白金(プラチナ)とは…成分効果と毒性を解説

抗老化成分 抗シワ成分 抗酸化成分
白金(プラチナ)
[化粧品成分表示名称]
・白金

[慣用名]
・白金コロイド、白金ナノコロイド

白金(プラチナ)は、化学的に非常に安定した金属で、この白金を2ナノ(10億分の2mサイズ)に微粒子化し、水分子と結合させたものが白金ナノコロイドです。

白金ナノコロイドは2005年に開発された抗酸化物質で、活性酸素の中でもとくにシワやシミなどの原因と考えられているスーパーオキサイドアニオンラジカル、ヒドロキシラジカル、一重項酸素、過酸化水素を消去する作用が高く、過酸化脂質の発生も抑制し、触媒として働くため半永久的に抗酸化力を発揮するのが特徴です(文献1:2006)

化粧品成分の白金ナノコロイドは、水分子と結合しているため、皮膚には浸透せず、電気的作用と還元作用のみです。

医療分野では、活性酸素が関与している神経性疾患の家族性筋萎縮性側索硬化症モデルや脳梗塞の実験モデルである脳虚血再潅流実験において効果を示すことが紹介されており、抗酸化素材として注目を集めているようです(文献2:2005)

ロート製薬が2006年に発表した白金ナノコロイドのシワ改善作用を評価する試験によると、

20人の女性の顔に8週間白金ナノコロイド配合製剤を塗布したところ、試験開始前は下眼瞼に平均13本あったシワが8週目には11.5本に減少した。

白金ナノコロイドのシワ改善作用

また、角層水分量を測定したところ、試験開始前にはコンダクタンス値で平均116.4であった水分量が、8週目には167.8に上昇した。

白金ナノコロイドの角層水分量の変化

これらの結果から白金ナノコロイド製剤に有意な改善効果が認められたと判断した(文献3:2006)

と発表しています。

また、2006年にゼリア新薬工業株式会社、アプト株式会社、東京大学大学院新領域創成科学研究科によって、抗酸化作用を有する白金ナノコロイド、ユビキノン(CoQ10)トコフェロール(ビタミンE)の抗酸化作用を比較、または併用による相乗効果を人工的につくったフリーラジカル(DPPHラジカル)を用いて比較したところ、

白金ナノコロイド、ユビキノン、水溶性ビタミンE誘導体の併用による抗酸化作用の増強効果比較

単一成分としては、ユビキノン(CoQ10)およびトコフェロール(ビタミンE)の抗酸化作用が一過性であるのに対して、白金ナノコロイドは抗酸化力および継続力が最も高くまたそれぞれを併用することでフリーラジカルの抑制率が有意に増強されることが明らかにされています(文献1:2006)

これらの試験結果をみるかぎり、白金ナノコロイドに抗酸化作用があるといえそうですが、白金ナノコロイドは濃度依存的に抗酸化作用が高くなり、化粧品においては効果が期待できる濃度で配合されているかどうか判断が不可能なため、過度な期待はしないほうがいいかもしれません。

2009年に公開された白金、金、銀を含むと謳っている基礎化粧品13種類における白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)の含有量を調査した結果報告では以下のように(∗1)

∗1 単位のppmは100万分の1を表し、1ppm=0.0001%となります。またppbは10億分の1を表し、1ppb=0.0000001となります。

試料 Pt(ppm) Au(ppm) Ag(ppb)
1 1.6±0.2 <1×10⁻³ 120±20
2 1.3±0.2 <1×10⁻³ 88±18
3 2.4±0.3 <2×10⁻³ 93±19
4 <4 <6×10⁻³ <50
5 <14 150±0.5~280±0.8 940±76
6 <2 <3×10⁻³ 940±30
7 <1 <1×10⁻³ 940±50
8 79±2.2 <1×10⁻³ 940±70
9 3.3±0.3 <2×10⁻³ 940±30
10 22±1.2 <2×10⁻³ 940±70
11 0.9±0.2 <1×10⁻³ 940±30
12 <1 <2×10⁻³ 940±30
13 66±0.2~220±0.5

この試験法による検出限界はPtで0.4~14ppmであり、試料4,6,7,12の4種類では検出限界以下の含有量であった(文献4:2009)

このように化粧品における白金ナノコロイドは、微粒子化していることもあり、配合量が非常に少なく、中には検出できないほどの配合量であるものもあるのが現状です。

化粧品に配合される場合は、抗酸化作用目的でスキンケア化粧品、ヘアケア化粧品、メイクアップ化粧品をはじめ様々な製品に使用されています。

また、白金ナノコロイドは微粒子であり、ナノ化した微粒子が健康に及ぼす影響への懸念がでてきています。

ナノ化した白金ナノコロイドはサプリメントや食品添加物としても承認されており、白金ナノコロイドを開発したアプト株式会社によるヒト過剰摂取試験によると、

男女25人(20~65歳)に白金ナノコロイドを18μg含有したサンプルまたはプラセボを用いて1日2回14日間にわたって反復摂取してもらったところ、有害事象は認められず、臨床検査においても試験食品に起因する正常値を逸脱する変化は認められておらず、安全性上問題ないと考えられる(文献5:2006)

と結論づけられていますが、日本化粧品工業連合会で公開されているナノマテリアルの調査報告では、2017年4月時点で、

・ナノ白金(nPt)は、食品・化粧品に適用されているにも関わらず、安全に利用するための情報が圧倒的に不足しており、その知見収集が喫緊の課題となっています。

粒子径の異なるnPtを用い、現実的な曝露経路の一つである経口投与での吸収性をマウスを用いて評価した。

ナノ白金(nPt5, 30, 70)を、10mg/kgで経口単回投与し、経時的に採血し、回収した血液の白金濃度を誘導結合プラズマ質量解析法により測定した結果、nPt5, 30, 70はいずれも血中で検出され、nPt5の血中濃度は、nPt30, 70の約4倍、16倍であり、粒子径がさいほど吸収されやすいことが示唆された。

また、急性毒性評価の一環として、投与後24時間の血液を用いて血球検査を行ったところ、いずれのnPt投与群でも、基準値の範囲内であり、nPt投与による各種血球成分への影響は認められなかった。

・上記の試験結果をふまえて、吸収量が最も多かった5nmのナノ白金(nPt5)をマウスの尾静脈内投与し、24時間後の主要な組織(脳、心臓、肺、脾臓、腎臓、肝臓、精巣、精巣上体、精嚢)への移行性を評価した。

これらの組織へのnPt5の移行量を誘導結合プラズマ質量解析法により測定したところ、肝臓に投与したnPt5の50%ほどが集積していたものの、回収したいずれの組織おいても白金が検出され、添加濃度依存的に移行量が増加していることが見出された。

今後、詳細な解析が必要なものの、血液−脳関門や、血液-精巣関門のある脳や精巣で白金が検出されたことは、興味深い知見と考えている。

今後は、各組織における経時的な分布量や、粒子径の異なるナノ白金の関与を比較解析するとともに、精巣や脳に着目したハザード同定を試み、ナノ白金の安全性情報の収集を推進していく予定である(文献6:2017)

となっており、皮膚吸収での試験はまだ行われておらず、安全性についての最終結論はでていないのが現状です。

スポンサーリンク

白金の安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

白金の現時点での安全性は、化粧品としての配合において、化学的に非常に安定しており、抗酸化作用を発揮した後も白金は酸化されることなく抗酸化作用を継続的に発揮できるため、白金が皮膚に刺激を与える危険性はなく、そのうえ白金ナノコロイドは水分子と結合しているため皮膚に浸透しないため、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性はデータ不足のため詳細不明ですが、白金は金属としてもアレルゲンではなく、またアレルギー(皮膚感作)の報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

ただし、2017年4月時点で化粧品工業連合会のナノマテリアルに関する調査では、白金ナノコロイドの安全性の最終結論はでておらず、調査が継続されている状態です。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

詳細な試験データはみあたりませんが、白金は化学的に非常に安定しており、抗酸化作用を発揮した後も白金は酸化されることなく抗酸化作用を継続的に発揮できるため、白金が皮膚に刺激を与える危険性はまずなく、そのうえ白金ナノコロイドは水分子と結合しているため皮膚に浸透せず、また金属としてもアレルゲンではなく皮膚感作(アレルギー)の報告もないため、皮膚刺激性や皮膚感作(アレルギー)はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全データがみあたらないため、データ不足のため詳細は不明です。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
白金 掲載なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、白金は掲載なし(∗2)となっていますが、化学的に非常に安定性が高く、白金ナノコロイドは皮膚に浸透しないため、また白金は金属としてアレルゲンでないことから安全性に問題ないと考えられます。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

白金は抗老化成分、抗酸化成分にカテゴライズされています。

それぞれの成分一覧は以下からお読みください。

参考:抗シワ(抗老化)成分 抗酸化成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. 川崎 大輔, 深堀 勝博, 栗本 忠, 梶田 昌志, 宮本 有正(2006)「白金ナノコロイド、コエンザイムQ10およびビタミンEの併用による抗酸化作用の増強」Fragrance Journal(34)(11),p90-94.
  2. 宮本 有正(2005)「貴金属ナノ粒子の水中での活性酸素消去能とその生体への応用」コロイド・界面技術シンポジウム(22),p44-53.
  3. “健康美容EXP”(2006)「ロート製薬 / 白金ナノコロイドにシワ改善作用と発表」, <http://news.e-expo.net/news/2006/05/post-241.html> 2018年4月4日アクセス.
  4. 古田悦子(2009)「化粧品の中性子放射化分析を通して考える成分表示法の問題点」, <https://www.jstage.jst.go.jp/article/chemobio/5/1/5_1_83/_article/-char/ja/> 2018年4月4日アクセス.
  5. “アプト株式会社”(2006)「apt白金ナノコロイドの安全性データ」, <http://www.atpress.ne.jp/releases/51975/att_51975_1.pdf> 2018年4月4日アクセス.
  6. “日本化粧品工業連合会”(2017)「ナノマテリアルに関する調査」, <https://www.jcia.org/n/all_pdf/nano/170413.pdf> 2018年4月4日アクセス.

スポンサーリンク

TOPへ