二酸化炭素(炭酸ガス)とは…成分効果と毒性を解説

血行促進成分 抗老化成分 噴射剤
二酸化炭素(炭酸ガス)
[化粧品成分表示名称]
・二酸化炭素

[慣用名]
・炭酸ガス

地球上で最も代表的な炭素の酸化物であり、炭酸ガスと呼ばれる水にも油にも溶ける気体です。

二酸化炭素は、ヨーロッパでは古くから療養泉として高血圧や循環器疾患の治療に用いられており、また美容医療の分野では脂肪やセルライトの分解、美肌効果などにも有用であるとして応用されています。

一方で、化粧品としては血流改善の関与から連用することにより肌の明るさ、クスミ、保湿機能の改善が認められており(文献2:2007)、また定量化できないので明確なエビデンスはありませんが、通常は20分ほどの炭酸パックでリフトアップ効果が得られるとされており、効果の強さは個人差はあるものの多数の体験者がいること、ほとんどの人がはじめての炭酸パックで顔のリフトアップ効果を実感することから実際に起こっている現象であると考えられます(文献4:2015)

化粧品成分表示に二酸化炭素が記載されている場合、

  • 血行促進:炭酸化粧品、スキンケア化粧品、洗顔料、パック、入浴剤など
  • ポンプ式噴射剤の圧縮ガス:洗顔フォーム、ヘアトニックなど

このようにまったく異なる2つの目的で使用されます。

二酸化炭素(炭酸ガス)の血行促進は、水に溶存した炭酸ガスが皮膚から毛細血管内に浸透吸収され、血液中のヘモグロビンと結合している酸素を二酸化炭素が切り離し、一時的に酸欠状態になり、酸素を供給するために血流量が増加し血管が拡張されることで起こると考えられています。

また、血管中に酸素が増えることで細胞を内側から活性化させ、新陳代謝を活発にすることで肌のターンオーバーを促進するといわれています。

さらに、二酸化炭素は他の成分の経皮吸収促進効果があり、過去の試験結果では、3%アルブチン配合化粧水に炭酸ガスを配合したところ、無配合と比べて5分で86倍(炭酸ガス有:417μg/c㎡、炭酸ガス無:4.8μg/c㎡)、10分で5.8倍(炭酸ガス有:679.9μg/c㎡、炭酸ガス無:115.6μg/c㎡)の経皮吸収量であり、20,30分時でも有意な傾向がみられ、アスコルビルグルコシドでも同様の試験を行ったところ炭酸ガス無配合と比較して経皮吸収量が速く推移することが確認された(文献5:2015)

日進化学株式会社が2015年に行った炭酸ガスによる肌質改善効果の検証によると、

15人の女性被検者(30~60歳)に二酸化炭素配合化粧水を市販のコットンに適量(コットン全体に染み渡る程度)を吐出し、気になる箇所(目元や頬など)に2分間コットンパックして30日間使用してもらい、皮膚専門医による観察および機器測定(水分量、皮脂量、TEWL)を行った。

水分量、TEWL(経表皮水分蒸散量)、皮脂量などは個体数によるばらつきが多く統計的には有意差が認められなかったが、医師の所見によると、15人のうち6人にシワやクスミの改善、毛穴の数の減少など個人差はあるが改善効果が確認された。

改善例の詳細として、目尻の小じわに関して深く目立っていたものが肌表面の潤いが保たれれることにより凹凸が減少したことが考えられ、また角質水分量も増加していることが確認できた。

また、肌の改善傾向がみられた6人のいずれも刺激を感じており、6人全員でわずかではあるが皮膚紅潮が認められ、これらの紅潮は1分以内には消えていることが確認できた。

刺激に関しては、耐えられない嫌な感じの刺激ではなく、コットンパックを外すと1分程度で治まり、心地よい、効果が実感できる感覚であったとの意見であり、重篤な有害事象はなく、炭酸ガスによる皮膚紅潮が問題ないことが確認された(文献5:2015)

と記載されており、また2015年に花王株式会社が行ったスキンケア検証試験によると、

マイクロバブルが観察される炭酸製剤と炭酸ガスを含まない美容液製剤を評価するために、顔にシミ・ソバカス・クスミおよび赤みの悩みをもつ47人の女性の顔に1日2回それぞれの製剤(炭酸群:23人、美容液群:24人)を8週間にわたって塗布してもらい、8週間後に肌効果に関する使用アンケートを実施した。

連用8週間後の効果実感に関するアンケート結果

すべての項目において「そう思う」「ややそう思う」と答えた人の割合は炭酸群が美容液群を上回り、「潤いがでた」を「そう思う」と答えた人は、炭酸群では43%に対し美容液群では25%であり、角層水分量を測定した結果も炭酸群で有意な上昇が確認されていることから、角層水分量の変化が反映された結果が見受けられた。

また、炭酸群で「肌が柔らかくなった」「肌が滑らかになった」「肌触りが良くなった」を「そう思う」と答えた人の割合は美容液群を25%程度上回り、また「肌が明るくなった」は炭酸群で「そう思う」と答えた人が美容液群を17%上回り、高く認知された。

全体的に炭酸群で美容液群よりも肌改善が高く認知されたのは、炭酸ガスの血行促進による肌の内側からの作用が何らかの影響を与えたためだと推察され、このような炭酸ガスによる肌の外側と内側からの作用によって総合的な肌状態の改善が認知されたことが肌の若返りにつながった可能性が伺えた。

以上から、炭酸製剤は従来の美容液製剤と比較してスキンケア効果がより高まることが示された。

しかしながら、血行促進から肌改善につながるメカニズムの詳細はわかっていないため今後検討を続ける(文献3:2015)

となっており、どちらの試験でも共通して肌の総合的な改善が認められています。

このように二酸化炭素は様々な効果が明らかになってきていますが、注意してほしいのは、二酸化炭素(炭酸ガス)の肌質改善効果を実感するためには二酸化炭素を皮膚上に数分間保持させる必要があり、化粧水に配合して塗り伸ばすだけではすぐに放散されてしまうため効果は期待できないということです。

皮膚上に数分間保持させるには、泡状にすることや炭酸ガスを含んだ薬液をシートなどに含浸させ、肌に密着させるなどが必要です。

これをふまえた上で、有効成分をより皮膚に吸収させたい場合は、有効成分の配合された美容液などを塗布した後に炭酸パックを10~20分程度密着させることが効果的だと考えられます。

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二酸化炭素の安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

二酸化炭素の現時点での安全性は、環境中にごくありふれた物質で、化粧品配合量においてその有毒性が問題になることはなく、皮膚刺激性、眼刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)もないため、安全性の極めて高い成分であると考えられます。

一般的に空気中の二酸化炭素濃度が3~4%を超えると頭痛・めまい・吐き気などを催し、7%を超えると炭酸ガスナルコーシスのため数分で意識を失いますが、日常生活および化粧品の配合量でそういった濃度になることはまずありません。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)について

試験データはみあたりませんが、二酸化炭素は環境中にごくありふれた物質で、その有毒性が問題になることはなく、化粧品に配合される二酸化炭素は1%未満である場合がほとんどのため、化粧品の配合範囲において、吸入による生体への影響、皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はないと考えられます。

一般的に空気中の二酸化炭素濃度が3~4%を超えると頭痛・めまい・吐き気などを催し、7%を超えると炭酸ガスナルコーシスのため数分で意識を失いますが、日常生活および化粧品の使用でそれらの濃度になることはまずありません(文献1:2018)

眼刺激性について

試験データはみあたりませんが、二酸化炭素は環境中にごくありふれた物質で、その有毒性が問題になることはなく、化粧品に配合される二酸化炭素は1%未満である場合がほとんどのため、眼刺激性はないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
二酸化炭素 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、二酸化炭素は毒性なし(∗2)となっており、高濃度で吸入および曝露しても生体に影響がないため、安全性は極めて高いと考えられます。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

二酸化炭素はその他の成分にカテゴライズされています。

それぞれの成分一覧は以下からお読みください。

参考:抗老化成分 その他の成分

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文献一覧:

  1. “沖縄CO₂削減推進協議会”(2018)「二酸化炭素(CO₂)の人体における影響」, <http://www.nonrisk.co.jp/co2jintai-eikyou.pdf> 2018年4月1日アクセス.
  2. H. Mori et al.(2007)In the proceeding of 25th IFSCC Conference, Amsterdam
  3. 小林 由佳, 棚橋 昌則(2015)「血行促進効果を高める炭酸製剤設計とそのスキンケア効果の検証」Fragrance journal(43)(7),p16-20.
  4. 田中 雅也(2015)「炭酸ガスの美容効果について」Fragrance Journal(43)(7),p35-39.
  5. 角本 次郎(2015)「炭酸ガスの化粧品への配合と肌質改善効果に関して」Fragrance Journal(43)(7),p40-44.

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