オウレン根エキスとは…成分効果と毒性を解説

抗アレルギー 抗菌 バリア改善
オウレン根エキス
[化粧品成分表示名]
・オウレン根エキス

[医薬部外品表示名]
・オウレンエキス

キンポウゲ科植物オウレン(学名:Coptis japonica)の根からエタノールBG、またはこれらの混液で抽出して得られる抽出物植物エキスです。

オウレン(黄連)は、日本の本州以南に自生し、江戸時代に日本の野生種の黄連が中国などに輸出されたとの記録が残っており、中国産としては四川省に産する「川連」とも呼ばれる黄連が有名ですが、現在の日本においては福井県で栽培されている「越前黄連」がわずかに栽培されているのみ(∗1)とされています(文献1:2011)

∗1 鳥取県でも智頭町の主産業として「因州黄連」という品種が栽培されていましたが、森林内のシカの増加にともなう食害の深刻化によって1990年から急速に衰退し、現在ではほとんど生産されていない状況です(文献2:2015)。

オウレン根エキスは天然成分であることから、国・地域、時期、抽出方法によって成分組成に差異があると推察されますが、その成分組成は主に、

分類 成分名称
アルカロイド ベルベリン(主要成分)、パルマチン、コプチシン など

これらの成分で構成されていることが報告されており(文献1:2011;文献3:2013;文献4:2011)、主要成分であるベルベリン(berberine)には抗菌作用、抗炎症作用などが知られています(文献5:1953;文献6:1981)

オウレンの根(生薬名:黄連)の化粧品以外の主な用途としては、漢方分野において止瀉作用があることから炎症性の下痢に、健胃・消炎作用があることから胃腸炎・胃潰瘍などの胃腸系の炎症や胃部の炎症に由来する嘔吐、口内炎に、治血熱作用(∗2)があることから瘀血性(∗3)の炎症性疾患(痔、結膜炎、鼻出血、中耳炎など)に用いられています(文献7:2016)

∗2 血熱とは、瘀血(おけつ)の中でも炎症が強く、熱が血分に入った状態のことをいいます。通常は血便や吐血などの出血がともないます。

∗3 瘀血(おけつ)とは、血行障害もしくは婦人科系の代謝不全により体内に非生理的血液が残り、それによって起きる様々な症状(月経不順、冷え、のぼせ、こり、痛みなど)や疾病を指します(文献8:1982;文献9:2016)。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア製品、ボディ&ハンドケア製品、シート&マスク製品、洗顔料、クレンジング製品、シャンプー製品、コンディショナー製品、メイクアップ製品、入浴剤などに使用されています。

ヒスタミン遊離抑制による抗アレルギー作用

ヒスタミン遊離抑制による抗アレルギー作用に関しては、まず前提知識として皮膚におけるアレルギーの種類およびⅠ型アレルギー性皮膚炎のメカニズムについて解説します。

皮膚におけるアレルギー反応は、

種類 名称 抗体 抗原 皮膚反応 考えられる主な疾患
Ⅰ型 即時型
アナフィラキシー型
IgE 化粧品、薬剤、洗剤、ダニ、カビ、ハウスダスト、金属、花粉、ほか 15-20分で最大の発赤と膨疹 アナフィラキシーショック、蕁麻疹、アレルギー性鼻炎、結膜炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、ほか
Ⅳ型 遅延型
細胞性免疫
感作T細胞 細菌、真菌、自己抗原 24-72時間で最大の紅斑と硬結 アレルギー性接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、ほか

主にこの2種類に分類されています(∗4)(文献10:2010;文献11:1968;文献12:1999)

∗4 アレルギーの分類としてはⅠ型-Ⅳ型まで4種類が存在し、Ⅰ型-Ⅲ型までの3種類が即時型に分類されていますが、皮膚に関連するものはⅠ型とⅣ型であることから、ここではⅠ型とⅣ型のみで構成しています。

Ⅰ型アレルギーは、即時型アレルギーまたはアナフィラキシー型とも呼ばれ、皮膚反応としては15-20分で最大に達する発赤・膨疹を特徴とする即時型皮膚反応を示しますが、このⅠ型アレルギー性炎症反応が起こるメカニズムは、以下のアレルギー性皮膚炎のメカニズム図をみてもらうとわかるように、

Ⅰ型アレルギー性皮膚炎のメカニズム

まず、アレルギーを起こす原因物質(抗原)が皮膚や粘膜から体内に侵入すると、抗原提示細胞(ランゲルハンス細胞や真皮樹状細胞)がその抗原の一部を自らの細胞表面に提示し、次にヘルパーT細胞の一種であるTh2細胞が抗原提示細胞の提示した抗原情報を認識し、抗原と結合して抗炎症性サイトカインの一種であるIL-4(Interleukin-4)を分泌します(文献12:1999)

次に、Th2細胞から分泌されたIL-4によりB細胞が刺激を受けIgE抗体を産生し、このIgE抗体が肥満細胞の表面にある受容体に結合することによりIgE抗体と抗原が反応し、肥満細胞に貯蔵されていたケミカルメディエーターであるヒスタミンが放出(脱顆粒)され、同時に細胞膜からはアラキドン酸が遊離し、ケミカルメディエーターであるロイコトリエンやプロスタグランジンに代謝されます(文献12:1999)

そして、放出されたヒスタミンはヒアルロニダーゼを活性化し、アラキドン酸から代謝されたロイコトリエンやプロスタグランジンとともに血管透過性を亢進させて浮腫を起こし、好酸球など炎症細胞の遊走を誘導し、炎症を引き起こします(文献12:1999;文献13:2009)

このような背景から、アレルギー性皮膚炎や肌荒れなどバリア機能が低下している場合に、ヒスタミン遊離およびアラキドン酸の代謝活性を抑制することは、アレルギー性炎症の抑制において重要であると考えられています。

2002年に一丸ファルコスによって報告されたオウレン根エキスのヒスタミンおよびヒト皮膚への影響検証によると、

in vitro試験においてラット由来肥満細胞浮遊液1,2mLに、0.1%オウレン根エキス水溶液0.2mLを、また比較対照として0.1%グリチルリチン酸2K水溶液を添加し、さらにヒスタミン放出促進剤であるcompound48/80溶液を最終濃度1μg/mLとなるように添加した後に培養・処理し、ヒスタミン遊離抑制率を算出したところ、以下のグラフのように、

オウレン根エキスのヒスタミン遊離抑制作用

オウレン根エキスは、グリチルリチン酸2Kと比較して非常に優れたヒスタミン遊離抑制作用を有することが確認された。

次に、湿疹、肌荒れやアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患で悩む10名の被検者(20-38歳)に試料を1日2回(朝夕)3ヶ月にわたって塗布してもらい、3ヶ月後に「有効:湿疹、肌荒れやアトピー性皮膚炎が改善された」「やや有効:湿疹、肌荒れやアトピー性皮膚炎がやや改善された」「無効:使用前と変化なし」の3段階で評価したところ、以下の表のように、

試料 被検者数 有効 やや有効 無効
5%オウレン根エキス配合乳液 10 5 5 0
乳液のみ(対照) 10 0 1 9
試料 被検者数 有効 やや有効 無効
5%オウレン根エキス配合ヘアトニック 10 4 4 2
ヘアトニックのみ(対照) 10 0 2 8

オウレン根エキス配合乳液の使用は、湿疹、肌荒れやアトピー性皮膚炎などの皮膚・頭皮疾患に対して良好な効果が確認された。

このような検証結果が報告されており(文献14:2002)、オウレン根エキスにヒスタミン遊離抑制による抗アレルギー作用が認められています。

アクネ菌増殖抑制による抗菌作用

アクネ菌増殖抑制による抗菌作用に関しては、まず前提知識として皮膚常在菌およびアクネ菌について解説します。

皮膚表面および皮脂腺開口部には多数の微生物が存在しており、その中でも健康なヒトの皮膚に高頻度で検出される病原菌をもたない微生物を皮膚常在菌と呼んでいます(文献15:1986;文献16:1994)

健常な皮膚表面およびの主な皮膚常在菌の種類としては、20-69歳までの健常女性84名の頬より菌を採取し分離同定したところ、以下の表のように(∗5)

∗5 好気性とは、酸素を利用した代謝機構を備えていること、嫌気性とは増殖に酸素を必要としない性質のことです。

分類 名称 性質 検出率(%)
グラム陽性桿菌 アクネ菌(cutibacterium acnes) 嫌気性 100.0
グラム陽性球菌 表皮ブドウ球菌(staphylococcus epidermidis) 好気性 79.1
グラム陽性細菌 ミクロコッカス属(micrococcus) 好気性 41.2
グラム陽性球菌 黄色ブドウ球菌(staphylococcus aureus) 好気性 8.7
グラム陽性細菌 枯草菌(bacillus subtilis) 好気性 6.1

すべての人からアクネ菌が検出され、次いで表皮ブドウ球菌が79.1%の人から検出されたことから、これらが主要な皮膚常在菌であると考えられます(文献16:1994)

皮膚常在菌の平均的な菌数については、被検者の頬1c㎡あたりの平均菌数を検討したところ、以下のグラフのように、

健常皮膚における皮膚常在菌の平均数

最も多く検出されたのはアクネ菌、次いで表皮ブドウ球菌であり(文献16:1994)、この試験結果は従来の試験データ(文献15:1986)とも同様であることから、一般に健常な皮膚状態かつこれらの皮膚常在菌が存在する場合はこれらの皮膚常在菌が大部分を占めていると考えられます。

皮膚常在菌は、皮膚上の皮表脂質やアミノ酸などを生育のための栄養源とし、1000種もの菌がお互いに競合と調和関係を構築しながら安定した叢(フローラ)を形成することで、通常は病原性を示すことなく、むしろ外部からの病原菌の侵入を防ぐ一種のバリア機能を発揮していると考えられています(文献15:1986;文献17:2018)

アクネ菌は嫌気性菌であり、酸素のある環境ではほとんど増殖できないため、毛穴や皮脂腺に存在しており、皮脂分解酵素であるリパーゼ(lipase)を産生・分泌し、皮脂の構成成分であるトリグリセリドを脂肪酸とグリセリンに分解することによって皮膚を弱酸性に保ち、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)など病原性の強い細菌の増殖を抑制する役割を担っています(文献18:2011)

一方で、以下のニキビの種類・重症度図をみてもらうとわかりやすいと思いますが、

ニキビの種類・重症度

様々な要因から皮脂の分泌量が過剰に増えることにより、毛穴開口部の角層が硬くなって毛穴を塞ぐことや角質細胞と脂質の混合物が毛穴に詰まり狭められて皮脂が溜まることなど、酸素が少なく栄養が多いアクネ菌にとって理想的な環境となった場合に、アクネ菌が過剰に増殖することが知られています。

アクネ菌が増殖するメカニズムとしては、アクネ菌がリパーゼを分泌しトリグリセリドを分解することによって生じる脂肪酸の一種であるオレイン酸が毛穴開口部の角層を硬くし、アクネ菌の生育を促進することから(文献19:1970)、アクネ菌がリパーゼを分泌することでオレイン酸を産生し、閉塞環境を強化しながら増殖していくというものになります(文献16:1994)

アクネ菌は、過剰に増殖しなければニキビの原因菌になりませんが、皮脂の分泌量が増えて何かの理由で毛穴が塞がり過剰に増殖すると、増殖したアクネ菌の数に比例して分泌されるリパーゼによって産生された過剰な脂肪酸や増殖した菌体の成分が毛穴に炎症を引き起こすことから(文献20:1970;文献21:1980;文献22:1972)、ニキビの発生から悪化の要因であると考えられています。

このような背景から、皮膚常在菌がバランスした健常な皮膚状態であればアクネ菌の存在は問題ではありませんが、毛穴開口部の閉塞などによりアクネ菌が増殖し皮膚常在菌バランスが崩れた場合は、増殖したアクネ菌を抑制するアプローチが皮膚常在菌バランスの改善、ひいては皮膚状態の改善に重要であると考えられます。

2010年にコーセーによって報告されたオウレン根エキスのアクネ菌およびヒト皮膚への影響検証によると、

in vitro試験において10%オウレン根エキス水溶液0.05mLを含浸させた直径8mmの円型ろ紙をそれぞれアクネ菌、表皮ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌を接種した培地に置き、アクネ菌を含む培地は嫌気性容器入れ、恒温滅菌環境にて一週間培養したあと、円型ろ紙の周囲に発生した菌未生育帯(発育抑制帯、透明ゾーン)の大きさを測定し、以下の3段階でオウレン根エキスの菌に対する増殖抑制効果を評価したところ、以下の表のように、

評価は「◎:生育抑制ゾーン15mmより大きい」「○:生育抑制ゾーン8mmより大きく15mm以下」「△:生育抑制ゾーン8mm以下」の3段階とした。

試料 評価
アクネ菌 黄色ブドウ球菌 表皮ブドウ球菌
オウレン根エキス

オウレン根エキスは、アクネ菌に対しては優れた抗菌効果を示したのに対して、好気性菌である黄色ブドウ球菌および表皮ブドウ球菌に対しては抗菌効果が低い結果を示し、この結果は皮膚常在菌の正常化効果に有効であると考えられた。

次に、洗顔2時間後の被検者の顔面2cm四方に0.5%オウレン根エキス配合化粧水と未配合化粧水をぞれぞれ1mL塗布してもらい、塗布直後および塗布1時間後に塗布部位中1cm四方から皮膚常在菌を採取・集菌したあと、アクネ菌およびブドウ球菌の変化を算出した。

その結果、0.5%オウレン根エキス配合化粧水の塗布部位は、アクネ菌の増殖を有意に抑制し、かつブドウ球菌には影響を与えず、皮膚常在菌の正常化効果を示した。

このような検証結果が報告されており(文献23:2010)、オウレン根エキスにアクネ菌増殖抑制による抗菌作用が認められています。

クローディン-1およびオクルディン発現促進によるバリア改善作用

クローディン-1およびオクルディン発現促進によるバリア改善作用に関しては、まず前提知識としてタイトジャンクション、クローディン-1およびオクルディンについて解説します。

以下の表皮角質層-顆粒層の構造図をみてもらうとわかりやすいと思いますが、

表皮顆粒層の構造図

角質層は、角質細胞の間を細胞間脂質で満たすことで角質細胞同士を接着しバリア機能を発揮しますが、角質層直下に存在する3層で構成された顆粒層(stratum granulosum:SG)(∗6)においては、2層目(SG2)において隣接する細胞同士の隙間を密着結合するタイトジャンクション(tight junction)という細胞間結合が二次バリア機能を形成することで、外界からの異物の生体内侵入あるいは細胞間隙からの水分子やイオンの漏れを防ぐ障壁としての役割を果たしています(文献24:2002;文献25:2011)

∗6 顆粒層(stratum granulosum:SG)は3層で構成されており、表面からそれぞれSG1,SG2,SG3細胞として解説されます。

タイトジャンクションは、クローディン(claudin)、オクルディン(occludin)およびZO-1などで構成されていますが(文献26:1983;文献27:1993;文献28:1998)、これらのタイトジャンクション構成成分は加齢によって減少することが知られており、またアトピー性皮膚炎を有する場合は角層および顆粒層のバリア機能の低下からハウスダストなどに対する免疫感受性が高まることが報告されており(文献29:2018)、その結果としてアレルギー反応を起こしやすくなり、症状の悪化を招きやすくなります。

このような背景から、加齢やアトピー性皮膚炎を有する場合など顆粒層のバリア機能が低下している場合は、クローディン-1やオクルディンの発現を高めることでバリア機能を回復させるアプローチは重要であると考えられます。

2007年にポーラ化成工業によって報告されたオウレン根エキスのクローディン-1、オクルディンおよびヒト皮膚への影響検証によると、

in vitro試験において、正常ヒト表皮細胞のクローディン-1およびオクルディンを減少させた後にタイトジャンクション構成成分の発現を促進する植物エキスをスクリーニングしたところ、オウレン根エキスの添加により正常ヒト表皮細胞のクローディン-1およびオクルディンの発現が促進された。

次に、TER(経上皮電気抵抗)を指標としてオウレン根エキスのタイトジャンクションバリア機能に対する効果を評価したところ、以下のグラフのように、

オウレンエキス添加によるタイトジャンクションバリア機能への影響

オウレン根エキスの添加により細胞間バリア機能の向上を確認した。

次に、バリア機能を破壊したヒト皮膚にオウレン根エキス(濃度不明)を6日間にわたって塗布し、を経表皮水分蒸散量(Transepidermal Water Loss:TEWL)を測定したところ、以下のグラフのように、

ヒト皮膚における24時間SDSパッチ後のオウレンエキスによるTEWL回復

オウレン根エキスの塗布によりバリア機能破壊後の経表皮水分蒸散量は有意に促進された。

これらの結果から、ヒト皮膚においてタイトジャンクションが水分バリア機能を担っていること、オウレン根エキスがタイトジャンクションのバリア機能回復に効果を発揮することが確認された。

このような検証結果が報告されており(文献30:2007)、オウレン根エキスにクローディン-1およびオクルディン発現促進によるバリア改善作用が認められています。

オウレン根エキスの安全性(刺激性・アレルギー)について

オウレン根エキスの現時点での安全性は、

  • 医療上汎用性があり有効性および安全性の基準を満たした成分が収載される日本薬局方に収載
  • 外原規2021規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2021に収載
  • 30年以上の使用実績
  • 皮膚一次刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚累積刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

一丸ファルコスの安全性データ(文献14:2002)によると、

  • [動物試験] 3匹のモルモットの剪毛した背部皮膚に固形分濃度として2%に調製したオウレン根エキス0.03mLを塗布し、塗布24,48および72時間後に一次刺激性を評価したところ、いずれのモルモットにおいても紅斑および浮腫などの皮膚刺激を認めず、陰性と判定された
  • [動物試験] 3匹のモルモットの剪毛した側腹部皮膚に固形分濃度として2%に調製したオウレン根エキス0.5mLを1日1回週5回2週にわたって塗布し、各塗布日および最終塗布日の翌日に一次刺激性の評価基準に基づいて紅斑および浮腫を指標として評価したところ、いずれのモルモットにおいても紅斑および浮腫などの皮膚刺激を認めず、陰性と判定された

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激なしと報告されているため、一般に皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

皮膚感作性(アレルギー性)について

日本薬局方および医薬部外品原料規格2021に収載されており、30年以上の使用実績がある中で重大な皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

∗∗∗

オウレン根エキスは抗アレルギー成分、抗菌成分、バリア改善成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:抗アレルギー成分 抗菌成分 バリア機能修復成分

∗∗∗

参考文献:

  1. 鈴木 洋(2011)「黄連(おうれん)」カラー版 漢方のくすりの事典 第2版,46-47.
  2. “鳥取県・とりネット”(2015)「鳥取県智頭町の薬草「黄連」関係資料調査について」, <https://www.pref.tottori.lg.jp/247067.htm> 2020年12月7日アクセス.
  3. 御影 雅幸(2013)「オウレン」伝統医薬学・生薬学,198-199.
  4. 竹田 忠紘, 他(2011)「オウレン」天然医薬資源学 第5版,198-199.
  5. 内炭 精一(1953)「ベルベリン」日本東洋醫學會誌(4)(3),60-69.
  6. 難波 恒雄, 他(1981)「抗炎症剤に関する研究(第2報)黄連の抗炎症活性成分」YAKUGAKU ZASSHI(115)(8),618-625.
  7. 根本 幸夫(2016)「黄連(オウレン)」漢方294処方生薬解説 その基礎から運用まで,44-46.
  8. 高木 敬次郎, 他(1982)「漢方の基礎理論」和漢薬物学,39-41.
  9. 根本 幸夫(2016)「気血水論」漢方294処方生薬解説 その基礎から運用まで,258-262.
  10. 厚生労働省(2010)「アレルギー総論」リウマチ・アレルギー相談員養成研修会テキスト5-14.
  11. R.R.A. Coombs, et al(1968)「Classification of Allergic Reactions Responsible for Clinical Hypersensitivity and Disease」Clinical Aspects of Immunology Second Edition,575-596.
  12. 西部 幸修, 他(1999)「植物抽出物の抗アレルギー作用」Fragrance Journal臨時増刊(16),109-115.
  13. 椛島 健治(2009)「皮膚のスーパー免疫」美容皮膚科学 改定2版,46-51.
  14. 一丸ファルコス株式会社(2002)「植物抽出物含有抗アレルギー剤」特開2002-316937.
  15. 桑山 三恵子, 他(1986)「健常女性の皮膚常在菌叢と皮膚の性状」日本化粧品技術者会誌(20)(3),167-179.
  16. 末次 一博, 他(1994)「皮膚常在菌の皮膚状態に与える影響」日本化粧品技術者会誌(28)(1),44-56.
  17. 岡部 美代治(2018)「皮膚常在菌の化粧品への応用と今後の展望」Fragrance Journal(46)(12),17-20.
  18. E.A. Grice, et al(2011)「The skin microbiome」Nature Reviews Microbiology(9),244-253.
  19. S.M. Puhvel, et al(1970)「Effect of Fatty Acids on the Growth of Corynebacterium Acnes in Vitro」Journal of Investigative Dermatology(54)(1),48-52.
  20. S.M. Puhvel, et al(1970)「Effect of Fatty Acids on the Growth of Corynebacterium Acnes in Vitro」Journal of Investigative Dermatology(54)(1),48-52.
  21. G.F. Webster, et al(1980)「Characterization of serum-independent polymorphonuclear leukocyte chemotactic factors produced byPropionibacterium acnes」Inflammation(4),261-269.
  22. S.M. Puhvel, et al(1972)「The Production of Hyaluronidase (Hyaluronate Lyase) by Corynebacterium Acnes」Journal of Investigative Dermatology(58)(2),66-70.
  23. 株式会社コーセー(2010)「皮膚常在菌正常化剤、皮膚常在菌正常化方法及びそれを用いる皮膚外用剤又は化粧料、並びにそれらの製造方法」特開2010-202604.
  24. M. Furuse, et al(2002)「Claudin-based tight junctions are crucial for the mammalian epidermal barrier:a lesson from claudin-1–deficient mice」Jpurnal of Cell Biology(156)(6),1099–1111.
  25. 久保 亮治(2011)「皮膚バリアとランゲルハンス細胞の動態」日本臨床免疫学会会誌(34)(2),76-84.
  26. B.R. Stevenson, et al(1986)「Identification of ZO-1: a high molecular weight polypeptide associated with the tight junction (zonula occludens) in a variety of epithelia」Journal of Cell Biology(103)(3),755–766.
  27. M. Furuse, et al(1993)「Occludin: a novel integral membrane protein localizing at tight junctions」Journal of Cell Biology(123)(6),1777–1788.
  28. M. Furuse, et al(1998)「Claudin-1 and -2: Novel Integral Membrane Proteins Localizing at Tight Junctions with No Sequence Similarity to Occludin」Journal of Cell Biology(141)(7),1539–1550.
  29. 橘 敬祐・近藤 昌夫(2018)「皮膚バリアの分子基盤と皮膚疾患の関連性、および臨床開発に向けた薬事戦略」Drug Delivery System(33)(4),268-272.
  30. 倉沢 真澄(2007)「タイトジャンクションの皮膚水分バリア機能とその化粧品への応用」Fragrance Journal(35)(1),81-83.

TOPへ