ウンシュウミカン果皮エキスとは…成分効果と毒性を解説

抗炎症成分 血行促進成分 保湿 バリア改善
ウンシュウミカン果皮エキス
[化粧品成分表示名称]
・ウンシュウミカン果皮エキス

[医薬部外品表示名称]
・チンピエキス

ミカン科植物ウンシュウミカン(学名:Citrus Unshiu)の果皮からエタノールBG(1,3-ブチレングリコール)、またはこれらの混合で抽出して得られるエキスです。

ウンシュウミカン果皮エキスの成分組成は、天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

  • 精油:シネオール
  • フラボノイド類:ヘスペリジン

などで構成されています(文献2:2006)

ウンシュウミカンは日本原産で、明治以降に九州から日本各地に広まり、現在は愛媛・和歌山・静岡・佐賀・熊本の各県で主に栽培されている日本最も有名なミカンです。

医薬分野では、権威作用、蠕動促進作用、中枢抑制、鎮静作用、抗炎症作用などが知られています(文献3:2011)

漢方の分野では、理気、健脾、化痰の効能があり、消化不良による腹満感や嘔気、痰が多くて胸が苦しいときなどに用います(文献3:2011)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、肌荒れやくすみを防止するスキンケア化粧品をはじめ、ボディ&ハンドケア製品、日焼け止め製品、パック&マスク製品、洗顔料などに使用されます(文献2:2006;文献4:2006)

セラミド合成促進による保湿・バリア改善作用

セラミド合成促進による保湿・バリア改善作用に関しては、まず前提知識としてセラミドについて解説します。

以下の角質層の構造および細胞間脂質におけるラメラ構造図をみてもらうとわかりやすいと思うのですが、

角質層の構造

細胞間脂質におけるラメラ構造の仕組み

角質層のバリア機能は、生体内の水分蒸散を防ぎ、外的刺激から皮膚を防御する重要な機能であり、バリア機能には角質と角質の隙間を充たして角質層を安定させる細胞間脂質が重要な役割を果たしています。

細胞間脂質は、主にセラミド、コレステロール、遊離脂肪酸などで構成され、これらの脂質が角質細胞間に層状のラメラ構造を形成することによりバリア機能を有すると考えられています。

セラミドは、細胞間脂質の50%以上を占める主要成分であり、皮膚の水分保持能およびバリア機能に重要な役割を果たしており、バリア機能が低下している皮膚では角質層中のセラミド量が低下していること(文献5:1989)、またアトピー性皮膚炎患者では角質層中のコレステロール量の減少は認められないがセラミド量は有意に低下していることが報告されています(文献6:1991;文献7:1998)

またヒト皮膚には7系統のセラミドが存在することが確認されており、全種類のセラミドが角質層に存在する比率で補われることが理想的ですが、セラミドを適正な比率で補充することは技術的に困難であるため、生体内におけるセラミド合成を促進することが重要であると考えられています。

2006年に日本メナード化粧品によって公開された技術情報によると、

生体内におけるセラミド合成を促進する成分・物質を検討したところ、コメクズアンズスイカズラユキノシタ、テンチャ、ラフマ、サンザシイザヨイバラ、エゾウコギ、ナツメシソオウレンサイシン、コガネバナ、キハダクワボタンシャクヤク、チンピ、ムクロジチョウジユリダイズシロキクラゲの抽出物によりセラミド合成が促進されることを見出した。

in vitro試験において、マウスケラチノサイト由来細胞を培養した培地を用いて、試料未添加のセラミド合成促進率を100とした場合の試料添加時のセラミド合成促進量を計測したところ、以下の表のように、

試料 抽出方法 10μg/mLあたりのセラミド合成促進率(%)
コメ 熱水 110
エタノール 115
クズ 熱水 133
エタノール 145
アンズ 50%BG水溶液 123
エタノール 137
スイカズラ 熱水 116
エタノール 122
ユキノシタ 熱水 121
テンチャ エタノール 115
ラフマ エタノール 114
サンザシ 50%BG水溶液 130
イザヨイバラ 熱水 112
エタノール 115
エゾウコギ 熱水 129
ナツメ 熱水 162
エタノール 152
シソ エタノール 187
オウレン 熱水 150
サイシン 熱水 145
エタノール 165
コガネバナ 50%BG水溶液 118
熱水 121
キハダ 熱水 178
エタノール 195
クワ 熱水 129
エタノール 145
ボタン 熱水 116
50%BG水溶液 126
シャクヤク 熱水 112
チンピ 熱水 111
エタノール 117
ムクロジ エタノール 115
チョウジ 熱水 114
ユリ 50%BG水溶液 115
ダイズ エタノール 120
熱水 129
シロキクラゲ 熱水 125

チンピ抽出物は、無添加と比較してセラミド合成促進効果を示した。

このような検証結果が明らかにされており(文献4:2006)、ウンシュウミカン果皮エキスにセラミド合成促進による保湿・バリア改善作用が認められています。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2016年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

ウンシュウミカン果皮エキスの配合製品数と配合量の調査結果(2016年)

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ウンシュウミカン果皮エキスの安全性(刺激性・アレルギー)について

ウンシュウミカン果皮エキスの現時点での安全性は、外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載されており、また10年以上の使用実績があり、皮膚刺激性はほとんどなく、眼刺激性はデータ不足のため詳細不明ですが、皮膚感作性(アレルギー性)の報告もないため、安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Citrus Peel-Derived Ingredients as Used in Cosmetics」(文献1:2016)によると、

  • [ヒト試験] 10人の被検者に0.5%ウンシュウミカン果皮エキスを含む製剤を24時間単一パッチ適用したところ、非刺激性であった(Laboratoire Dermascan,2002a)
  • [ヒト試験] 50人の被検者に0.5%ウンシュウミカン果皮エキスを誘導期間およびチャレンジ期間に閉塞パッチ適用し、パッチ除去後に皮膚反応を評価(HRIPT)したところ、皮膚刺激および皮膚感作の兆候はなかった(Laboratoire Dermascan,2002b)
  • [ヒト試験] 49人の被検者に10%ウンシュウミカン果皮エキスを誘導期間およびチャレンジ期間にパッチ適用し、パッチ除去後に皮膚反応を評価(HRIPT)したところ、皮膚刺激および皮膚感作の兆候はなかった(Anonymous,2016a)
  • [ヒト試験] 54人の被検者に100%ウンシュウミカン果皮エキスを誘導期間およびチャレンジ期間にパッチ適用し、パッチ除去後に皮膚反応を評価(HRIPT)したところ、皮膚刺激および皮膚感作の兆候はなかった(Anonymous,2016b)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激および皮膚感作なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

詳細な試験データはみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

∗∗∗

ウンシュウミカン果皮エキスは抗炎症成分、血行促進成分、保湿成分、バリア改善成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:抗炎症成分 血行促進成分 保湿成分 バリア改善成分

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文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2016)「Safety Assessment of Citrus Peel-Derived Ingredients as Used in Cosmetics」, <https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/FR712.pdf> 2018年7月7日アクセス.
  2. 日光ケミカルズ(2006)「植物・海藻エキス」新化粧品原料ハンドブックⅠ,376.
  3. 鈴木 洋(2011)「陳皮(ちんぴ)」カラー版 漢方のくすりの事典 第2版,324-325.
  4. 日本メナード化粧品株式会社(2006)「セラミド合成促進剤」特開2006-111560.
  5. G Grubauer, et al(1989)「Transepidermal water loss:the signal for recovery of barrier structure and function.」The Journal of Lipid Research(30),323-333.
  6. Imokawa G, et al(1991)「Decreased level of ceramides in stratum corneum of atopic dermatitis: an etiologic factor in atopic dry skin?」J Invest Dermatol.(96)(4),523-526.
  7. Di Nardo A, et al(1998)「Ceramide and cholesterol composition of the skin of patients with atopic dermatitis.」Acta Derm Venereol.(78)(1),27-30.

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