ソメイヨシノ葉エキスとは…成分効果と毒性を解説

抗アレルギー 抗酸化成分
ソメイヨシノ葉エキス
[化粧品成分表示名称]
・ソメイヨシノ葉エキス

[医薬部外品表示名称]
・サクラ葉抽出液

バラ科植物ソメイヨシノ(学名:Cerasus × yedoensis = Prunus Yedoensis)の葉からエタノールBG(1,3-ブチレングリコール)またはこれらの混合液で抽出して得られるエキスです。

ソメイヨシノ葉エキスの成分組成は、抽出方法や天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

  • フラボノイド
  • クマリン誘導体

などで構成されています(文献1:2015)

ソメイヨシノ(染井吉野)は、エドヒガンと日本固有種のオオシマザクラとの雑種で(文献2:2017)、現代の観賞用のサクラの代表種となっています。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ハンド&ボディケア製品、メイクアップ化粧品、日焼け止め製品、洗顔石鹸&洗顔料など様々な製品に使用されます(文献3:1996)

また、サクラの香りをコンセプトにした入浴剤、フレグランス製品にも配合されることがあります。

ヒスタミン遊離抑制による抗アレルギー作用

ヒスタミン遊離抑制による抗アレルギー作用に関しては、前提知識としてⅠ型アレルギー(即時型アレルギー)のメカニズムとヒスタミンについて解説します。

代表的なⅠ型アレルギーとしてじんま疹があり、じんま疹のイメージと以下のⅠ型アレルギーが起こるメカニズム図をみてもらうとわかりやすいと思いますが、

Ⅰ型アレルギーが起こるメカニズム

Ⅰ型アレルギーは、

  1. 真皮に存在する肥満細胞の表面で抗原(アレルゲン)と抗体(IgE)が結びつくことで抗原抗体反応が起こる
  2. 抗原抗体反応によって肥満細胞が破れてヒスタミンなどの炎症因子が細胞外へ放出される
  3. ヒスタミンが血管の透過性を高めると、血漿成分が血管外に漏出することにより、数分後に皮膚に赤みが生じ、じんま疹が発症する

このようなプロレスを通して起こります(文献4:2002)

もう少し詳しく解説しておくと、肥満細胞は皮膚においては真皮の毛細血管周囲くまなく分布しており、肥満細胞の表面には免疫グロブリンE(IgE抗体)という抗体が付着しています。

IgE抗体に反応する抗原(アレルゲン)が体内に侵入すると、肥満細胞の表面で抗原と抗体が結びつき、抗原抗体反応が起こることによって肥満細胞内の化学伝達物質を含む顆粒が細胞外へ放出されます。

代表的な化学伝達物質のひとつがかゆみや腫れを起こすヒスタミンで、ヒスタミンは神経を刺激してかゆみを起こし、また血管の透過性を高めるため、血漿成分が血管壁を通して血管外へ出てその周辺の皮膚にたまってむくみができ、その結果かゆみを伴った膨疹がみられるようになるというメカニズムになります。

1996年に一丸ファルコスによって公開された技術情報によると、

ヒスタミン遊離を抑制する物質は、アレルギー性炎症疾患の予防および改善効果が期待できるため、ラットを用いて0.1%サクラ葉抽出液のヒスタミン遊離抑制作用を検討したところ、以下の表のように、

試料(0.1%) ヒスタミン遊離抑制率(%)
サクラ葉抽出液 98.2
グリチルリチン酸ジカリウム水溶液 12.5

サクラ葉抽出液は、陽性対照の0.1%グリチルリチン酸ジカリウム水溶液と比べて強いヒスタミン遊離作用を有することが確認された。

このような検証結果が明らかにされており(文献3:1996)、ソメイヨシノ葉エキスにヒスタミン遊離抑制による抗アレルギー作用が認められています。

過酸化脂質抑制による抗酸化作用

過酸化脂質抑制による抗酸化作用に関しては、まず前提知識として過酸化脂質について解説します。

過酸化脂質は、以下の細胞膜の構造図をみてもらうとわかりやすいと思うのですが、

細胞膜の構造図

皮脂や細胞間脂質、細胞膜を構成しているリン脂質などの酸化が進んだ脂質のことで、皮膚に過酸化脂質が増えると様々な物質の変性・損傷が起こり、肌はくすみ、ハリはなくなり、色素沈着は濃くなり、老化が促進されます(文献4:2002)

皮膚において過酸化脂質が生成される主な原因のひとつが紫外線であり、紫外線により発生した活性酸素のひとつである一重項酸素が脂質と結合することで過酸化脂質の生成が促進されます(文献5:2002)

1996年に一丸ファルコスによって公開された技術情報によると、

in vitro試験にて0.1%サクラ葉抽出液を含む水溶液の過酸化脂質生成抑制率を検討したところ、以下の表のように、

試料(0.1%) 過酸化脂質生成抑制率(%)
サクラ葉抽出液 98.2
dl-α-トコフェロール水溶液 67.8

サクラ葉抽出液は、陽性対照のdl-α-トコフェロール水溶液と比べて強い過酸化脂質生成抑制作用を有することが確認された。

このような検証結果が明らかにされており(文献3:1996)、ソメイヨシノ葉エキスに過酸化脂質抑制による抗酸化作用が認められています。

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ソメイヨシノ葉エキスの安全性(刺激性・アレルギー)について

ソメイヨシノ葉エキスの現時点での安全性は、10年以上の使用実績があり、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないため、安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

一丸ファルコスの安全性試験データ(文献3:1996)によると、

  • [動物試験] 5匹の除毛したモルモットの背部に0.6%~2.0%サクラ葉抽出液を塗布し、塗布24時間後に一次刺激性を紅斑および浮腫を指標として評価したところ、すべてのウサギにおいて紅斑および浮腫を認めず、陰性と判断された
  • [動物試験] 5匹の除毛したウサギの側腹部に1%サクラ葉抽出液を含む水溶液0.5mLを1日1回週5回、4週間にわたって適用し、各週の最終日の翌日に紅斑および浮腫を指標として刺激性を評価したところ、すべてのウサギにおいて塗布後1~4週目にわたって紅斑および浮腫を認めず、陰性と判断された

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激がないため、皮膚一次刺激性および累積刺激性刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

皮膚感作性(アレルギー性)について

10年以上の使用実績があり、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ソメイヨシノ葉エキス 掲載なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ソメイヨシノ葉エキスは掲載なしとなっていますが、安全性試験の結果から安全性に問題ない成分であると考えられます。

∗∗∗

ソメイヨシノ葉エキスは抗炎症成分、抗酸化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:抗炎症成分 抗酸化成分

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文献一覧:

  1. 宇山 光男, 他(2015)「植物エキス類一覧表」化粧品成分ガイド 第6版,236-237.
  2. “森林総合研究所”(2017)「‘染井吉野’など、サクラ種間雑種の親種の組み合わせによる正しい学名を確立」, <http://www.ffpri.affrc.go.jp/press/2017/20170118/index.html> 2018年11月20日アクセス.
  3. 一丸ファルコス株式会社(1996)「皮膚外用剤及び浴用剤」特開平8-245409.
  4. 朝田 康夫(2002)「じんま疹の症状は」美容皮膚科学事典,276-279.
  5. 朝田 康夫(2002)「過酸化脂質の害は」美容皮膚科学事典,163-165.

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