ビルベリー葉エキスとは…成分効果と毒性を解説

抗老化成分 抗酸化成分 細胞賦活剤
ビルベリー葉エキス
[化粧品成分表示名称]
・ビルベリー葉エキス

[医薬部外品表示名称]
・ビルベリー葉エキス

ツツジ科植物ビルベリー(学名:Vaccinium myrtillus)の葉からBG(1,3-ブチレングリコール)で抽出して得られるエキスです。

ビルベリー葉エキスの成分組成は、抽出方法や天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

  • ポリフェノール類:プロアントシアニジン、カテキン、フラボノール
  • アミノ酸類:γ-アミノ酪酸(GABA)

などで構成されています(文献1:2016;文献2:2006)

ビルベリーはブルーベリーの近縁種で、夏に酸味のある黒紫色の果実をつけ、果実や葉はヨーロッパにおいて中世からティーやシロップの形で、また染料やお酒の着色として用いられていました。

さらに果実は、近視・色素性網膜炎・網膜症・糖尿病性高血圧など目の疾患に効果があるハーブとしてイタリアやフランスでは医薬品として認められており、一方でビルベリーの葉の調合剤は血糖値を下げることから糖尿病患者に対して民間療法として用いられています(文献2:2006)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、エイジングケア化粧品をはじめとするスキンケア化粧品、メイクアップ化粧品、アイケア化粧品、日焼け止め製品、洗顔料、洗浄製品、シート&マスク製品、まつ毛美容液などに使用されます(文献2:2006;文献3:2007;文献4:2016)

GAD67産生促進による抗老化作用

GAD67産生促進による抗老化作用に関しては、まず前提知識としてGAD67およびGABA(アミノ酪酸)について解説します。

最初にGAD67から解説しますが、以下のGABAのプロセス図をみてもらうとわかるように、

皮膚におけるGABA合成プロセス

GAD67というのは、真皮の線維芽細胞に存在するGABA合成酵素のひとつです。

皮膚における真皮の潤い成分

GAD67は、GABA合成酵素ですが、GABA合成のほかにも濃度依存的に細胞内グルタチオン量を増やし、活性酸素のひとつである過酸化水素(H₂O₂)の酸化ストレス耐性を向上させることが明らかになっており、一方で加齢によって産生が低下することも明らかになっています(文献2:2006)

次にGABAについて解説しますが、GABAは化粧品成分表示名としてはアミノ酪酸(γ-アミノ酪酸)と呼ばれており、皮膚への作用としては、

  • ヒト表皮細胞増殖およびインボルクリン産生促進による細胞賦活作用
  • 表皮ヒアルロン酸合成促進による保湿作用およびバリア機能改善作用

このような作用が報告されています(文献3:2007)

2006年に一丸ファルコスによって報告されたビルベリー葉エキスの抗老化作用検証によると、

GABAはヒアルロン酸産生増加ならびにヒト表皮細胞増殖作用を有しており、またGABA合成酵素であるGAD67は真皮形成に重要な働きをしている一方で、加齢によってGAD67発現量が低下することから皮膚老化に関係している可能性が考えられる。

さらに、GABA合成酵素であるGAD67の発現を増加することは、GABA産生を促進し、加齢やストレスなどによって低下した細胞を活性化させ、皮膚老化防止につながると予想した。

そこで、ヒト皮線維芽細胞に各種植物エキスを添加した培地を24時間培養し、細胞内のGAD67量を評価したところ、ビルベリー葉エキスに著しいGAD67増加作用が認められた。

GABAは、線維芽細胞のヒアルロン酸産生、グルタチオン産生および細胞増殖を促進することから、GABA合成酵素であるGAD67増加作用を有するビルベリー葉エキスがGABAと同様の効果を示すかを検討した。

0.25%または0.5%ビルベリー葉エキスを添加したヒト皮膚線維芽細胞を24時間培養し、培養中のヒアルロン酸量および細胞数を測定し、細胞数あたりのヒアルロン酸量を求めて算出したところ、以下のグラフのように、

ビルベリー葉エキスのヒアルロン酸産生促進作用

ビルベリー葉エキス添加において、ヒアルロン酸産生の促進が認められた。

また、コラーゲンやエラスチンは真皮における主要な細胞外マトリックスであり、皮膚のハリ・弾力維持に重要な役割を果たしていますが、活性酸素や紫外線の影響によってコラーゲンやエラスチンの分解が促進されると弾力低下、シワおよびたるみの発生につながります。

そこで、ビルベリー葉エキスによるコラーゲン、エラスチンの分解酵素であるコラゲナーゼおよびエラスターゼ活性を検討したところ、以下のグラフのように、

ビルベリー葉エキスのコラゲナーゼ阻害作用

ビルベリー葉エキスのエラスターゼ阻害作用

ビルベリー葉エキス添加において、濃度依存的にコラゲナーゼおよびエラスターゼの活性を阻害することを確認した。

このような検証結果が明らかにされており(文献2:2006)、ビルベリー葉エキスのGAD67産生促進によってヒアルロン酸産生促進、コラゲナーゼ活性抑制作用およびエラスターゼ活性抑制作用による抗老化作用が認められています。

SOD様活性促進およびグルタチオン産生促進による抗酸化作用

SOD様活性促進およびグルタチオン産生促進による抗酸化作用に関しては、まず前提知識としてGABA合成酵素であるGAD67および活性酸素のひとつである過酸化水素(H₂O₂)およびスーパーオキシド(O₂⁻)について解説し、その過程でグルタチオンおよびSOD(スーパーオキシドディスムターゼ)についても解説します。

GAD67についてはすでにGAD67産生促進による抗老化作用で解説しているため省略します。

過酸化水素(H₂O₂)およびスーパーオキシド(O₂⁻)は、体内で発生する代表的な活性酸素のひとつで、具体的には以下のように、

酸素(O₂) → スーパーオキシド(O₂⁻) → 過酸化水素(H₂O₂) → ヒドロキシラジカル(・OH)

活性酸素がより強力になっていく過程で発生します。

生体は、酸素と反応(電子を取り込む)して、まず活性酸素のスーパーオキシドを発生させ、発生したスーパーオキシドは活性酸素分解酵素であるSOD(スーパーオキシドディスムターゼ)によって水に分解されますが、その過程で活性酸素である過酸化水素が発生します。

発生した過酸化水素は、過酸化水素分解酵素であるカタラーゼによって、また抗酸化物質であるグルタチオンを用いてグルタチオンペルオキシターゼによって水に分解されますが、それでも処理できない場合は、ヒドロオキシラジカルを発生させます。

ヒドロキシラジカルは最も強力な活性酸素で、なおかつ体内に分解(消去)する酵素が存在しないため、可能な限り過酸化水素の段階で処理できるのが望ましいといえます。

2006年に一丸ファルコスによって報告されたビルベリー葉エキスの抗酸化作用検証によると、

0.5%または1.0%ビルベリー葉エキスを添加したヒト皮膚線維芽細胞を24時間培養し、細胞を粉砕後に細胞内グルタチオン量および細胞抽出液のタンパク量を測定し、タンパク量あたりのグルタチオン酸量を求めて算出したところ、以下のグラフのように、

ビルベリー葉エキスのグルタチオン産生促進作用

ビルベリー葉エキス添加において、濃度依存的にグルタチオン量の促進を確認した。

グルタチオンは過酸化水素を消去するグルタチオンペルオキシターゼの重要な因子であることから、この結果はビルベリー葉エキスが皮膚の抗酸化機能を高めることを意味している。

また、0.005%または0.05%ビルベリー葉エキスを用いて活性酸素のひとつであるスーパーオキシドの分解酵素であるSODの活性を検討したところ、以下のグラフのように、

ビルベリー葉エキスによるSOD様作用

ビルベリー葉エキス添加において、濃度依存的にSOD様作用の活性促進を確認した。

グルタチオン産生促進作用と併せて2つの異なる活性酸素消去能を高めることから、皮膚において優れた抗酸化活性が期待できる。

このような検証結果が明らかにされており(文献2:2006)、ビルベリー葉エキスにSOD様活性促進およびグルタチオン産生促進による抗酸化作用が認められています。

カタラーゼおよびグルタチオンペルオキシダーゼの遺伝子発現量増加による抗酸化作用

カタラーゼおよびグルタチオンペルオキシダーゼの遺伝子発現量増加による抗酸化作用に関しては、まず前提知識としてカタラーゼとグルタチオンペルオキシダーゼについて解説します。

これらはすでにSOD様活性促進およびグルタチオン産生促進による抗酸化作用にて解説しているように、両方とも活性酸素のひとつである過酸化水素(H₂O₂)を分解(消去)する活性酸素分解酵素です。

2016年にロート製薬と一丸ファルコスの共同研究によって報告されたビルベリー葉エキスの抗酸化メカニズムの影響検証によると、

ヒト表皮細胞にビルベリー葉エキスを添加し、遺伝子発現を解析したところ、以下のグラフのように、

ビルベリー葉エキスによる抗酸化作用

ビルベリー葉エキスに、活性酸素のひとつである過酸化水素を消去する分解酵素であるカタラーゼとグルタチオンペルオキシダーゼの遺伝子発現量の増加が確認されました。

このような検証結果が明らかにされており(文献4:2016)、カタラーゼおよびグルタチオンペルオキシダーゼの遺伝子発現量の増加は過酸化水素の消去能の向上に作用するため、ビルベリー葉エキスにカタラーゼおよびグルタチオンペルオキシダーゼの遺伝子発現量増加による抗酸化作用が認められています。

GAD67産生促進による細胞賦活作用

GAD67産生促進による細胞賦活作用に関しては、まず前提知識としてGAD67およびGABA(アミノ酪酸)について解説しますが、すでにGAD67産生促進による抗老化作用で解説しているため、そちらを参照してください。

2006年に一丸ファルコスによって報告されたビルベリー葉エキスの線維芽細胞増殖検証によると、

ヒト皮線維芽細胞に各種植物エキスを添加した培地を24時間培養し、細胞内のGAD67量を評価したところ、ビルベリー葉エキスに著しいGAD67増加作用が認められた。

GABAは、線維芽細胞のヒアルロン酸産生、グルタチオン産生および細胞増殖を促進することから、GABA合成酵素であるGAD67増加作用を有するビルベリー葉エキスがGABAと同様の効果を示すかを検討した。

0.25%または0.5%ビルベリー葉エキスを添加したヒト皮膚線維芽細胞を24時間培養し、細胞数を評価したところ、以下のグラフのように、

ビルベリー葉エキスの線維芽細胞増殖促進作用

ビルベリー葉エキス添加において、濃度依存的に細胞増殖の促進を確認した。

この結果はビルベリー葉エキスが細胞を賦活化したことを示唆している。

このような検証結果が明らかにされており(文献2:2006)、ビルベリー葉エキスにGAD67産生促進による細胞賦活作用が認められています。

BMAL1遺伝子発現量増加による細胞賦活作用

BMAL1遺伝子発現量増加による細胞賦活作用に関しては、まず前提知識としてサーカディアンリズム(体内時計)およびBMAL1について解説します。

サーカディアンリズムとは、24時間周期で遂行される生体内リズムのことで、一般的には体内時計と呼ばれているシステムのことです。

以下のサーカディアンリズムの機構図をみてもらうとわかりやすいと思うのですが、

サーカディアンリズムの機構

サーカディアンリズムは、複数の時計遺伝子の相互作用により転写レベルで調節されており、その中心にあるのがサーカディアンリズムを細胞レベルで調節している転写因子であるBMAL1ならびにCLOCKです。

細胞の核内において、同種の転写因子であるBMAL1とCLOCKがまとまり(二量体化)、DNA上のE-boc配列に結合することで、時計遺伝子であるPERならびにCRY、さらに多くのホルモン、サイトカイン類あるいは酵素などの非時計遺伝子群の発現を調節し、翻訳されたPERおよびCRYタンパク質は同種の遺伝子としてまとまって(二量体化)、核内へ移行し、BMAL1およびCLOCKによる転写活性を抑制します(文献4:2012)

この一連のループ機構が24時間周期で遂行されることで生体は日内リズムを刻んでおり、これらの体内時計システムは全身のほぼすべての末梢組織に存在しており、それらは自律的に活性を有し、時計システムの指令を受けて協調的作用することにより全身のサーカディアンリズムが保たれています(文献4:2012)

2014年にロート製薬によって報告された老化におけるサーカディアンリズムの影響の研究によると、以下の図のように、

正常細胞と老化細胞における時計遺伝子量の変化

肌細胞の老化モデルでは、8時以降に時計遺伝子が低下せず、正常細胞で「夜」状態となる16時間後でも時計遺伝子の発現が下がらず、細胞が「夜」の状態に入らないことが明らかになっています(文献5:2014)

また、サーカディアンリズムの肌細胞への影響を検討するために、肌細胞の「昼」と「夜」でⅠ型コラーゲン産生量を測定したところ、以下のグラフのように、

昼夜におけるⅠ型コラーゲン産生量の違い

「夜」状態でⅠ型コラーゲン産生量が高くなることが確認されています(文献5:2014)

2016年にロート製薬および一丸ファルコスの共同研究によって報告されたビルベリー葉エキスの時計遺伝子のリズム調整作用検証によると、

昼に少なく、夜に多くなることで知られる時計遺伝子転写因子であるBMAL1は、加齢により日内変動が少なくなることが明らかにされており、ビルベリー葉エキスの添加によってBMAL1発現量にどのような変化が現れるか、ヒト表皮細胞にビルベリー葉エキスを添加し、経時的に遺伝子発現を解析したところ、以下のグラフのように、

 ビルベリー葉エキスによるBMAL1発現量の変化

ビルベリー葉エキスを添加することで、BMAL1遺伝子の発現量が多くなり、はっきりとした振幅になっていることが確認された。

このような検証結果が明らかにされており(文献6:2016)、ビルベリー葉エキスにBMAL1遺伝子発現増加による時計遺伝子調整作用(細胞賦活作用)が認められています。

ただし、すでに解説したように、サーカディアンリズムはすべての末梢神経に存在し、時計システムの指令を受けて協調的作用することにより全身のサーカディアンリズムが保たれており、この試験のようにin vitroでヒト表皮細胞のみに添加した場合は時計遺伝子の調整が認められますが、ヒト皮膚に塗布した場合は一部の時計遺伝子を調整しても全身の時計システムの協調的作用によってすぐに乱れてしまう(元に戻る)可能性が考えられます。

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ビルベリー葉エキスの安全性(刺激性・アレルギー)について

ビルベリー葉エキスの現時点での安全性は、重大な皮膚刺激またはアレルギーの報告はなく、10年以上の使用実績があるため、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ビルベリー葉エキス 掲載なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ビルベリー葉エキスは掲載なしとなっており、毒性に関しては心配する必要はありません。

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ビルベリー葉エキスは抗老化成分、抗酸化成分、細胞賦活成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:抗老化成分 抗酸化成分 細胞賦活成分

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文献一覧:

  1. 林真一郎(2016)「ビルベリー」メディカルハーブの事典 改定新版,128-129.
  2. 伊藤 賢一(2006)「GABA合成酵素(GAD)を活性化するビルベリーエキスの抗老化作用」Fregrance Journal(34)(8),48-53.
  3. “クラシエホームプロダクツ株式会社”(2007)「GABA の表皮への作用を確認」, <http://www.kracie.co.jp/release/pdf/071029_gaba1.pdf> 2018年9月12日アクセス.
  4. 榛葉 繁紀(2012)「時計遺伝子による代謝調節と疾患」化学と生物(50)(11),794-800.
  5. “ロート製薬株式会社”(2014)「肌細胞の老化モデルで、サーカディアンリズムが乱れることを解明」, <https://www.rohto.co.jp/news/release/2014/0522_02/> 2018年9月12日アクセス.
  6. “ロート製薬株式会社”(2016)「ビルベリー葉エキスがサーカディアンリズムを整え、体内の抗酸化にも働くことを確認」, <https://www.rohto.co.jp/news/release/2016/0614_03/> 2018年9月12日アクセス.

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