ブドウ種子エキスとは…成分効果と毒性を解説

抗酸化成分 抗糖化 美白成分 毛髪保護剤
ブドウ種子エキス
[化粧品成分表示名称]
・ブドウ種子エキス

[医薬部外品表示名称]
・ブドウ種子エキス

ブドウ科植物アカブドウ(学名:Vitis Vinifera 英名:Grape)の種子から精製水で抽出して得られるエキスです。

ブドウ種子エキスの成分組成は、天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

  • ポリフェノール類:プロアントシアニジン
  • カテキン類:エピカテキン、エピカテキンガレート

などで構成されています(文献2:2016;文献3:-)

グレープの種子が大きな注目を集めたのは、フランス人は高脂肪食におかかわらず虚血性心疾患による死亡率が低いという、いわゆるフレンチパラドックスが1979年に発表されたことによります。

グレープの種子に含まれるポリフェノールであるプロアントシアニジンは強力な抗酸化作用を有し、細胞レベルで酸化(老化)を防ぐため、高血圧、動脈硬化、狭心症などの生活習慣病の予防に役立ちます(文献2:2016)

プロアントシアニジンのもうひとつの作用は、毛細血管の透過性を改善し血管を保護する作用で、アレルギー反応、浮腫、痔疾、静脈瘤、糖尿病性網膜症などの糖尿病の合併症の予防や改善に用いられます(文献2:2016)

また、プロアントシアニジンは、コラーゲンやエラスチンに融合し、コラゲナーゼやエラスターゼなどの分解酵素を阻害する作用も報告されています(文献2:2016)

ブドウ種子エキスは1994年にキッコーマンで開発された原料で、ブドウ種子ポリフェノール(プロアントシアニジン)を有効成分とする天然の抗酸化物質として1999年に日本農芸化学会技術賞を受賞しています。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、エイジングケア化粧品や美白化粧品などのスキンケア化粧品などに使用されます(文献3:-;文献4:2003)

また、ブドウ種子エキスとトコフェロールを併用することで毛髪に対して抗酸化作用、化学的ストレスと紫外線によるダメージからの毛髪保護作用、ヘアカラーの耐久性の向上(退色抑制)が明らかにされており(文献5:2014)、トコフェロールと併用してヘアカラー剤、ヘアケア製品に使用されます。

AGEs阻害による抗糖化作用

AGEs阻害による抗糖化作用に関しては、前提知識としてAGEsについて解説しておきます。

AGEs(糖化最終生成物)とは、タンパク質と糖の反応(糖化反応)により生成する最終産物で、糖化反応によってAGEsが生成されると皮膚色の黄疸化やコラーゲンの硬化による皮膚の弾力低下などが起こる原因となります。

生体では加齢に伴って蓄積することが知られており、とくにコラーゲンなどの生体における代謝回転の遅いタンパク質に蓄積が認められると考えられています。

そのため、AGEsの研究はコラーゲンを主成分とする真皮に着目され、真皮におけるAGEsは加齢とともに増加すること、日光を浴びた部位にとくに多く存在することが報告されており、肌を老化へ導く重要な因子のひとつと考えられています。

また、AGEsを分解する酵素などが知られていないことから生成予防が対処法の主流となっています。

キッコーマンバイオケミファによるそれぞれの抗糖化作用検証結果によると、

医薬品の糖化反応阻害剤であるアミノグアニジンをポジティブコントロールとして、ブドウ種子エキスの抗糖化作用を比較検証したところ、以下のグラフのように、

ブドウ種子エキスの抗糖化(AGEs生成阻害)作用

0.05%濃度のブドウ種子エキスで1%アミノグアニジンと同等の抗糖化作用が認められ、濃度依存的に高い抗糖化作用が認められた。

このように報告されており(文献3:-)、0.05%で70%以上のAGEs阻害作用が認められることから高い抗糖化作用があると考えられます。

活性酸素消去能による抗酸化作用

活性酸素消去能による抗酸化作用に関しては、キッコーマンバイオケミファによって実施されたブドウ種子エキスの活性酸素生成抑制作用検証によると、

ビタミンEと同等の抗酸化を有するトロロックスをポジティブコントロールとして、ブドウ種子エキスの活性酸素生成抑制作用を比較検証したところ、以下のグラフのように、

ブドウ種子エキスの活性酸素生成抑制作用

濃度依存的に0.01%濃度で約40%、0.1%濃度で95%以上の活性酸素消去能を示し、高い抗酸化作用が認められた。

このように報告されており(文献3:-)、0.01%濃度で約40%、0.1%濃度で95%以上の活性酸素消去能が認められることから高い抗酸化作用があると考えられます。

チロシナーゼ活性抑制による色素沈着抑制作用

チロシナーゼ活性抑制およびメラノサイト増殖抑制による色素沈着抑制作用に関しては、前提知識として色素沈着(メラニンの黒化)の仕組みを解説しておくと、まず以下の図のように、

紫外線におけるメラニン生合成までのプロセス

紫外線を浴びてから紫外線情報がメラノサイトに伝達されることで、メラノサイト内でアミノ酸のひとつであるチロシンがメラニンに変化していきます。

メラノサイト内でチロシンはチロシナーゼという酵素と結合してドーパやドーパキノンに変化していきますが、ブドウ種子エキスにはチロシナーゼの活性を阻害する働きがあり、チロシナーゼを抑制してチロシンと結合させないことで、ドーパやドーパキノンに変化させず、結果的にメラニンの黒化を抑止できるため、色素沈着の抑制につながるという仕組みです。

キッコーマンバイオケミファによって実施されたブドウ種子エキスのチロシナーゼ活性抑制検証によると、

チロシナーゼ阻害作用で医薬部外品に承認されているルシノールをポジティブコントロールとして、ブドウ種子エキスのチロシナーゼ活性阻害作用を比較検証したところ、以下のグラフのように、

ブドウ種子エキスのチロシナーゼ活性阻害作用

ルシノールほど顕著な作用ではないものの、濃度依存的に0.1%濃度ではほぼ同等の約25%、1%濃度で約50%のチロシナーゼ活性阻害作用を示し、高い色素沈着抑制作用が認められた。

このように報告されており(文献3:-)、0.1%濃度でも有意なチロシナーゼ活性阻害作用が認められています。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2012年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

ブドウ種子エキスの配合製品数と配合量の調査結果(2012年)

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ブドウ種子エキスの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

ブドウ種子エキスの現時点での安全性は、皮膚刺激性はほとんどなく、眼刺激性は軽度の眼刺激性が起こる可能性がありますが、皮膚感作性(アレルギー性)の報告もないため、安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Vitis vinifera (Grape)-Derived Ingredients as Used in Cosmetics」(文献1:2014)によると、

  • [ヒト試験] 31人の被検者の顔や首に0.15%ブドウ種子エキスを含むアフターシェービングバームを2週間連続で少なくとも1日1回使用してもらったところ、紅斑および乾燥の兆候はなく皮膚刺激は観察されなかった(Clinical Research Laboratories Inc,2006)
  • [ヒト試験] 101人の被検者に0.0002%ブドウ種子エキスを含むボディローション製剤を誘導期間において21日間にわたって閉塞パッチ適用し、次いで10~24日の休息期間の後に4日間チャレンジパッチ適用し、各パッチ除去後に皮膚反応を評価したところ、皮膚刺激剤および皮膚感作剤ではなかった(RCTS Inc,2007)
  • [ヒト試験] 105人の被検者に1%ブドウ種子エキスを含むヘアコンディショナー0.2mLを誘導期間において合計9回24時間半閉塞パッチ適用し、次いで10日間の休息期間の後に24時間チャレンジパッチ適用し、各パッチ除去後に皮膚反応を評価したところ、皮膚刺激剤および皮膚感作剤ではなかった(Product Investigations Inc,2010)
  • [ヒト試験] 105人の被検者に0.15%ブドウ種子エキスを含むアフターシェービングバーム0.2mLを誘導期間において合計9回24時間半閉塞パッチ適用し、次いで10日間の休息期間の後に24時間チャレンジパッチ適用し、各パッチ除去後に皮膚反応を評価したところ、1人の被検者で誘導期間2~4回目で疑わしい反応、また5~8回目で最小限の紅斑が観察され、別の1人の被検者は誘導期間の1~2回目で皮膚反応が観察されたが、有意な反応とは考えられず、皮膚刺激剤および皮膚感作剤ではないと結論付けられた(TKL Research,2006)
  • [ヒト試験] 107人の被検者に1%ブドウ種子エキス0.15mLを誘導期間において合計9回24時間半閉塞パッチ適用し、次いで10日間の休息期間の後に24時間チャレンジパッチ適用し、各パッチ除去後に皮膚反応を評価したところ、誘導期間において5人でグレード1、1人でグレード2の反応がみられ、チャレンジ期間において3人にグレード1の反応がみられたが、皮膚刺激剤および皮膚感作剤ではないと結論付けられた(Product Investigations Inc,2004)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激および皮膚感作なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Vitis vinifera (Grape)-Derived Ingredients as Used in Cosmetics」(文献1:2014)によると、

  • [in vitro試験] 畜牛の眼球から摘出した角膜を用いて、角膜表面に0.15%ブドウ種子エキスを含む製品を処理した後、角膜の濁度ならびに透過性の変化量を定量的に測定したところ(BCOP法)、軽度の眼刺激剤に分類された(Institute for In Vitro Sciences Inc,2006)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、軽度の眼刺激性であると報告されているため、眼刺激性は軽度の眼刺激性が起こる可能性があると考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ブドウ種子エキス 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ブドウ種子エキスは毒性なし(∗1)となっており、安全性に問題はないと考えられます。

∗1 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ブドウ種子エキスは抗シワ(抗老化)成分、美白成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:抗シワ(抗老化)成分 美白成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2014)「Safety Assessment of Vitis vinifera (Grape)-Derived Ingredients as Used in Cosmetics」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/1091581814545247> 2018年7月4日アクセス.
  2. 林真一郎(2016)「グレープシード」メディカルハーブの事典 改定新版,56-57.
  3. キッコーマンバイオケミファ株式会社(-)「グラヴィノール KPA-CU」技術資料.
  4. 上原 静香, 他(2003)「プロアントシアニジン高含有ブドウ種子抽出物のメラニン生成抑制効果」日本香粧品学会誌(27)(4),247.
  5. 井川 恵介(2014)「ブドウ種子エキスによるカラーリング剤の退色の抑制」Fregrance Journal(42)(3),59-63.

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