オリーブ葉エキスとは…成分効果と毒性を解説

抗アレルギー
オリーブ葉エキス
[化粧品成分表示名称]
・オリーブ葉エキス

[医薬部外品表示名称]
・オリーブ葉エキス

モクセイ科植物オリーブ(学名:Olea europaea 英名:olive)の葉からエタノールBG、またはこれらの混液で抽出して得られる抽出物植物エキスです。

オリーブ(olive)は、小アジア地域を原産とし、古くから地中海沿岸地方で栽培されており、現在においてもスペイン、ギリシャ、イタリアをはじめとする地中海沿岸地方を中心に栽培されています(文献1:2011;文献2:2016)

日本においては、安土桃山時代にオリーブ油が伝えられたことをきっかけに明治時代に各地で栽培が試みられ、1910年ごろにアメリカからの苗木が香川県小豆郡に属する小豆島で栽培に成功し、オリーブの実が食用や食用油の原料になることから現在では小豆島を中心に多くの地域で栽培されています(文献1:2011;文献3:2018)

オリーブ葉エキスは天然成分であることから、地域、時期、抽出方法によって成分組成に差異があると推察されますが、その成分組成は主に、

分類 成分名称
テルペノイド イリドイド オレウロペイン
フラボノイド フラボノール ルチン
フラボン ルテオリン

これらの成分で構成されていることが報告されています(文献2:2016;文献3:2018)

オリーブ葉の化粧品以外の主な用途としては、飲料分野においてオリーブ茶(オリーブリーフティー)として飲用されています(文献3:2018)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、メイクアップ化粧品、化粧下地製品、シート&マスク製品、洗顔料、洗顔石鹸、クレンジング製品、シャンプー製品、コンディショナー製品、ボディソープ製品など様々な製品に汎用されています。

ヒスタミン遊離抑制による抗アレルギー作用

ヒスタミン遊離抑制による抗アレルギー作用に関しては、まず前提知識として皮膚におけるアレルギーの種類およびⅠ型アレルギー性皮膚炎のメカニズムについて解説します。

皮膚におけるアレルギー反応は、

種類 名称 抗体 抗原 皮膚反応 考えられる主な疾患
Ⅰ型 即時型
アナフィラキシー型
IgE 化粧品、薬剤、洗剤、ダニ、カビ、ハウスダスト、金属、花粉、ほか 15-20分で最大の発赤と膨疹 アナフィラキシーショック、蕁麻疹、アレルギー性鼻炎、結膜炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、ほか
Ⅳ型 遅延型
細胞性免疫
感作T細胞 細菌、真菌、自己抗原 24-72時間で最大の紅斑と硬結 アレルギー性接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、ほか

主にこの2種類に分類されています(∗1)(文献4:2010;文献5:1968;文献6:1999)

∗1 アレルギーの分類としてはⅠ型-Ⅳ型まで4種類が存在し、Ⅰ型-Ⅲ型までの3種類が即時型に分類されていますが、皮膚に関連するものはⅠ型とⅣ型であることから、ここではⅠ型とⅣ型のみで構成しています。

Ⅰ型アレルギーは、即時型アレルギーまたはアナフィラキシー型とも呼ばれ、皮膚反応としては15-20分で最大に達する発赤・膨疹を特徴とする即時型皮膚反応を示しますが、このⅠ型アレルギー性炎症反応が起こるメカニズムは、以下のアレルギー性皮膚炎のメカニズム図をみてもらうとわかるように、

Ⅰ型アレルギー性皮膚炎のメカニズム

まず、アレルギーを起こす原因物質(抗原)が皮膚や粘膜から体内に侵入すると、抗原提示細胞(ランゲルハンス細胞や真皮樹状細胞)がその抗原の一部を自らの細胞表面に提示し、次にヘルパーT細胞の一種であるTh2細胞が抗原提示細胞の提示した抗原情報を認識し、抗原と結合して抗炎症性サイトカインの一種であるIL-4(Interleukin-4)を分泌します(文献6:1999)

次に、Th2細胞から分泌されたIL-4によりB細胞が刺激を受けIgE抗体を産生し、このIgE抗体が肥満細胞の表面にある受容体に結合することによりIgE抗体と抗原が反応し、肥満細胞に貯蔵されていたケミカルメディエーターであるヒスタミンが放出(脱顆粒)され、同時に細胞膜からはアラキドン酸が遊離し、ケミカルメディエーターであるロイコトリエンやプロスタグランジンに代謝されます(文献6:1999)

そして、放出されたヒスタミンはヒアルロニダーゼを活性化し、アラキドン酸から代謝されたロイコトリエンやプロスタグランジンとともに血管透過性を亢進させて浮腫を起こし、好酸球など炎症細胞の遊走を誘導し、炎症を引き起こします(文献6:1999;文献7:2009)

このような背景から、アレルギー性皮膚炎や肌荒れなどバリア機能が低下している場合に、アレルゲンの曝露からⅠ型炎症までのプロセスにおけるいずれかのポイントにアプローチすることは、アレルギー性炎症の抑制において重要であると考えられています。

2002年に一丸ファルコスによって報告されたオリーブ葉エキスのヒスタミンおよび肌荒れに対する影響検証によると、

in vitro試験において、ラット肥満細胞浮遊液1.2mLに固形分濃度0.1%オリーブ葉エキス水溶液0.2mLとヒスタミン放出促進剤(脱顆粒促進剤)であるコンパウンド48/80(終濃度1μg/mL)を加えて培養し、反応液からヒスタミンを抽出・精製した。

また、比較対照としてオリーブ葉エキスの代わりに抗アレルギー剤であるグリチルリチン酸ジカリウムまたはクロモリンを同濃度で添加し、それぞれのヒスタミン遊離抑制率を算出したところ、以下のグラフのように、

オリーブ葉エキスのヒスタミン遊離抑制作用

0.1%オリーブ葉エキスは、グリチルリチン酸ジカリウムと比較してより高いヒスタミン遊離抑制作用を示した。

次に、湿疹、アトピー性皮膚炎、肌荒れなどの皮膚疾患で悩む20人の被検者(20-38歳)のうち10人に5%オリーブ葉エキス配合乳液を、別の10人に対照としてオリーブ葉エキス未配合乳液を1日2回(朝晩)3ヶ月にわたって顔面に塗布してもらった。

また、頭皮や髪の生え際に同様の皮膚疾患がみられる20人の被検者(20-40歳)のうち10人に5%オリーブ葉エキス配合ヘアトニックを、別の10人に対照としてオリーブ葉エキス未配合ヘアトニックを毎日洗髪後の頭皮に3ヶ月にわたって塗布してもらった。

それぞれ3ヶ月後に「有効:湿疹、アトピー性皮膚炎、肌荒れなど皮膚疾患が改善された」「やや有効:湿疹、アトピー性皮膚炎、肌荒れなど皮膚疾患がやや改善された」「無効:使用前と変化なし」の3段階で評価したところ、以下の表のように、

試料 被検者数 有効 やや有効 無効
オリーブ葉エキス配合乳液 10 4 5 1
乳液のみ(対照) 10 0 1 9
オリーブ葉エキス配合ヘアトニック 10 4 5 1
ヘアトニックのみ(対照) 10 0 2 8

5%オリーブ葉エキス配合乳液またはヘアトニックの塗布により、湿疹、アトピー性皮膚炎、肌荒れなどの皮膚・頭皮疾患に対して良好な効果が確認された。

このような試験結果が明らかにされており(文献8:2002)、オリーブ葉エキスにヒスタミン遊離抑制による抗アレルギー作用が認められています。

オリーブ葉エキスの安全性(刺激性・アレルギー)について

オリーブ葉エキスの現時点での安全性は、

  • 20年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

一丸ファルコスの安全性試験データ(文献8:2002)によると、

  • [動物試験] 3匹のモルモットの剪毛した背部に固形分濃度約2%オリーブ葉エキス溶液0.03mLを塗布し、塗布24,48および72時間後に紅斑および浮腫を指標として一次刺激性を評価したところ、いずれのモルモットも紅斑および浮腫を認めず、この試験物質は皮膚一次刺激性に関して問題がないものと判断された
  • [動物試験] 3匹のモルモットの剪毛した側腹部に固形分濃度約2%オリーブ葉エキス溶液0.5mLを1日1回週5回、2週にわたって塗布し、各塗布日および最終塗布日の翌日に紅斑および浮腫を指標として皮膚刺激性を評価したところ、いずれのモルモットも2週間にわたって紅斑および浮腫を認めず、この試験物質は皮膚累積刺激性に関して問題がないものと判断された

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激なしと報告されているため、一般に皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

皮膚感作性(アレルギー性)について

20年以上の使用実績がある中で重大な皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

∗∗∗

オリーブ葉エキスは抗アレルギー成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:抗アレルギー成分

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参考文献:

  1. 鈴木 洋(2011)「オリーブ」カラー版健康食品・サプリメントの事典,28.
  2. 林 真一郎(2016)「オリーブ」メディカルハーブの事典 改定新版,34-35.
  3. ジャパンハーブソサエティー(2018)「オリーブ」ハーブのすべてがわかる事典,46.
  4. 厚生労働省(2010)「アレルギー総論」リウマチ・アレルギー相談員養成研修会テキスト5-14.
  5. R.R.A. Coombs, et al(1968)「Classification of Allergic Reactions Responsible for Clinical Hypersensitivity and Disease」Clinical Aspects of Immunology Second Edition,575-596.
  6. 西部 幸修, 他(1999)「植物抽出物の抗アレルギー作用」Fragrance Journal臨時増刊(16),109-115.
  7. 椛島 健治(2009)「皮膚のスーパー免疫」美容皮膚科学 改定2版,46-51.
  8. 一丸ファルコス株式会社(2002)「植物抽出物含有抗アレルギー剤」特開2002-316937.

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