シソ葉エキスとは…成分効果と毒性を解説

抗炎症成分 保湿 バリア改善 美白 抗菌成分
シソ葉エキス
[化粧品成分表示名称]
・シソ葉エキス

[医薬部外品表示名称]
・シソエキス(1)、シソエキス(2)

シソ科植物シソ(学名:Perilla frutescens = Perilla Ocymoides)の葉からエタノールまたはBG(1,3-ブチレングリコール)で抽出して得られるエキスです。

シソ葉エキスの成分組成は、天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

  • 精油:ペリルアルデヒド(∗1)、d-リモネン、α-ピネン

∗1 ペリラアルデヒドとも呼ばれます。

などで構成されています(文献1:2006;文献2:-;文献3:2018)

シソは別名オオバとも呼ばれ、葉にはペリルアルデヒド特有の芳香があり、刺し身のつまや薬味として利用されています。

薬理作用としては、抗菌作用、解熱作用、鎮静作用が知られており、また免疫を活性化させるTNFを抑制し、ヒスタミンの遊離を抑制する作用があり、花粉症などのアレルギー症状に対する効果が認められています(文献4:2011;文献7:1992;文献8:1992-1993;文献9:1993-1994;文献10:2005)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ボディケア製品、メイクアップ化粧品、日焼け止め製品、洗顔料&洗顔石鹸、シート&マスク製品などに使用されます(文献1:2006;文献9:1993-1994;文献11:1998;文献12:2007;文献13:2006)

また、アトピー性皮膚炎を含む皮膚炎に対して有効性が明らかになっていることから、敏感肌向けスキンケア化粧品にも使用されています。

抗アレルギー作用

抗アレルギー作用に関しては、1993年のアミノアップ化学によるシソ葉エキスの抗アレルギーの検証試験によると、

アトピー性皮膚炎およびその周辺皮膚炎を有する30人の患者に3%シソ葉エキスを含むクリームを1日2~3回8週間にわたって患部へ単純塗布し、2週間ごとに5回にわたって皮膚反応を評価した。

改善度は、試験開始時と比較して「著しく軽快」「かなり軽快」「やや軽快」「不変」「増悪」の5段階で評価し、全般改善度および副作用を総合して「極めて有用」「有用」「やや有用」「無用」の4段階で評価したところ、以下のグラフのように、

3%シソ葉エキス配合クリームの有用性

全般改善度として、「かなり改善」以上で66.7%、「やや改善」以上で83.4%の比較的高い改善性がみられ、また副作用の報告はなく、66.7%の有用性が認められた(やや有用も含めると80.0%)。

このように報告されており(文献9:1993-1994)、アレルギー性皮膚炎に対する高い改善性が明らかにされています。

ただし、試験では3%濃度のシソ葉エキスを使用していますが、一般的に化粧品配合量は1%未満であることが多く、試験結果よりはかなり穏やかな改善傾向であると考えられます。

セラミド合成促進による保湿・バリア改善作用

セラミド合成促進による保湿・バリア改善作用に関しては、まず前提知識としてセラミドについて解説します。

以下の角質層の構造および細胞間脂質におけるラメラ構造図をみてもらうとわかりやすいと思うのですが、

角質層の構造

細胞間脂質におけるラメラ構造の仕組み

角質層のバリア機能は、生体内の水分蒸散を防ぎ、外的刺激から皮膚を防御する重要な機能であり、バリア機能には角質と角質の隙間を充たして角質層を安定させる細胞間脂質が重要な役割を果たしています。

細胞間脂質は、主にセラミド、コレステロール、遊離脂肪酸などで構成され、これらの脂質が角質細胞間に層状のラメラ構造を形成することによりバリア機能を有すると考えられています。

セラミドは、細胞間脂質の50%以上を占める主要成分であり、皮膚の水分保持能およびバリア機能に重要な役割を果たしており、バリア機能が低下している皮膚では角質層中のセラミド量が低下していること(文献14:1989)、またアトピー性皮膚炎患者では角質層中のコレステロール量の減少は認められないがセラミド量は有意に低下していることが報告されています(文献15:1991;文献16:1998)

またヒト皮膚には7系統のセラミドが存在することが確認されており、全種類のセラミドが角質層に存在する比率で補われることが理想的ですが、セラミドを適正な比率で補充することは技術的に困難であるため、生体内におけるセラミド合成を促進することが重要であると考えられています。

2006年に日本メナード化粧品によって公開された技術情報によると、

生体内におけるセラミド合成を促進する成分・物質を検討したところ、コメクズアンズスイカズラユキノシタ、テンチャ、ラフマ、サンザシイザヨイバラ、エゾウコギ、ナツメ、シソ、オウレンサイシン、コガネバナ、キハダクワボタンシャクヤクチンピムクロジチョウジユリダイズシロキクラゲの抽出物によりセラミド合成が促進されることを見出した。

in vitro試験において、マウスケラチノサイト由来細胞を培養した培地を用いて、試料未添加のセラミド合成促進率を100とした場合の試料添加時のセラミド合成促進量を計測したところ、以下の表のように、

試料 抽出方法 10μg/mLあたりのセラミド合成促進率(%)
コメ 熱水 110
エタノール 115
クズ 熱水 133
エタノール 145
アンズ 50%BG水溶液 123
エタノール 137
スイカズラ 熱水 116
エタノール 122
ユキノシタ 熱水 121
テンチャ エタノール 115
ラフマ エタノール 114
サンザシ 50%BG水溶液 130
イザヨイバラ 熱水 112
エタノール 115
エゾウコギ 熱水 129
ナツメ 熱水 162
エタノール 152
シソ エタノール 187
オウレン 熱水 150
サイシン 熱水 145
エタノール 165
コガネバナ 50%BG水溶液 118
熱水 121
キハダ 熱水 178
エタノール 195
クワ 熱水 129
エタノール 145
ボタン 熱水 116
50%BG水溶液 126
シャクヤク 熱水 112
チンピ 熱水 111
エタノール 117
ムクロジ エタノール 115
チョウジ 熱水 114
ユリ 50%BG水溶液 115
ダイズ エタノール 120
熱水 129
シロキクラゲ 熱水 125

シソ抽出物は、無添加と比較してセラミド合成促進効果を示した。

このような検証結果が明らかにされており(文献13:2006)、シソ葉エキスにセラミド合成促進による保湿・バリア改善作用が認められています。

チロシナーゼ活性阻害による色素沈着抑制作用

チロシナーゼ活性阻害による色素沈着抑制作用に関しては、まず前提知識としてメラニン合成のプロセスおよびチロシナーゼについて解説します。

以下のメラニン合成の仕組み図をみてもらうとわかりやすいと思うのですが、

紫外線におけるメラニン生合成までのプロセス

紫外線を浴びるとまず最初に活性酸素が発生し、様々な情報伝達物質(メラノサイト活性化因子)をメラノサイトで発現するレセプター(受容体)に届けることで、メラノサイト内でメラニンの生合成がはじまり、ユーメラニン(黒化メラニン)へと合成されます。

メラノサイト内でのメラニン生合成は、まずアミノ酸であるチロシンに活性酵素であるチロシナーゼが結合することでドーパ、ドーパキノンへと変化し、最終的に黒化メラニンが合成されます。

1998年に大阪府立公衆衛生研究所と富山医科薬科大学薬学部の共同研究によって報告された生薬の皮膚関連酵素に対する阻害作用検証によると、

チロシナーゼに対する阻害作用物質を探索する目的で66種類の生薬の水製エキスについて酵素阻害作用を測定し、また生薬水製エキスからフェノール製物質を除去した分画についても阻害作用を測定したところ、

生薬エキス タンニン量 チロシナーゼ活性阻害率(%)
  (%) 水製エキス 水製エキス(タンニン除去)
アセンヤク 3.10 46 -4
オウヒ 2.90 49 -2
ガイヨウ 1.25 25 7
キジツ 0.60 40 0
キョウニン 0 91 86
ケイケットウ 2.70 69 -17
シソヨウ 1.30 43 27
シャゼンジ 0.45 28 1
ダイオウ 2.90 60 -11
チョウジ 2.15 42 -15
チョレイ 0.50 26 13
トウニン 0.50 66 48

水製エキスについて阻害率50%異常の生薬は、キョウニン、ケイケットウ、ダイオウ、トウニンの4種類であった。

また、阻害率20~50%の生薬は、アセンヤク、オウヒ、ガイヨウ、キジツ、シソヨウ、シャゼンジ、チョウジ、チョレイの8種類であった。

アセンヤク、オウヒ、ガイヨウ、ケイケットウ、ダイオウ、チョウジはタンニン量が多い生薬であり、フェノール物質を除去(タンニン除去)した場合では阻害活性が著しく低下したことから、これらの生薬に存在する阻害物質はタンニンであると推察された。

キジツは水製エキスで阻害作用を示し、フェノール物質を除去した場合では阻害作用を失っていたが、タンニン量は0.60%と多くなく、このことからキジツの阻害物質はタンニン以外のフェノール性物質である可能性が考えられる。

フェノール物質を除去(タンニン除去)した場合で阻害率20%異常の生薬はキョウニン、シソヨウ、トウニンの3種類であり、これらの生薬についてはフェノール性物質以外の阻害作用をもつ成分の存在が示唆された。

このような検証結果が明らかにされており(文献11:1998)、シソ葉エキスにチロシナーゼ活性阻害による色素沈着抑制作用が認められています。

またほかにも、2006年のコスモテクニカルセンターによるシソ葉エキスのチロシナーゼ生合成阻害検証によると、

チロシナーゼタンパク質レベルでの制御を指標として、植物エキスを中心に簡易スクリーニングを行ったところ、シソ50%エタノール抽出物に高いチロシナーゼレベルの低減作用が認められた。

次に30%,50%,70%,90%および99%エタノールの順で溶媒分画し、チロシナーゼレベルに対する作用を比較評価したところ、エタノール比率が高くなるほど細胞内チロシナーゼレベルの低下が顕著となり、とくに90%エタノール分画において最も強い抑制作用が確認された。

チロシナーゼ酵素に対する直接的な阻害作用を評価したところ、直接的なチロシナーゼ活性阻害作用は認められなかったため、この抑制作用は細胞内に取り込まれた酵素活性を直接的に阻害したものではないことが示された。

作用機序を明らかにするため、90%エタノール画分のチロシナーゼmRNA発現レベルおよびタンパク質レベルに対する作用について評価したところ、シソ90%エタノール画分はチロシナーゼmRNA発現量に対してまったく影響しないもののチロシナーゼタンパク質レベルについては顕著に減少させることが明らかとなった。

これらの知見から、シソエキスはチロシナーゼの成熟過程あるいは分解過程に関与する可能性が強く示唆された。

このように報告されており(文献12:2007)、エタノール抽出したシソ葉エキスにはチロシナーゼ生合成阻害作用があると考えられます。

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シソ葉エキスの安全性(刺激性・アレルギー)について

シソ葉エキスの現時点での安全性は、外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載されており、また10年以上の使用実績があり、皮膚刺激性および眼刺激性はほとんどなく、皮膚感作性(アレルギー性)の報告もないため、安全性に問題のない成分であると考えられます。

ただし、シソ特有の香り成分であるペリルアルデヒドは防腐・抗菌作用がある反面、アレルギー性接触性皮膚炎の原因となる報告もあり、開発元のアミノアップ化学のシソ葉エキスはペリルアルデヒドを除去していると記載されていますが、他の原料会社では除去していない可能性もあるため、気になる場合はシソ葉エキスのペリルアルデヒドの除去の有無を販売メーカーに問い合わせて確認してください。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

開発元のアミノアップ化学の安全性情報(文献5:2018;文献9:1993-1994)によると、

  • [ヒト試験] アトピー性皮膚炎およびその周辺皮膚炎を有する30人の患者に3%シソ葉エキスを含むクリームを1日2~3回8週間にわたって患部へ単純塗布し、2週間ごとに5回にわたって皮膚反応を評価したところ、副作用などの皮膚反応は観察されなかった
  • 皮膚刺激性試験では異常なし
  • パッチテストでは異常なし

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、一般的に皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

ただし、シソ特有の香り成分であるペリルアルデヒドは防腐・抗菌作用がある反面、アレルギー性接触性皮膚炎の原因となる報告もあり、開発元のアミノアップ化学のシソ葉エキスはペリルアルデヒドを除去していると記載されていますが、他の原料会社では除去していない可能性もあるため、気になる場合はシソ葉エキスのペリルアルデヒドの除去の有無を販売メーカーに問い合わせて確認してください。

眼刺激性について

開発元のアミノアップ化学の安全性情報(文献5:2018)によると、

  • 眼粘膜一次刺激性試験の結果、異常なし

と記載されています。

詳細な試験データはみあたりませんが、眼刺激性なしと報告されているため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

∗∗∗

シソ葉エキスは抗炎症成分、抗菌成分、保湿成分、バリア改善成分、美白成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:抗炎症成分 抗菌成分 保湿成分 バリア改善成分 美白成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. 日光ケミカルズ(2006)「植物・海藻エキス」新化粧品原料ハンドブックⅠ,372.
  2. “丸善製薬株式会社”(-)「原料事典 シソ」,<http://www.maruzenpcy.co.jp/jiten/ke/s/shisoekisu.html> 2018年6月28日アクセス.
  3. ジャパンハーブソサエティー(2018)「アオジソ」ハーブのすべてがわかる事典,99.
  4. 鈴木 洋(2011)「蘇葉(そよう)」カラー版 漢方のくすりの事典 第2版,294-295.
  5. “株式会社アミノアップ化学”(2018)「シソエキスの安全性」,<https://www.aminoup.co.jp/products/perillaextract/safety/> 2018年6月28日アクセス.
  6. “株式会社アミノアップ化学”(2018)「シソエキスの成分研究」,<https://www.aminoup.co.jp/products/perillaextract/component/> 2018年6月28日アクセス.
  7. 今岡 浩一, 井上 栄, 高橋 徹, 小島 保彦(1992)「シソ抽出エキスのIgE抗体産生抑制効果」アレルギー(41)(8),1036.
  8. 上田 浩史, 山崎 正利(1992-1993)「シソ抽出液による腫瘍壊死因子 (TNF-α) 産生抑制効果」炎症(13)(4),337-340.
  9. 小砂 憲一(1993-1994)「シソの抗アレルギー成分について」日本化粧品技術者会誌(27)(4),604-607.
  10. 御崎 善敬, 重田 征子, 河本 正次, 秋 庸弘, 馬場 堅治, 本山 純, 小埜 和久(2005)「シソの抗アレルギー効果の検討」日本化粧品技術者会誌(54)(3-4),330.
  11. 沢辺 善之, 他(1998)「生薬の皮膚関連酵素に対する阻害作用」YAKUGAKU ZASSHI(118)(9),423-429.
  12. 落合 康宣(2007)「シソエキスのチロシナーゼ生合成阻害」Fregrance Journal(35)(9),27-32.
  13. 日本メナード化粧品株式会社(2006)「セラミド合成促進剤」特開2006-111560.
  14. G Grubauer, et al(1989)「Transepidermal water loss:the signal for recovery of barrier structure and function.」The Journal of Lipid Research(30),323-333.
  15. Imokawa G, et al(1991)「Decreased level of ceramides in stratum corneum of atopic dermatitis: an etiologic factor in atopic dry skin?」J Invest Dermatol.(96)(4),523-526.
  16. Di Nardo A, et al(1998)「Ceramide and cholesterol composition of the skin of patients with atopic dermatitis.」Acta Derm Venereol.(78)(1),27-30.

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