グリチルレチン酸ステアリルとは…成分効果と毒性を解説

抗炎症成分
グリチルレチン酸ステアリル
[化粧品成分表示名称]
・グリチルレチン酸ステアリル

[医薬部外品表示名称]
・グリチルレチン酸ステアリル

マメ科植物カンゾウの根または茎から抽出し精製したグリチルリチン酸をさらに酸で分解することで得られるグリチルレチン酸とステアリルアルコールをエステル結合して得られる白色~淡黄白色の結晶性粉末です。

グリチルレチン酸にステアリルアルコールをエステル結合させることで、油脂類に対する溶解性を向上させた成分で、クリームやオイル系の化粧品に抗酸化目的で配合されます。

水溶性のグリチルリチン酸の誘導体はグリチルリチン酸2K(グリチルリチン酸ジカリウム)で、こちらも化粧水など水溶性の化粧品に広く配合されています。

参考:グリチルリチン酸2kの成分効果と毒性を解説

グリチルレチン酸ステアリルの働きは、グリチルリチン酸2kの約2倍の強い抗炎症作用で、医薬部外品の有効成分となっており、グリチルレチン酸ステアリルが配合されている化粧品は医薬部外品の化粧品となります。

医薬部外品としてのグリチルレチン酸ステアリルの配合量は以下のようになっています。

グリチルレチン酸ステアリルの配合範囲

皮膚の消炎やかぶれ防止、ニキビの予防や悪化防止目的でクリームや乳液、オイル系製品などに使用されます。

実際の使用状況や配合濃度については、海外の2002~2003年の調査結果ですが、”Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Glycyrrhetinate」によると、

グリチルレチン酸ステアリルの配合製品数とアヒ号量の調査

となっており、かなり配合製品数が少ないといえますが、保湿化粧品に抗炎症剤として配合するケースが最も多いことがわかります。

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グリチルレチン酸ステアリルの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

グリチルレチン酸ステアリルの現時点での安全性は、皮膚刺激性や毒性はほとんどなく、わずかな眼刺激性が起こる可能性はあるものの、アレルギー(皮膚感作性)の報告もないので、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内海外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Glycyrrhetinate」(文献1:2007)によると、

  • [ヒト試験] 89名の被検者に0.5%または1.5%グリチルレチン酸ステアリルを含むオリーブオイルを適用し、24時間後に皮膚刺激能を評価したところ、いずれの被検者も皮膚刺激の兆候はなかった
  • [動物試験] ウサギの背中に100mgグリチルレチン酸溶液0.5mLを適用し、除去後または2日後に評価したところ、曝露部位に浮腫または紅斑の兆候はなく、グリチルレチン酸は一次刺激性を有していなかったと記載されています

と記載されています。

共通して皮膚刺激性なしなので、医薬部外品配合範囲内において皮膚刺激性や毒性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Glycyrrhetinate」(文献1:2007)によると、

  • [動物試験] 鶏の眼に6%グリチルレチン酸水溶液0.3mLを適用したところ、わずかに刺激性である

と記載されています。

データが少なく根拠としては弱いですが、わずかな目刺激性が起こる可能性があると考えられます。

アレルギー(皮膚感作性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Glycyrrhetinate」(文献1:2007)によると、

  • [ヒト試験] 15名のボランティア(男性6名、女性9名、22~41歳)に3%グリチルレチン酸を含む軟膏4c㎡の閉塞パッチを腕の皮膚に3日間適用し、7日間の休息の後同じ手順を繰り返してから処置部位を検査したところ、15名のすべての被検者が反応なしを示したため、軟膏(3%グリチルレチン酸)はヒトにおいて刺激または感作を生じない結論づけた
  • [ヒト試験] 108名の被検者(男性10名、女性98名)に0.3%グリチルレチン酸を含む保湿化粧品0.15gを閉塞パッチ下で上腕側面の2×2cmの領域に適用し、その後休息期間とチャレンジパッチを実施したところ、108名のいずれも反応がなかった
  • [ヒト試験] 112名の被検者に6%グリチルレチン酸を含む製剤0.2mLをガーゼ閉塞パッチ下で肩甲骨領域1×1cmに週に3回3週間にわたって合計9回適用し、2週間の休止後チャレンジパッチを未処置部位に適用したところ、いずれの被検者も紅斑または浮腫の兆候は示さなかったため、6%グリチルレチン酸は皮膚刺激またはアレルギー性接触感作の可能性を示さなかった
  • [ヒト試験] 56名の被検者(男性5名、女性51名、18~66歳)に0.6%グリチルレチン酸0.05g/c㎡を背中に24時間合計15回にわたって適用し、14日間の休息後2つのチャレンジパッチを未処置部位に48時間適用したところ、適用部位において有害反応は検出されなかった

と記載されています。

データも豊富で共通して皮膚感作性なしという結果なので、アレルギー(皮膚感作)が起こる可能性は低いと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
グリチルレチン酸ステアリル 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、グリチルレチン酸ステアリルは毒性なし(∗2)となっており、毒性に関しては心配する必要はありません。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

安全性についての捕捉

ネットで調査していると、

  • グリチルレチン酸ステアリルとステロイドホルモンが同じ構造をしているために、副作用としてステロイドと同じ免疫抑制作用がある
  • 体でホルモンがつくれなくなるため危険

という記事が複数見つかりましたが、化粧品に配合されるグリチルレチン酸ステアリルにはステロイドのような免疫抑制作用はありません。

∗∗∗

グリチルレチン酸ステアリルは抗炎症成分にカテゴライズされています。

それぞれの成分一覧は以下からお読みください。

参考:抗炎症成分一覧

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文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2007)「Final Report on the Safety Assessment of Glycyrrhetinate」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1080/10915810701351228> 2017年10月8日アクセス.

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