三フッ化イソプロピルオキソプロピルアミノカルボニルピロリジンカルボニル メチルプロピルアミノカルボニルベンゾイルアミノ酢酸Na(ニールワン)とは…成分効果と毒性を解説

抗シワ成分
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[化粧品成分表示名称]
・三フッ化イソプロピルオキソプロピルアミノカルボニルピロリジンカルボニルメチルプロピルアミノカルボニルベンゾイルアミノ酢酸Na

[医薬部外品表示名称]
・三フッ化イソプロピルオキソプロピルアミノカルボニルピロリジンカルボニルメチルプロピルアミノカルボニルベンゾイルアミノ酢酸ナトリウム

[慣用名]
・ニールワン

ポーラの申請により2016年7月に初めてシワを改善する医薬部外品有効成分として承認された4つのアミノ酸誘導体から構成された成分です。

水となじみがよく、真皮まで浸透することが明らかになっています。

認められた効果は、

  • シワを改善する
  • 皮膚を健やかに保つ
  • 皮膚を保護する
  • 皮膚の乾燥を防ぐ

の4つで、シワ改善効果の検証では68名の被検者を用いて以下のような改善結果が明らかになっています(∗2)

∗2 ニールワン単体ではなく、ニールワン配合ポーラリンクルショットメディカルセラムでの検証です。

ニールワンによるシワ写真評価

プラセボ(ニールワン配合なし)では、当然ながら12週間使用後もシワグレードは3.50のまま変わりませんが、ニールワン配合製品では、12週間使用後にシワグレードが3.50から3.25に減っており、シワが浅くなっているのが認められます。

また、写真ではなく数値で解析すると、

ニールワンによるシワ改善効果(濃度非公開)

6週間の使用で約6μmシワが浅くなっており、12週間の使用では約13μm浅くなっていることが明らかになっています。

シワを改善する仕組みは、以下の図のように、

真皮におけるニールワンのシワ改善の仕組み

真皮の炎症によって過剰に分泌される好中球エラスターゼという酵素は、皮膚のハリや弾力を支えているコラーゲン、エラスチンを分解し減少させるるため、シワの原因となっていますが、ニールワンはこの好中球エラスターゼの活性阻害作用があり、コラーゲン、エラスチンの分解を抑制できるためシワ改善効果が認められています。

以下の図は、好中球エラスターゼの有無による真皮のコラーゲン、エラスチンの分解度合いの比較です。

好中球エラスターゼの有無による真皮のコラーゲン、エラスチンの分解度合いの比較

上の図は好中球エラスターゼが活性してないため、コラーゲンで真っ赤(左上)また紫のエラスチンのほどよくみられます(右上)。

一方で、好中球エラスターゼを活性化するとコラーゲンの明らかな減少が観察され(左下)、エラスチンはほとんど分解されてしまっています(右下)。

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ニールワンの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

ニールワンの現時点での安全性は、皮膚刺激性はほとんどなく、眼刺激性もなく、皮膚感作(アレルギー)が起こる可能性も低いため、安全性に問題のない成分であると考えられます。

また、医薬部外品承認後は、少なくとも2年間のあいだ安全性に関する販売後調査を実施する必要がありますが、2017年1月の販売から2018年9月までの時点で重篤なトラブルがなかったと報告されています。

以下は、この結論にいたった根拠です。

ニールワンの製品への配合量は非公開のため、安全性試験でも5%未満の濃度は非公開となっており、伏せ字として●で記載しています。

皮膚刺激性について

医薬品医療機器総合機構の審議結果報告書(文献1:2016)によると、

  • [ヒト試験] 日本人の健康な成人49人に三フッ化イソプロピルオキソプロピルアミノカルボニルピロリジンカルボニルメチルプロピルアミノカルボニルベンゾイルアミノ酢酸Na(●%,●%,●%)約0.015mLおよびワセリン分散(●%,●%,●%)約0.015gをFinn Chamberを用いて24時間閉塞適用し、適用24および48時間後に本邦基準に従って判定したところ、24時間判定時に一部の症例(試験物質●%水溶液2例、●%水溶液1例、●%水溶液6例、ワセリン2例)で軽度の紅斑がみられたものの、これらの反応は48時間判定時には消失した。以上より試験物質の皮膚一次刺激性は弱いものと判断された
  • [ヒト試験] 健康な日本人の成人49人にリンクルショットメディカルセラム、三フッ化イソプロピルオキソプロピルアミノカルボニルピロリジンカルボニルメチルプロピルアミノカルボニルベンゾイルアミノ酢酸Na●%配合製剤、基剤各0.0015gをFinn Chamberを用いて24時間閉塞適用し、適用24および48時間後に本邦基準に従って判定したところ、24時間判定で一部の症例(リンクルショットメディカルセラムで1例、基剤で2例)で軽い紅斑が認められたものの、これらの反応は48時間判定時には消失した。以上より、リンクルショットメディカルセラムに皮膚一次刺激性はないと判断された
  • [動物試験] 6匹のウサギの背部にリント布に浸透させた三フッ化イソプロピルオキソプロピルアミノカルボニルピロリジンカルボニルメチルプロピルアミノカルボニルベンゾイルアミノ酢酸Na(●%,10%,30%)各0.5mLを24時間単一パッチ適用し、適用24、48および72時間後にDraizeの判定基準に従って判定したところ、いずれの部位においても皮膚反応は認められなかった
  • [動物試験] 6匹のモルモットの背部に三フッ化イソプロピルオキソプロピルアミノカルボニルピロリジンカルボニルメチルプロピルアミノカルボニルベンゾイルアミノ酢酸Na(●%,10%,30%)各0.01mLを14日間(1日1回)開放パッチ適用し、毎日Draizeの判定基準に従って判定したところ、観察期間を通していずれのモルモットにも皮膚反応は認められなかった
  • [動物試験] 6匹のウサギの背部にリント布に浸透させた三フッ化イソプロピルオキソプロピルアミノカルボニルピロリジンカルボニルメチルプロピルアミノカルボニルベンゾイルアミノ酢酸Na●%配合製剤および基剤各0.5mLを24時間閉塞適用し、適用24,48および72時間後にDraizeの判定基準に従って判定したところ、適用24時間後にごく軽度の紅斑がすべてのウサギに認められたが、適用72時間にはすべて消失した。以上よりこの製剤は軽度の皮膚一次刺激性を有すると判断された
  • [動物試験] 6匹のモルモットの背部にリンクルショットメディカルセラム、三フッ化イソプロピルオキソプロピルアミノカルボニルピロリジンカルボニルメチルプロピルアミノカルボニルベンゾイルアミノ酢酸Na●%配合製剤、基剤各0.01mLを14日間(1日1回)開放適用し、毎日Draizeの判定基準に従って判定したところ、いずれのモルモットにも皮膚反応は認められなかった。以上より、リンクルショットメディカルセラムに連続皮膚刺激性はないと判断された

ポーラ・オルビスホールディングスのニュースリリース(文献2:2018)によると、

  • 開発段階から長期の安全性調査を実施しており、また製造販売後調査を継続してきた結果、1年経過した時点でも重篤なトラブルが無かった

と記載されています。

試験結果では、皮膚一次刺激性および皮膚連続刺激性なしと報告されているため、皮膚一次刺激性および皮膚連続刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

医薬品医療機器総合機構の審議結果報告書(文献1:2016)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギの結膜嚢に三フッ化イソプロピルオキソプロピルアミノカルボニルピロリジンカルボニルメチルプロピルアミノカルボニルベンゾイルアミノ酢酸Na(●%,10%,30%)各0.1mLを単回点眼し、3匹は点眼後に洗眼し、残りの3匹は点眼後に非洗眼で、点眼後1,24,48,72および96時間後にDraizeの判定基準に従って判定したところ、いずれのウサギにおいても刺激反応は認められなかった
  • [動物試験] 6匹のウサギの結膜嚢にリンクルショットメディカルセラム、三フッ化イソプロピルオキソプロピルアミノカルボニルピロリジンカルボニルメチルプロピルアミノカルボニルベンゾイルアミノ酢酸Na●%配合製剤、基剤各0.1mLを単回点眼(3匹は点眼後洗眼し、残りの3匹は点眼後に非洗眼)し、点眼後1,24,48,72および96時間にFraizeの判定基準に従って判定したところ、いずれのウサギも刺激反応は認められなかった。以上より、リンクルショットメディカルセラムに眼刺激性はないと判断された

ポーラ・オルビスホールディングスのニュースリリース(文献2:2018)によると、

  • 開発段階から長期の安全性調査を実施しており、また製造販売後調査を継続してきた結果、1年経過した時点でも重篤なトラブルが無かった

と記載されています。

試験結果では共通して眼刺激性はないと判断されているため、眼刺激性はないと考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

医薬品医療機器総合機構の審議結果報告書(文献1:2016)によると、

  • [ヒト試験] 健康な日本人女性55人に誘導期間として●%三フッ化イソプロピルオキソプロピルアミノカルボニルピロリジンカルボニルメチルプロピルアミノカルボニルベンゾイルアミノ酢酸Naを含む製剤0.05mLを48時間×週3回、3週間連続で合計9回、閉塞パッチ適用する反復傷害パッチテスト(HRIPT)を実施した後、2週間の休息期間を設け、さらにチャレンジパッチとして同じ部位と未処置の部位に48時間パッチ適用した。なお、誘導期間においては各パッチ除去2時間後および24時間後に、チャレンジ期間においては各パッチ除去2時間後および48時間後に皮膚反応を評価したところ、被検者の都合により途中で脱落した1人を除いた54人において皮膚反応は認められなかったため、この製剤は皮膚感作性を誘発する可能性は低いと判断された
  • [ヒト試験] 健康な日本人女性110人に本剤長期使用(顔に1日2回、24時間毎日塗布)後に、●%三フッ化イソプロピルオキソプロピルアミノカルボニルピロリジンカルボニルメチルプロピルアミノカルボニルベンゾイルアミノ酢酸Na水溶液および本剤を用いてパッチテストを実施し、テスト期間中は、開始日、使用4週間後、12週後および24週後に皮膚科専門医による皮膚観察および問診を行った。110人のうち脱落した8人を除く102人において、試用期間中に有害事象は2例(いずれも軽度または軽微な赤みとかゆみ)で認められたが、いずれも本剤との関連性はなしと判断された。パッチテストは試料約0.015mLをFinn Chamberを用いて48時間閉塞貼付けし、貼付け後48、および72時間後および1週間後に皮膚科専門医がICDRG基準に従って判定した結果、(+)以上の陽性反応は認められず、一部の症例で紅斑のみが認められたものの反応は72時間判定時には消失した。以上より本剤が皮膚刺激性および皮膚感作性を誘発する可能性は低いと判断された
  • [動物試験] 6匹のモルモットを用いて三フッ化イソプロピルオキソプロピルアミノカルボニルピロリジンカルボニルメチルプロピルアミノカルボニルベンゾイルアミノ酢酸NaのMaximization皮膚感作試験を行ったところ、10%感作群においては●%以下の惹起濃度では皮膚反応は認められなかったが、10惹起部位で皮膚反応が認められ、陽性率はいずれも100%であった。30%感作群では各惹起濃度で皮膚反応が認められ、陽性率はいずれも100%であった。一方、5%感作群ではいずれの惹起濃度(●%,●%,5%)においても皮膚反応は認められなかった。以上の結果からこの試験物質は感作能を有しているものの、5%以下の濃度では皮膚感作性の発現はないものと判断された
  • [動物試験] 6匹のモルモットを用いて三フッ化イソプロピルオキソプロピルアミノカルボニルピロリジンカルボニルメチルプロピルアミノカルボニルベンゾイルアミノ酢酸NaのBuehler Test法(本成分濃度(感作:10%(惹起:10%)、感作:30%(惹起:30%)))に準じた試験を実施した結果、いずれも皮膚反応は認められず、皮膚感作性はないものと判断された
  • [動物試験] 5匹のマウスを用いて三フッ化イソプロピルオキソプロピルアミノカルボニルピロリジンカルボニルメチルプロピルアミノカルボニルベンゾイルアミノ酢酸NaのLocal Lymph Node Assay 法(本成分濃度:10、 25、50%) に準じた試験を実施した結果、いずれの濃度においてもStimulation Index(SI) 値は、低濃度群からそれぞれ 1.2、1.1、及び1.6となり、陽性基準である3.0 を下回ったことから、この試験物質は陰性であると判断された
  • [動物試験] 6匹のモルモットを用いて三フッ化イソプロピルオキソプロピルアミノカルボニルピロリジンカルボニルメチルプロピルアミノカルボニルベンゾイルアミノ酢酸NaのAdjuvant and Patch Test 法(被験物質:本剤、本成分●%配合製剤、基剤)に準じた試験を実施した結果、いずれも皮膚反応が認められないことから、本剤に皮膚感作性はないものと判断された

ポーラ・オルビスホールディングスのニュースリリース(文献2:2018)によると、

  • 開発段階から長期の安全性調査を実施しており、また製造販売後調査を継続してきた結果、1年経過した時点でも重篤なトラブルが無かった

と記載されています。

試験結果をみるかぎり、濃度5%以下では共通して皮膚感作性がなく、10%以上では陽性反応が多い試験もありますが、配合量は非公開ながら医薬部外品であり、皮膚感作性に問題のない配合量であるはずなので、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
三フッ化イソプロピルオキソプロピルアミノカルボニルピロリジンカルボニルメチルプロピルアミノカルボニルベンゾイルアミノ酢酸Na 掲載なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、三フッ化イソプロピルオキソプロピルアミノカルボニルピロリジンカルボニルメチルプロピルアミノカルボニルベンゾイルアミノ酢酸Na(ニールワン)は掲載なし(∗3)となっていますが、試験結果をみるかぎり毒性に関しては心配する必要はありません。

∗3 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ニールワンは抗シワ成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:抗シワ成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. 医薬品医療機器総合機構(2016)「審議結果報告書」, <http://www.pmda.go.jp/quasi_drugs/2016/Q20160801001/710066000_22800DZX00868000_Q100_1.pdf> 2017年12月12日アクセス.
  2. “株式会社ポーラ・オルビスホールディングス”(2018)「リンクルショット メディカル セラム タイでの販売を開始」, <http://ir.po-holdings.co.jp/news/news/news3215772410989008576/main/0/link/20180918_Wrinkle2.pdf> 2018年9月18日アクセス.

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