ヨーロッパブナ芽エキスとは…成分効果と毒性を解説

抗シワ成分 抗老化成分 保湿成分
ヨーロッパブナ芽エキス
[化粧品成分表示名称]
・ヨーロッパブナ芽エキス

[医薬部外品表示名称]
・ブナエキス

ブナ科植物ブナまたはヨーロッパブナ(学名:Fagus sylvatica 英名:European beech)の幼芽からで抽出後に濃縮して有機酸を除去したエキスです。

ヨーロッパブナ芽エキスの成分組成は、抽出方法や天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

  • オリゴサッカライド
  • フラボノイド類:クエルセチン
  • カフェ酸誘導体
  • タンニン

などで構成されています(文献1:2006;文献2:2015;文献3:2012)

ヨーロッパブナは、主にスゥエーデン南部、シチリア島北部 、フランス、イングランド南部、ポルトガル北部、スペイン中央部、トルコ北西部に自生する落葉性広葉樹の一種です。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ボディケア製品、シート&マスク製品などの製品に使用されます(文献1:2006;文献3:2012;文献5:2002)

また、ヨーロッパブナは落葉性広葉樹の一種で、森林としての側面があるため、森林浴などによるリラックス・リフレッシュをコンセプトとしたヘアー&ボディミスト、入浴剤などの製品にも使用されます。

Ⅳ型コラーゲンおよびⅦ型コラーゲン産生促進による抗シワ作用

Ⅳ型コラーゲンおよびⅦ型コラーゲン産生促進による抗シワ作用に関しては、まず前提知識としてⅣ型コラーゲンおよびⅦ型コラーゲンの役割について解説します。

まず以下の肌図をみてほしいのですが、

真皮におけるコラーゲンの種類

  • Ⅰ型コラーゲン:真皮内に網目状に張りめぐらされている強硬なコラーゲン。肌の弾力やハリを保持
  • Ⅲ型コラーゲン:真皮の乳頭層に多く含まれる細くて柔らかいコラーゲン。肌に柔らかさを付与
  • Ⅳ型コラーゲン:基底膜の膜状構造を維持するための骨格の役割をするコラーゲン

というように、皮膚のコラーゲンは表皮の基底層(基底膜)から真皮にかけて、それぞれ異なった役割をもつコラーゲンが存在しており、大部分は網の目を形成するⅠ型コラーゲンになり、またⅣ型コラーゲンは表皮を支え、基底膜を正常に機能させる土台として働きます。

基底膜に存在するコラーゲンをさらに詳細にみていくと、以下の基底膜の拡大図をみてもらえるとわかるように、

基底膜におけるコラーゲンの仕組み

表皮の支えであり土台でもあるⅣ型コラーゲンに連結する形でⅦ型コラーゲンが連なっているのが確認できますが、このⅦ型コラーゲンは真皮側に存在し、真皮から基底膜へ栄養を受け渡す働きをすることが明らかになっています。

この表皮基底膜は、表皮細胞から構成される表皮とコラーゲンなどの細胞間基質と線維芽細胞などの細胞で構成される真皮といった構造の異なる組織を結合させるために重要な役割を果たしており、また表皮細胞の分化・増殖を制御し、表皮が正常に機能するために必須となっています。

しかし、基底膜は20代後半から損傷が起こりはじめることが明らかにされており、これは一般に「お肌の曲がり角」といわれる時期に一致し、肌のキメが荒くなる時期とも一致しています。

2002年に資生堂によって報告された皮膚の老化の原因である表皮基底膜の損傷を修復する植物由来成分の効果検証によると、

表皮基底膜の損傷を修復する効果を植物由来成分300種類以上を用いて検証した結果、「永遠の若木」とも呼ばれるヨーロッパブナの芽から得られるヨーロッパブナ芽エキスにⅣ型およびⅦ型コラーゲンの産生を促す効果があることが確認されました。

試験などの詳細は不明ですが、このような検証結果が明らかにされており(文献5:2002)、ヨーロッパブナ芽エキスにⅣ型およびⅦ型コラーゲンの産生促進作用が認められています。

さらに、上の基底膜におけるコラーゲンの仕組みをもてもらうとわかりやすいと思うのですが、資生堂では基底膜と表皮細胞をつなぎとめるラミニン5の産生を促進する成分として大豆リゾレシチン、またⅣ型とⅦ型コラーゲンの結合を分解する酵素を阻害して基底膜構造の安定化を促進する成分としてペパーミントエキスをそれぞれ見出しており、これら3つの成分を併用することで基底膜構造の再構築・修復の相乗効果が得られることが検証されています(文献5:2002)

フィラグリン産生促進による保湿作用

フィラグリン産生促進による保湿作用とは、以下の肌図をみてもらえるとわかりやすいと思うのですが、

NMF(天然保湿因子)の産生の仕組み

皮膚の角層における保湿成分として有名なアミノ酸であるNMF(天然保湿因子)は、同じく表皮顆粒層に存在しているケラトヒアリンが角質細胞に変化していく過程でフィラグリンと呼ばれるタンパク質になり、このフィラグリンが角層に近づくとともに分解されてアミノ酸(NMF)になります(文献4:2002)

また、フィラグリンを構成しているアミノ酸のうち最も多いグルタミンは、保湿力の高いピロリドンカルボン酸となります。

ヨーロッパブナ芽エキスには、フィラグリンの産生を促進する作用が明らかにされており(文献3:2012)、フィラグリンの産生が増加することで角層のアミノ酸も増加され、結果的に水分量増加による保湿作用を有すると考えられます。

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ヨーロッパブナ芽エキスの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

ヨーロッパブナ芽エキスの現時点での安全性は、外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006にも収載されており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

ただし、詳細な試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

眼刺激性について

詳細な試験データはみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ヨーロッパブナ芽エキス 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ヨーロッパブナ芽エキスは毒性なし(∗1)となっており、安全性に問題はないと考えられます。

∗1 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ヨーロッパブナ芽エキスは抗老化成分、保湿成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:抗老化成分 保湿成分

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文献一覧:

  1. 日光ケミカルズ(2006)「植物・海藻エキス」新化粧品原料ハンドブックⅠ,382.
  2. 宇山 光男, 他(2015)「ブナ」化粧品成分ガイド 第6版,216.
  3. 鈴木 一成(2012)「ブナの芽エキス(ブナエキス)」化粧品成分用語事典2012,332.
  4. 朝田 康夫(2002)「アミノ酸とは何か」美容皮膚科学事典,102-103.
  5. “資生堂”(2002)「ブナの芽・ペパーミントエキスに表皮基底膜の損傷修復効果」, <https://www.shiseidogroup.jp/newsimg/archive/00000000000295/295_n5s23_jp.pdf> 2018年8月16日アクセス.

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