トウキンセンカ花エキスとは…成分効果と毒性を解説

抗炎症成分 育毛剤
トウキンセンカ花エキス
[化粧品成分表示名称]
・トウキンセンカ花エキス

[医薬部外品表示名称]
・トウキンセンカエキス

キク科植物トウキンセンカ(学名:Calendula officinalis 英名:Marigold)の花からエタノールBG(1,3-ブチレングリコール)、またはこれらの混合で抽出して得られるエキスです。

トウキンセンカ花エキスの成分組成は、天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

  • カロチノイド類:カロチン、キサントフィル
  • サポニン
  • トリテルペノイド
  • フラボノイド類:クエルセチン

などで構成されています(文献2:2016)

トウキンセンカは一般的にはマリーゴールドと呼ばれ、古代からインド、アラビア、ギリシア、ローマで薬用に、または布地、食品、化粧品の着色料として利用されており、古代ギリシアでは「家に幸せを運ぶ花」として婚礼の席に飾る風習があり、また古代インド人は明るい黄金色の花には守護の力があると信じ、マリーゴールドを崇め、寺院の祭壇や神殿に飾りました(文献4:2016)

薬用としては、胃潰瘍、黄胆、のどの炎症、外傷、火傷などに用いられてきましたが、その本質は損傷を受けた皮膚や粘膜を修復、保護することにあり、このメカニズムは完全に解明されたわけではありませんが、成分中の多糖類が免疫系を調整し、さらにカロチノイド色素やフラボノイドが複合的に働き創傷治癒を促し、さらに抗菌作用や白癬菌などへの抗真菌作用、ヘルペスなどに対する抗ウィルス作用、トリコモナスなどへの抗寄生虫作用が確認されています(文献3:2018)

化粧品に配合される場合は、優れた消炎作用、鎮痛作用、創傷治癒促進作用、抗刺激作用目的で、肌荒れ用または敏感肌用スキンケア化粧品をはじめ、ボディ&ハンドケア製品、日焼け止め製品、リップケア製品、パック&マスク製品、洗顔料などに使用されます(文献2:2016)

また、培養毛細胞組織の増殖が認められているため(文献64:1992)、頭皮ケア製品、ヘアケア製品、育毛剤などにも使用されます。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2005-2006年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

トウキンセンカ花エキスの配合製品数と配合量の調査結果(2005-2006年)

複合植物エキスとしてのトウキンセンカ花エキス

ファルコレックスBX44という複合植物エキスは、以下の成分で構成されており、

効果および配合目的は、

  1. 角質水分量増加
  2. 経表皮水分損失抑制
  3. 抗炎症(ヒスタミン遊離抑制)
  4. 抗酸化(SOD様)
  5. 抗酸化(過酸化脂質生成抑制)
  6. メディエーター抑制(ヒスタミン遊離抑制)

とされており、肌の潤い促進、乾燥によるかゆみ抑制、過剰な皮脂抑制などそれぞれポイントの違う植物エキスの相乗効果によって肌荒れやざ瘡を多角的に予防するもので、化粧品成分一覧にこれらの成分が併用されている場合はファルコレックスBX44であると推測することができます。

ファルコレックスBX52という複合植物エキスは、以下の成分で構成されており、

効果および配合目的は、

  1. オムツかぶれ改善(リパーゼ阻害)
  2. 抗菌(アクネ菌)
  3. リパーゼ活性阻害

とされており、植物エキスの相乗効果によって過剰な皮脂やアクネ菌を抑制し、肌荒れやニキビを予防するもので、化粧品成分一覧にこれらの成分が併用されている場合はファルコレックスBX52であると推測することができます。

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トウキンセンカ花エキスの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

トウキンセンカ花エキスの現時点での安全性は、一次皮膚刺激性はほとんどありませんが、軽度の累積刺激性が起こる可能性があり、また眼刺激性は非刺激または最小限の眼刺激性が起こる可能性がありますが、皮膚感作性(アレルギー性)および光毒性の報告もないため、総合的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

ただし、キク科植物にアレルギーを有している場合は販売メーカーにキク科植物アレルギー原因物質の除去の有無を問い合わせて確認してください。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report of the Cosmetic Ingredient Review Expert Panel Amended Safety Assessment of Calendula officinalis-Derived Cosmetic Ingredients」(文献1:2010)によると、

  • [ヒト試験] 14人の被検者に1%トウキンセンカ花エキスを含む化粧品製剤の皮膚刺激性試験を実施したところ、有害な皮膚反応は観察されず、一次刺激スコアは最大8.0のうち0.0であった(CTFA,1986a)
  • [ヒト試験] 13人の被検者の背中に1%トウキンセンカ花エキスを含む化粧品製剤の累積刺激能を評価するために閉塞パッチ下で20日間連続で23時間適用し、各パッチ除去1時間後に皮膚反応を評価したところ、軽度の累積刺激剤であると結論付けられた(Hill top Research,1986)
  • [ヒト試験] 1%トウキンセンカ花エキスを含むアイ化粧品の4日間の小累積刺激試験を閉塞パッチ下で実施したところ、刺激スコアは0.24であった(CTFA,1990)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、一次刺激はほとんどなし、また軽度の累積刺激があると報告されているため、一次刺激性はほとんどないと考えられますが、一方で軽度の累積刺激が起こる可能性があると考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report of the Cosmetic Ingredient Review Expert Panel Amended Safety Assessment of Calendula officinalis-Derived Cosmetic Ingredients」(文献1:2010)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼の結膜嚢に10%トウキンセンカ花エキス水溶液を点眼し、すすがず、眼刺激性を評価したところ、最小限の眼刺激性であると考えられた(CTFA,1983)
  • [動物試験] 動物(数および種類不明)の片眼に1%トウキンセンカ花エキスを含むアイクリームを点眼し、点眼後に眼刺激性を評価したところ、非刺激~最小限の眼刺激性であった(CTFA,1986b)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して非刺激性から最小限の眼刺激性であると報告されているため、眼刺激性は非刺激性または最小限の眼刺激性が起こる可能性があると考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report of the Cosmetic Ingredient Review Expert Panel Amended Safety Assessment of Calendula officinalis-Derived Cosmetic Ingredients」(文献1:2010)によると、

  • [ヒト試験] 109人の被検者の背中に1%トウキンセンカ花エキスを含むアイクリーム0.1mLを誘導期間において週3回3週間にわたって24時間閉塞パッチ適用し、次いで2週間の休息期間の後に未処置部位に24時間チャレンジパッチを適用し、パッチ除去24および48時間後に皮膚反応を評価したところ、誘導期間およびチャレンジ期間のいずれにおいても皮膚反応は観察されず、1%トウキンセンカ花エキスを含むアイクリームは感作剤ではなかった(CTFA,1986c)
  • [ヒト試験] 102人の被検者の背中に1%トウキンセンカ花エキスを含む化粧品製剤を誘導期間において週3回3週間にわたって24時間閉塞パッチ適用し、次いで2週間の休息期間の後に未処置部位に24時間チャレンジパッチを適用し、パッチ除去24および48時間後に皮膚反応を評価したところ、1人の被検者はチャレンジ期間において感作反応の可能性を示唆する反応を示した。この1人の被検者にあらためて閉塞および半閉塞チャレンジパッチを適用したところ、反応は感作性ではなく刺激性であり、感作性物質ではないと結論付けられた(TKL Research,1987)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

ただし、キク科植物にアレルギーを有している場合は販売メーカーにキク科植物アレルギー原因物質の除去の有無を問い合わせて確認してください。

光毒性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report of the Cosmetic Ingredient Review Expert Panel Amended Safety Assessment of Calendula officinalis-Derived Cosmetic Ingredients」(文献1:2010)によると、

  • [動物試験] 6匹のモルモットの背中にトウキンセンカ花エキス、ブチレングリコール、水の50%混合物0.1mLを適用し、UVBを15分間照射して最小限の紅斑線量を与えたところ、試験物質は光毒性を誘発しなかった(Ichimaru Pharcos Co Ltd,1994)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、光毒性なしと報告されているため、光毒性はほとんどないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
トウキンセンカ花エキス 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、トウキンセンカ花エキスは毒性なし(∗1)となっており、安全性に問題はないと考えられます。

∗1 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

トウキンセンカ花エキスは抗炎症成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:抗炎症成分

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文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2010)「Final Report of the Cosmetic Ingredient Review Expert Panel Amended Safety Assessment of Calendula officinalis-Derived Cosmetic Ingredients」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/1091581810384883> 2018年7月2日アクセス.
  2. 日光ケミカルズ(2016)「植物・海藻エキス」パーソナルケアハンドブック,p374.
  3. ジャパンハーブソサエティー(2018)「カレンデュラ」ハーブのすべてがわかる事典,58.
  4. 林真一郎(2016)「カレンデュラ」メディカルハーブの事典 改定新版,46-47.
  5. 尾鼻 範子, 他(1992)「培養毛組織細胞の増殖および分化に対するトウキンセンカならびにオウゴン抽出液の影響」日本化粧品技術者会誌(25)(4).

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