみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ハイビスカス花エキス 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ハイビスカス花エキスは毒性なし(∗1)となっており、安全性に問題はないと考えられます。

∗1 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ハイビスカス花エキスは抗炎症成分、保湿成分、美白成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:抗炎症成分 保湿成分 美白成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. 丸善製薬株式会社(-)「ハイビスカス(ロゼル)」技術資料.
  2. 林真一郎(2016)「ハイビスカス」メディカルハーブの事典 改定新版,112-113.
  3. 西村 文秀(2015)「有機ハイビスカスの化粧品成分としての機能性」Fregrance Journal(43)(3),78-81.

スポンサーリンク

TOPへ