サリチル酸メチルとは…成分効果と毒性を解説

抗炎症成分 収れん成分 冷感剤
サリチル酸メチル
[化粧品成分表示名称]
・サリチル酸メチル

[医薬部外品表示名称]
・サリチル酸メチル

サリチル酸とメタノール(メチルアルコール)とのエステルで、強いウィンターグリーン系(∗1)の香気および清涼感を有する油溶性の消炎剤です。

∗1 ウィンターグリーンの香りは、端的にいうとサロンパスなどに代表される湿布の香りです。

医薬品として湿布などの発布剤に広く使用されており、清涼感のある香り、消炎作用、鎮痛作用は想像しやすいと思います。

肌につけると独自の清涼感があり、鎮痛効果、消炎効果があるため、フケ、カユミなどを防止する目的で育毛化粧品などのヘアケア製品に使用されています。

また、消炎効果と独自の清涼感が実感力の向上につながるため、肌を引き締める収れん化粧品にも使用されます。

実際にどのような製品に配合されているかというと、海外の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

サリチル酸メチルの配合製品数と配合量の調査(1998-2000年)

サリチル酸メチルは医薬品成分であり、以下のような配合前例となっています。

粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流すもの 5.0g/100g
粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流さないもの 5.0g/100g
粘膜に使用されることがある化粧品 0.10g/100g

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サリチル酸メチルの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

サリチル酸メチルの現時点での安全性は、化粧品配合範囲内において、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどありませんが、皮膚刺激性は健常な皮膚または湿疹や接触性皮膚炎を有する皮膚にかかわらず皮膚刺激が起こる可能性があり、また眼刺激性は重度の眼刺激を起こすため、注意が必要な成分であると考えられます。

製品は他の清涼成分やアルコールの配合量を考慮して刺激が起きないよう処方されていると思われますが、刺激性は注意しておいたほうがよさそうです。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗2)やレポートを参照しています。

∗2 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Salicylic Acid, Butyloctyl Salicylate, Calcium Salicylate, 02-15 Alkyl Salicylate, Capryloyl Salicylic Acid, Hexyldodecyl Salicylate, Isocetyl Salicylate, Isodecyl Salicylate, Magnesium Salicylate, MEA-Salicylate, Ethylhexyl Salicylate, Potassium Salicylate, Methyl Salicylate, Myristyl Salicylate, Sodium Salicylate, TEA-Salicylate, and Tridecyl Salicylate」(文献1:2003)によると、

  • [ヒト試験] 健常な皮膚に8%サリチル酸メチルを48時間の閉塞パッチ適用した結果、刺激を生じなかった(Opdyke,1978)
  • [ヒト試験] 5人の健常な皮膚を有する被検者に12%~50%サリチル酸メチルを含む製品を適用したところ、すべての被検者が製品の適用部位に紅斑および痛みを報告した(Roberts et al.,1982)
  • [ヒト試験] 4人の健常な皮膚を有する被検者を用いた1%サリチル酸メチル水溶液の真皮浸透試験において紅斑判定を実施したところ、約10分以内の適用で目に見える紅斑反応が生じた(Collinset al.,1984)
  • [ヒト試験] 12人の健常な皮膚を有する被検者(男性6人、女性6人)に12.5%サリチル酸メチルを含む軟膏を塗布したところ、すべての被検者が塗布部位で燃焼性の刺激、スティンギング(刺すような刺激)、紅斑を報告し、1人を除くすべての被検者が適用後約7日間にわたって紅斑とかゆみを報告した(Wilmer et al.,1994)
  • [ヒト試験] 湿疹または接触性皮膚炎を有する20人の被検者に3.75%~67%サリチル酸メチルを含むオイルまたは軟膏を適用したところ、67%のオイルで8人が刺激を生じ、40%のオイルは2人に刺激が生じた。38%,15%および3.75%サリチル酸メチルを含むオイルおよび軟膏は刺激を生じなかった(Lee and Lam,1990)

と記載されています。

試験結果では、化粧品配合範囲である5%以内でも皮膚刺激の報告があるため、化粧品配合範囲内においても健常な皮膚および湿疹または皮膚炎を有する皮膚の両方で皮膚刺激が起こる可能性があると考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Salicylic Acid, Butyloctyl Salicylate, Calcium Salicylate, 02-15 Alkyl Salicylate, Capryloyl Salicylic Acid, Hexyldodecyl Salicylate, Isocetyl Salicylate, Isodecyl Salicylate, Magnesium Salicylate, MEA-Salicylate, Ethylhexyl Salicylate, Potassium Salicylate, Methyl Salicylate, Myristyl Salicylate, Sodium Salicylate, TEA-Salicylate, and Tridecyl Salicylate」(文献1:2003)によると、

  • [動物試験] モルモットの眼にサリチル酸メチルは重度の刺激を与えた(Opdyke,1978)

と記載されています。

試験結果はひとつで、エビデンスという点で弱いですが、眼刺激性は重度の眼刺激を引き起こすと考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Salicylic Acid, Butyloctyl Salicylate, Calcium Salicylate, 02-15 Alkyl Salicylate, Capryloyl Salicylic Acid, Hexyldodecyl Salicylate, Isocetyl Salicylate, Isodecyl Salicylate, Magnesium Salicylate, MEA-Salicylate, Ethylhexyl Salicylate, Potassium Salicylate, Methyl Salicylate, Myristyl Salicylate, Sodium Salicylate, TEA-Salicylate, and Tridecyl Salicylate」(文献1:2003)によると、

  • [ヒト試験] 27人の被検者に8%サリチル酸メチルを含むワセリンのMaximization皮膚感作試験を実施したところ、感作反応を生じなかった(Opdyke,1978)
  • [動物試験] 10匹のモルモットを用いてサリチル酸メチルの皮膚感作性を評価した。各モルモットの肩に0.01%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムと2.5%サリチル酸メチルを含む生理食塩水を6回皮内注射し、6~8日後に未希釈のサリチル酸メチルを注射部位に48時間閉塞パッチ適用し、10匹のうち4匹は対照として溶剤のみで適用した。12~14日後に10%サリチル酸メチルを含むアセトン/PEG400(70:30)を未処置部位に24時間閉塞チャレンジパッチ適用し、パッチ除去後に評価したところ、サリチル酸メチルは皮膚感作剤ではなかった(Kimber it al.,1991;Basketter and Scholes,1992)

と記載されています。

試験結果は共通して皮膚感作剤ではないと報告されているため、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
サリチル酸メチル

参考までに化粧品毒性判定事典によると、サリチル酸メチルは■(∗3)となっていますが、化粧品配合範囲内でも刺激が生じる報告が複数あるため、注意が必要な成分であると考えられます。

∗3 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

サリチル酸メチルは抗炎症成分、収れん成分、温冷感成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:抗炎症成分 収れん成分 温冷感成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2003)「Safety Assessment of Salicylic Acid, Butyloctyl Salicylate, Calcium Salicylate, 02-15 Alkyl Salicylate, Capryloyl Salicylic Acid, Hexyldodecyl Salicylate, Isocetyl Salicylate, Isodecyl Salicylate, Magnesium Salicylate, MEA-Salicylate, Ethylhexyl Salicylate, Potassium Salicylate, Methyl Salicylate, Myristyl Salicylate, Sodium Salicylate, TEA-Salicylate, and Tridecyl Salicylate」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/1091581803022S303> 2018年3月12日アクセス.

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